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魔女の足跡〜千年前の黒歴史を消すために旅にでます〜  作者: はこぶね
英雄龍ヴァルガス編

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22/23

最初の道

この国最初の道を作ろうとしていた。


 ノワールとブランの姿が見えなくなってからしばらくして、ヴァルガスは更地の端に転がっていた大岩へ両腕をかけた。


「よっ、と」


 地面から引き剥がし、そのまま脇へ放り投げる。山ひとつが消えた土地には、大小さまざまな岩や折れた木がまだいくらでも残っていた。


 近くにいた龍が、不思議そうにその様子を見る。


「何してんだ?」


「見りゃ分かるだろ。邪魔なのどかしてんだよ」


「なんで?」


「道にする」


 そう答えて、ヴァルガスは次の岩へ向かった。


 龍は辺りを見回す。小さなアファルの周りには、まだ家と呼べるものすらほとんどない。まして、ヴァルガスが石をどかしている先には何もなかった。


「道って……どこに行くんだ?」


「知らねえ」


「知らねえの?」


「これから誰か来るんだろ」


 ヴァルガスは当然のように答えた。


「だったら、来れるようにしといた方がいいじゃねえか」


 龍はしばらく黙っていたが、やがて隣にある岩へ前脚をかけた。


「こっちもどかすぞ」


「頼む」


 二頭で岩を運び、木を退け、荒れた地面を踏み固めていく。


 それを見た別の龍も加わった。やがて、この土地へ移り住んできた魔人たちまで道具を持ってやって来て、曲がっていた場所を削り、窪みには土を入れた。


 どこへ続くのか、まだ誰も知らない。


 それでも道だけは、少しずつ遠くへ伸びていった。


 作業の途中でヴァルガスは顔を上げた。


 遠くには、さっき別れた二人が歩いていった方角がある。


 振り返れば、この土地の真ん中で小さなアファルが風に揺れていた。


「……千年か」


 ヴァルガスは呟いてから、足元に残っていた石を蹴り出した。


「まあ、やるだけやってみるか」


 そうしてこの土地に、最初の道ができた。

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