今日も、なんかダサい
朝。
学校に行く前、鏡で念入りにチェックする。
華やかになっているか。
昨日よりオシャレになっているか。
学校で浮かないか。
どうしたらオシャレになれるのか。
毎日、考えていた。
今日はうまくできた。
今日はちょっとカッコいいかもしれない。
そう思って学校に行く。
でも、周りを見ると、全然違う。
自分だけ、なんだか地味で、
自分だけ、なんだか垢抜けていなくて、
それだけで、もう帰りたくなる。
作品を作って、周りと比べて落ち込む。
服を見て落ち込んで、
自分を見て落ち込んで、
また次の日、鏡の前に立つ。
そんな毎日だった。
中でも、私が一番苦痛だったのは、
自分が作った洋服を着てランウェイを歩く発表会だった。
皆、うまくコーディネートして、
堂々と歩いている。
同じ学生なのに、
まるで本物のモデルみたいに見える人もいた。
私は、歩きながら思っていた。
早く終わってほしい。
早くこの時間が過ぎてほしい。
早く席に戻りたい。
次はカッコよく作ろうと決意して、
布を選んで、形を考えて、
前より良くなったはずだと思っても、
出来上がりを見ると、
やっぱりダサい。
頑張ってコーディネートしても、
カッコよくならない。
何が違うのか、分からない。
そのとき、
男の人が、自分で作ったワンピースを着て歩いているのを見た。
女性物のワンピース。
なのに、すごく自然だった。
自然どころか、カッコよかった。
私は、かなり衝撃を受けた。
スカートを作ったときも同じだった。
男性はパンツにスカートを重ねて、うまく着こなしていた。
女は女の服を着る。
男は男の服を着る。
それが一番カッコよくなるのだと、私はずっと信じていた。
だから、女の自分が着るなら女の服。
それが一番正解で、
それが一番普通で、
それが一番間違いがないと思っていた。
でも、目の前には、
女性ものの服を着て、誰よりもカッコよく歩く男の人がいた。
……やっぱり、洋服ってすごいと思った。
男か女かなんて、関係ない。
似合うかどうかでもない。
カッコよければ、それでいいんだと思った。
そのとき初めて、
女が女の服を着なくてもいいんだ、と思った。
ずっと「普通」になろうとしていたのに、
初めて、「普通じゃなくてもいい」と思えた瞬間だった。
私は、どんどん洋服が好きになっていった。
ーー
クラスで浮いていた私は、なかなか仲の良い友達ができなかった。
そんな中で、一人、気になる女の子がいた。
オシャレで、堂々としていて、金髪で。
ちょっとギャルっぽい見た目の子だった。
「あの子、お水らしいよ」
そんなヒソヒソ話を聞いた。
夜の仕事をしているらしい、
授業もたまにしか来ない、
先生にもあまり良く思われていない、
そんな噂の多い子だった。
その子は、周りに媚びなかった。
一人でいても平気そうで、
誰かに合わせることもしなかった。
一匹狼で、浮いているタイプの子だった。
でも――
不思議と、その子は浮いて見えなかった。
私の方が、よっぽど浮いていた。




