第十三話 混ぜるな危険だ赤、黄色!
3月。しばらく戦うことはなかった。理由はわからないが、天晴たち、鈴たち共に平穏な日々を過ごしていた。
時刻は11時。スーパー極彩のバックヤード。陳列する商品を用意しながら鈴と天晴が会話をしていた。
「そういえば天晴はさ卒業式いつなの?」
「ええっと…3月12日かな」
「もうすぐじゃん。あたしは15日」
「いや、あんま変わんないじゃんかよ」
「あはは、そうだね!あんま変わんなかった」
他愛もない会話。同年代の2人は卒業式を間近に迎えていた。
「ここのバイトはまだ続けるの?」
「おん。高2から始めて続いてるし…大学もそんな遠いとこじゃないからこのまま居座ろうかなぁって…鈴は?」
「続けるよ〜。だって最近始めたばっかりだよ?辞めるにしても、いくらなんでも早すぎるでしょー」
「確かに!うっかりしてたわ」
「もー。アッパレじゃなくてウッカリテンセイだね」
「なんだよそれ。あんま浸透させないでくれよ」
「うーん、考えとく」
「考えるのかよ⁉︎」
何気ない会話がただ続いていく。
…とバイトリーダー山海勉の声がした。
「あれ?陰山さんやんか。どうしたん」
勉の視線の先に今日は休みのはずの木葉の姿があった。
「ちょっと忘れ物しちゃって…」
「珍しいなぁ陰山さんが。疲れたりしとらん?」
「そんなことはないんですけどね…まぁうっかりっていうヤツです」
「そか。気をつけなはれや」
会話を切り上げた木葉は天晴たちの方にやって来た。
「陰山さん久しぶりです。なんかシフト被らないっすね最近」
「久しぶり陽向くん。そうだね…なんか予定が合わないよね」
「あー、あたしも陰山さんと全然被らないんですよねー。陰山さんに教えてもらうの好きなんですけど…」
「天然さんはもう教えなくても大丈夫でしょ?他の人たちからも、あの子は覚えが早いって凄く評価されてる」
「そうかもしれませんけどー。まだ不安なところはありますしー」
「大丈夫だよ鈴!実際、俺も鈴は出来てるって思う…アッパレにな!」
「んー、ウッカリテンセイに褒められてもなー」
「ちょっ、辞めろって!」
仲良いな…。木葉は思った。
この子は…天然鈴は的確に距離を詰めてくる。どうしても苦手意識がある。
天晴も距離を詰めるのが早かった。それはそういうものだと受け入れられた。誰に対しても平等にやかましく絡む。そういう所が信用できた。
鈴は違う。的確に言葉を選んでいるような、そんな違和感があった。
「陰山さん…どうしました?」
ハッとする。天晴の声だった。
「あっ…ゴメンゴメン、ちょっと考え事してた」
「陰山さんもウッカリですね!」
笑顔で鈴が言う。屈託の無い笑顔…自分の考えすぎだろうか。
「うん…そうかも。実際忘れ物しちゃったし」
「ほら、あんま口動かさんで手ェ動かさんとあかんやろ!2人は仲良えのは構わんけど程々にな!」
勉に突っ込まれてしまった…。
「「すみませーん」」
天晴と鈴が声を合わせて謝罪する。
「ごめんね2人とも。私が喋りすぎちゃった。もう行くね!」
2人と軽く別れの言葉を交わし事務所へと急いだ。
op
木葉は忘れ物…メガネケースを回収すると次の目的地へと向かっていた。以前、天晴、自分、玲花、十六夜の4人で話し合った公園だ。
辿り着くと待ち合わせていた人物は既に到着し、テーブル付きのベンチに腰掛けていた。
「お待たせ宝城さん…それに」
玲花の向かい側には男性が座っていた。
「写野さん。わざわざお時間用意してくれてありがとうございます」
「気にしないでいい。出来るだけ力になろうと思っているからな」
真士は優しく答えてくれた。木葉は玲花の横に腰掛けた。
「陰山さんから集まろうと仰られたので少し驚きました」
「そう?でもちょっと今のうちに話しておきたいことがあったんだ」
もちろん鈴のこと…だが、先に連携についてだ。以前の戦闘で真士は会話が通じると思い、今回来てもらった。玲花は…こういう話し合いの場に於いて非常に頼りになるということは痛いくらいわかっていた。だから同席してもらった。
「本当はみんなで話し合いたいんですけど…中々、難しいので2人をお呼びしました。ちゃんと話し合える人だと思ったからです。わたし達…8人の今後について」
そう、8人だ。4人では無い。力を持つ8人で戦っていかなければならない。
「難しい議題だな。大事なことだが…だからこそたった3人で先に話し合って大丈夫なのか?」
「あまり大人数だといつまで経っても纏まらない…と思ったんです。だから敢えて少人数を選びました。そこは宝城さんとも話し合って決めたんです」
そう言いながら玲花に目線を送る。静かに頷
く玲花。
「ええ。実際、2度ほど話し合いの場を設けていましたが纏まることはありませんでした。ある程度の解答を固めるためにもこの人数と人選は適当かと思います」
「なるほどわかった。まぁ確かに、鈴は自由にやりたいって言うだろう。執印くんは鈴がいると話にならないだろうし、夜星くんは少し危なっかしい所がある。そっちの陽向くんもちょっと勢いばっかりな所があるし、十六夜さんも我が強いみたいなことは聞いた。ってなると消去法で俺達になるってことだよな」
つらつらと真士は自身が呼ばれた理由を推察する。やはりこの人を呼んで間違いはなかったと感じた。
「で、どうしたいんだ」
率直な疑問が飛んできた。まずはここを明確にしなければならない。
「わたし達8人でしっかり足並みを揃えて戦えるようにしたいんです」
これが求めることだ。玲花もここを目指している。
「別に…揃える必要はないんじゃないか。別々にやっていたんだ、それぞれのやり方を続けたほうがお互いやり易いと思うがな」
淡々と真士が反論する。わかっている。その方がやりやすいことなど。だがそれではいけない。
「それではダメなんです」
「ほう、何で?」
静かな問い。真士の声は冷たいようで優しい。完全に反論する気はなく、きっと納得できる答えを求めているのだろう。こちらから要望を通す以上、それなりの理屈が必要なことは事実だ。
「最低4人説はお聞きになりましたか?」
玲花が援護してくれた。そう、この説は今回の話し合いでかなり重要な要素だ。
「あぁ、この前に鈴から聞いたよ。一度にあの世界に行けるのは4人までだって。けどそれが足並み揃えるのと関係あるのか?」
「はい、関係あるんです」
自分で思ったより強い口調になっていた。玲花が驚いたような表情をする。真士は…冷静な目をしていた。
「どう関係あるんだ?」
「カラオケボックスの一件の時、わたしと写野さんは後から転送される組でした。他の4人がいなくなった後、透明な空間で絵の具を捻りましたよね」
「…あぁそうだったな」
「あの時、先にあの世界に行ったのは陽向くんと、写野さんを除いた天然さんたち3人。残るわたしと写野さんが遅れていく以上、先方の4人が連携を取れていたほうがいいわけです」
「確かにな。でも、それだったら陽向くんが合わせればいいだけだろう」
「それはその時に限った話です。以前は私と途中参加の十六夜さんを除いて、陽向くん、陰山さん、天然さん、執印さんと半々の組み合わせでした」
「以前の戦いの時もわたしと写野さん、夜星くんに十六夜ちゃんって半々でしたよね。こういう組み合わせが発生する以上、誰が合わせればいいとかではなくてみんなで足並みを揃える必要があるんです」
玲花と共に事例を挙げながら説得を続ける。わかってください…。
「なるほどね。確かにそうしたほうがいいみたいだな。どうやら最低4人の説は今の所は本当のようだし、選出も完全に読めないみたいだからね。全員が足並み揃えた戦いが出来るに越したことはなさそうだ」
真士はニヤリとしてそう答えた。
「わかってもらえました?」
少し声が震えていた。玲花の援護があったとはいえここまで上手く話せるとは思わなかった。
「あぁ…よくわかったよ。鈴たちにもそういう方向性で行こうってのは上手く話しておく。鈴さえわかってくれれば…後の2人も大人しく着いてくるだろうからな」
「「ありがとうございます!」」
わたしと宝城さんは同時にお礼の言葉を口にしていた。
「宝城さんもありがとう。力を貸してくれて」
「いえ…陰山さんの提案あってこそです。こちらこそありがとうございます」
上手くいった。これは間違いなかった。今後、スムーズに事が運ぶか、確定的ではないがきっかけを掴む事ができたのだ。きっとうまくいくだろう。
まだ話は終わりではなかった。真士に確認しておくべき事がある。勿論、鈴のことだ。
この話題に関しては玲花には詳しく話していない。あくまでも自分が持つ疑問であるためだ。
「本当にありがとうございます写野さん」
「いいって、気にすることはない」
真士は気さくに答えてくれる。最初の頃に感じた寡黙さのようなものは感じられなかった。
「別件で聞きたい事があるんですけど…いいですか?」
それを聞いた玲花がキョトンとする。それもそうだ、別の話が始まるとは思ってもいなかっただろう。
「構わない。なんだ?」
真士の声は優しく落ち着いている。
自分も落ち着け、一呼吸置いて…
「天然さんについてです」
空気が変わった気がした。悪い意味で。
真士の表情も少し変わった気がした。こちらも悪い意味で…。
「鈴が…どうかしたか?」
先ほどとは打って変わって真士の声は冷たかった。その声に背中から汗が吹き出す。
「天然さんは…皆と仲良く出来る人だと思っています。バイト先が一緒なんですけど…そこではみんなから好かれてあっという間に中心みたいな」
「か、陰山さん?」
わたしの話を聞いて宝城さんは困惑を隠せないようだ。それもそうだろう、急にこんなことを話し出されたら意味がわからないと思う。
「だろうな。そこが鈴の良いところ…だな」
真士が少し言い淀んだ気がした。
「はい…写野さん達4人の中でも、天然さんは同じような存在なんだと思います」
「あぁ…そうだ」
「陽向くんとも凄く仲良くなってて本当に人から好かれるんだなって」
真士は何も言わなくなった。きっと、わたしが何を言うのか待っているのだろう。
「陰山さんごめんなさい。私、話が全く見えないのですが…今は一体なんの話をして…」
「ごめんね宝城さん。あとで纏めて答えるから…少し待っていてもらえる?」
玲花の疑問は最もだったが今は待っていてほしい。わたしの返答に玲花は静かに頷いた。
「天然さんは…好かれようとしすぎているんじゃないですか?」
わたしの結論はこれだった。これならあの異様さにも説明がつく気がする。人に好かれることに最適化した立ち回り。
「陰山さん」
とても優しい声だった。それは真士の口から発せられていた。
「ああいう子を他にも見たことあると思うんだ…宝城さんもきっとあるだろう」
そう言う真士の目は力強く…どこか悲しげだった。
「確かに…皆から好かれようという立ち居振る舞いをする方は今までに見た事があります」
「わたしも…ありますね…」
玲花の回答に続いて自分もそれに便乗する。実際、そういう人に心当たりはあった。
「だろう。で…陰山さんは鈴をどうしたい。このことを指摘するのか?直せと言うのか?そうしたとして、鈴は今後どうしたら良いんだ?」
言葉が重い…。夜星から、真士は鈴にすごく優しくなる時がある…とは聞いていたがここまでなのか?成人男性が赤の他人の学生に向ける感情では無いような気がするが…。
「どうしたいというか…わたしは…連携するにあたって、天然さんの人に好かれすぎる振る舞いや存在感は…多少…ノイズになってしまうんじゃないかと…思って…」
言葉が詰まる。手が震えてきた。玲花が隣で混乱しているのがわかる。申し訳なさでいっぱいになる。
「陰山さんの言うことには一理ある。俺もわかっている。でも、触れる必要はないんじゃないか?鈴に変わることを…鈴にだけ強いるのか?」
「いえ…そんなつもりは…」
沈黙が流れる…。完全に失敗した。いつも通りだ。上手くいったと勝手に盛り上がって、一気に下手を打つ。そう…いつも通り。
「陰山さん…大丈夫ですか…?」
玲花が心配してくれているが、酷く遠くに聞こえる。
「写野さん…私からも…天然さんを批判するような言い方をするのは気が引けますが一つ」
「なんだ?」
真士の声は落ち着いていた。怒りなどは感じられなかった。
「以前、我が宝城家に天然さんと執印さんを招いた時です。2人の関わりを見ていましたが…確かに異様な感じはしました。これは私の主観ですが、個人が抱いた感想、という事実として伝えさせていただきます」
「そうか…わかってるよ…」
そう真士は答えた。わかってる?どういうことだろうか。
「悪いが…鈴の件は触れないでくれ…話さないでくれ…誰にもな。それだけは守ってくれ。そうすれば連携の話は必ず通す」
真士の声は切実なものだった。
「わかりました…」
わたしは掠れた声で答えた。隣で玲花もそう答えていた。
気がつくと真士は去っていた。隣には心配そうな顔をした玲花が座っていた。
「陰山さん…?」
「宝城さん…ごめん…ごめんね…やっぱり上手く出来ないや…天然さんにも申し訳ないし…何やってんだろホント…」
涙が出てきた。本当に情けない。それに自分の無神経さに苛立つ。真士が鈴のことを大事にしているだろうことは夜星の発言でわかっていた。わかっていた上であんなことを聞いてしまった。
「陰山さん…そんな…泣かないでください…」
玲花が慰めてくれる…が涙は収まりそうになかった。
泣かないでください。
木葉にそんな言葉を投げかける資格が自分にあるのだろうか。以前、私は彼女のことを徹底的に潰しにかかった。今となっては彼女や天晴のおかげで和解できているが、やってしまったことは事実として残る。
泣いている木葉を見て思う。
きっとこの人はやってしまったという残った事実に苦しめられるのだろう。
「陰山さん…こんなことを言うものでは無いかもしれませんが…やってしまったことはもう取り返しがつきません。受け入れるしかないんです」
ダメだ、こんな慰め方は存在してはならない。しかし、他の言葉が見つからない。
「…私は貴方や陽向くんのおかげで自分がやったことと折り合いをつけ、今皆さんと一緒に戦えています」
上手く…言葉を紡ぐ…。
「陰山さん…貴方は…私を恨んでいますか」
この言葉に木葉は強く反応した。こちらを見つめ…強い口調でこう言った。
「ううん…恨んでない」
「そうですか…ありがとうございます…」
「どうしてそんなことを聞くの?」
深く息を吸う。
「きっと写野さんもそうです。恨んでなんかいません…まぁ人の気持ちなんてわかるはずもありませんが…きっと…そういう感情はないと思います…ごめんなさい、上手く纏まった話ができませんでした」
前の自分では絶対に言わないようなことを口にしている実感があった。なんだか不思議な感じだ。
「確かに…よくわかんないや…でも」
メガネをずらし涙を拭う木葉。その口元は少し笑っているように見えた。
「陰山さん?」
「わたしもう少し頑張ってみる。天然さんを変えるとかじゃなくて…みんなが上手く一緒にやれるように」
「…はい!私も微力ながらお手伝い致します」
「ありがとう!宝城さん!」
予兆が来た。どうやら木葉も感じているようだった。
「どうしよ…こんな顔じゃみんなに驚かれちゃうかな」
「すぐに変身しましょう。そうすれば表情は多少誤魔化せますよ」
「そうだね!行こう!」
空間が捩れる。
あの空間。陽向天晴はそこに立っていた。
さっきまでいた極彩の倉庫とは似ても似つかない風景。
周りを見渡すと2人の人影があった。
「おっ、陰山さんに宝城!」
共に戦い慣れた2人。少し気は楽だった。
…と木葉の表情に違和感を覚えた。
「あれ…陰山さんどうかしました?」
「ん?何が?いつも通りだけど…」
笑ってみせる木葉。俺の勘違いだったみたいだ。
「アッパレ、何をしている。早く人か敵を探すぞ」
後ろから声をかけてきたのは十六夜だった。
「わかってるよ十六夜ちゃん…って今回はこの4人か」
俺、陰山さん、宝城、十六夜ちゃん。いわゆるレッドチームってやつだ。最近、一気に4人も増えてややこしくなってる感じはあったし、この慣れてる4人なのは気が楽だな。
「今回はすぐにまとまりそうですね。十六夜さんはくれぐれも無茶はしないようにしてくださいね」
玲花の忠告を聞いているのか聞いていないのか
「とにかく変身だ。早く助けに行かねば」
と十六夜は言う。大丈夫か?
「そうだね、急ごう!じゃあ…」
木葉の合図に皆が絵の具を捻り武器を出現させた。
「「「「彩色顕媄‼︎‼︎」」」」
姿を変えた俺たちはいつ振りかの捜索を開始した。最近はすぐ敵に出会っていたので不思議な感覚だった。
「陰山さん。さっきはいつも通りって言ってましたけど…本当なんすか?」
俺は陰山さんと行動していた。さっきの表情が少し気になったからだ。
「えっ…どういう意味?」
「いや…なんていうか…無理して笑ってたような気がして」
陰山さんは黙ってしまった。聞かないほうがよかったのか…?でも…。
「もし辛いなら支えになりたくて…無理させてるのかもって思うし…こういうこと聞くの良くないかもですけど…また宝城と何か…」
「何もないよ!」
大きな声だった。こんな声を出すとは思わず、かなり驚いてしまった。そんな俺の表示を見てか、陰山さんはハッとしたような表情でこう続けた。
「ごめん、陽向くん。本当に大丈夫だから。それに…」
言い淀む。
「それに…?」
「宝城さんとは大丈夫。あれ以来、上手く出来てるんだ。すごく助けてくれるし」
また笑ってみせる木葉。
「そうですか…。すんませんしつこく聞いちゃって。大丈夫なら良かったです!」
「ううん。心配してくれてありがとう。わたしも…急に叫んでごめんね」
「いや、俺も悪かったです。」
悪かった。無意識に宝城を疑っていた自分の考え方は間違っていた。
後方で金色の光が上空へと昇っていた。
「陰山さん!」
「うん!」
俺たちが光の元へと走り出そうとしたその時。
「お待たせ天晴!」
目の前に鈴が現れた。隣には…執印國明がいた。
「待ってたぜ鈴!宝城たちが何か見つけたっぽいから、あっちに向かうぞ!」
「おけ!よぅし、行くよ國明くん!」
「仰せのままに」
俺たちは駆け出していった…と陰山さんが着いてきていないことに気がついた。
「ちょっ…陰山さん!どうしたんですか!」
「…あっごめん!ぼーっとしてた!」
慌てて追いかけてくる木葉。
やはり何かあるんだ、と天晴は思った。
だが、宝城たちの元に行くのが先だった。
たどり着いたその時、決着はついていた。
『十六夜流剣技 落雷!』
『刈月光狩!』
十六夜と夜星の連続攻撃が怪物を倒していた。結構な距離があるが、こちらの方が高所だったため、なんとなく視覚で判断できる。
「あれっ、こういうパターンもあるのか」
ここまで来たが徒労だったな、と天晴は思った。
「あっ、夜星くん真士さんも来てたんだね」
鈴の言葉で遠目に写野真士がいることにも気づいた。全員集合か。
「鈴様、ご足労いただきましたが一足遅かったようですね」
「いーじゃん別に。連れてこられた人は助けられたんだしさ!」
「確かに!鈴の言う通りだな!」
天晴が同調するのに合わせて國明も同調したようだった。
「•••!」
後ろで木葉が何か言っているのが聞こえた。
…真士もこちらに気づいたのか目線をこちらに向けている。
「おーい真士さーん」
鈴の声に目線を変える真士。
「陽向さん」
「おっ!な、なんすか!?」
突然、國明に声をかけられ心臓が止まりそうになる。
「ここからでも連れてこられた方が光に包まれているのが見えます…なのに私達が戻らないということは…」
そうだ。つまりは…。
「いやぁ、皆さんお揃いのようで」
玲花たちのほうにアイツが現れた。レルムだ。なんだかわからないがヤツの声はやけに通りが良かった。
「…6.7.8。うむ、これで全員ですね。今回は皆様に会って頂きたい方がおりまして…」
誰だ。
「あちらをご覧ください!」
レルムが指し示したのは俺たちの後ろだった。そこには…クラゲを模したような怪物がいた。
「我ら"ニュークリア"三幹部が1人、クヴァレ様です!!!」
次回ッ 第十四話 アッパレチリン!




