晴れ晴れとした日
(数が多すぎて正人たちに近づけない、クソ、俺が気を取られてたせいだ)
幸也は二十匹のラモスを一撃で殺していたがいまだに一歩も動くことが出来なかった。
(どんだけいんだよ、倒しても倒しても無限に湧いてきやがる)
幸也はかすり傷を負いながら倒し続け意味がないことがわかり一か八か強行突破することにした。
一匹の戦力は弱く最初の五匹は簡単に殺し正人たちに近づくことはできたが横、後ろから突撃、ひっかき抱き着き攻撃を受け進むことが出来なかった。
(こんな雑魚なモンスターが群れるだけでこんなに強くなるとは予想外だ)
停滞していた幸也に時間が経つにつれ続々とラモスが集まりとうとう幸也は倒されてしまう。
倒された幸也の腕、足、体をラモスは押さえつける。
(動けねぇ、早くしないとあいつらが危ないっていうのに。この中で一番俺の命が軽いんだ、なんでこいつらは俺のことを殺さないんだ、いっそ殺してくれれば隙ができるのに)
ラモスはわざと幸也を殺さないわけではない。
ラモスたちは群れになり強くはなったが決定的なダメージは与えることが出来ず、幸也の再生能力に阻まれ殺しきれないのだ。
その間に俊の幻覚が幸也を地面にして現れた。
「君、自分がおかしいこと言ってるのわかっているのかな? 君の命が一番軽い、笑わせるなよ自分の命が一番大切なんだ、自分の命以上に大切なものなんて存在しないんだ、だから君は僕を殺したんだろ」
「それに一人になれるいい機会じゃないか、このまま時間が流れればあいつらは死ぬだろうね確実に、でもそれは君のせいじゃない、仕方なかったんだ動けないんだから」
「こんな時に何言ってるんだクソ野郎」
「はぁー、君さ自分で分かってるのか分かってないのか知らないけどさ、どんな言い訳を並べても一度人間を信用できなくなった奴は二度と人を信用なんてできないよ」
「君も考えたことあるだろ、君はあいつらにとって都合がいいから仲間として扱われてるだけの存在だって」
「うるせぇ、さっさと消え失せろ」
「言われなくてももう消えますよ、どうせこのままだったら君以外は死ぬからね。ただあいつらが本当に君を仲間だと思っているんだったら助けられるかもね、まぁ君にはどうしようもできないことだからそのままみじめに寝てなよ」
俊は姿を消した。
一方、正人たちは危機的状況にあった。
「絶対に僕のそばから離れないでくださいよ」
「この数は離れたくても離れられねぇよ」
正人たちも周りをラモスに囲まれ身動きが取れない状況にあった、それに加え正人と恵梨香は近距離の戦闘に不向きなため着々とダメージと疲労を貯めていた。
「正人、無駄口叩いてる暇があるなら早く弓で道を切り開いてよ」
「無茶言うんじゃねぇ、矢も引けないこの状況で突破できるほど力を貯められるかよ」
正人は矢を握りしめ飛びついた敵に直接差し込むことを続けていた。
正人を守るはずの剛力は恵梨香と自分の敵で低一杯だったため正人は実質一人でラモスの群れと戦っていた。
「埒が明かねぇ、幸也は何してんだ」
正人は片目にかける眼鏡を取り出した。
取り出した眼鏡は魔法道具で物や生き物を透過する能力を持つのだ、それをかけ幸也がいた方向にいるラモスを全て透過し幸也の状況を見る。
幸也はラモスたちに押さえつけられ殴られ続けていた。
「恵梨香魔法の用意はできてるのか」
正人は焦り、大声を出す、その声は味方の恵梨香と剛力が一瞬固まるほどの大きさであった。そしてその声は幸也にも届いた。
「で、出来てます」
「幸也が危ない、俺の指さす方向に撃て」
恵梨香は指示道理に指さす方向に魔法を放つ。
「ファイヤーキャノン」
大きな火の丸い塊が、幸也を超え、着弾し後ろに大勢いいたラモスたちを焼き尽くした。
幸也の近くにいたモンスター達は大勢の仲間が死んでしまったせいか、自分の命が危うくなったせいかはわからないが、皆後ろを振り返り、茫然とする。
幸也はその隙に唯一動く頭を引きちぎれそうになるまで伸ばし右腕に乗っているラモスの足を噛みちぎる。
痛みで飛び上がり右の手が自由に動かせるようになり、落ちていた剣を手探りで拾い乗っていったラモスを次々と刺し殺し起き上がった。
(なぁ俊俺の中で見てるよな、証明されたな俺とお前が間違ってたことがな、ふ、ふふ、はははは)
(ほんとに俺は馬鹿なんだな、あんな奴の言うことを真に受けて一時、疑っちまった)
(そうだよなこの世界が俊見たいな奴だらけの世界なわけがねぇんだ)
(決めたぞ俺はあいつらを死ぬまで信じ抜く何があっても、あいつらは正真正銘俺の仲間だ)
幸也は火球が飛んできた方向にひたすら進み続ける、一歩でも止まってしまうと数の能力により止められてしまうため死ぬのを厭わずに走り続け、正人たちに合流することが出来た。
正人が弓をぶっ刺し矢を取ろうとしたと同時にラモスが飛び上がり正人の頭目掛け木の棒を振りつけたその時幸也が剣で木の棒もろとも斬る。
「すまん、少し遅れた」
「おせぇよ、後少しで死んでたぞおれ」
「死んでないんだから文句言うなよ」
「馬鹿か?死んでたら文句言えないから言ってんだよ」
「ふ、そうだな」
「で、どうするんだ?お前が来てもこの数は厳しいとおもんだが」
「安心しろ、一つ策がある」
「俺がお前を守る、だから正人はありったけのマナを弓にためろ、出来るか?」
「余裕だろ」
「恵梨香、超級魔法は撃てるか?撃てるなら氷の超級魔法の準備を」
「撃てるよ、任せといて」
「剛力は恵梨香を守ってくれ」
「任されました」
幸也と剛力はくる敵すべてを殺し続けた、正人はしゃがみ力をため、恵梨香は超級魔法を発動するため詠唱を唱える、それは初級魔法とはくらべものにならない程のマナが集まり、恵梨香の周りに可視化できるほど凝縮したマナが魔法陣を描いていた。
幸也と剛力がラモスを殺し続け周りの地面が屍だらけになった頃、正人の準備が完了する。
「幸也、準備OKだ」
「わかった、恵梨香魔法の準備は」
恵梨香は幸也の問いに答えず詠唱を続けている。
(まだか、俺は大丈夫だとしてそろそろ剛力が限界だな、急いでくれよ恵梨香)
幸也と剛力は合計三百匹は倒したであろうその時、剛力は本当の限界を迎えてしまった。
腕はかすり傷のせいで真っ赤に染まり、疲労と少しの貧血で立つこともできない。
「もうやるしかないか、恵梨香、魔法の準備が出来たら上に撃て」
「正人下に矢を放て」
「は?ラモスに放つんじゃないのか」と言いながら下に放つ。
矢は幸也の想像以上の力だったため地面に十メートルほどのクレートができる。
正人は一番の衝撃を受け二メートルほど宙に浮く、剛力は体重が重いおかげで飛ばされずそのまま落下し、恵梨香は少し飛ばされ姿勢を崩しながら落ちていくが詠唱をやめない。
規模に驚きはしたものの、落ちることが分かっていた幸也は冷静に周りを見渡し、この場で一番重要な恵梨香を助けに直行する。
間一髪のところで恵梨香をお姫様抱っこの形で救い出す。
「ああ、女神よ、この地を永久の氷に覆うことを許したまえ、パーラム、ファラスト」
斜め上に打ち上げられた氷の粒が地面に消え見えなくなり数秒し、瞬きより早くクレートの上が氷で蓋をされた。
氷の二には大小さまざまなツララが出来ている。
「綺麗だな」
寝っ転がりながら正人がつぶやく。
「何してるんだお前?」
「好きでこんな格好してるんじゃねぇんだよ、動けねぇんだよ」
「本気でヤバい奴か?」
「マジでヤバい奴だ」
「剛力ーーー正人が重症だー早く来てくれー」
剛力は立ち上がり向かってくるが力が入らずに前に倒れてしまう、だが腕だけで全身しこちらに近づいてくる。
「あ、あの、そろそろ降ろしてくれないでしょうか?」
顔を赤らめながら恵梨香が幸也に頼む、幸也は恵梨香の存在を忘れていたので驚き、その後すぐ降ろした。
「おい正人剛力のとこまで運びたいんだが、いいよな」
「待って待て待て、重症のけが人を動かしちゃいけないって習わなかった? 剛力を待ってればいいじゃん、剛力なら必ずたどり着くだから大丈夫だ」
「お前今の剛力を見てもう一度言えるか?」
「言えない、言えないけどおれを動かさなくていいよね?剛力をおれの場所まで運んでくればいいよね」
「あ」
幸也はすぐ剛力の元に駆け寄り周りにいる唖然としているラモスたちを叩き切った後に剛力の腕を肩に担ぎ幸也の元まで連れて行く。
「すみません、実力不足なばかりに」
「何言ってるんですか、ずっと二人を守ってくれてたじゃないですか」
「おーい剛力早く痛みがなくなって来た、死んじゃう本当に死んじゃうよーー」
(こいつ)
「すぐやります」
剛力は幸也に支えられながら詠唱を唱え正人を回復する。
「やっぱ剛力の回復魔法は世界一だな」
正人は体を動かしまくり治ったことを確認する。そして中に残っているラモスを弓で射抜き続ける。
「にしても正人お前すげーな一発も外してないじゃんか」
「いや、それがおれの能力だから」
「そうだったな」
「そんなことより俺達ここからどうやって出るんだ?」




