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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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76.発表会後半

 その後も発表会は続き様々な作品が発表された。

 例えば。


 ハイドワーフたちのチームが作った新型サスペンション。

 コスト度外視で作ったため量産が難しい代物だそうだ。

 コボルト、ドワーフたちが激しく拍手していた。


 エンジェルが作った、高性能複合結界。

 その性能ゆえに結界の範囲は約一センチ。

 使い道がないが結界の造りは美しいので発表会に。

 小さすぎたからか拍手はまばらだったな。


 マイコニンたちが育て上げた原寸大人型キノコ。

 努力は認めるが……正直不気味だった。

 今にも動き出しそうなくらいだ。

 でもかなりリアルな造形だったので、マニアな人気を博したのかそれなりに拍手はあった。


 そんな感じで進んでいき……。




『続いての芸術はこちら! ハイラ殿制作! キズキ様のミスリル像です!』


 次にステージに上ったのはハイラ。

 この発表会……かなり規模が大きくなったからか、種族の代表たちもなんだかんだでほとんどが参加している。


 そしてハイラの番が来たんだが……。

 うん。

 いくつか言いたいことがあるが……まず一つ。

 俺の像でネタ被りとかするか? 普通。


 ステージに共に上げられたのは、ルシュとほぼ同じ……俺をモチーフにしていると思われる美化像。

 違う箇所は……細かい造形が違うのと、材質がミスリルということだな。


 ……ミスリルはまあ、レースピアの街では安定して採れているとはいえ、貴重な鉱石ではあるはずなんだが……。


 そう思いながら、俺がふと視線をステージ下に向けると。

 そこではそのミスリル像をしげしげと見つめた後……地に膝をつくルシュの姿があった。


「ま……負けた……!」


 何に。


「……どうでしょうか、代表様。自分で言うのも少々恥ずかしいのですが……いい出来だと思っているのです」


 そんな俺のもとへハイラがやってきて俺にそう告げてくる。

 うん、いや、まあ、良い出来だとは思うけどもね?

 だけどさすがにこれは恥ずかしい……。

 と、俺はそう思うも。


「どう、でしょうか……?」


 目の前で耳をひくつかせ潤んだ瞳でそんなことを言ってくるハイラにそんなこと言えるわけもない。

 なので。


 あー……とても、素晴らしい出来だ。

 ありがとう、凄く嬉しい。


 俺はハイラにそう返答する。


「っ! ありがとうございます! もったいないお言葉です!」


 するとハイラは目に分かるほど喜色を浮かべて俺にそう返答してきた。

 予期せぬ羞恥責め二度目だったが、まあ、ハイラに喜んでもらえたなら良いだろう。


 そして。

 ハイラのミスリル代表像の評価は再び万雷の拍手だった。

 だから何でだ。




 そうして。

 次に発表のステージに立ったのはイアン。

 代表勢が出して来たのが二連続で俺の像だったため少し身構えたが……イアンが発表したのは剣だった。


 見た目は、両刃でやや細身。刀身は長く、立派な柄がついている。

 総じて英雄譚に出てくるような立派な剣って感じだ。

 美術館に飾るにあたり……とても正統派。

 ……いや、像が正統派じゃないと言っているわけじゃないが。


 やはり正当にカッコよかったからか、この剣はかなり拍手を集めたな。

 打ったイアンも誇らしげにしていた。




 次はフィーネ。

 こちらはウンディーネ全員での合作だな。


 品は……何といえばいいんだろうか。

 透明な容器の中を水が流れている……水の流れを鑑賞できるオブジェ?


 まあ確かに芸術作品なんだからこういうのも正統か?

 水の流れをじっと見て時間をつぶすとか出来そうだな。

 フィーネたちはステージ上で胸を張ってオブジェ? を見せつけている。


 結果は……そこそこだった。

 まあ、こういうのはわかりにくいと言えばわかりにくいからな、仕方ない。


 フィーネたちが思いのほか拍手が少なくてショックを受けているので、俺は好きだとフォローしておく。




 あと、オブジェを出して来たのはフィーネたちだけじゃなかった。

 こちらも合作でイグニータ。


 出して来たのは……ところどころが溶け落ちているような形になっている……鉄のオブジェ?

 イグニータ含むイフリータたちはなぜかうんうんとうなずいているが、正直これが何なのか全くわからない。

 俺に審美眼が無いからだろうか?


 だが……他の者も内心首を傾げていたようでこちらも拍手はまばら。

 フォローしておいた。




 そして、精霊繋がり? でチーム参加のラウーム。

 ちなみにユウフは不参加だった。

 風っていうのは形のないことが売りの一つだそうだ。


 話を戻して。

 ラウームたちが作ってきたのはゴーレム。

 どうやらこのゴーレム……耐用年数がとんでもないようだ。


 超長期保存用ゴーレムと名付けられたそれは、数千、下手したら数万年後でもその形を残しているらしい。

 このゴーレムに美術館の館内図など刻印すれば、はるか未来まで続く芸術の地図となる、とラウームたちは言った。


 そのフレーズが受けたのか……精霊たちの中では一番拍手が大きかった。

 ラウームたちはガッツポーズしていたな。




 そしてその後もどんどん進み発表会も佳境。


 次の登場はリネイアとシエル。

 二人同時にステージに上がるから合作かと思ったが、両者とも個人参加らしい。


 発表したのは……絵画。


 ステージに二つの絵画が同時に並べられる。

 どうやらどちらも風景画のようだ。

 片方には街の門、もう片方には俺の屋敷が描かれている。


 なるほどな、芸術と言ったらやっぱり絵画は定番だ。

 リネイアもシエルも紙作りに携わってたし、こうなるのも当然かもしれない。

 ……でもなんで二つ?


 俺が疑問に思うと司会のフォイルから説明がある。


『この二つの絵画、それぞれがリネイア殿とシエル殿の作なのですが! どちらがより優れている絵か決めたいらしく……同時に発表することに相成りました!』


 ……なるほど?


『私としましては芸術に上下をつけることは無粋だと思いますが……ほかならぬ作者がそう言うのであれば尊重いたします! なので皆さん! この二つの絵……より「良い」と思った方へ拍手をお願いいたします!』


 ふむ。

 どうやらリネイアとシエルが何かの拍子にどちらの絵が優れているか決めようとでも言ったのかな? それでこうなったと。

 まあ、別に殴り合いの喧嘩って訳でもないしな。

 こういう競い合いならむしろ歓迎だ。


 さて、それじゃあ俺もどちらかを選ばないとな……。


 そう思って二つの絵画を見比べるが。

 うん。

 さっきも言ったが俺に審美眼なんて無い。

 そんな俺が出した結論。


 両方良い!


 いや、うん、逃げだろうなこれは。

 だけど俺にはこれが限界だ。


 そう考えているところで時間が来たらしい。

 フォイルが拍手を要求した。

 俺は両方に拍手、結果は……。


「よぉっしあたしの勝ちぃ!」


「くっ……! 無念です……!」


 僅差だったがシエルの勝ち。

 シエルはガッツポーズしながら喜んでいる。

 対照的にリネイアはとても悔しがっているな。


 二人とも素晴らしい絵画だった。


「おっ、代表様。見てたよ~? 両方に拍手したでしょ~?」


 いや、あれは……両方素晴らしいと思ったから……。


「あははっ! いいよいいよ、そういうのもありでしょ」


 ほっ……よかった。

 シエルにこちらを責める意図はないようだ。


 あと……リネイア。


「……はい。不甲斐ないところを……」


 そんなことはない。

 今言ったがどちらも素晴らしい出来だった。

 もしまた機会があったらその時も是非見せて欲しい。


「代表様……! はい! 分かりました……! 次こそはシエルよりも素晴らしい絵を描きます!」


「お? 宣戦布告~? まあいいよ、楽しかったしねー。その勝負受けてたとー!」


 いや、別に次も勝負しろとは一言も……。

 ……まあいいか。

 なんだかんだ二人とも楽しそうだ。

 野暮はやめておこう。


 ああ、ちなみに。

 絵画だが、門を描いた方がリネイアで、屋敷を描いた方がシエルだった。

 次は何をモチーフにするんだろうな?




 そして、次にステージに上がったのはフリストル。

 発表するのは……馬具だな。


 鞍、頭絡、鐙、馬鎧……それらがセットになった物。

 というか見た感じこれ、馬用じゃなくてケンタウロス用だな。

 馬具ならぬ人馬具?


 フォイルの説明を聞くと。

 どうやらこの人馬具はケンタウロスに代々伝わる戦装束らしい。

 いい機会だから、レースピアの街の素材で再現したのだとか。


 なるほどな。

 文化を伝える物品も美術館に収める物としては鉄板だ。


 人馬具はかなりの拍手をもらっていた。

 まあシンプルにかっこいいからな。

 さっきのイアンの剣と同じ理屈だ。

 分かりやすい物は共感しやすい。


 フリストルは嬉しそうに尻尾をぶんぶん振りながらステージを降りた。




 そして入れ替わりで上がったのがクトネー。

 これで最後から二番目だ。

 クトネーの次で終わりってことだな。

 ちなみにニチャも不参加。

 注目を受けたくないらしい。


 他のアラクネたちはチームを組んで布や服なんかを発表していたが、クトネーもその例にもれず発表したのは服。


 だがその服は……他とはかなり違った。

 見るからに、とても豪華。


 一目見るだけでとても良いものだと分かるキラキラと光っている気さえする生地。

 とてもゆったりとしながらも締まっているところは締まっている造形。

 首元に大きくあしらわれたファー。

 後ろに大きく広がったマント。


 うん。

 どこぞの王様が着る服だって言われても納得する出来だ。

 ……ていうかあのファーもしかして三頭鹿の毛皮か?


『ファンタスティック! 実にファンタスティックな出来です! 他のアラクネの方も服を発表しておりましたが……一際豪奢! 着る宝と言っても過言ではありませんね!』


「ふふ、過分なお言葉ありがとうございますわ。……ですがこの服、まだ完成しておりませんの」


『ほう? それはどういう意味でしょう……?』


「代表さま。こちらへ来ていただいてよろしいでしょうか?」


 ? 俺?

 なぜ呼ばれたのか分からないが……まあ、とりあえずクトネーのもとに向かう。


「ありがとうございますわ。さて、皆さん……今またこの服を見て何か気付きませんかしら?」


 何かって……特に何も……


『なるほど! 理解しました! この服……代表様用ですね!?』


 ……はい?


 その言葉にあっけにとられ、クトネー作の服を見つめる。

 いや、確かに……間近で見たらサイズは俺のサイズに近い……いやけどさすがに――


「その通りですわ!!」


 その通りなのか!?


「この服は寸分たがわずに代表さまに合わせてお作りした服! レースピアの代表としてふさわしいものを作り上げましたの!」


 まさか……いや、まさか、本当に俺用だったとは。

 いまだに衝撃から立ち直れていない。

 ……いや、でもさすがにこんな服着る機会は――


「ですので今から代表さまに着ていただこうと思いますわ!」


 あるの!?


「服というのはやはり着られてこそですわ! 正しい評価を得るためにも……お願いしますわ代表さま!」


 キラキラと目を輝かせながら、俺にそう言ってくるクトネー。

 いや、さすがにこんな豪華な服を皆の前で着るのは……


『とても良い提案ですね! クトネー殿! 皆さんもそう思うでしょう!? 賛成の方は拍手をお願いします!』


 ――わあぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!

 ――ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちっーーー!!!


 秒で逃げ道をふさがれた。

 おのれフォイル。


 クッ……ここまでされたら……着ざるを得ない。


 俺は諦めを受け入れ着替えることにする。

 するとクトネーが大きな布を取り出して俺の周りに張ってくれた。

 ありがたい。

 ……いやでもこんな用意してるってことは最初から着せる気満々だったってことじゃ……。

 まあいい、今更だ。


 そうしてクトネーに手伝ってもらいつつ着替え終え。

 俺は皆の前にその姿をさらす。

 すると。


 ――わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!!

 ――ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちっーーー!!!!!

 ――代表! 代表! 代表! 代表!


 先ほどよりも大きい万雷の喝采と拍手、そして代表コール。


 とんでもなく盛り上がっている。


『素晴らしい拍手! これは改めて評価を頂く必要もないでしょう! 実にファンタスティックな衣装でした! 素晴らしかったです……クトネー殿!』


「ふふ、ありがとうございます、光栄ですわ。このために寝る間も惜しんで代表さまのために糸を織った甲斐がありました」


 フォイルの賞賛に謙虚に返すクトネー。

 まあ、確かに俺の羞恥心とかを抜きにすれば素晴らしい出来だ。

 着てみて分かったが、手足の可動域を全く邪魔せず、しかも軽い。

 このまま畑仕事だってできそうなほどだ。

 いや、やらないけど。

 ともかく……。


 本当に素晴らしい出来だ、クトネー。

 ありがとう。


「……ふふ。ありがとうございますわ。その言葉だけで十分以上の返礼になりました」


 俺の言葉にクトネーはそう返し、ふわりと笑った。




 ……そして。

 いよいよ次が最後の発表……なんだが。


『さあ! 盛り上がった発表会もいよいよ最後の発表! 最後に発表するのは……レースピアの街代表! キズキ様です!』


 いや、うん。

 大トリは俺だ。

 もしかしたら集まらないかもと思って、真っ先に参加表明したんだが……なぜか大トリにされた。


 にしてもこの空気の中で、この格好で発表するの?


 ……今からでも辞退できない? 駄目?


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