脱出
冷気が下に溜まっていき、幸也達の体力を奪っていく。
「ばっくしゅんー」
正人がクレータ全体を響かせるほどのくしゃみをする。
「なぁ、ここ寒すぎじゃねぇか?」
腕をさすり、全体を震わせ、勃起を隠すような姿勢で幸也に問いかける。
「そりゃあ、氷で蓋されてるからな」
「おい、マジでどうすんだよ、このままじゃおれ達、上の奴らみたいに凍死しちまうぞ」
と言う割には正人は安心しきった顔をしている。
「俺にはどうすることもできない」
幸也の言葉を聞き、正人は一気に顔が氷よりも青くなる。
「嘘だろ、まさか倒すことだけ目が言って、後のことは何も考えてなかったのか!!??」
「いや、ちゃんと考えてるけど」
正人は幸也の胸倉をつかみかかる
「嘘こいてんじゃねぇ、俺にはどうすることもできないっつてたじゃねぇかよ」
「俺に は な。その感じだとお前まじで気づいてないのか」
幸也は正人にも見えるほどの白いため息をする。
「なんだよ」
幸也のため息を見た正人はいまだに出来ていない。
「一つ聞くけど、このパーティーの中で一番力が強いのは誰だ」
正人は少し考えた後答える。
「レベル的にはお前だろうが、毎日欠かさず鍛えてる剛力の方が強いかな」
幸也は数秒正人を見つめる。
「悪い、質問が悪かったな、この中で一番破壊力のある攻撃が出来る奴は誰だ」
「そんなの決まってんだろ・・・・恵梨香だ」
「違う」
幸也は両手で地面を叩きつける。
「お前だろ、背中に背負ってるそれは飾りなのか」
「あっ、おれが壊せばいいんだ」
「ガチで気づいてなかったのか?」
「わりー、おれの存在忘れてた」
幸也はまた正人に見えるため息をつく。
「悪かったって、本当に忘れてたんだよ」
「わかったから早く壊す準備をしろ、お前らマジで死ぬぞ」
「そうだった」
正人は弓に魔力をため氷を破壊する準備を行う。
「恵梨香にエンチャントの魔法かけられるか聞いてきてくれ、かけるのは爆発な間違えんなよ」
「おーけ」
幸也は剛力の近くで座り込んでいる恵梨香の元に向かう。
「恵梨香、正人が爆発のエンチャント魔法かけろって」
「はい?」
幸也に話しかけられ後ろを振り向いた恵梨香の顔は疲れ切っており今にも吐きそうであった。
「どうした、もしかして寒いのか? ちょっと待ってろ今脱ぐから」
幸也は恵梨香に自分が来ている服を渡すためすぐ脱ぎ、上半身裸になる。
「いや、そうゆうのじゃなくて」
「え、遠慮、ずー、するな、俺は、い、いくら寒くても、死にはしないから」
幸也は平気そうにしようとしたもののあまりの寒さで震えを止めることが出来ない。
「ほんとに違くて、今は超級魔法を使ったせいでこうなってるの」
「ぞ、ぞうなのか?ずずず」
「幸也は魔法”は”使えないんだよね?」
「いや初級魔法は、ずず、づかえるよ」
「そうなの、でも初級魔法じゃわからないか、 幸也、魔法はね、マナだけで発動できるものじゃないんだ、階級が上がるほど発動するために使う精神力と持久力が減っちゃうから、今はそれで疲れてるだけ、それと急にマナが減ったせいで気持ち悪くなってるだけだから私のことは心配しないでいいよ、それと今は魔法使えそうにないから正人に伝えといて」
「ほ、ほんとか、じゃあこの服着ていいのか、よかった八寒地獄の幻覚が見えてたから助かったよ」
「言いにくいんだけど、剛力が心配だからその服剛力に着せてくんないかな」
「……………………わがった」
幸也の筋肉は再生が追いついておらず少し硬直し動きが遅い。少しでも体を温めようと無駄に動きながら正人の所へ向かう。
「正人、え、えりがば、ばばばばほう、づづがえないでよ」
「遅いからもう必要なくなっちまったよ」
正人は幸也の方を向きながら言う
「!!お前、新手の変態なのか?」
「は」
「なんでこんな寒い場所で服脱いでんの?」
「どうでもいいから、早く穴開けろ」
「わかった」
「ぢょとまった、真上に射つなよ」
「そんくらい分かってるよ」
幸也は全身を震わせ、口をがたがたさせながらも正人を見る目だけは微動だにせず見つめる。
「オラ」
正人が射った矢は真っすぐ氷と土の間を打ち抜いた。




