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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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66.馬車とトロッコ

 トンテンカン……トンテンカン……!


 善は急げ。

 トロッコと馬車の作成を決意した俺は早速試作型の作成に取り掛かっていた。


 まずはトロッコ。

 馬車よりも作りが簡単だと思ったからまずはこっちを作って慣れていく。

 本体は木製で車輪周りは鉄製。

 そしてついでに稼働確認用に少しだがレールも作る。


 木製部分をルシュに、鉄製部分をイアンにそれぞれ手伝ってもらう。


 まずは創造神器を活用してミニチュアを作りそれを見ながら実寸大で作っていく。


「ふむ……本体部分は簡単ですね。果ての森の木であれば強度も十分担保できますし。こちらは全く問題ありません」


「ふむ……こっちはレール? とやらと車輪をしっかり嚙み合わせるのが少し難しいですが……十分可能ですぞ」


 ルシュとイアンがそう報告してくれる。

 良かった。

 結構見切り発車だったから出来なかったらどうしようってちょっと思ってた。


 そのままルシュとイアンに手伝ってもらい、どんどん組み上げていく。

 するとそう時間もかからずに、トロッコの試作第一号が出来上がった。


 ……ゴロゴロゴロゴロゴロ……!


 出来上がったレールの上にトロッコを乗せて、押す。

 すると大した抵抗も感じずにトロッコを走らせることが出来た。

 レールと車輪の噛み合いがばっちりなんだな。

 さすがイアン。


「もったいなきお言葉」


 本体部分もしっかりしてて、数十年後でも使えそうだ。


「ありがとうございます、主様」


 二人が謙遜しながらも胸を張る。


 よし、順調。

 トロッコは簡単な造りだから本体を作るの自体は簡単だと思ってた。

 大変なのはむしろ線路を引くことだな。

 それは後でドワーフたちに相談するとして……。


 次。

 馬車。


 再びトロッコの時の様に創造神器でミニチュアを作りイメージを共有。

 だけど馬車はこの世界でも結構メジャーなようで、ルシュもイアンもどういうものか知っていたな。


 俺がイメージしたのはオーソドックスな馬車。

 四角い箱に扉と窓、そして車輪がついているイメージだ。


 最初はこれをイメージして作ってもらうが……これを絶対の正解にする気はない。


 前世の乗用車一つ取ったって、バンやオープンカー、果てはゴーカートなどいろいろ種類があったからな。

 こっちも色んな種類の馬車を作ったっていいだろう。


 と、そんなことを考えながらも俺たちはまず基本の馬車を作る。


 車体は木製なのでルシュ担当。

 そしてイアンに担当してもらうのは車軸部分、特にサスペンション。


 一応道路の上を走らせるつもりだから振動は少ないだろうが、未舗装の場所を走ることも十分あるだろう。

 そんなときサスペンション無しではかなりの振動が尻に伝わって、尻をやるだろうし、馬車自体にもダメージが入る。


 なので難しいとは思うがサスペンション……要するに鉄でできたスプリング、ばねを作ってくれるように頼んだんだが……。


「お任せください、進化したわしらにかかればそう難しいことではありませんぞ」


 そう力強い言葉を残し、イアンは鍛冶へ。

 そしてそう時間も経たずに帰ってきたかと思うとその手には鉄のスプリングが握られていた。


 お……おぉ……もう出来たのか!?

 凄いな……さすがはキングドワーフ……。


「ハッハッハッ! たやすいことですぞ。わしでなくてもハイドワーフなら作れましょう」


 流石。

 俺はイアンをほめちぎってそのまま車軸の作成に入ってもらった。


 よし。

 あの調子なら車軸は何とかなるだろう。


 車体も……見る限りは問題ない。

 さすがはルシュだ。

 俺が作ったミニチュア通りに組みあがっていく。


 そうして大して時間をかけることもなく馬車の試作一号も完成。


 早速乗り込んで引いてもらう。

 ちなみに引き手は通りかかったフリストルが俺に任せろ! と言ってくれた。


 扉を開け、ステップに足をかけ中へ。

 ふむ……このステップの位置、子供とか小柄な種族なら登るの難しいかもな。

 試作を作って良かった。

 実際に使ってみないと分からない問題点ってあるからな。


 早速中に座りフリストルに出発してもらう。

 最初は道路を、次に未舗装の場所を。


 道路は全く問題なかった。

 元々振動も少ないだろうと予測してたしな。

 本当に前世の道路を車で走ってるのと同じ感覚で乗れていた。


 そして未舗装の方。

 こっちはさすがに多少は振動があった。

 だが多少だ。

 想像していたほど強い振動はなかった。

 素晴らしいサスペンション。

 イアン……さすがだ。


 俺は馬車を降り、フリストルに引き心地を聞く。


「まったく問題ねーぜ! 車輪がいーのかするする引けた! …これ四人乗りだったか? あと三人乗ってもケンタウロス一人だけで問題なく引けるぜ!」


 力強くそう言い切ってくれた。

 なるほどな。

 四人乗りを一人で引けるのか。

 ということはちょっと違うが一馬力=四人ってことか。

 これからの馬車に活かそう。


 よし。

 馬車の試作も成功。


 だが……馬車づくりはここじゃ終わらない。

 さすがにどんどん人口が増えていくのに馬車が四人掛けだけって言うのはさすがに厳しいだろう。


 ということで大人数用馬車を作る。

 イメージとしてはバスだな。

 運用もそういうふうにする。


 俺の構想としては……試作で作った四人掛け馬車はタクシー。

 未舗装も含め自由に色んな場所に行くための馬車。


 そしてこれから作るバス馬車は、道路で舗装している場所を中心に停留所を作り、そこを回る形にしたい。


 ということで早速バス型馬車を作っていく。


 これはかなり大型なので、他のハイコボルト、ハイドワーフたちにも協力してもらう。

 イメージとしてはバスまんまだな。


 木製の大きな長方形の箱にこれまた大型の車輪。

 扉は左側に三つ。

 中はシンプル。

 座席、つり革、あとは荷物を置くスペース。

 あと一応前の方に引いてもらうケンタウロスに指示を出せるような場所も作っておく。

 御者席みたいなものだな。


 先に作った試作馬車と違いこっちはそれなりに時間を喰った。

 そもそも結構な大型の馬車なのと……デカい分サスペンションにも耐久性を要求されたことだな。

 この質量の衝撃を受け止めるスプリングとなると進化したドワーフたちでもそれなりに難しかったらしい。


 サスペンションが出来上がらない間は内装に力を入れていた。

 本体の方は結構すぐに出来上がっていたからな。


 内装はまあ、尖ったところをけが防止に丸くしたのと、後はクッションだな。

 アラクネに作ってもらった布に綿を詰め込んだクッションを座席に備えつけた。


 木の椅子にそのまま座るのも風情があっていいが、やっぱりあった方がいいか? と思って着けてみたんだが、これが大好評だった。


「これは素晴らしいです、主様!」


「お尻がふわふわする!」


「これならいつまでだって座っていられます!」


 ふむ。

 アラクネ族が来たことでこういうのも作れるようになったからな。

 服だけじゃなくこういうのも作ってもらうよう頼むのもいいかもしれない。


 そう考えつつも今は馬車だ。

 内装を整えつつ待っていたら、ほどなくイアンたちがバス馬車用サスペンションを完成させた。

 強度を高めるために試行錯誤するのが楽しくてつい寝食を忘れて没頭してしまったらしい。

 寝食はしっかりとるように注意して早速試乗。


 一応このバス馬車は二十人乗ることを想定して作った。

 なので適当に人数を集め、ケンタウロス五人に引いてもらう。


 試走は……成功。

 ケンタウロスたちは問題なく引くことが出来、サスペンションも壊れず、乗り心地もいい。

 ルシュとイアンからは問題なく量産も出来ると言質ももらい一安心といったところ。


 というわけで、俺は早速量産を頼もうとした……。


 が。


 ルシュたちから待ったが入った。

 これらの馬車を量産する前に先に作っておきたい馬車がある、と。


 ふむ? 先に作っておきたい馬車? それは?


 俺がそう聞くと。


 代表、つまり俺用の豪華な馬車だ、と答えが返ってきた。


 俺用の馬車? それ……必要か?


「必要です」


 いや、でも俺もバス型の馬車とかに乗れば……。


「必要です」


 それに普通に徒歩でも……。


「必要です」


 ……必要らしい。

 まあ、前世で言うところの大統領専用車両みたいなものか?

 俺はそう自分を納得させる。


 そして作って構わない、と許可を出したのだが……。


 皆の熱意が凄かった。


 バス馬車の時よりさらに多くの人数を集め、周りに火が幻視できるほどの勢いで作成を進めていく。

 そして一日も経たずに完成した。


 その馬車の見た目は……リムジンのようなもの。

 バスほどじゃないが普通の馬車より長く、しかも全体が黒く塗られている。


 ……バス馬車の作成中に俺がぽろっとリムジンの漏らしちゃったからかな……。


 そんなことを考えながら、俺は周りの期待の目に押されるようにして内部も確認する。


 内部もこれまたすごい。

 まず真ん中にはとてつもなく大きい座席。

 クッションがいくつも置いてあり、偉い人が座るんだろうなって一目でわかる座席。


 これ俺が座るの?


 確かに座り心地はとてもよさそうだが居心地は悪そうだ。


 しかもこの椅子稼働できるらしい。

 疲れた時は簡易的なベッドになるそうだ。


 次に目に入ったのは横に備え付けられたテーブルと食事。

 どうやら馬車の中で食事も楽しめるように作られているらしい。


 いや、その試み自体は素晴らしいと思うけど、さすがに道路ならまだしも未舗装の場所に行ったらこぼれてしまうだろう……俺がそう言ったところ。


 ぜひお試しください、とそう返答が帰ってきた。


 ふむ……まあ作った側がそう言うのならば、と、俺はこの馬車を引いてもらい未舗装の場所を走ってもらう。


 すると。


 ……うわっ……すごいどうなってるんだ? 全然振動が来ない! 滑っているって言われても信じるぞ!?


 そう、俺がそう感じるほどに全く振動は来ず、テーブルの食事が零れることもなかった。


 一体どうなってるんだ? これは……?


 馬車を降りて俺がそう聞くと。


「代表殿の馬車のサスペンションはミスリルで作っております」


 え? ミスリルサスペンション!?


 なんとまさかのミスリル製。

 この馬車一体どれだけコスト掛けたんだ……?


「主様の乗られる馬車です。これだけやってもまだまだ足りないかと」


 ルシュがそんなことを言ってくる。

 周りを見てもみな、当然だな……みたいな顔だ。


 ま、まあ……うん。

 乗ってみた感じ乗り心地はとても良かった。

 ちょっとした羞恥心さえ置いておけばとても素晴らしい馬車だ。

 感謝して使わせて? もらおう……。


 うん。


 ま、まあともかく、トロッコも馬車も試作は大成功で量産の道筋も立った。

 これで鉱山の物流問題も解決できるし、人が増えた場合に備えた交通事情の改善も出来る。


 ……そのうち他の形式の馬車とかトロッコを作るのもいいな。

 まあそれは今作った試作の量産がある程度済んでからにしよう。


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