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目と目が合う瞬間死んだと気づいた

日常になりつつある冒険者ギルド、そこに一人の男が待ち構えていた。


「俊さん!!」

ギルドにきて早々幸也の目に俊のすがたが映る。久しぶりの再会に幸也は興奮を抑えきれずにいた。と言うのも俊は幸也をギルドに連れて来た日以降、一切ギルドに姿を見せずにいた。そう幸也にとっては恩人との三か月振りの再会なのだ。


「やあ、久しぶりだね幸也」


 相変わらずの服装で話かけてくる姿を見て幸也は昔転移してきたばかりの自分を少し思い出す。それと同時に自分が異世界に慣れ親しんだことを実感する。


「今まで何してたんですか?一回もギルドで見かけませんでしたよ」


「こう見えてかなり忙しくてね、あまりギルドに行けないんだよ。その代わりちゃんとギルドの依頼はこなしてるけどね。まぁ今日はその依頼に関して幸也に頼みたいことがあってね、それはね幸也にパーティーメンバーになってほしいんだよ」


 急な誘いに幸也は戸惑う。


「パーティーメンバー!?俺まだ一回もパーティー組んだこと無いですし、その自分で言うのもなんですが俺まだそこまで強くありませんよ」


 幸也は異世界に来てからパーティーを組んだことは一度もない、それに俊は格上の冒険者。そんな場所で活躍できる自信はない。


「大丈夫だよ、見つけたんだろチート能力、それに僕この中で一番強いから大抵のことなら守れるから安心しなよ」


 噂で強いと勘違いさせていると思っていたが少し違うようだ。ただ俺がパーティーに入ってくれればそれでいいという雰囲気を醸し出している。幸也はもっと実力をつけてから俊のパーティーに入って活躍したかったのだが、俊の頼みを断り切れずしぶしぶ了承することにした。


「ありがとう、じゃぁ詳しい話は他の場所でしようか」


「ここじゃダメなんですか?」


「僕がいると皆落ち着かないからね」

 俊の言う通りいつも賑やかで何かしら喋っている声が聞こえてくるはずのギルドは静まり返っている。


(このピリピリとした空気、俊さんが作ったのか?やっぱりすごいんだなこの人)

 ギルドを出て俊について行く。


 


 ––客が一人もいない店に案内された。落ち着いた雰囲気でアダルチックな気分になってくる。


 席について早々に幸也はどうやってギルドをピリピリとした空気に出来たのか質問する。


「いや、別に僕が何かしたて言うわけじゃなくてね、僕がギルドに呼ばれたからなんだ」


(俺一回もギルドに呼ばれたことないぞ?)


「僕はこの町唯一のSランク冒険者なんだよ。だからギルドが危険と判断した依頼やモンスターの駆除は全部僕に回ってくるんだよ」


 ひどい話もし俊がモンスターにやられでもしたら、町を守るため自分より格段に強い相手と時間稼ぎのために戦わなければならず、皆このことを危惧してあの空気が生まれていたのだ。 


「そんなに強い相手と俺は戦うんですか」

 幸也の足は少し震え、誰から見ても怖気づいっていることは明白にわかる状態になっている。


「そこまで怯えなくても大丈夫だよ今回はそこまで危険じゃないから」


「ほ、本当ですか」


「今回の依頼はAランク相当だけど可能性としてSランクになるかもしれないから僕に回ってきただけで幸也も活躍できると思うよ」


 震えは治まる。

(Aランクなら大丈夫だよな、俺Bランクの依頼一人でできるし、それに俊さんもついてるしな)そう自分を説得する。


「俺、やりますドラゴンでも何でも倒して見せます」


「幸也ならそう言ってくれると思ってたよ、それにこの依頼達成出来たらBランクに上がれると思うから。最速記録更新できるね」


 少し不気味な笑みで安心したように肩から力が抜けていくのが分かる。


「俺別に最速記録狙ってませんよ」


「そうなのかい、Dランクに最速でなってたからRTAでもしてるのかと思ってたよ」


「Dランクは成り行きでなっただけで最速記録を狙ってわけじゃないです」


「勘違いしてたよ、でも今回も成り行きで最速記録更新できるじゃないか」


「そうですね」

覇気のない声で返事を返す、幸也はわかっているのだ今のランクと実力がまだ見合ってないことを。


––「俊さんのパーティーはどんな人達なんですか?」

入るとは言った物の幸也はSランクの人達の足手まといにならないか心配していた。


「僕のパーティーは今はいないよ」

少し雰囲気が変わる。


「ソロなんですか?」

 店主が頼んでいた飲み物をだす。


「そうだな、ソロになったてのが正しいかな」

 少しうつむき両手を握りしめている


「なったてどう言うことなんですか?」

幸也の何も考えずに疑問に思ったことをすぐ質問する悪い癖がでた。


「昔はパーティーを組んでたんだけどね、死んだんだよ」


 幸也は聞いてはいけないことを聞いてしまい咄嗟に謝る。


「気にしないでいいよ、冒険者には普通のことだから」


重い空気の中幸也は何か話題をそらせないか考える。だが空気を換えたのは幸也ではなく俊だった。


「それより幸也の話が聞きたいな」


 幸也は話した重い空気を換えようと、能力が覚醒した日のこと、魔法を覚えて実用性がなかったこと、初めて人の命を救ったこと、異世界に来て起こった出来事すべて。


「超再生か」

俊は何か悩んでいるのか頭を押さえ下を向く。


「どうかしました?」


「そうだね依頼は明日行くことにしよう」


「どうしてですか?」

覚悟を決めてやる気がみなぎって来たとたん明日に延期され少し不満に思う。


「それは、まぁ・・・幸也の話を聞いてると何回か死にかけてるから少し不安になってね、準備する時間が幸也に必要だと思ったからだよ」


 そんなこと言われたら幸也は納得せざる負えない。


「じゃあまた明日ギルドで待っているから」


 幸也の分の会計を済ませ立ち去って行った。幸也も明日の準備をするため飲み物を飲み干し店を去ろうとしたとたん扉が開き俊がまた入ってきた。


「言い忘れてたんだけど、明日の依頼はグリフォンの討伐だから」

言うだけ言ってまた立ち去ってしまった。


 

 元の世界でのグリフォンは上半身が鷹下半身がライオンの姿の生物だ。この世界のモンスターは名前道理の見た目をしている。ここに転移して来た日本人が名付けたのは明白だ。これを加味して幸也は考える自分には何ができるのか、俊は何を求め幸也をパーティーに入れたのか、数分の間考え出た結論それは、おとりだ。俊は魔法使い、魔法を使うにあたって大抵の場合発動するための時間が必要になる。


(おおよそ俺の二つ名を聞いて回避系のチートと勘違いしてきたのだろうな)


 幸也の方針は決まる。耐えて耐えて傷を負ってもすぐに回復する最強のタンクになることだ。そのためにも強い防具が必要だと考え武器屋に向かった


 ––日本人がやっている武器屋に初めて入った、強敵と戦うため幸也は有り金を全部持ってきていた。中は思ったより普通だ。特別凄そうな鎧や剣が置いているわけでもなく、隣にある武器屋と大して変わらない。変わっている所と言ったら値段だ。だがこの値段が問題で一番安い物ですら十万マナを超えている。幸也はぼったくりを疑い店から出ようとする。すると後ろから女の声で呼び止められる。


「お前私を無視するとはいい度胸じゃねえか」

声の主は頭にバンダナを巻き、胸はデカく、下着の上にエプロンをつけている恰好であった。


「無視したわけじゃなくまだここの商品を買うのは俺には早いと思いまして」

目のやり場に困り女の横にある剣を見ながら返答する。


「お前佐藤幸也だろ、金稼いでるんじゃねえのか?」


 大きく首を振る


「なら今いくら持ってるんだ?」

がたいが良いせいかかなりの迫力である


「二十万マナです」

迫力に負け正直にこたえてしまった。


「持ってるじゃねえかならここで買っていきな。何が欲しいんだ剣か弓かそれとも鎧か?」


 カツアゲでされている気がする。だが勇気を振り絞り思っていることを伝える

「この店の武器普通じゃないですか、ぼったくりなんじゃないんですか」


女は少し黙ってから笑い出す。

「正直な奴は好きだぜ。まぁ見た目は普通だよな、けど安心しな性能に関しちゃ一級品だからよ」

「そうだな、お前の腰にある剣いくらするんだ?」


「五万マナです」


 女は一番近くにあった剣をとる。

「この剣は十五万マナだがその剣の八倍は強いぞ」

幸也は理解できずきょとんとしている。それもそのはず傍から見たら性能なんてわからない、それに何の証明にもなっていない。


 幸也の信じてなさそうな目を見て女は説明する。

「あれだスキルでわかるんだ武器の強さがな、冒険者ライセンス見たいに私には見えるんだよ、お前にもあるんだろ特別なスキルが」


 幸也は理解する女のチート能力だと。

「すみません疑っちゃいました」


「別にいいよ、それに信じてもらえたんならもちろん買ってくれるよな。見た目は普通でも私が作った防具は最高級だからな」


「もちろんですよ、俺防御力上げたいんですけどどれを買えばいいですかね?」

即答した。別に怖かったからではなくグリフォンと戦うために強い装備が欲しいし、日本人のよしみで高くても買おうと思っただけだ。


「防御力を上げたいなら盾だな」


 進められるがままちょうど二十万マナする丸くバジリスクの鱗で作られた盾を買わされるのだった。




 

 翌朝、丸い盾を装備しギルドに向かう。ギルドに向かう途中重大な事実に気づく、動きにくいのだ。盾は腕に固定してあるため足にぶつかって歩きにくい。だが幸也は戦闘の時は大丈夫だろうと楽観的に考えていた。


 移動に苦戦しながらもギルドにつく。昨日と変わらず静かなままだ。


「幸也こっち」

手を振りこちらに呼んでいる。幸也は深呼吸をしてから俊のもとに向かう。


「準備はちゃんと出来たかい?」


「はい、バッチリです」


「それじゃあ行こうか」

ギルドにいる全ての冒険者達に見られながら討伐に向かった。




 町を出てから数分歩き俊が何か思い出したかのように口を開く。


「そういえば、はいこれ」

マ石を五個渡される。


「いいんですか!!」

幸也が驚くのも無理はない、マ石は触れているだけでマナを回復してくれる超便利アイテムなのだ。それに加えマナが豊富な場所でしか取ることができないためかなりの高級品でもある。


「別にいいさ、ギルドから貰ったものだしね。それに僕はマナ切れしないから持ってても意味がないからね」

「あと薬草も貰ったんだけど幸也には必要ないよね?」


「もちろんですよ、大けがしてもすぐ元通りになるんで全部貰っちゃってください」


「じゃあ薬草は僕が貰うね。それと作戦ちゃんと覚えれる?」


「もちろんです」




 壱時間歩きようやくグリフォンの巣がある場所にやって来た。断崖絶壁、余裕でバンジージャンプを作ることができる高さである。


 幸也は崖から少し頭を出し高さを確認する。とたん微弱な風が幸也に当たりすぐさま崖から離れる。


「こんなところにいるんですか?」


「普通は標高が高い山に生息してるんだけど、何かあったのかこっちに巣を作ったんだ。でもこの崖なら山と同じように天敵から身を守れるからここに住み着いちゃったんだろうね」

「それとグリフォンに掴まれないように気を付けてね多分だけど掴まれたら崖に落とされるから」


「そんなことしてくるんですか」


「まぁ安心して掴まれたらすぐ魔法で助けるから。それに幸也がグリフォンに殺されるのは困るしね」


「お願いします」


「それじゃあ近くに来て、グリフォンをおびき出す」

幸也はすぐさま俊の近くに移動しいつでも守れるように盾を構える。


「女神マナよ我がマナに応え力を貸し与えたまえ」

「ブラスト」

人間サイズの爆発が起きる。地面は揺れ少し落石し、幸也達には風が襲い掛かる。


 風のせいで目が開けにくいが周りを見渡し続ける。風が止んで数秒後モンスターの鳴き声が聞こえそ音鳴る方に向くとグリフォンがこちらに飛んできていた。


 すぐさまグリフォンの方向へ走りだす。俊も詠唱を唱え魔法を打つ準備をする。

幸也がグリフォンの前に立ちはだかる。グリフォンはつかさず真上に飛ぶ。幸也もすぐさま上を見上げるが太陽の光と重なり正確な位置が分かりにくい。グリフォンはお構いなしに爪を立て物凄いスピードで迫る。幸也は反応が遅れてしまい盾を装備しているのにも関わらず剣で攻撃を受け止める。剣では受け止めきれず爪が腕に少し食い込み体も踏ん張りが効かず後ろに下がってしまった。


「後ろに下がって」

俊の言葉通り腕を削りながら拘束から逃れ後ろに下がる。とたんに風と思われるものがグリフォンを襲い足に斬り込みが入る、怯み後ずさろうとする隙を逃さず思いっきり盾で殴る。


(使い方逆じゃね)

 まだ慣れてなく盾で攻撃してしまったことを反省する。


 グリフォンは怒り幸也に突進してくる。今度こそと思い盾を前に突き出し衝突に備える。しかし盾の相使いは素人。盾に傷はつかなかった物の受け流すことができずバランスを崩してしまう。


 嘴で幸也の指事嚙みちぎり剣を咥え空に飛び立つ。頭が良いのか崖の方に向かい剣を捨てよとする。


「ウォーターカッター」

 線のように細い水が肉眼では確認不可能な速さでグリフォンの翼を貫きそのまま右翼を斬る。

グリフォンは翼が使えなくなり頭から落下する。同時に剣も落とし幸也はその落下地点に走る。


 俊は止めを刺すため超級魔法の詠唱に入る。上級魔法とは違い後ろにいくつもの魔法陣が現れる。

グリフォンは近くにいる幸也を無視して俊のほうに走り出す。それでも俊は詠唱をやめない。


 幸也はマナを少し剣に貯める、腕を狙いの方向に向け剣をやりのように投げる。狙い通りグリフォンの足に突き刺さりグリフォンは倒れ込む。幸也は油断せずすぐさまグリフォンの近くに駆け寄る。グリフォンは尻尾で幸也を攻撃する。間一髪で避けることができたがその隙に起き上がり幸也を爪で攻撃する幸い足にダメージを与えていたおかげで踏み込みが甘く腕一本で済んだ。だがもう片方の足で攻撃してくる。防ごうと盾を構えるがフェイントだった。すぐさま攻撃をやめ片方の足だけで立ち上がり叩きつけるように爪を立て振り下ろす。


「女神マナよ我が罪を許し我に力を与えたまえ」

「ライトニングアロー」

 寸前のタイミングで俊が魔法を放つ、雷のように一瞬で五本の矢のような光がグリフォンを貫く。そして幸也を巻き沿いにしてグリフォンは倒れた。




 一分程の時間が経過し幸也はようやく抜け出すことができた。焦げ付いた匂いが少し鼻の中に入ってくる。足に突き刺さったままの剣を引き抜き鞘に納める。


「グリフォン討伐成功」

こぶしを強く握り占め喜びを嚙みしめている。


(そういえば俊さんグリフォンに潰されてる俺を助けに来なかったな、まさか何かあったのか!)

急ぎ俊のいるはずの場所に振り向こうとした瞬間










「ウィンドバースト」

暴風が幸也に直撃し飛ばされ崖から落ちる。これが走馬灯なのか落ちる前不気味に笑う俊の顔が目に入る。



(俺、殺され)

頭から落ち、顔の半分が地面に飛び散り血が流れる。幸也が最後に見たのは地面に転がる赤く染まった眼球だった。

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