表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/120

71.見張り塔と病院

 次にやってきたのはレースピアの街、外縁部。

 建築するのは見張り塔。

 結構前にハイラに建築を進められた建物だ。


 いろいろと他の事優先にしていたからな。

 やっと作れる……といった感じだ。


 作る前にエルフからリクエストを集め、それを可能な限り詰めこんで建築する。


 結果としてできたのは石とマナコンクリで作った四角い塔。

 高さはかなり高い。

 多分俺の屋敷より高いと思う。


 中は五階建てになっていて、一番上は屋上で屋根がない。

 雨が降った時は、アラクネに作ってもらった撥水性の布で簡易的な屋根を作る。

 それぞれの階層には四方に窓が開いており、弓と矢が多く備え付けられている。

 もしもの事態がやって来た時はこの弓矢を使って敵を撃退するつもりなのだそうだ。


 最悪の場合には立てこもって戦えるように、一階部分と二階部分には寝室や簡単な居住設備もある。

 これは、普段は当直の仮眠用に使うらしい。


 そして棟には地上階だけではなく地下階もある。

 一階にあるカムフラージュされた入り口を開けると地下につながっているのだ。

 中には非常食を納めた倉庫。

 これも最悪の場合に使うためだな。


 ちなみにこの倉庫には俺の発案で隠し部屋が用意されている。

 もし最悪の時が来たらこの中に避難して欲しい、という思いから作らせてもらった。

 命あっての物種だ……本当に。


「素晴らしいです。感激いたしました……。ありがとうございます、代表様。それにルシュも……ハイコボルトの皆さんも。ハイエルフを代表して感謝を送らせていただきます」


 見張り塔完成の報を受け、早速塔を内見したハイラの第一声がこれだ。

 言葉通り、とても感激しているようだ。

 頬に赤みがさしている。


「いえ、構いませんよハイラ。見張り塔を作ると言ったのは主様ですから。我らはそれに従っただけです」


「それでもここまでの物を作っていただいたのですから、しっかり感謝は伝えなければ。……もちろん代表様にも。本当にありがとうございます。見張り塔が全方位に完成した暁には、一切の不審を通さぬ警備をお約束いたします」


 そう言ってこちらに一礼してくるハイラ。

 かなりの気合が入っている。


 ま、まあ……ほどほどにな……?


「そうそう、何事もほどほどが一番だよー」


 俺の言葉に同意するように上から声が降って来る。

 俺が上を見ると、そこにはシエルの姿があった。

 シエルは背の翼をはためかせ、俺の横に音もなく着地する。


 シエル? どうしたんだ?


「んー? あーハイラに呼ばれてねー。警備のことで」


「その通りです、代表様」


 ふむ?


 二人に話を聞いてみると。


 どうやら以前から話し合っていたらしい。

 レースピアの街の警備について。


 エンジェルとデモンズは翼を用いて飛ぶことが出来る。

 実際は魔法で飛んでいるらしいが。


 まあともかく、飛ぶことのできるこの二種族は自主的に空から周囲の警戒を行っていた。

 ……シエルを除いて。


 その姿を同じく自主的に警備に精を出していたハイラたちが目撃。

 もし、警備用の拠点が出来るようなら、ともにこの街を警備していこう……と、そういう話をしていたらしいのだ。


 なるほどな……そんなことが。

 ……ん? でもなんでシエルがその警備の件で呼ばれるんだ? 唯一何もしてな……ごほんっ! 待機していたんだろう?


「別に気を遣わなくていいのにー。あたしも正直来たくなんてなかったけど……リネイアが……」


 リネイアが?


「”一人だけ体力が余ってるんだから行ってきてください。しっかり自分も含めて担当を決めてきてくださいね”って……凄く圧をかけてきて……」


 あー……想像できる。

 眼鏡を光らせながら詰め寄ってきたんだろうなあ……。

 俺でも流されるかも。

 いやまあ俺は他の者に詰め寄られても流されてしまうが。

 改善しようとは思ってるんだけどなあ……。


 ともかく。

 そういうわけでシエルはハイラと警備のことについて話し合いに来たらしい。


 ……今思えば、塔の屋上に屋根を付けないでほしいとリクエストしたのはこのためか。

 屋上から直接、上空へ飛び立てるように。

 なるほどな。


 俺がそう考えていると、ハイラとシエルが話し込み始めた。

 邪魔は出来ないな。

 警備の編成なんかはどうせ後でリネイア辺りが報告に来るだろうし……今は次に行こう。

 他の見張り塔の建設に人を割いて次へ。




 次は門と外壁。

 外縁部に来たのは見張り塔じゃなくてこれらを作る目的もあった。


 これらは俺が発案したというわけではなく……他の住人が提案してきた。


 曰く、門というのは街の顔。

 これからやって来る住人たちに安心できる街だと伝えるためにも立派な門を作りたい……と。


 外壁も同じ理由だな。

 囲まれているのと居ないのとではいざという時の安心感がかなり違う。

 俺も堀を作って、兎が入ってこないようにしていたしな。


 というわけでまず作るのは門。

 一旦外壁は後回し。


 門を作る場所は、裂け目側。

 いずれは他の方向にも門を作るかもしれないが、今はこの一方向で良いだろう。


 まずはマナコンクリで門の枠を作る。

 そして次にそれに合わせるように門を作る。


 門の素材は何にしようか悩んだが、まあ開閉のしやすい木で作ることに決めた。

 木といえどこの果ての森の木は相当硬いし、問題はないだろう。


 木材を整えて、組み合わせて大きな扉の形にする。

 さらに表面を削り、今街に居る種族たちをディフォルメした姿を彫っていく。

 もちろんムイやシロたちも忘れない。

 これはたった今思いついたアイデアだが、街に種族が増える度にその種族を門に彫り込んでいくことにする。

 そうすればどんな種族が居るのか分かりやすいし、すべての種族が集まる街というのもいずれ示せるからだ。


 我ながらいいアイデアだと思っていると。


「これは……素晴らしいです、主様! 彫刻の精緻さもさることながら、我らや街に住む者たちを門に彫り込んでくださるとは……!」


 ルシュが……いやルシュだけじゃないな、一緒に門を作っていたハイコボルトたちが皆キラキラした目でこちらを見つめてくる。

 どうやら皆にとってもいいアイデアに映ったらしい。


 ハイコボルトたちは芸術品でも触るかのような手つきで門を扱っているが、門なんだからそう慎重に扱う必要もないだろう。


「ですが……この素晴らしい彫刻、素晴らしいアイデアが消えてしまうのは……」


 もし壊れたりしてもまた作ればいいだけの話さ。

 ……その時はもっと大きく作ろうか。

 街も人もさらに発展して増えているはずだからな。


「……ふふ。分かりました。主殿の望むその未来のため、我らハイコボルト、力を賭して主様に報います」


 ああ、ありがとう。


 そんな話をしながら、彫刻も終えた門をマナコンクリ製の枠にはめ込む。

 我ながら……その門は見事だった。

 マナコンクリ製の枠にハマった木の大きい両扉。

 表面にはまだまだ空きも多いが様々な種族が掘り込まれている。


 いつかはこの門いっぱいに彫り込めるほど種族が増えるのだろうか……、いや、これより大きい門でも足りないくらいになるかもしれないな。


 そんな希望を感じさせる出来だった。

 ルシュたちも……感極まったように静かに扉を眺めている。



「お! いたいた! おまたせしたっす頭ー!」



 と、そんな風に静かに扉を眺めていると、その静寂を破る者が現れた。

 ラウームだ。

 ……いやまあ俺が呼んでいたんだけどな。


「頭! 言われた通り空いているハイノーム達全員連れてきたっす! みんな万全っすよ!」


 近くまで近づいてきたラウームが、後ろに引き連れたハイノーム達を指しながらそう言う。


 ああ、ありがとう。

 頼みたいことがあって呼んだんだ。


「もちろん構わないっすよ! 頭の頼みなら自分ら何だってするっす!」


 ありがたいのは確かだが、安請け合いすぎてちょっと心配になるな。

 まあいい、それじゃさっそく……。


「この街を囲むように外壁を作りたい……っすか? なるほど、だからノームの自分らに……。頭の頼みだから全力でやらせてもらうっすけど……その……」


 もちろん分かってる。

 地魔石アースストーンを好きに使ってくれていい。


「ッ……ありがとうっす頭! やっぱ頭は分かってくれてるっすね! いくら自分らでも街全部を囲むほどの壁出すのは結構辛いっすから……。でも! 地魔石アースストーン使いまくっていいなら話は別っすよ! きっちり作り上げてみせるっす!」


 胸をドン! と叩きそう豪語するラウーム。

 早速用意しておいた地魔石アースストーンを渡し、まずは門に沿うように外壁を作ってくれと頼むと……。


 ……ズズッ……ズズズズズズズッ……!


 地面が揺れ、門の横の地面が大きくせりあがった。


 おぉ……凄いな、さすがは進化した土の精霊だ。


 その光景を見て、素直な賞賛が俺の口からこぼれる。

 ラウームたちは各々胸を張ったり頭をかいたりしてその賞賛を受け取っている。


 せりあがった壁を軽く叩いてみるも……とてつもなく硬い感触。

 ラウームに許可をもらって、ルシュに叩いてもらったが……。


「やはりとてつもなく硬いですね、ホーンラビットではまず無理。オルトディアーでも壊すのは難しいでしょう」


 ルシュもそう評価。

 これなら全く問題ない。


 このまま、街を囲うように外壁を作ってもらう。

 ラウームたちの魔法で作ったら、街を大きくしたい時にも撤去、移動が簡単だからな。


「任せてくださいっす! 頭の期待に応えるために全力で頑張らせてもらうっすよぉ!」


 そう言うとラウームたちはテンション高く外壁の作成作業に入った。


 とし、こっちは任せて良いな。

 それじゃあ門は作り終わってるし……こっちも次の施設を作ろう。




 次。

 病院。


 これはかなり作りたかった。

 今まで街では重病人や重傷者は出なかった。

 出たとしても、軽い風邪ぐらいで、それもしっかり食事をとって睡眠を取れば治っていた。

 うちの街の作物は栄養価も高いっぽいからな。


 だが人が増えるにつれて、こういう病院を建てておかなければ危ない事態というものも発生するかもしれない。


 それに、エルフたちに育ててもらっている薬草がかなり増えて来た。

 出るかもしれない患者に惜しみなく使ってしまってもいいほどに。


 というわけなので十分作れるだろうと判断したので今ここで作る。


 まあ病院と言っても、前世の現代的なそれではなく、あくまで他の場所より清潔で内科的な治療が出来る場所……、まあ療養所といった方が正確かもしれない。


 早速マナコンクリを使ってガンガンと建築を進めていく。

 ルシュたちもどんどん経験値を積んでいるからな。

 かなりのスピードで出来ていく。


 出来上がった病院は三階建ての建物になった。

 一階に待合室や診察室、薬草なんかの保管場所。

 二階以上が入院用の部屋だ。


 丸二階分も入院患者が出るようなことにはなって欲しくはないが……、まあ備えあって憂いなしという。

 一応用意はしておこう。


 さて、完成したので早速感想を聞こう。

 ここも見張り台と同じでエルフに担当してもらうつもりだ。

 薬草の扱いはエルフが一番だからな。


 そういうわけで、警備関係の話も終わってるだろうし、エルフを呼んできてもらった。


 そうしたら。


「お待たせいたしました、代表様」


 まあ、俺の予想通り話は終わっていたみたいで問題なく来てくれた。

 ナース姿で。


 ……え? 幻覚?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ