人殺し
「目的もなくのうのうと生きてる奴は俺に殺されればいいんだよ」
「山田の魔法使いはどこにいる、死んだのか?」
「あいつが殺したんだ」
「人殺しが」
「違う俺は殺されかけて」
「そんなの関係ない、人殺し」
「お前が死ねばよかったのに」
「ああああああ」
勢いよく起き上がる。
「夢か」
荒い息を整え、汗を拭う。
「どこだここ?」
見慣れぬ景色、ふかふかしているベッド、お洒落な内装、幸也がいつも泊っている激安宿とは大違いだ。
「起きましたか幸也さん」
どこか聞き慣れた声が聞こえる。そこにいたのはメイリーだった。
「どうしてメイリーさんがここに!!」
目を丸くしメイリーを見つめる。
「どうしても何もここ私の部屋ですよ」
幸也はまだ目を丸くしている。
「昨日 幸也さん、俊様が死んでしまったせいで錯乱状態になっていたのでここに運んだんです」
「そうだ俺は、俺は」
メイリーは幸也を抱き自分の小さな胸に押し当てる。
「幸也さんのせいじゃありません。冒険者にはよくあることです」
幸也の頭をなで宥めている。
(違うんだ、俺が俊を殺したんだ)
自白したかった自分が俊を殺したのだと。だが言えなかった、メイリーの優しさに縋り事実を言えずただ涙を流すことしかできなかった。
十分は泣いていただろう。その間もメイリーはずっと幸也をなだめていた。
「もう大丈夫です、少し落ち着きました」
メイリーは幸也から離れ急ぎ身支度をする
「私は仕事があるのでもう行きまけど、ゆっくりしてて構いませんからね。それと時間がかかってもいいので克服してくださいね。幸也さんはいずれ英雄になれるほどの素質を持っているこの町一番の冒険者なんですから。それでは行ってきますね」
ゆっくりと扉を閉め仕事に向かっていった。
完全とはいかない物のそれなりに落ち着き決心するやるべきことをやろうと。
教会の前に来た。かなり潤っているのだろうこの町で一番デカい、十メートルはあろう門をくぐり中に入る。すると神父らしき人が幸也に駆け寄ってくる。
「初めまして私ロドリゲスバーハでございます。失礼ながら佐藤幸也様で間違いないでしょうか」
頷く。
(なんで俺の名前を知ってるんだ!?こいつ何者だ!?)
「こちらにどうぞ案内いたします」
手を教会側に向け案内するジェスチャーをしている。言われるがままついていく。
「なんで俺のことを知ってるんですか?」
少し警戒していたので強めの口調で問いただす。
「この町では転移者は珍しいですからねすぐわかりますよ。それに山田 俊様はお亡くなりになられましたからね。いや惜しい人を亡くしたあの方なら聖職者になれるほどの人格者でしたからね。それに今日は俊様が亡くなられたから来たのでしょう」
幸也は神父がすごい不気味に見えた。
(もしかして俺が俊を殺したことを知っているのか)
警戒態勢に入りいつでも剣を抜ける準備をしている。
「着きましたよここがイザベラ様が生きながらえている場所です」
そこにいたのは液体に浸かり肌には所々にヒビが入り、腕は腐食している綺麗な白い長髪の綺麗な女がいた。
「なんだこれは!」
幸也はイザベラのグロテスクな腕を見て気持ち悪くなる。
「これが腐食の悪魔の呪いですよ。イザベラ様が今まで生きてこられたのは俊様が毎月聖水の代金を払いイザベラ様にかけていたからなのです」
(そうかあの時は何を言っているのかわからなかったがこう言う事だったのか)
「もう俊様はいません、私達も協力したいところなのですがあいにく教会を維持するのに手一杯ですので。お聞きしますが幸也様が聖水の代金を払うので間違いないでしょうか?」
「いくらでも払います。これ以上俺のせいで人が死ぬのはごめんなので」
俊を殺した時の幸也ならこんな選択はしなかっただろう。だが人を殺す重みを知ってしまった幸也には断る選択など微塵もない。決断したことにより少し心がすっきりしたこれは俊への償いにもなるのだから。
「それでいくら払えばいいんですか」
「月十万マナです。半年分は俊様が払われているので今すぐではなくても大丈夫ですよ」
もし面白かったらブックマークや評価お願いします。誤字があったら報告してくれると嬉しいです。




