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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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87.雪合戦とソリ

 そうしてしばらく。

 レースピアの街では雪だるまづくりが流行った。


 最初は屋敷でだけ流行っていたのが……いつの間にか街全体に広がっていた。

 そして広がった際、雪だるまの正式な作り方として、顔は俺の顔にすること、と伝わったらしく……俺の顔をした雪だるまが増殖した。

 それこそ雪だるま式に。


 いやぁ……まさかこんなことになるとは。


 俺は軽い気持ちで雪だるまを作ったって言うのに、こんな俺の雪だるまが増殖するような事態になるとは思わなかった。

 春が来たら溶けるし、別に構わないと言えば構わないが……気恥ずかしい。

 なので対策を打つことにした。




「それでは、赤チームは右側陣地に、青チームは左側陣地にそれぞれ分かれてください! その後少々の作戦会議を行った後、雪合戦を開始します!」


 そう、俺が取った対策とは……雪合戦だ。




 審判を買って出たリネイアの後ろ。

 なぜかいつの間にか作られていた観戦席の一番いい席に座って雪合戦のフィールドを見下ろしつつ思う。


 なんか……皆、ガチじゃない?


 俺は最初、「やったなー?」、「このー」みたいなほのぼのとした雪合戦を広めるつもりで皆に話した。

 そうしたら。


「ふむ……雪を使って行う”合戦”ですか……」


「なるほど、代表様。鈍りやすい冬にこれを行うことで気を入れ直せと、そういうことですね」


「それじゃ……”マジ”でやんないとっすねぇ~!」


 と、そんな感じであれよあれよとほのぼのな遊びじゃなく、ガチの行事になってしまった。

 口を挟む暇もなかったな。


 そんなわけでガチになってしまった雪合戦だが、ルールにはかろうじて口を挟めたのでまあそれっぽくはなっている。




 まず大枠としては、参加者を赤と青の二陣営に分けて行う集団戦。


 それぞれのチームには大将を決めてもらい、この大将が討伐されたら敗北だ。


 討伐条件は頭か胴体に雪玉を当てること。

 これは通常参加者も同じ。

 当たった者はアウト。

 速やかにフィールド外に退場してもらう。


 当たったかどうかは基本自己申告だが、リネイア以外にも審判に名乗り出てくれたものが幾人かいるのでそちらにもチェックをお願いする。


 ちなみに参加者には腕にそれぞれ赤と青の布を巻いてもらい、大将にはさらに頭にもその布を巻いてもらっている。

 これでジャッジミスも少なくなるだろう。

 一応フレンドリーファイアは無しのルールにしているからな。


 そしていくつか禁止事項もあり、抵触したら即退場。

 違反の程度によっては出場禁止処分だ。


 出場禁止処分にする違反は具体的には危険行為だな。

 例えば雪玉に石を混ぜる、と言った。

 絶対にやらないように。


 と、まあルールはこんな感じだな。




「……そこまで! 作戦会議の時間は終了です! それでは雪合戦……開始!!」


 ドォォォォーーーーーンッ!!!


 屋敷の中から運ばれてきた太鼓がリネイアの開始の合図とともに重々しく鳴り響く。

 ……いつの間に持ってきたんだ?


 そんなことを考えている俺の目の前で雪合戦が始まる。

 参加者は総勢百人。

 小規模だがまさに合戦だな。


 まず始まったのは先鋒同士の小競り合い。

 それぞれフィールド中央付近までやってきて、そこで雪玉を投げ合う。

 陣地に身を隠し、頭と胴体だけには当たらないよう気を付けながら投げているな。


 っていうか……雪玉の速度凄くないか? あれ……。

 全員メジャーリーグの投手かってくらいの剛速球投げてるんだけど……。

 俺が参加したら一発KOされそう。


 ちなみに俺は参加する気満々だったが、スムーズに観戦席に案内されたので大人しく座っている。

 まあこの光景見ると参加しない方が良かったか?

 ……あとでほのぼのした雪合戦も提案してそっちに参加しよう。


 そうやって眺めていると戦況に変化がある。

 青チームがフィールドギリギリの端を少人数で突破しようと試みたのだ。


 観戦席は少し高さを付けられているから、その動きもよく分かるが、実際にフィールド上にいる者に見抜くのは難しいだろう、と、俺はそう思ったのだが。


「青チーム三名、赤チーム二名! 速やかに退場してください!」


 赤チームは見事に防いだ。

 これまたフィールドギリギリの場所に伏兵を忍ばせ、見事に迎撃。

 青チーム三名をアウトにした。

 しかし青チームもさるもの。

 奇襲を受けた側だというのに即座に切り返し、二名をアウトにしてのけた。


 とても見ごたえのある攻防だった。

 結果としては痛み分けと言ったところか。


 そういった攻防が幾度も続き……。


「それまで!」


 ドォォォォーーーーーンッ!!


 太鼓の音とともに終了の合図が出された。

 結果は……。


「勝者は……赤チーム!」


「クッ……届きませんでしたか……!」


「いえ、ルシュ殿。紙一重でした。少しでもミスがあれば負けていたのはこちらだったでしょう」


 勝利したのはハイラ率いる赤チーム。

 青チームの対象だったルシュが悔しがっている。


 そんなルシュにハイラが紙一重だったと声を掛けているが……外から見ていた俺も正直そう思う。

 青チームは最初のあれの後も何回も奇襲を仕掛けては痛み分けに終わっていたが、あのどれか一つでも通っていたら結果は逆だっただろう。


「しかし、結果は結果です。受け入れましょう。次は負けません」


「ええ、また戦いましょう。良い戦いでした」


 大将同士が健闘を労い、再戦を約束しながら握手を交わす。

 それを見て、参加した選手たちもそれぞれ握手を交わしながら健闘をたたえ合う。

 なんだかんだいい感じに着地したな。

 俺の目的の雪だるまブームを塗り替えるって目的も果たせそうだ。


 だけど、あんなにガチだと俺は参加に二の足踏んじゃうから……普通のほのぼのとした雪合戦も広めよう。


 そう決意して第一回雪合戦は終了。


 ちなみに再戦はまた日を改めて行うのかな? と思っていたが、握手を終えた後陣地を修復し早速第二回を開催していた。

 まあ楽しそうで何より。




 さて、雪合戦ブーム火付け大作戦が不発だった場合に備え、他にもいくつか雪遊びを考えていたが、不要になってしまった。

 しかし、遊びの種類なんて多くて困ることなんてないんだからやっていく。


 というわけでノミをふるい作り上げたのはこちら。

 ソリだ。


「何だこれ? へぇ? 雪の斜面を滑る乗り物? ソリって言うのか……代表さんはほんといろいろ作るなー」


 と、覗き込みながらそう言ってくるのはフリストル。

 初回の雪合戦に参加していたが、少し離れた場所でやっている二回戦には不参加。

 俺が何か作っているのに興味を持ってふらふらと見に来た。


「でも代表さん、街に雪の斜面なんてなくないか?」


 フリストルはそう素直な疑問を呈してくる。


 その通り、レースピアの街は俺がきっちり整地したからそんな滑れる斜面はない。

 なので雪を積み上げて今から作るわけだが……。


「んー……でも代表さん、結構大変だろ? それ。……よしっ! 俺に任せてくれ! 代表さん!」


 そう言って胸を張るフリストル。

 まあ、こんなに力強く言うなら……と、俺は任せることにする。




 ズザッズザッズザッズザッ!


 雪の上を勢いよく走る音が響く。


「ははっ! どうだ代表さんっ? わざわざ斜面なんて作らなくても滑るだけなら俺らが引くだけで十分だろっ?」


 勢いよく走りながら、フリストルが背後の俺にそう声を掛ける。


 そうだな! こっちの方が手っ取り早いな!


 俺はソリで滑りながらそう返す。


 そう、あの後任せてくれと言ったフリストルは駅から予備の手綱を持ってきてそれをソリに装着、そして俺を乗せ走り出した。

 ソリは雪の上を勢いよく滑っている。


 斜面を滑り降りるのも良いがこうやって引いてもらって雪原を駆け回るのも良いな。


 俺はフリストルにソリを引いてもらいながらそう考える。

 というか引いてもらうこと前提ならもっと大きめのソリ作ってもよかったな。

 サンタクロースみたいな。


 そうやって軽く周囲を走って戻ってきてみれば……視線を感じた。

 見回してみると皆がちらちらとこちらを見ている。

 どうやらソリに興味が湧いたようだな。


 俺はそのままいくつかソリを作り、フリストル含むケンタウロスたちに引いてくれるよう頼む。

 すると。


「うわっ……凄い! 振動が全然来ない! 滑ってる!」


「これは新感覚です」


「もう一周お願いします」


 高速で雪の上をすべるという感覚が新鮮だったのかかなり好評だった。

 その後も興味を持つ者が増えたので俺はソリ作りにいそしみ、最終的に小型のものから大型のものまでかなりの量のソリを取りそろえることになった。


 そして雪の斜面も作った。

 ケンタウロスたちの数にも限りがあったからな。

 ソリに興味を持った者が手伝ってくれたので雪の斜面はすぐに出来た。

 というかラウームたちがスノウゴーレムで雪をかき集めたら一発だった。

 最初から頼んでおけば良かったな。


 そんな感じで雪合戦同様、ソリもかなり街で流行り……。

 最終的にはソリは遊びに使うだけでなく、雪道を進むための乗り物としても普及することになった。

 犬ぞりならぬケンタウロスぞりだな。


 冬場の移動手段として重宝する未来も……あるかもしれないな。


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