因縁
日本人軍団は幸也の歓迎会を兼ねて少し高い店に飲みに行くことにした。
「正人この日本人軍団て言うパーティー名そろそろやめませんか」
「なんでだよかっこいいじゃん、日本人軍団。それにおれ達が日本人だけのパーティーだって、聞いただけでわかる、いい名前じゃんか」
「確かに聞いただけで日本人だけのパーティーって分かりますがそれだけでダサいんですよこの名前」
「そんなことないよな剛力、幸也」
間違っているのは恵梨香だと言わんばかりに剛力と幸也に同意を求める。
「この際だからはっきり言いますけど前からずっとダサいと思ってましたよ」
正人は剛力が否定してくると思っていなかったのか「なっぁ!」と固まってしまう。そこにつかさず幸也の追い打ちが襲いかかる。
「俺も最初聞いた時ダサいと思ってたぞ。まだ漆黒の翼とかアルティメットレインボーズみたいな中二のパティー名のほうがましだ」
「お前らおれを寄ってたかって、もういい酒だ酒、酒がないとやっていけねぇ」
正人は当たりまえのように酒を注文する。あんな幼稚な言動を繰り返してきた正人がもう成人しているとは考えにくいと思う幸也。
「正人お前何歳なんだ?」
「十八だけど」
やはり二十歳未満だった。
「お前まだ二十歳になってないんだから酒飲むのやめろよ」
「それは日本の法律だろこの世界だったら十八でも飲めるんだから別にいいじゃねぇかよ」
「そうだけどよ」
会話をして頼んだ食事を待っていたころ突然店員でもない人間と狐の耳と尻尾が生え着物のような服装がよく似合う獣人が幸也達のテーブルの目の前に立ち、酔っぱらっているのかろれつが回っていない状態で絡んできた。
(どこかで見たことがあるような、そうだ最初い会ったあの性格が悪い長髪日本人と一緒のパーティーの)
「ま、さと、あんなこと言ってた、くせ、に、まだBランクどまりなのかよ」
正人と面識があるのか人間は正人だけに絡んでいる。
「うるさいなー、あっち行けよ」
「今なら許してやるえ。ワッチの前でどけ座して足でも舐めなえ」
(狐のお姉さんの足を合法的になめれるチャンス、うらやましい)
「そんなことするわけねぇだろ。おれはこいつらと一緒にいるだけで楽しいんだお前らと違ってな」
「それにおれらはお前たちより強いよ」
(こいつ馬鹿だとは思ってたがここまでとは、足をなめるチャンスを棒に振るとか宇宙一だな)
「剛力様はともかくこのちんちくりんの女と弱そうな男がか?面白い冗談が言えるようになったじゃないか正人」
(弱そうな男だと。狐お姉さんには俺がそんな風に見えていたのか)
幸也に精神的ダメージ九万九千九百九十九のダメージが入る。
「冗談じゃねぇよ。お前なんかがおれ達に勝てるわけないだろ。そんなことよりお前らまだパーティー名変えてないのかよ。レイブンアローこの名前おれが中心だった時のパーティー名だろ、さっさと変えろよもう正人はいないんだからよ。ああそうかおれがいなくなってから弱体化したお前らのことを隠すために変えられないのか」
正人は適当にあしらおうとしていたが自分の仲間を貶され怒り貶す。
「はっ、たかがBランクの煽りなど童に通用すると思っているのかわっぱ」
だが人間の男は酔っているからか、もともと沸点が低いかはわからないが正人の発言にブチギレする。
「てめぇ正人ぶっ殺してやる表出にろ」
「やめぬかコロルンこんな底辺パーティーのリーダーなんかにキレてどうする、童たちは高見で見下げながらほくそえんでればええんじゃよ」
「その高見は誰のおかげで登れたのかなアレクシアさん。まぁ近々おれ達もSランクパーティーに上がってやるよ、それまで王者の気分を味わってな」
「やはり、お主面白い冗談が言えるようになっておるのー、そこだけは成長している」
「だから冗談じゃないって言ってんだろ、お前らのそういうとこが嫌いだったんだ」
「冗談じゃなかったらなんだというのじゃ、今までBランクどまりのパーティーに弱そうな男が一人入っただけじゃろう、それで童共と同じSランクになると申す、本気で言っているのであれば傑作じゃのう」
「その仲間がすごいんだよ、聞いて驚けこの方こそ、かの有名な天才、佐藤幸也様だぞ」
「佐藤幸也です」(決め顔)
「なぁ!この弱そうでちんちくりんで経験が浅そうな未熟な小僧があの佐藤幸也だとでも言うのか」
(弱くてちんちくりんの未熟でチートだよりの間抜けなあほで童貞の弱者男性。死にたい)
獣人にめっぽう弱い幸也が心に多大なダメージを受け黙っていると正人が何か言い返してほしいのか耳の近くで「おい幸也何か言い返せよ」と言ってきた。
だが幸也は言い返そうにも何も言葉が出てこずただひたすらかわいい狐のお姉さんの顔を見つめることしかできない。(見つめ返されれば恥ずかしさのあまりそっぽを向いてしまうが)
「お主黙ってないで何か言ったらどうなのじゃ」
それでも幸也は黙りっぱなし。
「そうか、お主のことが分かったえ。どうせ噂が独り歩きして大きくなっただけなのじゃろ。そうかそうか大変じゃったのー、実力もないのに持ち上げられてさぞ辛かったろう、でももう大丈夫じゃぞ、正人のパーティーに入ったら噂なんてすぐ消えるからのー。よかったな」
「じゃあな正人Sランクになるのを楽しみにしておるえ」
言うだけ言って狐のお姉さんと途中から空気になっていた男は自分たちの席に帰っていった。
「おいなんで言い返さないんだよお前悔しくないのかあんなこと言われて」
幸也の肩を掴み揺さぶりながら言う。
「いや」
「正人何言ってるんですか幸也さんはいい対応をしましたよ、あの場面なら黙ってやり過ごすのが正解です」
「でもよ、あんなボロクソ言われてさ」
「確かに正人の気持ちもわかります、私もすごくムカつきましたから、それに正人が私たちを貶されて怒っていることもわかってます」
「でもあの狐の言う通り今の私たちが何を言おうとBランクの言ってることなんて届かないでしょう。だからSランクになってあの女狐を存分に見下してあげましょ、幸也さんが来て私たちのパーティーもSランクになれる素質が十分にありますしね」
「そうだな恵梨香の言う通りだな。ごめんな幸也あんなこと言っちまって」
「あ、うん大丈夫」
「よし俺らのパーティー目標が決まったぜSランクになること、ただのSランクじゃなくこの町一番のSランクになることだ、お前らそれでいいよな」
「はい」
「おう」
「うん」
「明日っからモンスターを狩りまくるぞ」
「あの正人ここにいるとあの女狐を思い出すので違う店に行きませんか」
「それもそうだな、俺もあいつらとはまだ関わりたくないからな違う店で飲みなおすか」
「もちろんこの店は正人のおごりですよね」
「え割り勘だろ、それに俺報酬貰ってないから結構金欠なんだけど」
「は!?正人が消し飛ばしてくれた二匹のデスワームの報酬まだ償えてないでしょう」
「いや、だから報酬貰わなかったじゃんそれにほんとにおれ金欠で生活できない」
「たかが四分の一デスワームの報酬貰わなかっただけで二匹分のデスワームを許してもらえると思ったんですか?それにあなたこれが初めてじゃないですよね」
「う」
「それに生活の問題はしなくて大丈夫ですよ。明日いっぱいモンスターを倒すんですよね?今までよりもお金が入るから大丈夫ですし払ってくれますよね?」
恵梨香は物凄い笑顔にも関わらず物凄い形相に見えるほど圧がすごかった。長く恵梨香と過ごしている正人はこの状態が非常にヤバいことと知っているので、弱弱しく小さな声で「はい」と返事をすることしかできなかった。
これを見た幸也は死んでも恵梨香には逆らわないようにしようと再び固く心に誓ったのだった。
幸也達は店を出てまた違う店で飲みなおしたのであった。もちろんその店でも正人がおごりました。
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