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第二十八話 マジで見つけた新たな鈴の音!

学校の屋上。昼休み。墨名夜星(となひかり)と雷電紫(らいでんゆかり)はベンチに座り、昼食を共にしていた。


前の戦いから一週間が経った。なんだか知らないけど戦いはなかった。オレが選ばれなかっただけかもしんないけど。

…相変わらず鈴とは連絡がつかない。


「結局、天然さんって誰とも会ってないみたいだね」

雷電は心配するみたいにオレの顔を見つめている。


「…あぁ。何回か連絡してみたんだけど…全然、返信なくてさ。それに」

「それに?」

雷電の問い。


数日前のことだ。真士さんに鈴について聞いてみた。


『鈴には無理に聞かないことにしている』


そんな返信がきた。正直、意味がわからなかった。

どういうことなんすか?

と、真士さんに聞いてみたがはぐらかされるだけだった。


「なんか…鈴も色々あるっぽくてさ…何日か前からは連絡我慢してんだ」

「そっか…無理矢理聞かれるのって意外とキツいからね。それでいいと思うよ」

オレの言葉に返答する雷電の声は少しか細かった。

「…元気ないのか?」

心配になって聞いてしまう。


「えっ?いや、そんなことないよ。ちょっと…ぼーっとしてたんだ」

そう言って彼女は柔らかく笑った。それを見て、心は軽くなった。


…ハッ!?まただ、またコイツのこと意識してないかオレ!?

一人で大慌てしてると、スマホから通知音がした。開いてみると、執印國明(しゅういんくにあき)から連絡が来ていた。


『鈴様とまだ連絡は取れないのか!?』


相変わらず、鈴のことを探してるみたいだ。この一週間のうちに、國明とは一度だけ顔を合わせた。その時も今の文面みたいな勢いで、同じような事を聞かれた。


…アイツ凄く必死って感じだよな。


國明を見ていて思うことがある。

オレって、実は鈴のこと好きじゃないのかな

ということ。


アイツみたいに必死に探してないし、滅茶苦茶心配!って感じにもならなかった。冷たいヤツなのかなオレって。


「あのさ雷電」

「何?墨名くん」

「オレってさ、冷たいと思う?」

「えぇ?急にどうしたの?」

雷電は困惑の声を上げる。まぁ、そりゃそうか。


「國明がさ、鈴のこと必死に探し続けてんだよ。なのに、オレは全然探してないし…なんなら心配もそんなにしてない気がしてさ。冷たいのかなって」

誰でもいいから、答えて欲しかった。今までだったら、きっと、鈴に答えてもらっていた。でも、今はいない。


「うーん…。少し、冷たいかな?」

「や、やっぱり!?」

雷電の答えに少し心臓がキュッとした。そうか、冷たいんだなオレ。


「そんなシュンてしないでよ!少し、少しだけ」

雷電は慌ててフォローを始めた。


「なんていうか…ぶっきらぼうな所あるし、ちょっと壁があるな…って思う」

「壁があるって…雷電に言われたくないな」

「そ、そういうとこだよ!」

雷電は突っ込んで、咳払いをして続けた。


「でもさ、墨名くんって結構わかりやすいって言うか、顔に出るでしょ?さっきだって心配してくれてるんだなーって伝わってきたし、戦いの時とかも頑張って人を助けようって表情してると思う。だから、本当に冷たい人、って感じはしないかな」

雷電の顔は真剣だった。なんか…恥ずかしくなってきた。


「ほら、墨名くん顔赤い。わかりやすいよ…なんで赤くなってるの?」

当然の疑問が投げかけられた。な、なんでって言われたってなぁ。


「いや…なんか…雷電がそんなにオレのことちゃんと見てくれてんだ…って思ったら…なんか、恥ずかしくなってきて…」

「あはは!やっぱり、墨名くんは冷たい人じゃないね」

雷電の笑い声に、オレの悩みはすっかり消し飛んでしまった。


op


夕方。学生は皆、帰路についている。街には話し声や笑い声が混じっている。と、河川敷の坂に腰を下ろす少女が一人。天然鈴(てんねんすず)だった。


「どうしよっかなぁ」

流れる川を見つめながら、あたしは呟いた。みんなから離れようと思ってから一週間とちょっと。ずっと、同じことを考えている。あれから、絵の具の戦士たちと関わらないようにしていた。バイトに休みを申請したのは、天晴と陰山さんに会わないためだ。


「あーあ」

なんて言いながら仰向けになる。空は茜色に染まっていた。

大学が始まっていたのは救いだったかも、と少し思っていた。新生活に意識を向けることで、ある意味の逃避が出来ていた。戦いのことをあまり考えずに済んでいた。


と、スマホが鳴る…が別に開こうとは思わなかった。多分、國明くんだろう。何度も何度も、同じような内容の連絡が送られてくる。あたしのことを心配してくれてるんだろうけど…お願い、少し一人にして欲しいの。


そう伝えればいい。ということはわかっていた。でも、出来ない。そんなことを言えば、國明くんはきっと…いや必ず傷ついてしまうから。

真士さんと夜星くんは、どうだろう。二人はわかってくれるかな。國明くんと違って、彼らからは連絡が途絶えた。察してくれたのか、それともあたしなんか要らなくなったのか。


「うぅ…」

胸が、チクリと痛い。考えてしまう。嫌われてしまった、"みんなが好きな鈴"じゃなくなっちゃった。あたし、嫌われちゃった?

でも、今まで通りじゃダメだ。ずっと続けるのは限界かもって思った。好かれるのは落ち着くけど…好かれ続けるのは疲れる。


ふと、思い出す。最後にバイトに行ったあの日、天晴が言っていたこと。


『変わったとしてソイツはソイツだろ。別人ってことはないだろ』


怖いけど、変わるしかない。あたしであることには変わらない…はず。陰山さんもそうだ。変わったような気がしたけど、別人ってほどではなかった。


飾らない、あたしで行くんだ。そう、昼飯さんみたいな、自然体で。


自然…自然なあたしってなんだっけ?

みんなに好かれる天然鈴は、多分だけど自然じゃない。好かれないあたしも…自然じゃない気がする…不自然…。


「君、何してるんだい?」

突然、頭の方から声をかけられ心臓が止まりそうになる。身体を起こし声の主の顔を確認する。

「黄昏れてるのか?」

声の主は知らない男性だった。大学生くらいだろうか。身長は國明くんくらいある。少しボサついた短い黒髪、瞳はなんとなく落ち着かないように見えた。


「あ…っと…なんかそんな感じです。ちょっと考え事みたいな」

知らない人相手にあまりベラベラ話すものじゃない。適当に切り上げないと。


「そうか。悩んでるような色をしているもんね。けど、そろそろ日も暮れる。早く帰ったほうがいいよ」

「えっ?あ、はい。そうします」

男性は去っていった。心配してくれた?良い人だったのかな?

ん?悩んでるような色?

変な表現するんだな。


疑問に思いつつも、さっきの男性の言葉に従い、あたしは自宅へと足を向けた。ここで、いつまでも考えても仕方ない。途中、何度もスマホから通知音がしたが気がつかないふりをした。


自宅。寝る支度を済ませ、ベッドへ身を投げ、うつ伏せになる。

「自然体自然体自然体自然体自然体自然体」

何度も何度も、自分に言い聞かせるみたいにその言葉を口にする。けど、そうする程に自然体っていうのがわからなくなってくる。


「陰山さん、なんて言ってたっけ」

最後に会った日、彼女が言っていたことを思い出す。多分、それが答えな気がする。


人に合わせすぎないことにしたんだ


そうだ。そんなことを言ってた。ってなると、やっぱり好かれる鈴は辞めなきゃいけないよね。確か、陰山さんは"変えてみた"って言ってたし。多少、無理にでもやんないと…だよね。不自然だとしても…。


あっ、来た。

いつぶりだろう、戦いの予兆だ。どうしよう。みんなに会うのは怖い…。けど、戦わなきゃ。攫われた人を助けないと…!

空間が歪み始めた。薄れゆく意識の中であたしは、真士さん、國明くん、夜星くんの顔を思い浮かべていた。



あの世界。

スポイトの敵をやっつけて以来の戦い。一週間ちょっと空いたから結構、久しぶりな気がする。


誰が来てるんだろう…。

ゆっくりと辺りを見回してみる。3人いる。


「天然さん!」

最初にあたしに気がついたのは昼飯さんだった。

「久しぶり!しばらく見なかったから心配したよー」

あぁ、この人はいつも通りだな。自然体ってこういうことなんだよね。彼女の一挙一動を見逃さないように見つめる。きっと、あたしへのヒントになる。そう思った。


「…天然さんどうかした?」

あたしの視線に気がついたのか昼飯さんは困惑の表情を浮かべた。しまった、見つめすぎた。


「え?い、いや〜なんでもないですよぉ」

違う。これじゃ前のままだ。


「鈴」

男の人の声だ…真士さん。


「あ…真士さん。お久しぶりです…」

やばい、目を合わせられない。でも、前とは違う感じで話せた。大丈夫。こんな感じで続ければ…。


「そうだな。また会えて良かった」

真士さんはそう言った。

え、それだけ?どうしたんだろう、こんな人じゃなかった気がする。最後に会った時、いつでもいいから、みたいなことを言ってくれてたし、気を遣ってくれてる感じはあったけど…もっと心配の言葉をかけてくれると思ってた。


「申し訳ないですが…再会を喜んでいる時間は無さそうですよ」

残る一人は宝城さんだった。いつも通り、淡々とした感じだ。彼女の目の先には…敵がいる。水色の犬みたいな姿をした怪人がそこにいた。傍には色が抜けた人が倒れている。


「そう、だね!行こうみんな!」

無意識に声は出ていた。とにかく、あの人は助けなきゃいけない!久しぶりにあの言葉を口にする。


「「「「彩色顕媄‼︎‼︎」」」」


黄、白、マゼンタ、金の戦士が姿を現した!


敵は四足でこちらに走り出した!速い!


「任せて!わたしが動き止めてみるから!」

前に出たのは昼飯さんだった。鞭を構え、敵を縛ろうと相手の動きを注視する。


「動きを牽制します!」

宝城さんは昼飯さんの言葉に反応し、ステッキから光弾を連射する。敵が真っ直ぐ昼飯さんに突っ込むように。


「ナイス宝城さん!」

敵が眼前まで迫り、鞭がしなる!


が、敵はそれをかわした!


「うわっ、コイツ速いよ!」

鞭を避けた敵は即座に昼飯さんの喉元めがけて飛びかかった!


しかし、届くことはなかった、宝城さんのバリアがそれを阻んだ。


「一撃で仕留める!」

攻撃を弾かれた敵の隙を突こうと、真士さんは斧を思い切り振り下ろした!が、それも避けられ、敵は一気にあたし達と距離をとった。


「どうにか動きを止めないとな」

真士さんは冷静にそう言う。


「はい。バリアで拘束という手も考えましたが…攻撃するタイミングで解除する以上、逃げられてしまう可能性が高そうです。何か…方法は…」

宝城さんは考え込んでいる。どうしよう。あたしの武器じゃ捕まえたりは出来そうにない。

考えていると、敵の周りからセルズが湧き出してきた。そして…。


「おー、もう戦い始めとったんか」

前にいた虎みたいな敵が現れた。


「ちっ、厄介なのが来たな」

真士さんは苦虫を噛み潰したような顔になった。あの敵は…強いんだ。


「仲間増やさなあかんからな。このワン公は倒さんように」

ケタケタ笑いながら虎の敵は言う。

なんか…既視感。


「そういうわけにいくか!」

真士さんは敵へと走り出した!


「ちょ、真士さん!」

無意識にあたしは彼を追いかける。


「あー、二人とも!ごめん宝城さん、援護お願いできる!?」

「ま、任せてください!」

後ろから昼飯さんも追いかけてくる。


「バカみたいに突っ込んで来たって勝てはせんでぇ!」

虎の敵はこちらを迎え撃つ気だ。セルズ達がこちらに突っ込んで来た!


『ディープトマホーク!』

真士さんは思い切り斧を前方へと投げた!

回転する斧がセルズをあっという間に薙ぎ倒し、彼の手元へ戻ってくる!


真士さんってばすごい!

言いかけて止めた。


「このまま行こう!」

違う言葉を口にして虎と犬へと距離を詰める。


「おぉ、やるやん。でも、オレに勝てるかいな」

虎は真士さん目掛けて爪を振り下ろした!斧でそれを受け止める!


今だ!


あたしは虎目掛けてハンマーを振りかざした!


「天然さん危ない!」

昼飯さんの声で気がつく、あたしの真横には犬が襲い掛かろうと迫っていた!


寸前、目の前にはバリアが張られた。宝城さんだ!犬は体勢を崩して、地面へ倒れ込んだ。


「ごめん写野さん!先にワンちゃんやっつけちゃうね!」

昼飯さんは倒れた犬を即座に縛った!


「天然さんお願い!」

「わかりました!」

身体を犬に向け、思い切りハンマー振りかぶった!


『イエローーーホームラン!』


犬は思い切り吹き飛び、爆散した。色が倒れた人へと戻っていく。


「あかん!やられてもうた!」

虎は慌てた声になってる。このままアイツも!

目線を向けると既に敵はバリアに閉じ込められていた。宝城さんってば仕事が早い!


「出さんかい!」

虎はバリアを破壊しようと暴れ始める!ヒビがどんどん増えていく…まずい!


「鈴!昼飯さん!三人で行くぞ!」

真士さんの言葉にあたしと昼飯さんは頷き、敵へと走り出した。


「鈴様!」


目の前に人影が現れた。シアンカラーの戦士。


「國明くん!?」


あたしは咄嗟のことに動きを止めてしまった。途中参加で現れたんだろう。昼飯さんは驚きつつも真士さんのほうへと走る。


「國明!今はそれどころじゃない!」

真士さんの叫びは國明くんには聞こえてないようだった。


「鈴様!ずっと探していました!どこへ行かれていたのですか!?私は…私は不安でした!

貴方の行方が知れず、連絡も取れず、私は…私は!」

國明くんはあたしの肩をがっしりと掴み、目を見据えて叫んでくる。


「く、國明くん。いまは…」

「鈴様!私を一人にしないでください!」

ダメだ、会話にならない。


「おい!敵がそこにいるのに何してんだよ!」

そこに天晴まで現れた。彼も途中参加か。


「鈴!?いや、それどころじゃねぇか」

あたしのことが気になるんだろうけど、天晴は敵の方へと踵を返し、走って行った。


と、ガラスが割れるような音がした。宝城さんのバリアが破壊されたのだった。目をやると、虎の怪人は光に包まれ、退却するところだった。


「危なぁ〜。ありがとなシアンの兄さん。助かったわ!」

そう言って敵は姿を消す。真士さんがこちらへ走ってきた!


「國明!何をして…」

「黙れ写野!お前の相手など今している暇はないのだ!」

國明くんは真士さんを突き飛ばした。


「や、やめて國明くん!」

「鈴様!私のことが不要になってしまったのですか!?」

國明くんはすぐにあたしに向き直り、言葉を続けてきた。

ち、違う。そうじゃないの。あたし、あたしはただ…。


光に包まれる。意識が遠のく…。



現実。

鈴はベッドから身体を起こし、息を整える。


なんか…マズいことになってる気がする。國明くんがあんな状態になってるなんて思ってもいなかった。確かに、何度も何度も連絡してきて、心配してくれてるんだろうとは思ってたけど…。


と、スマホから着信音が鳴る。画面を見ると…國明くんからだった。

どうしよう。出るべきだよね?さっき会っちゃったし、誤魔化し効かないよね…。

ゆっくりと電話に出る。


「もしもし?」

『鈴様!?今すぐお会いできますか!?』

「ちょ、ちょっと待って、落ち着こうよ國明くん」

『いつものカフェでよろしいでしょうか!?お待ちしておりますので!!!』

そうして、一方的に電話を切られた。いつものカフェって…。スマホの時計を見ると19時過ぎ。カフェはとっくに閉まっている時間だった。


「…行かなきゃだよね」

彼はきっと既に向かい始めていると思った。寝る支度を済ませてたけど…仕方ない。


パジャマから着替える。衣類がなんだか凄く重く感じる。


嫌だな…。


そういう感情が自分の中にあるのがわかった。会いに行きたくない。でも、行かないといけない。部屋の扉を開けて外へと向かう。


「あれ?こんな時間にどこいくのよ鈴」

お母さんだ。まぁ、疑問だよね。


「ちょっと、友達と会うんだ」

「えぇ?暗いんだから気をつけんのよ。まだ成人もしてないのに夜遊びなんかは許さないからね。さっさと帰ってくること」

「うん、わかってる。すぐに帰るよ」

そう言って家を出る。すぐに帰ろう。



いつものカフェ、の前。そこには國明くん…と二人ほど別の影があった。


「鈴!」

久しぶりに聞く声の主は夜星くんだった。隣には真士さんもいる。


「え…なんで二人とも」

「や、なんかさ、真士さんから『賭けだけどいつものカフェの前まで来れるか』って連絡が来てさ」

「どういうこと?」

「鈴様!お会いできて光栄です!」

あたしの疑問なんて無視するみたいに國明くんがズイっと前に出てきた。


「お願いです。もう、居なくならないと約束してください。こんなことは二度とないと…言って欲しいのです!」

國明くんは声を張り上げてそんなことを言う。周りには人通りがあり、異様な光景に視線が集まっていた。


「落ち着け國明…。鈴、場所を変えるぞ。ここだとマズい」

真士さんのその言葉に、あたし達は移動した。


近くの公園。移動中も、國明くんは落ち着かないみたいで、真士さんが抑えながらここまで来た。この時間だと流石に利用者は居ない。木々が生えて影になっている場所に向かい、改めて話し始めた。


「いいか、國明。落ち着け。今、お前は自分の都合でばかり話してる」

真士さんは落ち着いた声で國明くんに話しかける。


「お前にそんなことを言われる筋合いは無い!鈴様、こんな奴らは放っておいて別の場所でお話ししましょう!」

真士さんの言葉なんて聞く気は無いようだった。


「ちょっ…國明!お前…変だぞ?」

夜星くんは慌てたような表情になる。


「うるさい!」

叫ぶ國明くんに夜星くんは萎縮した。


「だ、ダメだよ國明くん。夜星くん…ビックリしてる…」

「鈴様…こんな奴はどうだって良いではないですか」

どうしよう。國明くんが変になってる。なんて言えば…。


「鈴様、私は…貴方にとって必要ですか…?」


あぁ、いつもの問い。


必要だよ


違う。その答えは間違ってる。それじゃダメなんだ。でも、否定したら國明くんは…。何か、何か言わなきゃ…。でも、いつもみたいなことじゃダメだ!


「あ、あのね」

呼吸を整える。


「あたし、今までが不自然だったんだ」

絞り出す。


「みんな…あたしのこと結構好きでいてくれてた…よね?けど、みんなが見てた鈴は嘘だったの」

嘘じゃない。でも、これくらい言わないと伝わらないんだ。


「騙してたつもりはないんだけど…これからは前みたいには関われない。これ以上は嘘を続けられないの」

三人とも黙ってあたしの話を聞いてる。


「もう…き、嫌いになってくれていいから。こんなこと言って酷いと思うけど、これが本当のあたしだろうから」

深呼吸。


「ホントにゴメン。イエローチームはこれでおしまい」


時間が止まったみたいだった。誰も、何も言わない。もう戻れない感じがした。


さよなら、今までのあたし。

さよなら、天然鈴。



次回ッ!

第二十九話 思案の果て、音鳴らす花!

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