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第十六話 銀幕スターの白銀騎士!

九十九真以つくもまい、というのは昔の名前。といっても改名したとかではなくて芸名のことだ。


『美ノ剣客 十六夜』

デビューしてから初めての主演映画。謎の美少女剣士が悪人に天誅を下すというアクション映画だ。


今でも記憶に残っている。アクションはあまり慣れていなかったので殺陣だとか、見栄の切り方だとかをかなり学んだ。それに…役に入り込むこと…それが一番記憶に残っている。


あの時の私は『十六夜』だった。



路地裏。相変わらず紫の絵の具の少女は私を見てはしゃいでいる。というよりも暴走しているという表現のほうが正しいかもしれない。


「舞さん…この子って…」

才二が小声で言う。何を伝えたいのかは察しがついていた。宝城家で聞いたレッドチームの1人、十六夜というのはこの子のことなのだろう。なるほど、あまり話を聞かなそうな感じはなんとなく肌でわかった。


「そうね才二。ここは私に任せて」

騒ぎ続ける十六夜の目を見ながらポケットに手を入れる。絵の具を見せる。


「えっ…それって」

十六夜の表情は強張り、身体は固まった。それもそうだ、憧れのキャラクターだった人間が自分と同じ力を持っていた…そうもなる。


「えっとー、舞さん?ちょっと早すぎません?何か、一言言うとかー…」

夢奈が困惑したような声を出す。

「これが一番手っ取り早いと思ったの」

「やー、わかりますけど…」


「十六夜さん。理解できてるだろうけど敢えて言っておく。私も、私達もアナタやその仲間達と同じ力を持ってるの」

十六夜はぴくりとも動かない。

「混乱してるんじゃないですか?夢奈さんの言う通り、ちょっと早すぎるんじゃ」

才二もそんなことを言う。


「綺麗…銀色の絵の具…」

十六夜は口を開いた。

「でも…」

なんだろう。


「じゃああなたは十六夜じゃない。一体、誰なんですか?」



OP


誰?か。難しい問いだ。

「そうね。私は蘭幕舞。九十九真以でも十六夜でもない。ただの1人の人間」

淡々と言う。これが答えだからだ。

十六夜は困惑した表情になる。

「アナタの名前も教えてもらえる?」

舞の問いかけに十六夜はハッとし、凛とした表情になる。詰まるかと思いきや、答えはすぐに返ってきた。

「私は十六夜。十六夜紫電」

そう言い放つ十六夜の目は真っ直ぐだった。なんの迷いも感じられない。


「そう。私達、似てるかもね十六夜さん」

「あなたは十六夜ではない。どこが似ているというのだ?」

知っている喋り方。記憶の中にある。誰かのものではない、自分の喋り方だ。

「教えてあげる…ただ…」

そう言って背中を向ける。

「場所を変えましょう。ここで話すのも味気ない」

「舞さん?どうするつもりですか?」

才二は訳がわからないと言った顔になる。

「この子は私が預かる。才二と夢奈は…家に帰りなさい」

「えっ…でも」

「才二くーん?舞さんがこう言ってるんだし、わたし達は帰ろ?」

夢奈が食い下がろうとする才二を宥める。なんだかんだ夢奈はこちらの意を汲むので頼りになる。

「それじゃ、また」





駅のホーム。才二と夢奈は並んで立っていた。家は逆方向なのだが利用する線は一緒のため、次の電車を共に待っていた。


「舞さんはどうするつもりなんでしょう」

疑問だった。あんな雰囲気ではわかりあえるような未来が見えない。無理矢理、説得するのではないかと言う懸念があった。

「それはわかんないよ。ま、わたしや才二くんには想像もつかないやり方だろうねー」

夢奈さんは軽く言う。


「…ボクの考え方は甘いということなんですかね」

舞さんはあの子を預かると言った。きっと、ボクには手に負えないと考えたのだろう。

「甘いと思うよー。だって難しいもん。人がわかりあうなんて」

「夢奈さん…」

「もー、泣きそうな顔しないー。甘くたっていいんだよ。やろうとすることに意味あるんだから。いつも言ってるじゃん。才二くんの考え方が好きだよ、って」

そう言う夢奈さんは笑顔だった。ボクを励まそうとしてるとかじゃない。自然な笑顔。


「今回はさ、舞さんを頼ろ?大丈夫。才二くんのことをアテにしてないとかじゃないからさ。人には得意不得意ってあるでしょ。チームなんだから分担分担!」

そう言ってボクの肩を叩く。

「わかりました。なんか、ボクってすぐネガティブになっちゃって」

「まー、才二くんの悪い癖かもね。でも、いつも最後には立ち直れてるから大丈夫だよ!気にしない!笑顔ー!」

ボクの口元に手を伸ばし、口角をグイッと上げる。

「ほら、笑ってる方が才二くんは可愛いよ」

「可愛いって…からかわないでくださいよ!」

「あはは!いつもの表情に戻った!」

…夢奈さんには敵わないな。

と、電車到着のアナウンスが鳴る。

「あっ、わたしの来たね。じゃ!またね」

電車に乗る夢奈を見送る。

発車のジングルが鳴り、扉が閉まる。

夢奈はこちらを見ながら笑顔で手を振っていた。

軽く、手を振りかえす。

電車は動き出す。ボクの道とは逆の方に。




時刻は15時過ぎ…。舞は車を走らせ帰路につく。助手席には十六夜が乗っている。BGMも無い車の中はエンジンの駆動音だけが流れている。駅の周りは時間の割に混雑していた。


「私を家に連れて行ってどうするつもりだ?」

十六夜が問いかけてくる。

「当然の疑問ね。少し話をしようと思って」

「話?この場でしてもいいだろう」

「そうだけど、見せたいものとかあるの」

私がそう言うと、十六夜の目が変わった。

「えっ!それって当時の衣装とか!?」

私に話しかけてきた時の喋り方。

「まぁそんなところ」

曖昧に返答する。


「ホントにあの映画好きで。さっきも言いましたけど何回も見てるんです。わたしもこういう風になりたいって思って。何回も何回も見て十六夜になろうと…!」

助手席でひたすら語り続ける十六夜。

いや…今話をしているのは十六夜では無い。そう実感する。

「そう。十六夜に"なりたかった"のね」

私がそういうと少女は黙った。

「何?なりたい?バカなことを…なるも何も私自身が十六夜だぞ?」

十六夜が話し始めた。やはり、と思った。

「ごめんなさい。少し勘違いしてしまったわ。そうね、アナタはアナタ」

そう、アナタはアナタ。自分は自分でしか無い。どう捉えたかはとにかく、十六夜は機嫌良く笑っていた。


時間はかかった。20分くらいだろうか?舞達は舞の実家に辿り着いた。ひっそりとした個人の雑貨屋。


「ここが十六夜の家…!」

少女は目を輝かせながら車から降りた。続けて私も車を降りる。

「私の家よ。母と暮らしてる」

そう言いながら店の中に入る。それに十六夜もついてくる。


「ただいま母さん」

奥のカウンターに向けて声をかける。

「あぁ、お帰り舞…その子は誰?」

カウンターから立ち上がった母からは当然の疑問が飛んでくる。

「出先で会ったの。私のファンみたいで…せっかくだからお招きしたんだ」

「そう。珍しいね、舞がそんなことするなんて」

そう言いながらこちらへやってくる。

「こんにちはお嬢さん。あまりお構いはできないけどゆっくりしていってね」

少女に目を合わせて笑顔で言う。

「はい!ありがとうございます!」

元気な声で頭を下げる少女。

「さ、着いてきなさい」

「あっ、はい!」

少女を連れ、中に進む。


「ここが…十六夜の…部屋!」

「大したものは無いわ」

こじんまりとした洋室。ベッドがあって、DVDや本を収めた棚があって、姿見があって、クローゼットがあって机があって、普通の部屋だ。

少女は浮かれていた。私の声など聞こえていないようだった。

「い、衣装は⁉︎あるんですか⁉︎」

暴走気味だ。

「まぁ落ち着いて。その前にこれを観ない?」

私は棚から一本のDVDケースを取り出す。

「!!!『美の剣客 十六夜』…のディレクターズカット版!?」

「そう。まずはおさらい。十六夜がどんな人なのかね」

「観ます!大好きですから!」


映画は始まった。

江戸時代のとある地域を舞台にした、アクション映画。治安が悪化し、苦しむ人々を陰ながら救う1人の少女の物語。


私は力があった。物心つく頃には両親は居なかった。ある流れ者の剣士に拾われ剣術を叩き込まれた。いつしか、剣士は私の前から姿を消した。別れ際、力の使い方を伝えて。


「自分が守りたい物のために使え」


私の答えは一つだった。剣士と私によくしてくれた人々、あの人たちを守りたい。今、ここは悪政を敷かれ人々は苦しんでいる。力を使う時だ。




…そう、この映画はそういう物語。十六夜はそういうキャラクター。私ではない。だが、十六夜という人間の記憶が、感情が…人生というものが私の中にある。


映画は終わった。少女は満足げな顔をしていた。

「やはり…素晴らしい。放映版もいいがこちらの追加シーンも捨てるには惜しいな…私の戦いが余すことなく映されている」

真剣な目だった。少女…いや、十六夜はどこか誇らしげだ。

「いい映画だわ、本当に」

映画を観ながら過去の自分を眺めていた。演技の拙さは感じた。だが、真実めいたものがそこにはあった。

「じゃ、見せてあげようか」

私は立ち上がる。

「えっ!?もしかして…」

少女は期待に満ちた目をしている。

「そう、衣装。ちょっと待ってて」

部屋から出て、物置に向かう。電気を点けると埃っぽいのがわかった。

手前にあるクローゼット。開けると中には…十六夜の衣装があった。綺麗にしまってある。

「久しぶり…」

軽く確認する…虫喰いなどは無さそうだ。あの頃のまま、映画のままだった。


部屋に戻る。少女は待ってましたと言わんばかりに立ち上がった。

「そ、それって!やっぱり!十六夜!十六夜の!」

感情が爆発している…。それもそうだろう。

「どうぞ。ゆっくり見ていいから」 

少女は衣装に手を伸ばすが…止まった。

「どうしたの?」

「い、いいのかなって…。ホントにわたしが…」

「気にしなくていいわ。ほらどうぞ」

手渡す。少女は満面の笑みとなった。

「うわ本物だ…本物…本物だ!!!」

畳まれた衣装を広げ舐めるように見る少女。息は荒かった。

「すごい!これ、うわっ…ここってよく見るとこんな風になってたんだ!」

幸せの絶頂のように見える。

「見てるだけでいいの?」

少女の呼吸が止まった。

「えっ…ど、どういう意味?」

「体格的にも…問題はなさそう。着てみたらいいんじゃない?」

私の提案に少女は固まってしまった。

「どうしたの?やめておく?」

少女は衣装を持ったまま固まっている。私の言葉は届いていないようだ。耳元に顔を近づける。

「どうする?着ちゃう?それとも…やめておく?」

少女から離れる。震えているようだった。


「き、着ますっ!…着させてください!!」

大きな声。十六夜らしさなど無かった。

「わかった。じゃあ、細かい衣装も持ってくるわ」


少女は着替え始めた。場所を移せと言った私の言葉は全く聞こえなかったようだ。

「あ…あれ、ここうまく止まらない…」

「大丈夫。貸して…ほら止まった」

「ありがとうございます!」

いそいそと着替えを続ける。


終わった。少しサイズが大きいようだが、ちゃんと着れている。そこには十六夜の衣装を纏った少女がいた。

「ふっ…やはりこの姿が一番落ち着くな…未明刀は無いが…仕方あるまい」

十六夜は不敵に笑う。

「せっかくだから自分でも見ておくといいわ」

手を引き、姿見の前に連れて行く。

「ふっ…やはり…これだ完璧な姿だ」

満足気だ。さて…。


「ねぇ、こっちを見て」

私の声に十六夜は振り向いた。目線の先には…テレビ。十六夜の姿が映っている。

十六夜は黙った。

「鏡を見て」

その言葉に十六夜は従わなかった。私は十六夜に近づく。

「鏡を見て」

「…できない」

「鏡を見るだけよ。できないの?」

そう言うと、震えながら十六夜は鏡の方を見た。…すぐに俯く。


「ねぇ、誰が映ってる?」

「…」

「誰が映ってる?」

「私が映っている…」

「そう。アナタは誰?」

「十六夜だ…十六夜」

「そう。じゃあ、もう一度テレビの方を見ようか」

「嫌だ…」

「嫌だ?どうして?」

「…」

「テレビの方を見ようか」

「はい…」

「誰が映ってる?」

「十六夜…」

「そうだね。じゃあ最後にもう一度鏡を見ようか」

「やだ…」

少女は涙声だ。

「見たくない…やだ…」

涙を流し始めた。

「目線を戻して前に向けるだけ。難しくもなんともない。鏡を見るの」

少女の顎に手を当てゆっくりと前に向けさせる。力はいらなかった。

少女はボロボロと涙を流し始めた。呼吸は荒くなっている。ふぅふぅと息をしている。

「ごめんね。もう一度聞くよ。誰が映ってる?」

私の問いに少女は答えない。声を上げて泣き始めてしまった。

「聞き方を変えようか」


今泣いている、アナタは誰?


私は突き飛ばされていた。床に倒れ込む。

マズい!

瞬間的にそう思い、顔を上げると少女の姿は無かった。

すぐに立ち上がり部屋を出る。


「舞!あの子どうしたの!?泣きながら出て行ったし、あの服もどうしたの!?」

「ごめんお母さん…説明はまた!」 

店を飛び出す。

本当にマズい…時刻は18時前。あの子がいくつかわからないが…才二と同じくらい…いやもう少し若い、中学生くらいか…1人で出歩くには危険だ。日もほぼ沈みかけている。


どうする?

十六夜の映画を撮り終え、役に入り込み過ぎていた私は、あの方法で自分を取り戻せた。周りの人たちがああしようと判断したからだ…。あの子にもそうすれば良いかと思ったが…。

とにかく探し出さねばならなかった。どこに…。



「うっ!」

来た。あの感覚だ。頭がひりつく。

「このタイミングで…」

仕方ない。あっちから戻った際に現実の時間は進んでいないことはわかっている。

「もしかしたらあの子も…」

空間が捩れた。


あの世界。周りを見渡す。

立っているのは…陽向天晴、小柄な少年、そして…あの少女だった。


「おっ!十六夜ちゃんすげぇ!映画のまんまみたいじゃん!アッパレだよ!」

「コスプレ…とかじゃないよな…えっ…マジで十六夜なの?」

天晴と少年が少女にそんなことを言う。今そんなことを言っては…!


「当然だ。以前から言っているだろう。私は十六夜紫電だと」

戻った。十六夜が得意気に話していた。

とにかく行くしかない。

「さっきぶりね天晴くん。それにアナタも…そこのキミは…初めましてね、私は蘭幕舞」

取り敢えず少年が誰かを把握しておきたい。

「えっ…ああ。おれは墨名夜星となひかり!絵の具は黒!よろしくな蘭幕さん」

「舞さんでいいわ」

簡単に自己紹介を交わす。多分、イエローチームの1人だろう。

「舞さん、十六夜ちゃんと会ってたんですね」

天晴が声をかけてくる。

「…えぇ」

さて、あの子はどう反応するか。

「…人を探すぞ」

無反応。どうやら無意識か意識的かはわからないが私のことは避けているようだ。当然か、あんなことをされたのだから。

「あっ、十六夜ちゃん1人で行くなよ!」

天晴が叫んだ。気がつくと少女は姿を変え駆け出していた。

「1人だけいいカッコさせねぇぞ!」

墨名夜星も変身し追いかけ、天晴もそれに続こうとした。


「待って天晴くん」

立ち止まる天晴。

「なんですか?」

「アナタはあの女の子…十六夜ちゃんとチームなのよね」

「はい、そうですけど…」

「正直に答えて…あの子は誰?」

私の問いに天晴は黙った。目線を逸らす。そうか…きっと天晴は何かを知っている。

「誰って…十六夜紫電です…よ」

「いい、天晴くん。私はさっきあの子と話していたの。あの子自身は一体誰なのかって」

天晴は驚いた表情でこちらを見る。

「マジ…ですか」

「ええ。かなり強引なやり方をしてしまったけど、十六夜の仮面は剥がれかけていた…。あの子は自分から目を背けようとしている。とても…危ない状態なの」

一呼吸おく。

「何か知ってるなら教えて」

天晴は黙った。少し間をおいて口を開いた。

「十六夜ちゃんは…ユカリって言うんです本当は」

「そう。ユカリね。他の人は…レッドチームの2人は知ってるの?」

「いや…知らないです」

「どうして?強く聞いちゃって悪いんだけど大事なことなの。教えてくれる?」

「…クラスメートの子に呼ばれてるのを見て、俺もユカリって呼んでみたんです。そしたら…違うって…名前で呼ばれるの嫌なんだって思って、陰山さんと宝城には黙ってたんです」

そうか…やはり、十六夜というキャラクターに縋っているのか。

「理由はわかる?」

「すんません…。そこまではわからないです」

「そう。わかった、答えてくれてありがとう」

「どうする気なんですか」

「私、昔は俳優だったの。役に入り込み過ぎて、ユカリちゃんのようになってた。自分がわからなくなってたの。でも、戻って来れた。だから、あの子も戻す。あのままだと自分を見失ってしまうから」

強引で、無理やりなのはわかっている。危ないやり方だということも。だが、これしかない。

「天晴くん。力を貸してくれるわね」

「…はい。何ができるかわかんないすけど…わかりました!」


ユカリ達が走っていた先から爆音がした。戦いが始まったのだ。

「とにかく、今は戦いね。行くわよ」

「はいっ!」


辿り着くと、夜星が怪物と戦っていた。ユカリは…倒れている人を抱え後ろに下がっていた。

「待たせた十六夜ちゃん!」

私と天晴が駆け寄る。十六夜呼びは危ないが…今は仕方ない。

「来たかアッパレ。この人を頼む!」

走り出すユカリ。

「天晴くん。私はユカリちゃんや夜星くんの援護をするわ…申し訳ないけどその人をお願い」

倒れているのは初老の男性だった。色は抜かれてしまっている。

「わかりました。気をつけて!」

天晴の声を背に私は走り出す。


怪物は巨大だった。いわゆる、トロールと言った風の紺色の怪物。手には大きな棍棒を持っている。


「くそっ!多いんだよお前ら!」

夜星は溢れ出るセルズに苦戦していた。鎌で何度も切り裂くが数が多すぎる。

「この程度で苦戦しているようではいかんぞ黒の戦士!」


『十六夜流剣技 落雷!』

敵を一掃する!


「ちっ、目立つなっての!」

叫ぶ夜星の頭上には棍棒が振り下ろされつつあった!

「危ない!」


『ナイトシールド!』

夜星の頭上に盾型のバリアが貼られる!

間一髪だった。


「危ねぇ!ありがとう舞さん!」

その横をユカリが駆け抜けた!


『十六夜流剣技 電光石火!』

素早い一撃!


「あっ、抜けがけすんな!」


『三日月!』

大振りの鎌の一撃が敵を切り裂く!


…敵は消滅し、色が戻って行く…。


「…強いのねあの子は…」

私はポツリと呟いた。


…現実に戻らない。どういうことだ?敵は倒したはず。


「ちっ…新しいのがいるな」

ユカリと夜星のいる場所のもっと奥。別の怪物がいた。


「オレはドゥンケル。ニュークリアが1人…よろしくなあ」

ドギツイカラーリング。見た目はブラインドカーテンのような造形の人型の怪物だった。

ドゥンケルが手を伸ばす!


ユカリと夜星は動かない…どうした?

そこに敵の拳が直撃した!

2人はこちらに吹き飛んでくる!


「どうしたの!?なんで止まって…」

「ッ…急に何も見えなくなったんだ…暗闇に閉じ込められたみたいに…」

視界を奪えるのかあの怪物は?

考えているとユカリは敵に突っ込んでいた。

「だめよ!」

追いかける。

「バカか?同じだぜ?」

手を伸ばす…がユカリは止まらなかった!

「感覚で突っ込んできてんのか!?」

「声は聞こえるぞ!!!」

ユカリの一閃!!!

が、躱される!

「位置が分かっても見えてなきゃやっぱりダメみたいだなぁ!」

敵の攻撃!


『ナイトシールド!』

間一髪で防ぐ!

「ちっ!てめえもだ!」


しまった!何も見えない!

鈍い音がした…何か転がってくる音がする。

視界が回復した。


「アナタ!」

私の足元にはユカリが倒れ込んでいた。攻撃をモロに喰らったようだ。

「まだだ…十六夜は強いのだ!」

立ちあがろうとするユカリ!

「やめなさい!」

私は反射的に彼女の刀を取り上げた…!


身体に衝撃が走った。力が底から湧いてくるような…だが体が持たないっ!





私は倒れていた。何が起きた?


「…なんか色が変わりそうだったがこけおどしか?」

敵が目前まで来ている!ユカリは呆然と立っていた。やられる!


「させるかぁ!」

間に入ったのは天晴と夜星だった。敵を抑えている!


「邪魔すんな!同じことの繰り返しだぜ!?」

「この距離なら」

「見えなくても変わんないだろ!」

天晴と夜星が叫んだ!


『アッパレストライク!』

『刈月光狩!』


敵は吹き飛んでいった。


「クソっ…いいぜ今回はここまでだ…」


姿を消した…光に包まれる…!




現実。戻ってきていた。身体が嫌に重い。

「…アレはなんだったの」

ユカリの刀を奪った時、力が湧いてくるかと思いきや私は倒れていた。何が起こったのだろう。いや、そんなことより…。

「探さないと」

ユカリの姿は見えなかった。


「あの…」

声に振り返る。

「戻ってきたの…?」

目の前にいたのはユカリだった。落ち込んでいるような…。

「駅まで…お願いします」

「いいけど…どうしたの?なんで戻って」

「わかったんです」

一体何が?


「あなたが十六夜でした」



次回ッ!

第十七話 荒ぶる紫電、危険な妄想!

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