南館ロビーの温もりと、ふたつのイニシャル
景王プラザホテル新宿の南館ロビー階にある上質な革製品店「イチガキ(ICHIGAKI)」で、お揃いのレザー小物を選ぶふたりの特別なワンシーン
トータルビューティーコンテストの会場を後にした俺とまひろは、夕暮れ時の西新宿を少し歩き、景王プラザホテルへと戻ってきた。
宿泊客や上品な客層で賑わう南館ロビー階。その一角に、まひろが「どうしても寄りたい」と言っていたお店があった。
北海道・赤平に本店を構える、こだわりのタンニンなめし革専門店――「イチガキ(ICHIGAKI)」だ。
「わぁ……やっぱり、ここの革の匂い、すごく落ち着く……」
店内に足を踏み入れた瞬間、まひろは目を輝かせた。
ガラスケースや木の棚に並ぶのは、使い込むほどに深い飴色へと育っていく上質なヌメ革のバッグや財布、そして洗練された小物たち。コンテストのピリッとした緊張感から解放され、彼女の表情にいつもの愛らしい笑顔が戻ってきており。エブリデイ可愛いまひろちゃんになっている
「おそろいの記念品って、ここで探すの?」
「はい! ほら、これなんてどうですか、エリア長?」
まひろが指さしたショーケースの中には、上品な鐙の金具があしらわれたあぶみキーホルダーや、ふたりで持つのにぴったりのペアキーホルダー Iが並んでいた。
「おっ、これいいな。シンプルで、仕事用の鍵にもすぐ付けられそうだ」
「でしょう? しかも、いちがきさんの革って、使えば使うほど一緒に過ごした時間の分だけ色艶が増して、どんどん味が出るんです!」
まひろは丁寧に磨き上げられた革の表面をそっと指でなぞりながら、少しだけ頬を赤らめて言った。
「……なんか、私たちがこれまで積み重ねてきた時間みたいで……素敵だなって思って」
そのまっすぐな瞳と言葉に、俺は思わず胸を突かれた。
「……そうだな。これなら、毎日持つたびに今日の日のことや、お互いの仕事を思いだせそうだ」
「ふふっ、ですね! じゃあ、これにおそろいでイニシャルを刻印してもらいましょうよ。お店のサービスでその場で入れてもらえるみたいですから!」
親しみやすい店員さんに声をかけられ、ふたりはそれぞれのキーホルダーに小さな文字でイニシャルを刻んでもらうことにした。
職人の手仕事によって刻まれた文字は、どこか温かみがあり、ふたつの絆をそっと結んでくれるようだった。
「これで、いつでもどこにいても……エリア長と私はおそろい、ですね」
受け取ったばかりの温かい革小物を手のひらに乗せ、まひろはこれ以上ないほど甘く、誇らしげな笑みを浮かべた。
(フフーン…ほのかちゃんはタダのオソロかもしれないけどー私なんかイニシャルもらっちゃったもんねー…)
優勝トロフィーこそ届かなかったけれど、この日の悔しさも、未来への決意も、そして胸の高鳴りも、すべてがこの小さな革のなかにギュッと詰まっている。
「さて、明日からまた薬局も売場も気合入れていくぞ、有栖川スター!」
「もっちろんですよ、エリア長! 私、もっともっと凄くなって、あなたをびっくりさせちゃいますからね!」
西新宿の夜景が灯り始める中、お揃いのキーホルダーをそっと鞄に忍ばせたふたりは、温かな絆を胸に、それぞれの明日へと歩き出すのだった。
優しい時間が流れ胃痛はどこ吹く風
今日はラベール胃腸薬プレミアムの出番はないぜ…
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