ジェネラリストの底力と、愛妻家のピンクオーラ
がん領域チームを率いる等々力隆弘(シュガーさんの夫!)が、若手たちの圧倒的な症例レベル(手足症候群や脱毛ケア等)と怪しいピンクオーラに困惑する中、ジェネラリストチームを率いる神崎誠(葵の夫!)が乱入! 「我がジェネラリストチームは物販で売り上げ他チームの2倍! 我々の物販力が高度医療を支えているのだ!」
私――等々力隆弘。
がん・緩和医療チームの指導責任者として、受講生たちから提出された症例報告書に目を通しながら、会場全体を覆う妙なピンク色のオーラにひたすらたじろいでいた。
(……くっ、何なんだこの空間の熱気とピンク色の空気は……!?)
だが、提出された症例報告の精度は本物だった。
分子標的薬や抗がん剤による手足症候群(HFS)への適切な保湿・皮膚刺激対策
脱毛に対する患者精神ケアと、店舗での医療用ケア帽子の提案・販売連携
治療に伴う不眠症・精神的ストレスへの寄り添い
負担の大きいご家族への包括的なレスパイト・メンタルケア
どれをとっても、即座に臨床現場で活かせる素晴らしい出来栄えだ。20代後半から30代前半の若手薬剤師たちが、これほど高度なレベルで活躍し、医療に貢献しているとは……正直、私の想像以上だった。
ふと、自分の顔を触る。
(……このピンクオーラ。本部の悪魔……あの神崎葵課長が言っていた『欲望の解放』というやつなのか……? はっ……! ビューティースーパーバイザーとして社内を仕切る私の妻・シュガー(等々力環奈)に対し、私も家でこんなデレデレした顔をしているというのか……!?)
視線を動かすと、我が「がんチーム」の次期エリア長候補筆頭である一ノ瀬蓮が、向かいの精神科ブースにいる天音ちゃんを見て「デロッデロ」に鼻の下を伸ばしている。
(一ノ瀬のやつ……薬師寺さんを見て完全にデレデレじゃないか……。ウチの花形がんチームは全員が日本医療薬学会やがん医療薬学会に入会済みだし、正直私から指導する必要すらあるのか謎の完成度だが……)
ふと、疑問が湧いた。
悪魔課長こと神崎葵の旦那――神崎誠のことだ。
ヤツが担当しているのは【ジェネラリスト(オールラウンダー)チーム】。
(あそこは……一体全体、何をするチームなんだ……?)
私が一人で怪訝な顔をしてジェネラリストチームのブースを眺めていると――ツカツカツカと、神崎誠が勢いよく歩み寄ってきた!
「なっ……なんだというのだ、神崎誠!?」
誠はバシッと指をさし、ドヤ顔で言い放った!
「今……『何やってんだ、あのチームは?』って顔しましたよね!?」
「いっ……いやぁ、そんな顔はしていない!!」
「してましたよ!! だが言っておく!! 我がジェネラリストチームは……社内ナンバーワンーーーーーっ!! できんことはないーーーーーっっ!!」
「「「!!??????」」」
誠の大音量の叫び声に、隣の【精神病・認知症チーム】の陣内・涼香・天音も、一ノ瀬がいる【がんチーム】も、糖尿病チームも厳格な神楽坂エリア長すらも「何事だ!?」と大バッシング並みに驚愕して振り返った!
誠は胸を張り、会場全体に響き渡る声で大演説を開始した!
「バァカ者がーーっ!! ジェネラリストチームはぁー!! 社内の圧倒的な【物販力・OTCカウンセリング力】を基準に!! 爆発的な売上を作り上げているのだぁーーっ!! 売上高!! 他の専門チームの約2倍だーっ!! フハハハハハッ!!」
「なっ……なん……だとっ……!?」
「高度な専門医療の提供も!! 学会参加費の補助も!! 我々の物販の稼ぎ!! セールス力を基盤にして作られているということを!! 忘れるな専門薬剤師チーム共よーっ!! フハハハハッ!!」
「……っっ!!」
等々力隆弘は、ぐうの音も出ずに絶句した。
(たっ……確かにそうだ……! 店舗という母体の収益力が盤石でなければ、専門薬剤師の育成も、学会活動への注力も不可能なのは紛れもない事実……っ!!)
「分かったか! 等々力!!」
「……分かった……! お前の言う通りだ……神崎誠……っ!!」
互いに熱い視線を交わし合う二人。
すると、神崎誠はふっと真顔になり、私だけに聞こえるような小声で耳打ちしてきた。
「あと……等々力さん。あなたが奥さんのシュガーさんを見る目は……コイツらの放つピンクオーラそのものです。……まあ、俺が葵を見る目もそのピンクオーラそのものなんですけどね。お互い、胸を張りましょう……」
「……っ!!(激しい共感と赤面)」
専門医療の厳格さ、経営のリアル、そして愛妻家たちの誇り――。
変な学びと熱い人間ドラマが大量に詰まった、伝説の店長セミナーの1日が更けていくのだった。
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