レイヤー三木姫の襲来と、デュエール完売大作戦
以前ほのかから購入した水虫薬で足の調子は絶好調なものの、肌の突っ張りに悩むコスプレイヤーの「三木」姫が処方箋(フェキソフェナジン・モンテルカスト・ブデホル)を持って来店! ギャル実習生あげはの豊かなバストに驚愕しつつ、まひろとシュガーさん直伝の「資彩堂 デュエール」カウンセリングを体験。「普段は肌を労わり、本番でガチメイクするのもファンへの愛」というまひろの神言答に撃ち抜かれ、ベビー以外の一式を爆買い! 絶好調のイベントをお楽しみください
私は三木! 生粋のコスプレイヤーにして、界隈を統べる姫である!
以前このドラッグストアで可憐な薬剤師から水虫薬を買ってからというもの、すこぶる足の調子が良い!
……だが! 最近どうにも肌がカサついて突っ張るのだ!!
「ちっ……ちくしょう……どういうことだってばよ……っ!」
今日は持病の喘息とアレルギーの処方箋を持ってきたのよ、私。
フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg:1日2回 朝夕食後
モンテルカスト錠10mg:1日1回 就寝前
ブデホル吸入粉末剤:1日2回 1回1吸入
まあ良いわ!!
処方薬の受け取りと一緒に、またあのゲキカワ薬剤師に肌の相談でも乗ってもらうとしようかしら!
店内に入ると、何やら『秋の健康フェス』なるものを開催している……また奇抜な催しをやっているわね(注:いたって普通の健康測定会です)。
ゲキカワ薬剤師は血管年齢ブースで大忙しか……あまり関係なさそうね。
調剤カウンター側へ回ると、血圧測定ブースには小柄で可憐な薬剤師さん(結衣ちゃん)と、やたらと胸の主張が激しい、1人だけ白衣の形状が違う女の子(※実習生だからです)が並んでいた。
「なん……だと……!? デケェ……っ!!」
ファイナルファンタジーの某メインヒロインのコスプレが余裕でできるじゃないのよーーーっ!!
思わず同人レイヤーとしての血が騒ぎつつ、話を聞いてみることにしたわ!
あら? あっちでモジモジしているイケメンエリア長(拓海)も、私の登場に密かに湧き立っているみたいね!!(※完全な勘違いです)
「喘息のお薬はこれで良いのだけれど! はっきり言って、最近お肌が突っ張るのよっ!!」
くわっと目を見開き、ボリューム満点の実習生に力説する私!
するとあげはちゃんは「確認してきますね〜♪」とパタパタ走り、コスメ担当の女の子を呼んできた。
そこに現れたのは――透明感あふれるナチュラルメイクのゲキカワ小悪魔(有栖川まひろ)!!
どうなってんのよ、この店舗の美少女エンカウント率は!? コスプレイヤーとして興奮が止まらないじゃないの!!
ゲキカワ小悪魔は、優しく微笑みながら話し始めた。
「三木様、喘息やアレルギー症状を伴うお客様は、お肌のバリア機能が低下して皮膚トラブルも出やすいんですよ! 刺激の少ない資彩堂の『デュエール』を試してみませんか?」
ほう……このコミケの姫たる私を相手に、低刺激の敏感肌用スキンケアを提案してくるとは……!
確かに、イベントで映える透明感メイクのために、普段から結構肌に負担をかけて無理をしていたのは否定できないわ!!
「フッ……そこまで言うなら、試してみようじゃない……!」
手際よく、かつ丁寧にテスターでお肌をケアしてくれるゲキカワ小悪魔……只者じゃないわね……! まるでプロのメイクアップアーティストのような手つき! 彼女もきっとコスメが大好きなのね、ファンになっちゃいそうだわ!
「どうですか……?♪」
「……はっきり言って、全然つっぱらないわ!! 最高ね!!」
ハッ……! 思わず無自覚に絶賛の回答をしてしまったわ!?
これじゃあ、いつものバッチリメイクのカバー力が――
「わっ……私、コミケで大人気のレイヤーなの! これじゃ普段のメイクとしては薄すぎるわ!!」
私が主張すると、まひろちゃんはトロンとした甘い瞳で私を見つめ、天使のように微笑んだの。
「普段はお肌を優しくケアしてコンディションを整えておいて〜、本番のイベントでガチメイクをバチッと決めましょう♪ お肌を根本から守って綺麗に保つのも、ファンの方々に対する最高の『プロの愛情』ですよ♪」
「っっっ……!!?(吐血)」
この小悪魔……レイヤーのファン心理まで完全に理解してやがる……!!
確かに、その通りだわ!! 荒れた肌に厚化粧するより、コンディション万全の肌で本番に挑む方が何倍も映えるに決まってるじゃない!!
「フッ……いただくわっ!! ベビー用以外の一式を全部セットで買いましょうっ!!」
大満足でお買い上げを済ませ、晴れやかな気分で帰路につく私。
そうだわ! 去り際、あの物陰でモジモジしていたイケメンエリア長(拓海)に、ファンサービスとして極上のウインクを投げておいてあげるわ!!
バチコーンッ★(ウィンクの音)
(あら……照れて固まっているわね! フッ、可愛い男ね……アデュー!!)
……実際は、三木姫のウインクに照れていたのではなく、引き算メイクで圧倒的な透明感を放やまひろちゃんの美貌に見とれて、ただただドギマギしていただけの陣内拓海であった。
「拓海さん……♪ 『デュエール』シリーズ、絶好調ですっ♡」
「「「やったぁぁぁーーーーーっ!!」」」
まひろちゃんとシュガーさんがハイタッチを交わし、白鳥駅前店全体が大歓声に包まれる!
本部の悪魔(神崎葵)も「欲望を解放して…1段上の女にした甲斐があったわね!!」と大満足の笑みを浮かべていた。
「ふぅ……! 測定会も大盛況、そしてデュエールの好調……本当にみんなのおかげだ!」
『秋のからだリセット健康測定会』絶好調実施中。
俺――陣内拓海は、弾けるような笑顔を見せるヒロインたちに囲まれながら、今夜も愛のプレッシャーと激痛を訴える自らの胃袋を押さえつけつつ、幸せな達成感に浸るのだった。
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