表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/52

09.収穫と宴

 俺は有言実行した。


 公衆トイレ用の水路を引いたのち、すぐにコボルトたちの家の分の木材を切り出し。

 彼らの家を完成させたのだ。


 まあ、実際に作ったのはコボルトたちだが。




 そういうわけで一応今この拠点に居る者たちの家は作り終えた。

 そして家の中には家具もある程度備え付けてある。


 そう。


 家具だ。


 ウンディーネのフィーネを迎え入れたことで創造神器の新たな形態が解放された。

 新たな能力は解放されなかったが、まあ毎回解放されるわけでもないのだろう。


 そして解放された形態だが……。


 ノミだ。


 ノミとは、手に収まるサイズの柄に平べったい刃がついている工具。


 そう。


 これまで解放されていたつるはしと斧、ハンマーはそれなりに大きかった。


 それゆえに家具作りなどの細かい作業は難しかったのだが……。


 新形態のノミがそれを解決してくれた。


 しかもこのノミ……握ると器用さが上がるとでもいえばいいのか。

 俺の器用さじゃできないような細かい作業も軽々とこなせる。


 木材を加工してコップを作る。

 普通のノミだったらかなり時間がかかって失敗に終わる結果になるだろう。


 だがこの創造神器のノミは……イメージしている通りに手が動くとでも言えばいいのか。

 すいすいと手が動いてそう時間もかからずにコップを完成させることが出来たのだ。


 そのコップの制作風景を見ていたルシュにもだいぶ驚かれた。

 種族柄器用なコボルトでも驚く手際だったようだ。


 創造神器のおかげだとはいえ、手際を褒められた俺はついテンションを上げてしまった。


 上がったテンションの赴くままいろいろな家具、小物を作ってしまった。


 コップに始まり皿、箸、スプーン、かご、ベッド、棚……。


 気づいたら俺の家はかなり充実していた。


 コボルトたちも俺の制作風景に触発されたのか、競うように家具を作り出しコボルトたちの家もかなり充実したようだ。


 ここ、世界の果ての木材は硬いため苦労したようで、コボルト十人がかりで俺一人が家具を作るスピードと同等だった。




 そして。

 今俺は畑を世話している。


 ノミで作った木のじょうろで水を上げているのだ。


 ちなみに最初にじょうろで水を上げ始めたとき、それまではムイに頼って水を与えていたのでムイが少し拗ねてしまった。


 ムイに機嫌を治してもらうまで、小一時間撫でる羽目になった。


 まあそれはともかく。

 じょうろの中の水はフィーネのところからもらってきた水だ。


 ウンディーネが住む水は特別な水になるらしく、作物に使うと、防虫、防病、さまざまな効果が期待できるらしい。


 さて、畑だが。

 最初は洞窟周辺を採掘してなぜか出てきた種を一つだけ植えていた。


 が、今はそれ以外にもいくつかの種を植えている。

 コボルトたちが持っていた種だ。


 いつか再興を果たすため、集落から持ち出してきた物らしい。


 ここに居つかせてもらうのだから……と、コボルトたちは種を提供してくれた。


 その決意、とてもありがたいものだ。

 俺はしっかりと世話をして必ず芽吹かせて見せると誓ったのだが。


 そう意気込む必要もなかったかもしれない。

 俺の予想以上にすくすくと種は育ち、収穫できるまでもう少し……というところまで来ている。

 しかも種もそう多くは蒔いていないのに、かなり多く茂っている。

 途中で畑を拡張する必要があったほどだ。


 この成長は異世界の植物なのだからかとも思ったが。


 どうやらコボルトたちにとってもこの成長の早さは予想外だったらしい。


「こんなに早く成長するなんて……いったいどういうことなんでしょう……」


 フィーネにも聞いてみる。


「いや~~~ウンディーネの水は確かに少しは作物の成長を促進させるけどぉ~。この早さはちょっと予想外かもぉ~」


 うぅむ……。

 考えられる線としては、この土地がそういう土地であること。

 もしくは、創造神器で畑を作ったから、か……?


 まあ、これは次に畑を作る時に実験してみればいい。

 次に作物を作る時、一部を創造神器を使わずに作った畑に植える。


 それでもし成長速度に差が出たら……この成長は創造神器のおかげだということだ。


 そういうことを考えつつ畑の世話をしているとその日が来た。


 収穫の日だ。




 俺はいつ収穫すればいいのか詳しいところはわからなかったのだが、ルシュが教えてくれた。

 自分たちの集落ではこのくらいの時に収穫していた、と。


 ルシュの言葉に従い皆で収穫作業をする。


 かなり多く実っていたとはいえ蒔いた種はそう多くないのでまだまだ少ない。

 収穫は一日で終わった。


 取れた作物は、コボルトたちが持ち込んだ種からニンジン、玉ねぎ、小麦。


 そして採掘で出た種は……ジャガイモだった。


 俺はついガッツポーズした。


 採掘で出た種は食べられる種だったのだ。


 コボルトたちも喜んでいたが、困惑もにじませていた。


 俺がどうしたのか、と聞くと。


「ああ、いえ。集落で育てていたものより大きくぎっしり実っていまして……。成長が速いだけでなくこんな変化もあるのか、と……」


 なるほど。

 どうやら成長速度や量だけじゃなく実の大きさまで変わっていたようだ。


 もしこれが創造神器のおかげなのだとしたら足を向けて眠れないな。

 収穫速度が速いうえに収穫量も多いとは……これなら住民を増やしても十分食を支えられる。




 さて。

 最初に取れた作物は大半を増やすために使うとはいえ……収穫したものを何も食べられないというのはさすがにあんまりだ。


 俺は収穫された野菜を使って今日だけは宴を開くことにする。

 とはいってもささいな食事会みたいなものだが。


 というわけで取れた野菜を料理する……前に。


 ルシュに聞くことがある。


「はい?なんでしょう……?」


 コボルトって……玉ねぎを食べて大丈夫なのか?


 犬にとって玉ねぎは毒だと聞いたことがある。

 創造神器で俺に対しては危険はないことはわかっているが、コボルトたちにとってどうかはわからない。


 というわけで聞いてみる。


「ああ、ご心配してくださったんですね……。ありがとうございます。ですが大丈夫です。というか……毒であったのなら集落で育てていませんよ」


 それもそうだ。

 自分たちにとって毒となる作物をわざわざ育てはしないだろう。


 安心した俺は料理を作り始める。


 とはいっても簡単なものだが……。

 コボルトたちにも手伝ってもらって玉ねぎ、ジャガイモ、ニンジンの皮をむく。

 そして大雑把に切って水をなみなみに注いだ石の鍋にまとめて入れる。


 ちなみにこの石の鍋は創造神器のつるはしで作ったものだ。

 細かい調整はできなかったため何回も失敗したし、かなりどでかい鍋になってしまった。


 とはいってもこういう風に大量の料理を作るのには十分だ。


 鍋を火にかけ野菜を煮る。

 ある程度煮えたら兎肉を投入。


 そして肉と野菜が十分に煮えたら岩塩で味付けをして完成だ。


 簡単なスープだがそれでも今できる一番のご馳走だ。


 皆で分け合い一斉にいただく。


 すると……。


「うぅっ……ヒクッ……こんな……こんな美味しい料理は……初めて食べました……」


「美味しい~美味しいよぉ~……水が……こんなおいしいスープになるなんてぇ~……」


 みんな食べながら泣いていた。


 俺も食べてみるが、本当に美味い。


 野菜は素朴だがとても旨味が強く、岩塩に全く負けていない。


 ルシュたちは確かに今はある程度満たされているとはいえ、放浪生活を送っていたのであれば、このスープに感涙する気持ちもわかる……。

 それくらい美味しい。


 フィーネは……ウンディーネは水さえあれば生きていけると言っていたのだが、せっかくだから一緒に食べようと誘ったのだ。

 彼女もどうやら美味しい食事は初めての経験なのだろう。

 コボルトたちと一緒に泣いている。




 その日の宴はささやかだがとても暖かいものになった。


 この生活を守りさらに発展させていくためみんなで頑張ろうと俺たちは一丸になった。


 宴をやってよかったと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ