ほのかのISA臨床アプローチと、覚醒
脈拍低下に悩む45歳の患者・田子町子さんが来店! ビソプロロール(β遮断薬:ISA−)による徐脈(心拍数48)を見抜き、ISA(内因性交感神経刺激活性)の概念(ISA+/ISA−)を的確に説明して主治医受診を提案したほのか。セリプロロール(ISA+)への変更処方をもらって感謝する患者さんと、MiLK『ラブ過ぎて滅』と生駒戦を経て「1段上の美しい女性」へと覚醒したほのかの姿に眩しさを感じ、目のやり場に困って物陰に隠れる陣内のストーリーをお楽しみください!
私――田子町子、45歳。
最近、どうにも脈がパニックを起こしたように乱れることがあって病院を受診し、『ビソプロロールフマル酸塩錠1.25mg』というお薬を貰ったのは良いのだけれど……。ここ数日、なんだか脈が妙に静まり返りすぎているというか、体がだる重いというか……。
(おや……? ドラッグストアの店頭で、血管年齢や心拍数が測れる機械を置いてイベントをやっているわね。面白そうだからちょっと試してみようかしら♪)
吸い寄せられるように店内に入ると、そこは季節の飾り付けが施された、どこかピンク色で可愛らしい雰囲気の素敵な店舗だった。
「いらっしゃいませー♪ 血管年齢や脈拍数、無料で測定していかれませんか?」
ブースの椅子から立って声をかけてくれたのは、白衣を着た天使のように可愛らしい薬剤師の女の子(白石ほのか)だった。
(あらやだ……なんて可愛らしい薬剤師さんなの……!)
「あ、お願いできるかしら?」
「はい! こちらへどうぞ♪」
指を測定器のセンサーに乗せると、ピ、ピ、ピ……と静かに電子音が響く。
画面に表示された数値――【心拍数:48 bpm】。
それを見た瞬間、さっきまでニコニコしていた可愛らしいお嬢さんの表情が、ハッとプロの鋭い顔つきへと一変した!
「……田子様、脈拍数が48と少し低いですね。何か心臓やお血圧系でお薬を服用されていらっしゃいますか?」
「えぇ……実は最近、頻脈(脈が速くなるの)で病院にかかって、『ビソプロロール』っていうお薬を飲み始めたのよ」
「そうですか……! お薬の効き目が強く出すぎちゃって、逆に脈が下がりすぎ(徐脈)ているのかもしれません!」
「えっ……! ど、どうすればいいの……!?」
焦る私に、彼女は優しく、しかし非常に分かりやすく丁寧な口調で説明を始めてくれた。
「今飲まれているビソプロロールは、【ベータブロッカー(β遮断薬)】という心臓の過剰な働きを抑えるお薬なんです。ただ、このグループのお薬には、脈を抑える強さの指標として『ISA(内因性交感神経刺激活性)』という性質の違いがありまして……」
「あい……えすえー……?」
「はい! ISAマイナスのお薬は、ブレーキを強く踏み込んで脈をガクンと下げます。ですが、ISAプラスのお薬なら、適度にブレーキをかけつつ心臓が下がりすぎないようマイルドにコントロールしてくれるんです! もしよろしければ、私がクリニックの主治医の先生にお電話して、状況をご相談しましょうか? お薬手帳か何かお持ちですか?」
「いっ……いえ! あなたの説明、すっごく分かりやすかったから! 今の内容をメモして、そのまま病院の先生に聞いてみるわ!!」
――しばらくして。
処方箋を大事そうに握りしめた私が店に戻ると、受付カウンターでほのかちゃんが「おかえりなさい!」と出迎えてくれた。
「あなた……すごいわねぇ! 病院の先生に話したら『ドラッグストアの薬剤師さんがそんなところまで見てくれたのか!』って、すっごく褒めてたわよ♪ 血圧も少し高めだったから、高血圧の病名と一緒にマイルドなお薬に変えてくれたの!」
私が出した処方箋の印字は――『セリプロロール塩酸塩錠100mg(ISAプラス)』!
ほのかちゃんはパッと花が咲いたような笑顔を浮かべた。
「良かったです〜♪ セリプロロールなら脈拍数をちょうど良いところで安定させてくれますよ! 脈拍も経過を見ていきましょうね♪」
「本当にありがとうね、助かったわ♪」
満足感でいっぱいの私は、爽やかな気持ちで店舗を後にした。
【調剤室の物陰・陣内拓海】
「(……すごい……。ビソプロロールによる過度の徐脈を見抜き、ISA(内因性交感神経刺激活性)のプラス・マイナスのアプローチから、セリプロロールへの変更提案へと患者自身を導くなんて……!)」
柱の陰から一部始終を見つめていた俺――陣内拓海は、息を呑んで感嘆していた。
全社オータム新人研修で慶旺卒の生駒君との死闘を制し、昨夜のカラオケで俺の本気MiLK『ラブ過ぎて滅』を浴び、ライバルとの和解を経て覚醒した白石ほのか。
今の彼女は、単なる可憐な新人薬剤師ではない。
臨床知見を完全に自分のものにし、患者に寄り添う「綺麗で、一歩先を行く大人の女性薬剤師」へと、劇的な進化を遂げていたのだ。
ふと投薬を終えたほのかちゃんが振り向き、ボルドーのニットを優雅に着こなす涼香さんと顔を見合わせて「ふふっ♪」と満足そうに笑い合う。
白衣から覗くすっきりとした首筋、自信に満ちた眩しいほどの美貌。
(っ……!? あ、あかん……! ほのかちゃんの成長と美しさが眩しすぎて……目のやり場に困るぞ……っ!!)
俺は胸のときめきをごまかすように、ダッシュでバックヤードの奥深くへと身を隠すのだった。
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