転移者を殺す理由
死体を俊が自らの手で掘った墓に埋める。
「墓を掘っておくなんて気が利くじゃねえか」
墓の近くグリフォンの死体が転がっている。
(なんでグリフォンの死体がここにあるんだ?まぁちょうどいいか登る手間が省けて)
幸也はグリフォンの解体作業に移る。羽をむしり取り、爪を引き抜きバックに入れる。最後に証明に尻尾を切り落とす作業に取り掛かる。
(そういや転移者を殺すとレベルが上がるとか言ってたような)
冒険者ライセンスを取り出しレベルを見る。
「八十二レべ、嘘だろこんなに上がるのか!?」
幸也はとてつもない力を手に入れた。一人の男の命の犠牲の元で。
––帰路の道中、幸也は俊が死んだ言い訳を考えていた。無論この世界でも人殺しは大罪である。
(どうするこの世界の捜査レベルがどれくらいなのかわからねぇ。俊が捕まってないことを考えるとバレないようにはできるぽいが、いや俊は最初俺のことを落として殺したあいつの魔法なら俺のことを簡単に殺せたのに。そうか俺がグリフォンに殺されたと思われるようにわざわざ落として殺したのか。だからグリフォンを崖から落として、まずいそうだとするなら俺は剣で殺しちまった。一応水で洗ったがバレねえよな?……あ、まずい冒険者ライセンスを作る時血を垂らしたぞ。ライセンスで身分が証明できるってことは誰の血か区別できるってことじゃねえか。もっと洗っといたほうがいいか、いや落ち着け落ち着け。冒険者が命を落とすことなんて当たり前じゃないか、疑われるわけないんだ。それに俺は正当防衛だ殺されたんだぞ四回も、百パーセント正当防衛になる。大丈夫 大丈夫だ堂々としてれば大丈夫だ)
幸也は人を殺してしまった動揺から正常な判断ができなくなっていた。人が死んで堂々としてたら逆に疑われてしまう、だが今の幸也にはそんなこともわからない。
ギルドに付き受付に真っ先に向かう。周りの冒険者は俊がいないことに気づきひそひそと話始めた。
「メイリーさんグリフォン討伐終わりました」
緊張で手は震えバックから物を中々取り出せない、それに加え動揺しないようにと心がけてしまい出した物を落としてしまった。
「ごめんなさいすぐ拾います」
グリフォンの嘴を拾おうとしゃがみ込む、そして気づく自分の手が尋常じゃない程震えていることに。
震えを止めようとしても逆効果でどんどん大きくなる、ならばと手を強く握りしめ抑えようとする暖かい血液が手にずっと残る。傷ついては治り傷ついては治りを繰り返しようやく震えが止まる。
「ごめんなさい少し手間取りました」
平常心でいようといつも通り顔と口調で話す。
「いえ、別に構いませんが……それより……山田様はどこにいるのでしょうか」
何かを察しているらしくいつもより言葉が暗い。
「俊さんは……おえぇぇぇぇぇ」
極度の緊張と平常心でいようとする気持ち悪さから吐いてしまった。
「大丈夫ですか」
急ぎ幸也の看病をしようと受付から飛び出す。
すべてのゲロを吐き切りメイリー背中をさすられて落ちつた。
(俺が殺したんだ、殺してしまったんだ一人の人間を 俺は人殺しだ)
冷静になり自らの行いに向き合ったのか凄まじいほどの罪悪感にさいなまれ心にひびが入る。
「ごめんなさいごめんなさい俊さんは死にました。僕が殺しましたごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」幸也はごめんなさいと言い続けている。
周りは同情の目で見ている。誰も幸也が俊を殺したなんて思ってもいない、冒険者は死に近い。それゆえ幸也のようになってしまう人を残念ながら見慣れている。
「大丈夫ですよ幸也様のせいじゃないです大丈夫です」
なだめているが幸也には聞こえていない。
「ダメそうなので宿まで送ります」
「OK、こっちは任せといて」
手を肩に回し幸也を連れていく。幸也はその間ずっと下を向き小さな声でごめんなさいと言い続けている。
宿に付きベッドに寝かされごめんなさいと言いながら眠りについた
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