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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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ランチョンセミナーと、サンドイッチの開眼

店長セミナーの昼休憩を兼ねた「認知症サポーター養成講座」のランチョンセミナーが開幕! 既にサポーター資格を持つ涼香は、講壇で温かな眼差しで認知症医療への情熱を語る拓海の尊さに大号泣!

午前の損益分岐点・財務講義が終わり、セミナー会場は昼の「ランチョンセミナー」へと移行していた。

今回のランチョンセミナーのテーマは、地域医療と店舗での患者対応において極めて重要な【認知症サポーター養成講座】である!

【認知症サポーターとは!!】

認知症について正しく理解し、偏見を持たずに、自分にできる範囲で認知症の人やそのご家族を温かく見守る「応援者」を育成するための公的講座である!!

受講時間: 約90分間

受講資格・年齢制限: 原則なし(誰でも受講可能)

費用: 無料

テスト・資格試験: なし(受講すれば誰でもなれます)

講師役: 専門研修を受けた「キャラバン・メイト」が務める

修了の証: 受講すると、認知症サポーターの証として「オレンジリング」や「サポーターカード」が交付される

【期待される役割】

認知症に対する正しい知識と理解を持つ

偏見を持たず、温かい目で見守る

自分ができる範囲で声かけや手助けをする

地域や職域でのネットワークづくりに寄与する

ちなみに――氷室涼香はこの資格をすでに取得済みである!

だがしかし! 今回の講義で「キャラバン・メイト(講師役)」として壇上に立っているのは、我が愛しの陣内拓海エリア長なのだ!! 受講しないという選択肢など地球上に存在するはずがない!!

講壇でマイクを握る拓海を前に、隣のテーブルでは一ノ瀬蓮、神楽坂エリア長、天音ちゃんの3人が、カリカリと猛烈な勢いでノートにペンを走らせている。

(フフフ……事前にみっちり勉強しておいた甲斐があったというものですわ!! 講義内容はすでに全部わたくしの頭に入っていますもの!!)

ランチョンセミナーとは、その名の通り「お弁当や軽食を食べながら気楽に受けられるセミナー」である。配られた配給のサンドイッチのパックを開けながら、涼香は拓海の講義にじっと耳を傾けた。

「――認知症の患者さんに対して大切なのは、症状そのものを否定せず、不安に寄り添い、地域全体で温かく支えていく姿勢です……」

真摯な眼差しで、時に優しく微笑みながら語りかける拓海。

(尊すぎる……っ!! 尊すぎて胸が苦しいわ……っ! ブワッ……!!)

涼香の目から、溢れんばかりの大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちた!

(そうよ……! 拓海さんはいつだって、白鳥駅前店に来る認知症の患者さんやそのご家族に、誰よりも温かく寄り添ってきたのよ……! どんなに同じ質問を繰り返されても、どんなに理不尽なことを言われても、いつもニコニコと穏やかに対応していたあのイケメンな姿……! それはすべて、病態に対する深い理解と圧倒的な優しさから来ていたのね……っ! 流涙……! 流涙が止まりませんわーーーっ!!)

ジュボッと鼻水をすすりながら、涼香は手元に配られた至ってフツーのハムとタマゴのサンドイッチをパクッと一口かじった。

「っ……!? うっ……美味すぎるーーーーーっっ!!」

涼香は目を見開いて衝撃に震えた!

(なっ……なんですのこのサンドイッチの美味さは……!? 拓海さんを『おかず(アテ)』にして食べるサンドイッチ……!! これほどの極上の味わいになるなんて……っ!!)

――次の瞬間! 涼香の脳内に雷撃のような閃きが走り抜けた!!

(……ん? 待ちなさい……? 待ちなさいよ氷室涼香……!!)

自分の過去の過ち――この前作った『骨量爆増・完全カルシウム無双弁当』の惨劇が頭をよぎる。

(わたくしが良かれと思ってカルシウムの粉を振りかけまくったスペシャル手作り弁当……あれ、完全に意味がありませんでしたわーーーっ!! だって今食べているこのサンドイッチ、味付けも具材も絶対にどこにでもある『超普通』のものですもの!!)

涼香は涙を拭い、確信に満ちた笑みを浮かべた。

(好きな人を観ながら、好きな人と一緒に食べる……ただそれだけで、どんな料理だってこんなに飛び上がるほど美味になるのよ……! ブワッ……(再び号泣)!余計なアレンジや手心を加えず……無心でクックパドッのマニュアル通り作れば良いのよ、涼香!! 大した美味い料理なんておそらく私には作れないでしょう! だがっ……! マニュアル通りに作った料理なら、拓海さんは絶対に喜んで食べてくれるはず……!! 想像するだけで……っ! 涼香ちゃん興奮が止まりませんわーーーっ!!)

――周囲の席の様子。

認知症の過酷なケアや社会問題についての真面目な講義が展開されている中。

一人だけノートも一切取らず、コロコロと表情を「涙」「歓喜」「興奮」へと激しく変化させながら、尊さに感謝するように拝む手つきでサンドイッチを貪り喰う女…氷室涼香。

その狂気に満ちた姿を横目で見た一ノ瀬蓮、天音ちゃん、そして鉄の神楽坂エリア長は、背筋に冷や汗を伝わせ、本気の「恐怖」を覚えていた……!

((((な、何なんだアイツは……認知症の講義を聞きながら、一体何と戦っているんだ……!?))))

何はともあれ――認知症サポーター講座というまったく関係のない講義を通じて、涼香は「料理で余計なアレンジをせずマニュアルに従う」という、料理上達への最大のコツを掴むのであった。

「少しでも『面白かった!』『続きが気になる!』と思ってくださったら、下部の【★で評価する】や【ブックマーク】を押していただけると執筆の大きな励みになります!」

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