幻覚
朝幸也がいつもより早く起き上がる、幸也は寝ぼけていた自分の宿によく知っている人物がいる。
幸也は寝ぼけてはいなかった、それは意識がはっきりとしても消えることがない。
幸也の目の前に殺したはずの俊がいた。
!!幸也はすぐさま剣を取り構える、それを俊は嘲笑うかのような笑みで幸也を見下す。
「なんでお前がここにいる山田 俊……お前は、俺が殺したはずだろ」
「ああ、そうさ僕は君に殺された、君と違って生き返ったりしないからねそこんとこは安心していいよ、それに自分でも気づいてるんだろ、今、目の前にいる僕は君が作り出した幻覚だってことに」
「俺が、お前作り出した?何馬鹿なこと言ってんだ俺はなお前のことなんて今すぐにでも忘れたいぐらいなんだよ、そんな俺がお前を作り出す分けねぇだろ」
「そんな嘘つかなくても僕はわかってるよ」
「お前になにが分かるってんだ」
「君が僕を殺してからずっと夜中うなされていることとか、君が生粋のケモナーなこととか、それと今君が仲間が出来てすごく楽しくて人をまた信用できる気がしてることとか。僕は君のことならなんでも知ってるよ、僕は君の罪悪感から生まれた存在だからね」
「俺がお前に罪悪感、はっ笑わせんじゃねぇあれはれっきとした正当防衛だ俺は何も感じてない」
「そうか、ならなんでお前はイザベラを助けようとしてるんだ?」
「それは……罪のない奴を殺したくないからだ」
「どうして腐食の悪魔を殺そうとしてるんだ?」
「イザベラを治せる可能性があるから、それにイザベラが治ったら金を払わなくていいようになるからだ」
「じゃあどうして僕が今ここにいるんだ?」
「・・・・」
「僕が存在してる時点で幸也、君に勝ち目はないんだよ。さっきの言い訳もイザベラを殺したくないと取り繕っていたけどね君はそんなこと微塵も思っちゃいないだろ、ただ罪悪感が薄れるからやっているんだろ。腐食の悪魔も僕を忘れ去るために殺そうとしてるだけなんだろ」
「僕は何か間違ったことを言ったかな幸也?」
「そうだ、お前の言う通り俺はお前を殺してからずっと頭からお前が離れなかった。けどもうそれも終わりだ今ここで断ち切ってやるよ」
幸也は俊の幻覚に向かって剣を振りきる。だが幻覚なため斬ることはできない、それは幸也もわかっていた。
「そんなに敵意を向けないでくれよ僕もさすがに傷ついちゃうぞ、まぁ僕が君を殺しちゃったのが悪いんだけどね」
「今更何しに出て来たんだ、死んだんなら俺の前からさっさと失せやがれ」
「そうだった僕は君に忠告しに来たんだった、幻覚でも忘れっぽいのは治ってないんだね」
「死人が今更忠告か、笑えねぇよ」
「僕が忘れたのはもとはと言えば君のその態度だと思うんだよ、最初から君が僕の話を聞こうとしてたら僕だって忘れなかったさ、なんなんだよ最初から剣を取りに行って僕に」
幸也が見たことないぐらい不愉快な顔をしていたのでさすがの幻覚も話をやめた。
「ごめんごめん普通自分が殺した相手の幻覚の話をすんなり聞ける人はいないよね」
幸也はもっと不快な顔になる。
「僕と話すのが嫌なのね、それじゃあ忠告だけして僕は消えるよ」
「ねぇ幸也、正人たちのこと信用しすぎじゃないかな、君はまだ懲りてないのかな僕が命を懸けて教えてあげたのに」
「・・・は? お前本当にふざけるなよ」
すると俊はまじめな顔で幸也に言いかえす。
「ふざけてないよ、君は今おかしいんだ 知り合って、仲間人なってたった数日しか経ってないのに君はもう信用しようとしている、これは異常だよ」
「それはあいつらがお前と違って根もいい奴だと思える奴らだからだ」
「確かに今のところ正人たちはいい奴だね、でも君はよく知っているだろ人間に裏があることぐらい。それなのに信用している、いやしたいんだ早く安心したいから人を信用できなくなる自分が怖いから」
「そうかもしれねぇがお前になんの関係がある俺が死のうが生きようがお前に関係ないだろ。それにお前はお前を殺した俺が憎いから死んでほしいんじゃねぇのかよ」
「関係大ありだよ幸也。悪魔を殺すために人を殺した男だよ僕は自分の手で殺せなくても、殺す相手が僕を殺した相手であっても、あいつさえ死んでイザベラが復活してくれれば僕は満足なんだよ。そのためにもどんな理由であれあいつを殺そうとしてる君に死んでもらっては困るんだ」
「俺が死ぬと困る?そんな心配する必要なんてねぇだろ、お前がよくしてるじゃねぇかよ俺が不死身だってこと」
「そうだね君はどうすれば殺せるかわからない不死身男だね、でもね君は不死身であって無敵じゃないこれもわかってるんだろ。本当に君はわからないふりをするのが得意だね、それとも脳みそが勝手に消してるのかな?」
「わからないふりだ、お前が俺をわかった気になってるだけだろ、それに俺は知ってんだよあいつらのレベル的に人を殺したことが無いことも、転移者のことを何も知らないこともな」
「レベル?正人たちは一人は殺してる可能性があるレベルだけど」
「俺より低いんだぞそんなわけ」
「君は本当に、いや無意識か。これは常識だけど強い奴を倒すほどレベルは上がりやすい、僕は君を四回は殺してるからね優に三百は超えていたんだよ、そうだな僕はキングメタルスライムなんだよ、そうするとレベル一の子は普通のメタルスライムになるわけだからね、正人たちが人を殺してていてもおかしくはないよ」
「だからってあいつらが人を殺したことがあると言いけれねぇだろ」
「そうだね、でもさこの町で君が最初に話しかけられたのは正人だよね、じゃあ始まりの町で最初に君に話しかけたのは誰かな」
「それとなんの関係があるんだ」
「知っていたと思うけど、あの町で近くに転移者が現れた場合はね僕がいい人か悪い人か見極めに行くのが決まりだったんだよ、君最初の時ほとんどの住民たちから遠い目で見られてたでしょあれは僕が来るまで喋っちゃいけない決まりだったからさ。おかげで殺しやすかったんだよね」
「俺はそんなこと知らねぇぞ、お前ただの幻覚じゃねぇだろ答えろよなんで最初に俺を殺さなかった、なんで俺を三か月野放しにしていた、なんで殺すはずの俺を二回も助けたんだ」
「僕は君にとっての山田俊であって、本物の山田俊じゃないからわからないよ。僕と話すのが嫌そうだからね僕はもう消えるよ、最後に一言、裏切られた時の対策ぐらいはしておけよ」
幸也の質問には答えず言うだけ言って幸也の前から姿を消した。
「クソ野郎が」




