美脚プロパーの襲来と、氷室薬局長のアドバンテージ
光星化粧品の超絶美脚プロパーの登場、動揺する陣内と危機感を募らせるヒロインたち、そして意外なアドバンテージを存分に生かして余裕の表情を見せる氷室薬局長
「――以上の理由から、弊社の『光星温泉水ミスト』は、敏感肌のバリア機能を強力にサポートいたしまして……」
白鳥駅前店のバックヤード。
本日やってきたメーカー勉強会の担当者は、大手コスメメーカー『光星化粧品』の女性プロパー(営業担当)だった。
そのプロパーが、あまりにもスタイル抜群の超絶美人。しかも、目のやり場に困るほどの超ミニスカートから伸びるスラリとした健康的な美脚に、俺は生唾を飲み込んで視線を必死に明後日の方向へと泳がせていた。
(くそー……! なんで化粧品業界ってのはこう美人ばっかりなんだ……! 俺の理性を試すのはやめてくれ、胃がもたんぞ……!!)
一方、参加していたヒロインたちの空気は完全に殺気立っていた。
中でもエブリデイ可愛いまひろは、目の前で繰り広げられる美脚アピールに危機感を爆発させている。
(何よ何よー! 超ミニスカじゃない! あんなのもう反則よ!! 業務説明にかこつけて足をアピールするなんてずるすぎるーーっ!!)
もはや光星化粧品の温泉水の話は、誰も集中して耳に入っていないとと思われた。
「ちょっと失礼いたしますね……。実際の使用感をお試しいただくために、こちら吹きかけてみます……。エリア長、いかがでしょうか?」
「ふおっ!?」
美脚プロパーがスッと距離を詰め、俺の手にシュッと心地よいミストを吹きかけてくる。至近距離から漂ういい香りと、チラリと視界に入る美脚。
(おいー! もう何か脳内物質が色々分泌されて手汗も限界突破しそうだぞ…手がグチョグチョでもうわからん…!!)
それを見つめる女子たちの思いは様々だった。
「なにあのプロパー……! エリア長ったら、足ばかりジロジロ見て……っ!」
まひろがむくれて拳を握りしめる。
「これはお仕置きですね……! 後でしっかりお話を聞かせていただきましょう!」
清楚なほのかも、目が笑っていない笑顔でプレッシャーをかける。
「でもマジで美人っしょ! スタイルヤバいっすね〜!」
あげはだけが能天気に感心していた。
だが――そんな修羅場の中で、ただ一人だけ、優雅に余裕の笑みを浮かべている人物がいた。
薬局長の氷室涼香だ。
(……? 薬局長、なんであんな余裕そうなの……?)
不思議そうに首をかしげるまひろとほのか。
涼香は心の中でクスクスと笑っていた。
(フフッ……陣内さんはデレデレしてるんじゃないわ。ただ目のやり場に困って必死に耐えているだけよ……)
そして、涼香の思考は静かに次の境地へと至っていた。
(それに……脚なら。有栖川さんや白石さんのフレッシュな可愛さや、涼宮さんのお胸には敵わないかもしれないけれど……大人のスタイリッシュな『脚』なら、私に分があるわ……!)
涼香はすっと手を挙げると、余裕の笑みでプロパーに向き合った。
「プロパーさん、こちら試してもよろしいかしら?」
「あ、はい! 薬局長様もぜひどうぞ!」
シュッと腕にミストを吹きかけ、白くしなやかな肌になじませる涼香。
「ふふっ……素晴らしい瑞々しさですね。私、敏感肌というわけではありませんけれど、この保湿力はかなりいい商品だわ……。店舗用に何個かサンプルをいただこうかしら?」
「「「あっ……!」」」
まひろ、ほのか、あげはの3人は、その瞬間にハッと気づかされた。
プロの薬剤師として、大人として、メーカーの営業と対等かつ優雅に商談を進めながら、しっかり存在感を示す涼香のアドバンテージに。
涼香はプロパーとのやり取りを終えると、チラリと3人を振り返り、白衣の隙間からスラリと伸びた自慢の綺麗な足をほんの少しだけ覗かせた。
「ふふっ……学会の準備だって控えているんだから。……ぼーっとしていると、私にスッと出し抜かれちゃうわよ?」
メガネの奥でキラリと瞳を光らせ、挑戦的な笑顔を浮かべる涼香。
「「「ムキーーーッ!!」」」
焦りを募らせる3人のヒロインと、マウントをとって満足気な薬局長。
そして、どこを見てもセクハラになりそうな美女たちの脚線美と熱視線に囲まれた俺は、完全に逃げ場を失っていた。
(あかん……! もう上下左右、どこを向いても地雷原だ……!!)
俺は震える手でポケットを探ると、誰にも気づかれないスピードで『ラベール胃腸薬プレミアム』を取り出し、一気に喉奥へ流し込むのだった。
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