シュガーさんの提案と、春へのタイムリミット
休憩室で繰り広げられる、シュガーさん(等々力環奈)による「決着への大提案」! 陣内の「ドスケベ選手権独走状態(=ヒロインたちへの意識とデレデレ)」を見抜き、春の異動期・新シーズンを見据えて「今夜、私があの朴念仁にアンタたちの本気をぶち込む」と宣言。クリスマス、正月、バレンタインを経てゴールインを目指す、ヒロイン3人(涼香・ほのか・まひろ)の火花散る覚悟を描く重要回をお楽しみください!
休憩室の空気は、女子特有の華やかさとどこか独特の親密さに包まれていた。
この店舗は女性スタッフも多く、休憩中の女子トークは一度弾むと止まらない。現在、ヒロイン3人が同時に昼休憩に入っており、陣内拓海は一人フロアで真面目に店舗業務をこなしている。
そんな中、お茶を一口すすったビューティースーパーバイザーのシュガーさん(等々力環奈)が、ニヤニヤとした笑みを浮かべながら不意に問いかけた。
「ねぇ〜……御三方にちょっと質問があるんだけどぉ〜♪」
「「「……?」」」
有栖川まひろ、白石ほのか、氷室涼香の3人は顔を見合わせ、首をかしげた。
シュガーさんはゆっくりと背もたれに寄りかかり、妖艶な笑みを深める。
「あのね〜、葵ちゃん(神崎課長)は売上が上がって大喜びしてるみたいだけどぉ〜……流石にずっとこのままの甘やかし関係じゃあ、いられないわよねぇ〜? 誰かが覚悟を決めて勝たないと、あの拓海君、実質『3股状態』になっちゃうわよねぇ〜?」
「「「!!??????」」」
「3股」という強烈すぎるパワーワードに、3人は思わず息を呑んで固まった!
「そこで〜♪ お姉さんからの〜『助け舟』を出してあげちゃおうかしらぁ〜♪」
「なっ……な、何をするんですの……!?」――怯える涼香。
「へっ……変なことしませんよね、シュガーさん……!?」――焦るほのか。
「こ、怖いですよう……っ」――わなわなと身を縮こまらせるまひろ。
怯える3人を前に、シュガーさんは指を一本立てて「ちっちっち」と振った。
「だ〜って、こんな『好き』をダラダラと丸出しにしてるのに可愛さ満点から疑いを持ってる拓海君を見てられないわぁ〜。昨日のカラオケ事件からというもの……何かある度に貴女方のことを見ては、鼻の下を伸ばしまくってるのよ〜? 『ドスケベ選手権』を完全に単独独走状態で……可哀想だと思わなぁ〜い?」
自分のことを見て鼻の下を伸ばしている(=自分たちを強烈に女性として意識している)と知り、一瞬だけ「拓海さん……♡」と落ち着きを取り戻す3人。
だが、シュガーさんの口から出た次の言葉に、再び緊張が走った。
「まだまだ皆には〜、本部決定事項だからぁ言えないけど……春には新しい出会いと異動の季節にもなるわぁ〜♪」
「春……」――まひろがぽつりと呟く。
「そうよ……春よ」
「はっ……! 春までに、誰が拓海さんの隣に立つか『決着』をつけろと……!?」――目を見開く涼香。
「ふふっ♪ 流石ドスケベ薬局長〜、お察しが良いのね〜♪」
「ど……ドスケベ……っ!?」
涼香が照れと羞恥で怯む中、シュガーさんは小悪魔のように追い打ちをかけた。
「だってだって〜♪ この前の夜、絶対MiLKの曲を全買いしまくって妄想してたでしょ〜? ほのかちゃんとまひろちゃんも驚きよねぇ〜♪」
「「「!!??????」」」
図星を突かれて顔をりんごのように真っ赤にする涼香と、「えっ、涼香さんMiLK全買いしたの!?」と目を見開くほのか&まひろ!
シュガーさんは一転して、真剣で優しい表情を3人に向けた。
「貴女方3人の奥手に任せてたら……みんなオバサンになっちゃうわよねぇ〜?」
「「「!……」」」
その言葉に、3人はぐうの音も出ず、黙り込んだ。
「そこでぇー!! 私が〜!! あの朴念仁(陣内拓海)に!! あんたら3人がどれだけ自分にゾッコンラブなのかを直接突きつけ〜!! あの朴念仁に本気で『一人の男』として誰を選ぶか意識させようというのだーーーっ!!」
「「「!!??????」」」
「これで後腐れなし!! 1人が勝ち、2人は負ける……! これからやってくるクリスマス、正月、バレンタインを乗り越えて……見事ゴールイン! 負けた2人はまた新しい素敵な恋を見つける! 人生短し、歩めよ乙女!!」
シュガーさんの熱い言葉に触発され、3人は互いの顔をキッと力強い眼差しで見つめ合った。
「葵ちゃんから無理やり焚きつけられるより、ずっといいでしょ〜?」
「「「それはそう!!」」」
3人の声が、奇跡的にぴったりとハモった!
「なら決まりね……♪ 今日の夜……私が拓海君に直接ガツンと言ってあげるわ……」
シュガーさんは立ち上がり、3人の肩をぽんぽんと叩いた。
「あのドスケベ男はね、あんたらが眩しすぎて……優しすぎて、自分からは決めかねているだけなのよ。……頑張るのよ!!」
「「「……はいっ!!」」」
シュガーさんの放った言葉の重みに慄きつつも、胸の中に熱い覚悟の炎を宿した3人は、それぞれの昼食を済ませ、決意を秘めた表情でフロアの持ち場へと戻っていくのだった。
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