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ここに入れば、変われる?

どうしたら、スタイリストになれるんだろう。


正直、この学校にいても、

毎日服を作り続けるだけだった。


生徒の数が多いから、

卒業生の手伝いの仕事は、ほとんど回って来なかった。


私は、服が作りたいんじゃない。

コーディネートがしたい。


そのことに、やっと気づいた。


それから、他にスタイリストの学校はないか調べてみた。


今の専門学校は二年制だった。

このまま、あと一年通学することもできる。


でも私は、服を作ることより、

スタイリストの現場に近いことがしたかった。


このままあと一年、同じように服を作り続けるより、

もっとアシスタントになれそうな学校があるなら、

そっちに行きたいと思った。


私は、初めて自分で学校を探した。


「スタイリスト 学校」


インターネットで検索した。


自分で衣装を用意して、

自分で服をコーディネートして、

現場ですぐ動けるようになる。


そう書いてあった。


スタイリストスクール。

講師は全員、現役のスタイリスト。


ここだ、と思った。


見学に行ってみよう。


次の日曜日、私はそのスクールに向かった。


都内の静かな住宅街に、ひっそりとその学校はあった。


表向きは、洋風の一軒家。

知らなければ、普通の家にしか見えない。


でも、入り口に小さな看板が出ていた。


スタイリストスクール。


間違いない。ここだ。


入り口のドアは、少しだけ開いていた。


私は、そっと中を覗いた。


知らない場所。

知らない世界。

でも――


ここに入れば、

スタイリストに近づけるかもしれないと思った。


中に入ると、目の前に階段があって、

右に大きな部屋があった。


部屋の中には、トルソーやパイプ椅子、机が

端に並べられていた。


誰もいない。


しん、としていた。


ここで、授業をするんだろうか。

ここで、服を選んで、

ここで、コーディネートを考えるんだろうか。


ここに通えば、

スタイリストに近づけるんだろうか。


私は、しばらくその場に立ったまま、

何もない部屋を見ていた。


玄関の靴箱の上に、雑誌が積んであった。


古いファッション雑誌だった。

表紙に「スタイリスト特集」と書いてある。


所々に付箋が貼ってあった。


何気なく、ページをめくってみた。


――

スタイリスト 上村ミヤコが提案する

春のコーディネート

――


そこに載っていたのは、

この学校の創立者、上村ミヤコさんだった。


私は、しばらくそのページを見ていた。


この人が、スタイリスト。

この人が、この学校を作った人。


雑誌の中の人だったはずなのに、

その人の学校に、私は今立っていた。


スタイリストに会える。


そう思ったら、

雑誌を持つ手が、少し震えた。


嬉しいけど、

同時にすごく怖かった。


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