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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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85.改良と夜の訪問

 と、そう決意して三日ほど。

 俺はその後も試作カラオケゴーレムの改良を続けていた。


 大きく変わったのはアタッチメントアームだ。

 最初はピアノように調整して試作したものの、カラオケゴーレムと言うからにはやはりすべての楽器が弾けなければならない。

 なので、本体と腕部分を別にして、腕部分を付け替えることでどんな楽器にも対応できるようにした。


 他にもいろいろと思いついたのはあるが……ラウームがまだまだ慣れない作業だから、と改良することが出来なかった。

 まあこれはラウームがカラオケゴーレムづくりに熟達すれば何とかなるだろう。


 後は最大の問題……カラオケマシーンなのだから全自動で曲を鳴らして欲しいという問題だな。

 手動でハンドルを回すのは、常に一定速度を維持しなければならないのでちょっと難易度が高い。


 とはいってもいいアイデアが思いつかなかったので……。




 ~~♪ ~~~~♪


「ハイ! ハイ! 頭! 頭!」


 俺は気分転換に歌っていた。

 曲は前世のものを適当に再現したもの。

 創造神器の針で楽譜布を作れば、俺のうろ覚えの記憶とたった七音しか使えない縛りがあってもそれっぽい感じになる。

 ……ああ、ちなみにマイクは拡音石を加工して作った。

 まだまだ数少ないが……まあちょっとくらいなら……いいだろ!


 ~~~~♪ ……ふぅっ。


 パチパチパチパチパチっ!


 歌い終わった俺にラウームが拍手してくれる。

 ハンドル回しながら相槌まで入れてくれていたし、めちゃくちゃ盛り上げ上手だな。


「いやー凄かったっすよ頭! 歌声もっすけど曲もっす! こんな曲聞いたこともないっすよ! めちゃくちゃアガったっすよ!」


 そう興奮して俺にまくし立ててくるラウーム。

 いや俺が作ったわけじゃないけどな、この曲。

 そんなにテンション上がるんなら次はラウームが歌ってみるか?


「いいんっすか!? ぜひ!」


 と、俺たちがそんな話をしていると。


「あ~、何か聞こえると思ったら~あるじとラウーム~。何してるの~?」


 フィーネがやってきた。




 うん? フィーネ? どうしたんだ……っていうか、何か聞こえた? 結界は張っていたつもりだったが……。

 ……あっ……張ってない……。


 楽器を作ってテンションに任せて思い切りかき鳴らした後。


 リネイアを筆頭にやんわりたしなめられたため、カラオケをするに当たって歌っている……というか音を出している間は、創造神器で防音の結界を張るようにしていた。


 だが……針に変えて楽譜布を作ったり、ノミに変えて楽器の微調整をしたりとしていたら結界を張り忘れていたようだ。


 いやー……ミスったな。

 創造神器は常に一つの形態にしか変化できないからこういうミスが起こってしまう。

 聞きつけたのがフィーネで良かったな。

 これがリネイアだったら、とても圧のある笑顔を向けられる羽目になったかもしれない。

 とにかく……。


 悪かった、フィーネ。

 次からはしっかり結界を張ったのを確認してから歌うことにする。


「歌う~? ラウームに弾いてもらって歌ってたの~?」


 ああいや、このゴーレムを使って……。


 と、きょとんとした顔で聞いてきたフィーネに試作カラオケゴーレムのことを話し……。


「へぇ~! すご~い! あるじとラウームそんなの作ってたんだ~!」


 聞き終えたフィーネの反応がこれだ。

 目をキラキラと輝かせながら、こちらを褒め称えてくる。


 いや、でもまだまだ改良の余地が大いにあって……特に自動でこれを回したいんだけどどうもアイデアが浮かばなくてな……。


「ん~? こうすればいいんじゃないの~?」


 フィーネはそう言ったかと思うと、水魔法を使いハンドルに水をまきつける。

 そして……。


 ~~♪


 ハンドルが回りゴーレムが演奏を始めた。

 これは……。

 そうか、この手があったか。


 フィーネが見せてくれたこれは言ってしまえば水車。

 水車の回転でハンドルを回し、ゴーレムに自動で演奏してもらう方法だな!


 ……だがこれだとウンディーネたちに魔法を使ってもらい必要があるか?


「大丈夫だよ~。このくらいのハンドルを回す水流なら誰だって出来るよ~。水魔石アクアストーンだってあるんだしね~」


 ……ふむ。

 本当か? ラウーム?


「え? そうっすね~。……まあ出来ると思うっすよ! 自分ら精霊種族なら簡単だと思いますっすし、よほど魔法が苦手な者でも無ければ水魔石アクアストーンがあればこれくらいの流れなら作れると思うっす!」


 ラウームは少し考え込んだのち、そう力強く言い切ってくれた。


 そうか……それなら!

 まあ完全自動とは行かないが半自動カラオケマシーンには出来る!


 俺は高揚しそのままの勢いでフィーネに感謝を告げる。


 ありがとうフィーネ! これでさらに改良が進みそうだ!


「わたしあるじの役に立った~? えへへ~嬉しい~」


 そう言ってにへらと笑うフィーネ。

 そんな彼女にさらに礼を告げつつ俺はラウームに声を掛ける。


 よし、それじゃあ早速改良して半自動型カラオケゴーレムを作ろう!

 そして屋敷の皆にも使ってもらうんだ!


「了解っす!」


 良き返事だ!




 と。

 そういうわけでさらなる改良を施し……俺たちは他の者の意見も聞くため、試作カラオケゴーレムver1.2を屋敷にリリースした。

 結果。


「素晴らしいです! もっと使わせてください!」


「いや次あたしだからー!」


「待っている時間がもったいないですね……いっそ自分で弾きましょうか……」


「いえ、他人の歌を聞くのもいいものですよ」


 バズった。

 屋敷中で。




 いやぁ……まさかここまでとはな……。


 評判を確認するために屋敷中を回り、再びカラオケゴーレムの開発室と化している部屋に帰ってきた俺の第一声がこれだ。


「いやいや当然っすよ! 頭のアイデアはそれだけ素晴らしいんす!」


「そうだね~。あるじが作った曲もいい曲だったしね~」


 いやだからあれは俺が作ったわけじゃないんだが……。


 部屋に居るのは俺、ラウーム、フィーネ。

 俺以外の二人がこぞって俺を褒めてくる。

 少しむずがゆくなりつつも、二人も褒める。


 いや、アイデアを出したのは俺だがそれを形にしてくれたのはラウームだ。

 ラウームが居なかったらここまでのものは出来なかった。

 それにフィーネも。

 フィーネがアイデアを出してくれたから半自動ゴーレムにたどり着くことが出来た。

 二人ともありがとう。


「そっ……そんな、言い過ぎっすよぉ~へへ~! でも嬉しいっすぅ~っ!」


「えへへぇ~わたしも嬉しいよぉ~! ありがとうあるじぃ~」


 そうやってお互いを褒めること十分ほど。

 俺たちは少し落ち着き冷静になった。


 いやぁほんと絶賛の嵐だったな。


「っすね。自分ももっと作ってくれって言われたっすよ」


「わたしも~。水魔法セッティングしてくれって~」


 皆、相当にハマったようだ。

 楽譜布は前世の曲を十曲分ほどしか作っていないのだが、皆繰り返し歌っていた。


 うん、まあ、オセロとか作って多少マシになったとはいえ娯楽少ないもんな、まだ。

 こうなるのも当然と言えば当然か。


 さて、試作型カラオケゴーレムたちは順番待ちが起こるほど人気だが、開発室にある一号機はフリーパスで使えるからな。

 これからもちょこちょこ改良しつつ、思い切り歌いたくなったときはここに来ることにしよう。


 ということでカラオケゴーレムづくりは一段落。

 最後に……。


 ラウーム、フィーネ。

 手伝いとアイデアの礼がしたい。

 何か欲しい物とかして欲しいこととかあったりしないか?


 ここまで手伝ってくれてクリティカルなアイデアを出してくれた二人に報いようと俺はそう聞く。


「欲しい物っすか……? でも頭と一緒にゴーレム作れただけで自分は……あ。いや、でも……」


「欲しい物~? 私はあるよ~! えっとね~あるじのね~……」


「! もしかして……フィーネもっすか……?」


 ラウームが驚いたかと思うと、俺に失礼しますっす、と一声かけて部屋の隅にフィーネを連れて行ってしまった。

 そしてそこで二人はしばらく内緒話をしたかと思ったら……揃って帰って来る。


「頭! 欲しいものが決まったっす!」


「決まったよ~!……私は元からだけど~」


 そして俺に力強くそう宣言。

 何かラウームは少し顔が赤くなっているか? まあいい。


 それで……欲しい物は?


「今ここでいうのは……その……。とにかく! 夜にお時間貰いたいっす! いいっすか?!」


 え? ああ、それはもちろん構わないけど……。


 俺がそう答えると。


「ありがとうございますっす! それじゃあ夜に!」


 そう言い残してフィーネを連れて去ってしまった。

 ……ふむ?




 そして、夜。

 事実に待機している俺の傍には……ムイが居ない。


 ここまでくれば俺でも、もしかしたら……まさか? そういう思考が頭を走る。


 そうやってそわそわしていると。


 コンコンっ……ガチャッ!


「おっ……おじゃましますっすぅ……」


「おじゃましま~す。来たよ~あるじ~」


 ラウームとフィーネがやってきた。

 その姿はかなり薄着で少し目のやり場に困る。


 えーと……二人とも。

 その姿って……やっぱり……そういう……?


 俺がそう聞くと。


「はいっす……! その……頭にお情けを頂きたくっ……!」


「わたしも~」


 顔を真っ赤にしながらそう言ってくるラウーム。

 フィーネの方は全く顔色が変わってなかった。


 いや、だけど俺はそういう意味で言ったんじゃ……。


「でもあるじは欲しい物なんでも言えって言ったよね~?」


 確かに言ったが……。


「ならいいでしょ~? それとも~、あるじは私達のこと嫌い~?」


 いや、そんなことはない、心から!


「……えへへ~。それならいいよね~?」


「頭っ……失礼しますっすっ……!」


 俺の言葉を聞いた二人は俺をベッドに追い詰め押し倒してくる。

 そして……俺は流された。


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