表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/53

06.コボルトとの出会い

 それからしばらく。


 俺は畑の様子を見ながら家づくりに励んでいた。


 すると……客人が来た。


 狩りに出かけたシロが帰ってきた時、その後ろに彼らがいたのだ。


 頭頂部から獣の耳が生えた小柄な体。

 後ろにはしっぽが生えているのも見える。

 初めて出会う人型のファンタジー異種族が十名ほどシロに連れられていた。


 やってきた彼らはその頭に生えた耳をせわしなく動かし、こちらを警戒しているようだった。

 見間違いじゃなければ涙を浮かべている者もいる。


 とりあえず俺は彼らの警戒を解くためにも友好的に話しかけることにした。


「あー……はじめまして。その、どうしてそんなに怯えているんだ?」


 神様が言った通り言葉は通じるようになっているようだ。

 集団から灰色の髪を腰まで伸ばし、同色の耳と尻尾を生やした少女が進みだしてきて、返答がある。


「? どうしてって……? だって……あなた、人間でしょ? 人間は私たち亜人を排斥する……あ、あなたはそうじゃないの?」


 排斥?

 この世界だとそうなっているのか?

 俺は安心させるために落ち着いて声をかける。


「確かに俺は人間だが排斥なんてしないよ。むしろ受け入れる方だ」


「ほ、本当? いや……確かにフェンリル様が身を寄せる者なのであれば、真実なのね……。う、疑ってすみません……」


「え? い……今なんて言った?」


「? う、疑ってすみませんと……」


「その前!」


「フェンリル様が身を寄せる者であれば……?」


「フェン、リル?」


 フェンリルってことは……あれだよな……?

 シロ、お前……狼だったのか!?


 シロは今更かとも言いたげにウォンと鳴く。


 俺は謝罪の意味を込めてシロを撫でまわす。

 彼らは何とも言えないような顔でそれを眺めていた。






 その後。


 俺は彼らに食事をふるまう。

 いつもの角兎の岩塩焼きだ。


 そうすると彼らは最初は警戒していたが、一人が口にすると次々に口にしだす。


 すると彼らは……泣いていた。


 え?そんなに腹が減っていたのか?


 聞いてみる。


「いっ……いやっ……お腹が空いていたのも事実だけど、それ以上に……。こ、これほどに美味しい肉は食べたことがなくてっ……!」


 そう言いながら彼らは肉をがっついている。


 そうか。


 大変な食生活だったんだな。


 今は何も気にせずに食べるといい。


 お代わりも焼いてこよう。


「い……いい、の?」


 もちろんかまわない。

 腹いっぱい食べてくれ。






 その後。

 彼らが食事を終えた後に、俺は彼らにいろいろ聞きたいことがあったので聞いてみる。


 答えてくれたのは最初に俺に言葉に答えてくれた者。

 彼女が集団の代表で、名前を聞いたらルシュというらしい。

 種族は犬人族……コボルトだと教えてくれた。


 彼女が言うには……。


 この数十年でモンスターが異常に活性化。

 人間はモンスターではない亜人種族もいずれ狂暴化するのではないかと恐れ、亜人を排斥し始めた。

 ルシュが暮らしていた集落もそのあおりを受け……散り散りに逃げ出すことになり。

 逃走生活の果てにここにたどりついた。


 そこでフェンリル……シロにあい、ここまで導かれた……ということらしい。


「なるほど、それなら確かに……最初におびえていたのも当然だな」


「すみません……。どうしても不安を抑えきれず……」


「いやいいんだ。それより、皆満腹になったか?」


「それはもう!こんなにお腹を満たせたのはいつ振りか……。もしかしたら集落に居た時以来かもしれないかも……」


 それを聞けて良かった。

 これもシロが大量に角兎を狩ってきてくれたおかげだな。


 感謝を込めて撫でまわしておく。


「あ、その……ずいぶんとフェンリル様と仲がいいのね……?」


 ああ、そうだ。

 それも聞きたいと思っていたんだ。


「ああ。ここで仲良く暮らしてるからな。それで、何でシロ…フェンリルに様付けを?」


「それは……私たちの部族にとってフェンリル様は神獣なの。おとぎ話の中でコボルトの戦士はフェンリル様に力を授かる。私たちの集落にこのおとぎ話を知らない者はいない。だから驚いたわ……。世界の果て、こんな僻地の森の奥でフェンリル様に出会うなんて」


 なるほどな……神獣。

 だからみんな少しシロに対して腰が引けているのか……。


「その……それで、なんだけど。聞いていい? なぜ私たちにこんなに良くしてくれたの?」


「なぜ、か。疲れ切っていた姿を見て放っておけなかったのもあるけど……。一番はここの住人になってほしいと思ったからだ」


「住人?」


「そう。住人。俺はこの場所に街を作りたいと思っている」


「ここに?世界の果てに、街?本気で言っているの……?」


「ああ、本気で言っている。俺はここに街を作りたいんだ。あらゆる種族が集う街を」


「あらゆる種族が……?それは人間だけじゃなく私たちのような……亜人もってこと?」


「その通りだ、俺はお前たちを排斥なんてしない。だから良ければ……ここの住人になってくれないか?ここは今はまだ何もないけど……それでも逃げ隠れする生活は終わらせることが出来る」


 俺の言葉に向こうは口をつぐむ。

 どうやら悩んでいるようだ。

 俺は仲間とも話してくるといいと促す。


 彼は俺の言葉に従い、仲間と相談しているようだ。


 そしてしばらく待った後、彼が俺のところに戻ってきてこう言った。


「意見がまとまったわ……。その提案……乗らせてもらおうと思う。ここを出て行ったところで私たちに行く場所なんてない。フェンリル様に認められているあなたを……信じよう」


 よし!

 俺は心の中でガッツポーズする。

 神様に命じられた使命、その一歩目を踏み出したのだ。


 いやだが、喜んでばかりもいられない。

 いきなり十人も増えるとなると、かなり大変だ。


 水はまだ何とかなるが、食料と住居が足りない。


 食料は今はシロに角兎を多く狩ってきてもらうしかないな。

 今畑に植えている種が食用ならいいんだが。

 成長がかなり速いし食用ならかなり助かる。


 住居は……どうにもならないな。

 自分の家すら作りかけだし、洞窟を拡張してしばらく我慢してもらうしかないか……。


 そう言ったことを伝えると。


「あ、いえ……こほんっ!住む場所なら大丈夫です。簡易テントを持っています。放浪生活でしたから……」


 ……それもそうだ。

 ひとところに落ち着かない生活なら持ってて当然だろう。


 ところで、何でいきなり敬語に……?


「ここに住ませてもらうのであれば、上下関係ははっきりさせておかなければなりませんから」


 ふむ?

 まあ彼らは犬の亜人……こういうことはきっちりしておく文化なのかな?

 少しくすぐったいが気にしないでおく。

 隣人になるのなら尊重が大事だ。


「それに、住居でしたら私たちコボルトならそう苦労することもなく作れます」


「え?そうなのか?」


 話しを聞くに。

 コボルトはかなり器用な種族らしく、建築やモノづくりなどに長けているそうだ。


 正直ありがたい。

 俺一人じゃ家づくりもかなり大変で猫の手も借りたいくらいだったんだ。

 借りるのは犬の手だが。


「それで……あの作りかけの家ですが、ここの……世界の果ての木材を使っているんですか?」


 俺がそうだと答えると彼らは驚く。


 どうやらこの森の木はかなり硬い木らしく、彼らでは切り倒すことが出来ないようだ。


「さすがは主様……フェンリルに認められるほどのお方ですね」


 主様?

 まあ尊重するって言った手前、好きにさせておくか……。


「それでは、手間をかけさせてしまい申し訳ないのですが……木材を主様に用意していただきたく。そうすれば我らが住居を作りましょう」


 願ってもない。

 俺は一も二もなくうなずく。


 これで住居の問題も解決する。


 俺は明日から早速住居を作ってもらうことにし、今日のところは彼らの簡易テントの設営を手伝って休むことにした。


 興味があったので、今日は洞窟に帰らず簡易テントにお邪魔させてもらったが、洞窟と違いテントの隙間から星を眺めながら横になることが出来た。


 異世界の星は現代社会のそれよりはるかに明るく、夢中になって眺めていたら俺はいつの間にか眠りについていたのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ