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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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麦門冬湯の勉強会と、膝上ダイブ事件

イベント初日、陣内がうっかりブッキングしてしまった「漢方のシムラ様(メーカー)」による『麦門冬湯(ばくもんどうとう)』勉強会! シュガーさんのけしかけで飛び込んできたまひろが、引き算ナチュメイクの勢いのまま膝上にダンク&「チューしちゃうぞ♪」の破壊的アタック! ゆでダコになりつつ勉強会をこなす陣内をお楽しみください

俺は陣内拓海。

今日から『秋のからだリセット健康測定会』という大型イベントがスタートしたのだが……俺としたことが、イベント開始日と被っていることをつゆ知らず、メーカーである「漢方のシムラ様」からの依頼で、店舗勉強会(麦門冬湯)の予定をガッツリ入れてしまっていたのだ!

「陣内エリア長、お世話になります! 本日は『麦門冬湯』の服薬指導とOTCにおける使い分けについて、サクッと15分ほどレクチャーさせていただきますね!」

「あ、シムラ様! 本日はイベントと重なってしまい申し訳ありません……! くっ……みんなスマン! 俺は勉強会に出なければ……!」

現場の測定ブースを涼香さんたちに任せ、事務所でシムラ様から説明を受けようとしたその時――ドアの隙間から、ぴょっこりと有栖川まひろが顔を覗かせていた。

「ん? どうした、まひろちゃん?」

「あっ……あの……ニヤニヤしたシュガーさんが『まひろちゃんも一緒に勉強会を受けてきなさい〜♪』って……。でも、私薬剤師じゃないですし、お邪魔じゃ……」

俺は手帳を開きながら頷いた。

「いやいや! 麦門冬湯(ばくもんどうとう)は咳・ドラコン(から咳)に効くOTC(市販薬)の重要ラインナップだ! コスメ担当でも知識があって損はないし、メーカー側としても参加人数が多い方が嬉しいはずだ。そうだ! 実習生の涼宮(あげは)さんも一緒に連れておいで」

――『連れておいで』。

その瞬間、まひろちゃんの脳内にピピピッ! と謎の電波が走り抜けた!

(おいで……おいで……飛び込めって事ぉぉぉーーーっ!?)

「えいっ……♡」

「ぶふっっっ!!??」

次の瞬間、ドスンッという柔らかくて甘い衝撃とともに、まひろちゃんが俺の膝の上にダイレクトに乗っかってきたのだーーーっ!!

(はっ……しまったぁぁぁーーーっ!! シュガーさんから『お触り厳禁&あえて触らない引き算の美学』って言われてたのに……条件反射で飛び込んじゃったぁぁぁーーーっ!!)

恐る恐る振り返るまひろちゃん。

至近距離で見つめ合う二人。

俺の顔は、一瞬で茹で上がったタコのように真っ赤に沸騰していた!

(なっ……『資彩堂デュエール 』仕様の、ナチュメ…至近距離だと破壊力がヤバすぎるだろーーーっ!!)

まひろちゃんは俺の赤くなった頬にそっと小さくて柔らかい手を添えると、トロンとした甘い瞳で耳元へ口寄せ、吐息を吹きかけるように囁いた。

「ふふっ……拓海さん♪ 今度は……チューしちゃうぞ♪」

「ぐはぁっ……っ!!」

俺の理性がガラガラと崩れ落ちる音!

「あ、あげはちゃんを連れてきますねっっっ!!♡」

真っ赤な顔で俺の膝から飛び降り、大慌てでバックヤードへ逃げていくまひろちゃん!

――数分後。

まひろちゃんに引っ張られて事務所に入ってきたギャル実習生・あげはは、目の前の異常な光景に開いた口が塞がらなくなっていた。

顔面を真っ赤に染め上げ、耳から湯気を出しながらゆでダコ状態になっている俺――陣内拓海。

だが、そんなパニック状態にもかかわらず、右手だけは猛烈な勢いでシャープペンを走らせ、シムラ様が提示する『麦門冬湯(気逆・空咳・気道粘膜の乾燥への滋潤作用)』のテキストメモを高速で取り続けているのだ!

「(……マジでヤベーっしょこの人……理性とプロ意識のバランスどうなってんの……!?)」

あげはが引きつった笑顔でドン引きする中、なんとか無事に(?)麦門冬湯の勉強会は終了。

こうして、各種測定機器の大盛況、ほのかちゃんの血管レシピ、まひろ&シュガーさんのデュエール完売大作戦、そして不意打ちの膝上ダイブ事件と、あまりにも濃密で長い『秋のからだリセット健康測定会』の第1日目が、無事に幕を閉じようとしていた。

「ふぅ……みなさん、イベント初日、本当にお疲れ様でした!」

俺が事務所で一息ついた、まさにその時――。


ボッゴーとけたたましく入ってくる神崎葵

「ちょっと!拓海くん1日目にしてはエグいわよ!そうだ、新人王も準優勝者も学会発表者もゲキカワ実習生も慶旺フィアンセもいるんだから!あんたなんかおごりなさいよ!!」

涼香さんがトロンとした瞳で微笑み、後ろではほのかちゃんとまひろちゃんがバチバチと火花を散らしている。

(あ、あかん……! イベント初終了の安堵も束の間……新たな大乱戦の予感ーーーっ!!)

俺は冷や汗を滝のように流しながら、激痛を訴える自らの胃袋へ向けて、ポケットから取り出した『ラベール胃腸薬プレミアム』を一気に流し込むのだった。

「少しでも『面白かった!』『続きが気になる!』と思ってくださったら、下部の【★で評価する】や【ブックマーク】を押していただけると執筆の大きな励みになります!」

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