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湧き上がる殺意

 地面に叩きつけられ散らばった肉塊、血、眼球が幸也の元に戻り繋がっていく。傷一つない綺麗な体に戻っていた。意識も戻り万全の状態と言ってもいい、だが体は動かない。ずっと空を見つめている物の幸也の目に映っているのは落ちる前に見えた俊の笑った顔であった。


 近くに何かが落ちたのか背中に地面の揺れを感じる。数秒の時が経ち足音が聞こえてくる、その音はどんどん大きくなり耳元で止み目の前に俊の顔が覗き込む。


「死んだ後も再生するのかよ」

これが俊が幸也を殺して最初に喋った一言だった。その後俊は慣れた手つきで魔法を駆使して人を埋めるための土を掘る。


 幸也の体は動かない。


 俊は土を掘り終え幸也に向かってくる。幸也の見開いた目を閉じさせる。


「恨むなら俺ら転移者をメタルスライムにしたこの世界を恨めよ」

手についた幸也の涙を服で拭い腕を担ぎ穴まで運ぶ。

 

言葉を聞き担がれてない方の腕が少し動く。

(こいつはレベルを上げるためだけに俺を殺そうとして近づいたのか。優しくしてくれた事も全部俺を殺すために騙してたのかよ)

幸也は動けなかったわけではない、俊に殺された驚きと困惑から現実を受け入れられず固まっていただけなのである。だが俊が放ったセリフを聞き驚きと困惑は怒りに変わり、数秒でその怒りは殺意に進化した。


 すぐさま剣を引き抜き奥の腕につき刺す。俊は体制を崩し腕を抑えながら倒れ込む。つかさず剣で首を斬ろうとするが土が盛り上がり幸也を殴るように吹き飛ばす。両者立ち上がり目と目が合う。

俊は幽霊でも見ているかのように幸也を見つめ、幸也は俊をどう殺すか見ている。


「どうしてお前は生きてるんだ」


「忘れたのか俺の能力は超再生だ崖から落とされたくらいで死なないんだよ」


「ありえない、お前の能力じゃ死なない可能性があったから確認した。俺のレベルは上がってたぞ、なのになんでお前は死んでないんだ」


 幸也も自分が死んでいるかもしれないと思っていた。全ての機能が停止する呼吸はなくなり心臓の鼓動は消え意識がなくなる感覚、これが死なのだと本能から感じたのだ。

(俺はこいつの言う通り多分一回死んだんだろう、何故生き返ったか答えは明白だ俺の能力は超再生じゃない不死身なんだ)


 先に動いたのは幸也だ盾を構えながら突撃する。


「どういうからくりか知らんが何度だって殺してやるよ。俺のレベルの糧になれ」

いくつもの場所から土や岩が飛び出し幸也を攻撃する。


(これが無詠唱魔法か)

正面からくる土を首を傾け避ける。右からくる二つの岩の塊は剣で斬り崩し、左から飛んでくる土は盾で砕く。

(一回死んだからか?よく見える、しよく動く)

徐々に近づきあと二歩で剣が届く距離まで移動したとたん地面の土が幸也の足を飲み込んだ。抜け出そうともがくが抜け出せない。俊がその隙を逃すはずもなく、岩の塊を幸也目掛けて物凄い速さで飛ばす。飲み込まれている足はもげ顔はつぶれ幸也はまた飛ばされ死んだ。


所々に飛び散った肉片と血、土に飲み込まれた足が幸也に集まってくる。意識が戻り起き上がる。

(また死んだのか)

立ち上がり岩を真っ二つに斬り幸也が出てくる。


 俊を見ると十の魔法陣が俊の周りを囲んでいる。

「極限魔法、ヘルファイヤ」


 幸也の辺り一帯に炎が出現し渦をを巻き崖よりも高い柱を作る。

「ああああああ、あつい」

体は死んでも焼かれ続け一部は灰になり目に耐えがたい激痛が走り舌は焼け落ち髪は全てなくなった。


 幸也を二回も殺したことによりレベルが上がり威力が上がったことで俊も腕を焼けどしてしまう。被れてぐちょぐちょの腕に薬草を貼り付け帰ろうとする。


「待てよ、俺はまだくたばってねえぞ」

ところどころ焼け落ちている防具でさっきまでの攻撃は何だったのかと言いたくなるくらい傷一つついていない綺麗な体にもどっていた。


「どうやったら死ぬんだよ化け物が」


「俺を殺した分お前を苦しめて殺すまで死なねえよ」

俊に向かって走りだす、俊はさっきと同じように岩や土を操り攻撃をする。


「同じような攻撃しかできねえのか」

急激に距離を詰めるがあと五歩というところで土が幸也の足をまた飲み込んだ。


 俊は飲み込まれた足を自分で斬り落とし俊を攻撃した。

「ああああああ」

剣は俊にとどき腕にかなり深い斬り込みを付けた。俊はたまらず攻撃をやめ自分を守るために魔法を使った。だが幸也は止まらない土や岩を斬り刻み着々と俊に近づく。


「まて、話をしよう。幸也お前は死んでも死なない、それはつまり安全に素早くレベルが上げられるということなんだよ。そうだよ俺とお前が組んで俺を最強にしてくれ。俺には目標があるんだ。叶えるには力が必要なんだよ、その目標がかなったら全てお前の言う通りに動く。お前が欲しい物だって手に入れてやるし、もしお前が俺のことを許せないんだったら拷問でも何でもして構わない」


「てめぇの野望のために俺に何度も死ねつってんのか?!!」


「大丈夫だ苦しまないように努力する」


「見苦しいなお前」

俊の魔法を突破し剣を腕につき刺す。


「クソがあああ」

腕から剣を抜く。


「お前みたいに何の目標もなくのうのうと生きてる奴は黙って俺に殺されてればいいんだよ」

足を斬りつけ立てないようにする。俊はしゃがみ込み這いずって逃げようとする。


「俺にはやるべきことがあるんだ、力が必要なんだああああああああ」

這いずる手の甲を貫き俊は動けなくなった。


 俊を座らせのどに剣を突き付ける。


「俺は死ぬのか?」


「あぁ、殺すよ何があっても殺す絶対殺す、それだけは約束してやる」


「そうか」

諦めたのか目をつむり首を差し出すかのように上を向く。


「一応お前には恩がある。遺言だけ聞いてやるよ」


「教会にイザベラと言う女がいる、イザベラは聖水をずっと浴びてないと死ぬ。だから俺の代わりに聖水を買ってくれ」


「終わりか?」

剣を構えすぐにでも殺せるように準備する。


「これが最後だ、腐食の悪魔を殺してくれ」


「そうか、まあやるとは一言も言ってねえけどな」


「いいや、幸也ならやるよ。君は僕と同じ人ご」

首を切断され宙をまい地面に落ちる。

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