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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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84.カラオケゴーレム

 それから少し後。

 屋敷中に楽器が広まってかなり流行り、暇な時間は皆が楽器に触るようになった。


 この楽器ブームのあおりを受けたのはシエル。


「うぅっ……冬は怠けられると思ったのにっ……一日に何回も防音結界張らされるなんてっ……」


「シエル。ぶつぶつ言っていないで次はあの部屋にお願いします」


「うえぇっ……」


 ……まあ、部屋の形に完全にフィットさせた結界なんて高度な代物、今のうちの街ではシエルくらいしか張れないからな。

 俺も創造神器を使えば出来るが……創造神器だと一か所にしか結界は張れないし助けてやることはできない。

 頑張ってくれ。


「ひぃぃ~~~……」


 とりあえずシエルには手を合わせておくとして。


 俺はまだ作りたいものがある。


 というわけで再び空き室に。

 この間作った時から量産した楽器たちも一通り持ち込む。


 そして持ち込むのはもう一つ……というかもう一人。


「おはようございますっす頭! 今日も元気そうで何よりっす! ……それで、今日は何の御用っすか?」


 来てもらったのはクイーンノーム、ラウームだ。




 本来、ラウーム……というかノーム達は、冬の間は冬眠……というほどじゃないが、住居の中でじっと動かずに冬を越す。


 だが、凍眠するウンディーネのフィーネが眠らなくてよくなったのと同様、進化したラウームとハイノーム達は冬だろうと問題なく動き回れるようになった。


 ラウームはそれを活かして? 冬の間、俺の屋敷に滞在することになっていた。

 なのでこうやって、その力が必要な時にその力を借りることが出来るというわけだ。


 まずは来てくれてありがとうラウーム。

 そしてラウームにやってもらいたいことだが……ゴーレムを作って欲しい。


「ゴーレムをっすか? 了解っす! 頭の頼みなら早速……!」


 ああっとちょっと待ってくれ! 作ってもらいたいのは普通のゴーレムじゃないんだ。


「はいっす? ……普通のゴーレムじゃない?」


 疑問を浮かべているラウームに俺は告げる。


 ラウームに作ってもらいたいのは……楽器を弾くゴーレムだ。




 今回。

 俺が作ろうと思ったのは、ずばりカラオケだ。

 勝手に曲が流れて気持ちよく歌うアレ。


 俺はまず最初にカラオケを作ろうと思い至って、カラオケ用の機器なんてない場所じゃまず楽器作らないと無理だなと思い直し、先に楽器を作ることにした。


 そしてもろもろの楽器を作り終わり、今満を持してカラオケを作ろうとしている。


 俺がカラオケの可能性を感じているのは、先にラウームに言ったようにゴーレム。

 特定の条件で特定の行動をする……そんなゴーレムが作れれば、楽譜通りに楽器を弾くゴーレムが誕生するのでは? 俺はそう考えたのだ。


 というわけでそういうもろもろをラウームに伝える。


「え? う~ん、特定の条件で特定の行動っすか……出来なくもないと思うっすけど……」


 本当か?!


「はいっす。ただ……」


 ただ?


「さすがに今の自分じゃ難しい条件で動くゴーレムは作れないっす。もっと精進したら作れるようになるかもしれないっすけど……」


 そんなもろもろを伝えた結果のラウームの答えは、あまり難しいものは作れない、だった。

 ふむ、まあしょうがないな。

 そんなゴーレム作ろうと考えたこともなかったろうし、簡単なものなら作れる時点で凄い。


 とりあえず今作れるゴーレムで試してみて、今後どうするかはその後考えよう。


 というわけで用意したのは全種類の属性魔石。

 火、水、土、風、光、闇、そして魔物の体内とかから出てくる属性の付いていない魔石。


 そう、俺は魔石の属性によって音階を変えるのはどうか? と考えたのだ。

 魔石ごとにそれぞれドレミファソラシの七音階。

 当然楽器を弾くならこんなもんじゃ全然足りないが……まあなんちゃってカラオケならこれで十分だろう。

 さらに複雑な演奏は将来改良するであろうゴーレムに任せよう。


 じゃあそういうわけで……魔石の属性に反応するゴーレム作ってもらっていいか?


「ふむ……属性に反応するゴーレムっすか。そんなの考えたこともなかったっす……! さすがは頭! 任せてくださいっす! きっちり作り上げてみせるっす!」


 おお! 頼もしいな!


 ラウームが胸をドン! と叩いてそう豪語してくれる。

 俺はその姿からちょっと目を逸らしつつもそのままよろしくと頼み、ラウームは気合を入れてゴーレムを作成。


 気合を入れた成果なのか、ゴーレムはすぐに完成する。


「出来たっすよぉっ! 試作一号、属性に反応するゴーレム!」


 ババーン! と、そんな擬音が聞こえるくらい元気よくラウームが完成の宣言をしてくれる。

 完成したゴーレムのその姿は……二本の腕が生えた四角い置物、といった感じ。

 腕はそれぞれ片方は指七本、片方は指無しで皿のようになっている。


 随分……なんというか……シンプルだな?


「はいっす! 楽器を弾くだけなら移動の必要とか無いんで、最低限安定する土台さえあればいいっすし、後はそれに属性を読み取る腕と実際に演奏する腕を付けて完成っす!」


 ……なるほどな。

 確かに楽器を演奏するだけなら人型にこだわる必要もない。

 腕も今回は試作だから指という形にしているが、それぞれ楽器に合わせた形に変えればいいしな。


 後はこのゴーレムがきちんと属性に反応するかどうかだが……。


「頭! 片方の皿みたいになってる腕の方に魔石を置いてくださいっす! 上手くできてれば、もう片方の腕の指が属性に対応して動くはずっす!」


 よし、分かった。

 それじゃあ早速……。


 俺はまず、火魔石ファイアストーンをゴーレムの皿に置いてみる。

 すると……。


「! 動いたっ! 動いたっすよ頭! しっかり動いたっす!」


 大興奮のラウームの言葉通り、指が一本レバーの様に上がった。

 そのまま火魔石ファイアストーンを皿から取ると……指は下がる。


 流石だラウーム。

 しっかり魔力を読み取ることは出来ている。

 後は魔力だけじゃなく属性も読み取れるかどうか……。


 そのまま俺は、他の属性の魔石もそれぞれ皿に乗せてみる。

 結果は……。


「やったっす! 頭! しっかり出来てるっす! 我ながら流石っすよぉっ!!」


 さらにテンションの上がっているラウームを見ても分かる通り、大成功。

 皿に別の魔石を乗せると、試作ゴーレムはそれぞれ違う指を上げた。

 しっかり属性を読み取ることが出来ている。

 ラウームのテンションが上がるのもよく分かるな。


「やったっ! やったっすぅっ! ……ん? けど……頭?」


 何だ?


「属性を読み取れたのは良いんすけど……ゴーレムに演奏させるんっすよね? ならこれだと、音を出させる毎に魔石を取り換えなきゃならないって言う……かなり忙しいことになるんじゃ……?」


 そうなるな。


「そうなるな!?」


 俺の言葉に大きく口を開けて驚くラウーム。


「いや、いやいや……! 頭が言うなら自分らは魔性の取り換えでもやりますけど流石にミスっちゃうっすよ……」


 ……心配するのそこなんだ。

 高速魔石取り換え自体をやる分には文句付けないんだな……。


 まあ、大丈夫だラウーム。

 俺。ちゃんと。その辺。考えている。


「何でカタコトなんすか? いやともかく考えているって……?」


 ああ、それはこれだ。


 そうラウームに返し、部屋の持ち込んでいた物の中からそれを取り出す。


「何すかそれ? 木の車輪、に……取っ手がついてる……それにそっちは巻き取られた布? っすか? なんかぼこぼこしてるっすね」


 俺の取り出したものにラウームは頭にはてなが浮かんでいるようだ。

 無理もない。

 俺もこれだけ見せられて何に使うか聞かれても全く分からない自信がある。

 まあそれはともかく。


 これが何かは見たら分かるだろう。

 というわけでちょっとゴーレムを調整してもらってもいいか?


「? まあ、調整っすね、もちろんいいっすよ!」


 良き返事だ。




 そういうわけで試作ゴーレムを調整してもらった。

 形は大きく変わっていない。

 胴体に布を通す用の穴を作りそこに属性読み取り機能を設置した。

 そしてその穴には木の車輪に取っ手を付けたハンドルと、布をぴんと張って通すための土台。

 ハンドルを回すことでゴーレムの穴に布を通していく仕組みだ。

 そしてこの穴に通す布はこれ。


「あっ……この布巻き、なんかぼこぼこしてると思ったら! 魔石が縫い込んであるんっすか!」


 その通り。

 これは、楽譜だ。

 七音しか出せない単純なものだが。


 この布巻きをハンドルを回してゴーレムに送り込むことで、縫い込まれた魔石に反応してゴーレムが動く。

 一定の速度でハンドルを回し続ければ、それで音楽が奏でられるという寸法だ。


「なるほどっすねー……! さすが頭! しっかり考えてるんすね……! これがしんぼうえんりょってやつっすか!?」


 いやそんな大したものじゃないと思うが……現時点では手動で回さないといけないしな。

 その内自動にしたいとは思っているが。


「それでもすごいことっすよ! さすがっす!」


 ヒューヒューと口笛を……吹けてなくないか? それ……まあ、吹きながらこっちを褒めてくるラウーム。


 褒めるのはまだ早い。

 これがしっかりと動作するかどうか確かめないとな。


「おっとそうっすね! っすけどきっと上手くいくっすよ! そんじゃ早速……」


 ラウームにゴーレムを操ってもらい、ピアノにセットする。

 ピアノを選んだ理由は一番成功が分かりやすいかと思ったからだ。

 あと、演奏自体は鍵盤を押すだけで簡単だからな。


 そしてセットも終わり、俺はワクワクしながら木のハンドルを回し始める。

 すると。


 タタタッタンターン♪ タタタッタンターン♪


 ただの音の羅列じゃない。

 音楽が流れ始めた。


 よしっ……成功だ!


 俺はハンドルを持つ手とは逆の手でガッツポーズする。

 そうなってくれるはずだと想像しながら作ったものが、実際想像通りに動いてくれるととても嬉しい。


「凄いっす! ゴーレムが音楽を奏でているっすよ!!」


 見ているラウームも大興奮だ。


 まだまだ粗削りだし手動でしか動かせないものの、試作カラオケマシーン……いや、試作カラオケゴーレム一号はここに完成した!


 冬はまだまだ続くし、時間はある。

 ここからさらに改良を重ねていこう!

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