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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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胃に優しい愛妻弁当と、厨房の破壊者

管理栄養士・彩の助言を受けたほのかの「胃に優しい愛妻お弁当作戦」と、それに焦り狂って料理に挑み大惨事を引き起こす涼香とまひろ、そして胃に優しいお弁当に感涙しながらも怒涛の展開に胃薬を煽る陣内のドタバタ劇

カタカタカタカタ…

軽快に打つキーボード

俺はだんだん腹が減ってきた…

またちかくのそと卯で親子丼でもかっこんで帰ってこようかな…勤怠の外出を押す直前

タイミングを見ていた白石ほのかがやってくる

なんだか昨日は突然食べ物なにが良いですか?なんて何だったんだろう


「あの……先輩! よかったら、これ……召し上がってくださいっ!」

俺――陣内拓海の前に、顔を真っ赤にした白石ほのかが、淡いピンク色の巾着袋を差し出してきた。

「えっ? これって……」

「手作りのお弁当です! 先輩、最近いつもお忙しそうですし……その毎日外でたべたら…長生きできないし、そのっ…胃が痛そうにされていることが多かったので……っ。管理栄養士の友達に相談して、消化が良くて胃粘膜を保護する献立で作ってみたんです!」

巾着袋から現れたのは、見事な二段重ねのお重だった。

フタを開けると、上品で優しい出汁の香りがふわりと広がる。

やわらかく煮込まれた蕪と鶏ささみの治部煮風、出汁をたっぷり含んだふわふわのだし巻き卵、胃の粘膜を守る粘り気成分を多く含んだ山芋とおくらの和え物、そして消化のいい柔らかめのご飯。

(な、なんという完璧な胃腸いたわりメニュー……!!)

「いただきます……っ!」

一口食べたとたん、優しい出汁の旨味がじわっと口いっぱいに広がった。日頃の連日の修羅場とストレスで荒れ果てていた俺の胃袋に、染み渡るような温かさが広がっていく。

「う、うめぇ……! うまいよ! 胃が……胃がじんわりと喜んでいるのが分かる……っ!!」(昨日はそれで好きな食べ物を…?しかし胃薬以外で痛みが取れるなんて…最高すぎる…)

「本当ですか……!? よかったぁ……っ♪」

俺の絶賛に、ほのかはパーッと満面の笑みを咲かせた。

――だが!

その微笑ましい光景を、バックヤードの陰から鬼のような顔で見つめる二人の影があった。

氷室涼香と有栖川まひろだ。

((料理……!? まさか『男の胃袋を掴む』という原始的かつ最強の古典的アプローチに出るなんて……っ!!))

ほのかの狙い通り、陣内が「胃を物理的に癒やされている」姿に、二人は激しい危機感と敗北感を抱いたのだった。


その日の夜。

「……料理など、化学の実験(レシピ通りに加熱・配合)と同じ! 薬剤師の私にできないはずがありません!」

白鳥駅前店の閉店後、涼香は自身の綺麗に整理された(というかあまり物がない)マンションのキッチンに腕まくりをして立っていた。

狙うは『薬膳仕立ての特製胃腸ケアスープ』。

しかし――完璧主義のロジックモンスター・涼香の「理系思考」が裏目に出た。

「胃粘膜保護作用を高めるため、キャベツのビタミンU(キャベツジン)を限界まで抽出……さらにジンジャーとウコンを規定量の300%投入……pH調製のためにクエン酸を少量添加……」

精密ばかりでミリグラム単位で生薬や香辛料を配合した結果、鍋からはなんとも薬臭い怪しい蒸気が立ち上り、キッチンはマッドな実験室と化した。味見をした瞬間、涼香は「ふぐっ……!?」と声を詰まらせて悶絶した。(そんなっ…そんな…この私が…)


一方、まひろの自宅キッチンでも地獄が展開されていた。

「えーっと、エリア長は可愛いお弁当が好きだから……キャラ弁で攻めよーっと♡」

エブリデイ可愛いまひろは、持ち前の美意識で見た目重視の可愛すぎるお弁当を目指した。

しかし、普段包丁など握らない彼女の包丁さばきは壊滅的だった。

タコさんウインナーを作ろうとしてフライパンを炎上させ、可愛いデコレーション用のアメ細工を作ろうとして砂糖を黒焦げのマグマに変化させ、換気扇からは猛烈な黒煙が吹き出していた。

「きゃーーーっ!? 目がーっ!目がぁーっ!」

(確かに…メイクでは加熱する機会はない)


2人は…それぞれのダーク・マターをもちよる


翌日。

白鳥駅前店の調剤室に現れた涼香とまひろは、二人揃って満身創痍だった。

涼香は指先を絆創膏だらけにし、眉間には疲労の色が濃い。まひろに至っては前髪がほんのり焦げ、目に涙を浮かべている。

「ひ、氷室さん!? 有栖川さん!? 一体どうしたんだその姿は!?」

驚く俺の前に、二人はそれぞれ必死の形相でタッパーを差し出してきた。

「陣内さん……! 私も、あなたの胃のために……薬膳スープを仕込んできましたわ……! (※酸度が強すぎて飲む胃薬状態)」

「エリア長ぉ〜……っ! 私も頑張って……可愛いオムライス作ってきましたぁ……! (※黒炭と化した何か)」

「「食べてくださいッ!!」」

二人の執念と怒涛の圧迫感に、俺はタジタジと引き下がった。

「あ、ありがとう……気持ちはすごく嬉しいんだけど……二人とも、指に絆創膏がいっぱいだし、無理して料理なんてしなくていいんだぞ!?」

「「無理なんてしてません(してませーん)!! ほのかちゃんにだけ良い格好させませんからーーッ!!」」


そこにほのかも余裕に参戦

(彩ちゃん…ナイスすぎる…楽勝〜)

調剤室は「手作り料理&お弁当マウント合戦」新たな泥沼の戦場へと突入してしまった。

愛ゆえに狂暴化した美女たちの手料理プレッシャー。

(ほのかちゃんの優しいお弁当でせっかく癒やされた俺の胃袋が……)


「フフッ…先輩…私の料理…いつか毎日たべられるようになりたいですよね?」

2人にはない武器をてにいれたほのかは

妖艶な笑みを浮かべて見ている姿は女神のようだ…


しかし…最後に食べるにしても…2人のダーク・マターは鎮座している…俺は冷や汗をダラダラと流しながらポケットの『ラベール胃腸薬プレミアム』を取り出し、カオスと化した調剤室の隅で一気に喉奥へ煽り込むのだった。

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