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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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51.収穫と帰還

 ノームたちの進化から少し。

 俺の予想していた通り、今年二回目の収穫の時期が訪れた。


「よーしっ!がんがん採るっすよーっ!」


 そう言って張り切っているのはラウームとハイノームたち。

 まだ進化した高揚感がその身から抜けていないんだろう。


 更に出力を増した土魔法でガンガン収穫してくれている。

 ラウームたちが土魔法を使う度に土がうねってじゃがいもが土の中から吐き出されるんだ。

 土の下に実る作物は全部任せてもいいんじゃないか? ってほどガンガン収穫していく。


 こっちも負けていられない。

 土の上に実る作物を中心にがんがん刈り取っていく。

 小麦や米なんかだ。

 あとは、今回で一気に増やしたさとうきび、胡椒、トマト。

 前回は個人的に少し使う分くらいしか確保できなかったが、これでそれなりに使えるぐらいには増やせた。

 食事会なんかにも問題なく使えるだろう。


 後は果実だな。

 りんごがかなり実っているので、こちらも収穫。

 ノームたちにゴーレムを作ってもらってそれを足場にした。


 そして、収穫を行っている俺たちとはまた別ベクトルで忙しくしているのが天使族と悪魔族。


 こちらはこの街で初の試み。

 収穫量の記録をやっているためだな。


 そう。

 リネイアたちの奮闘は実を結び、十分な量の紙を確保することが出来た。

 それゆえに紙で記録を作ることが可能になっている。


 まあ、紙づくりの仕事が終わったと思ったら今度は収穫量の記録という仕事に駆り出されているのは正直済まないと思うが。

 これが終わったらゆっくり休んで欲しい。


 そういうわけで収穫量が数字で分かるようになったんだが……。

 その数字は俺の想像以上だった。


 俺は、まあ今いる住人……大体八十人ぐらいが数ヶ月くらい問題なく食べていけるくらいの量かな、と思っていたんだが。

 実際は五、六百人が丸一年食べていけるだけの収穫量があった。


 正直驚いたな。

 そんなに作ってたのかって。

 やり過ぎかとも一瞬思ったが……全然そんなことないと即座に思い直した。


 俺はこれからもガンガン住人を増やすつもりだ。

 そして住人が増えてから作物量を増やすのでは遅い。

 今の内からガンガン作って多くを受け入れられる土台を作っておくことが大切だ。


 そう考えながら次の収穫のため畑を広げていると……。


 帰ってきた。

 調査団が。

 百五十人ほどその人数を増やして。




 ……今回はまた大勢連れ帰ってきたな。


「申し訳ありません、憔悴している者も多く見過ごせず……不都合だったでしょうか?」


 いや、いいよ。

 住人が増えるのは大歓迎だからな。


 調査団が帰ってきた後。


 俺は調査団が連れて帰ってきた百五十人ほどを宿舎に収容し、食事を出すように指示。

 宿舎も増やしておいてよかったな。

 問題なく全員収容できた。


 そしてその後、調査団のリーダーであるパードを呼び寄せ報告を聞いている。


「ありがとうございます。それではご報告なのですが……今回連れ帰りましたのは合計百五十二人。内訳はコボルトが三十一人、エルフが十六人、ドワーフが十四人」


 うん、ここまでは全く問題ない。

 前回と同じで街に居る既存種族の数が増えるだけだ。


「そして……アラクネが三十一人、ケンタウロスが二十一人、マイコニン族が三十九人です」


 ここだ。

 新たな種族が一気に三種族も。

 嬉しいが正直びっくりした。

 何があったんだ?


「はい、それが……どうやら噂が流れているらしく」


 噂?


 パードに詳しく話を聞くと。


 どうやら果ての森に入ってくるための裂け目。

 パードたち自身も使い、調査団が真っ先に確認する場所。

 そこに関する噂が流れているらしい。

 世界の果てに存在する裂け目、そこは楽園につながる入り口である……とかなんとか。


 そして排斥により住む場所を追われた異種族たちがその噂に一縷の願いを託し、裂け目を目指してやってきた……と。


 新たな三種族を含む百五十人も連れ帰ってきたのはそういうことらしい。


 なるほどな……そんなわけが。


「はい。それで、一つ主様にご提案がありまして……」


 提案? なんだ?


「はい、その裂け目付近に拠点を作りたいのです。難しいのは分かっておりますが……ご検討いただけないでしょうか?」


 ふむ? 拠点か……いやまあ構わないが……なぜ?


「それは、ですね。実は移住を決めてくれたのは連れ帰ってきた者だけではなく、あと十人ほどいるのです」


 後十人? その人たちはどこに行ったんだ?


「実は……その十人ほどはもっと人を集めてくると言ってその裂け目の外へ止める間もなく出て行ってしまいまして……どうやらふるまった食事にとても感銘を受けたらしく……」


 ……なるほど。

 それで……そこにさらに異種族たちが集まるかもしれないから拠点か。


「はい、そうすれば住人もどんどん増やすことが出来ると思いまして、どうでしょうか?」


 正直……とてもアリだ。

 生活も安定しているし、住人はガンガン増やしたい。


 拠点。

 作ることにしよう。


「っ! ありがとうございます!」


 よし。

 それじゃ拠点づくりのもろもろは明日に回すことにして……来てくれた者たちに挨拶に行くか。




 そう決めた俺の姿は、新たに来た住人たちを収容した宿舎の一室にあった。

 横にはルシュ、ハイラ、イアンが控え、目の前には三人の異種族。


「お初にお目にかかります。蜘蛛人族……アラクネ代表のクトネーと申しますわ」


「あー……はじめまして、オレ……いやあたし? がケンタウロス代表のフリストルだ……いや、です?」


「うひひっ!茸人族、マイコニンのニチャだよぉ……よろしくぅ……」


 ……うん。

 順に行こう。


 まず一人目。

 まずクトネーと名乗ったアラクネ。

 外見は蜘蛛の下半身に人の上半身が乗っかった……アラクネと言われたら真っ先にイメージするような姿をした女性。

 髪は金色でゴシック風の服を身に付けている。

 この服、かなり大きく蜘蛛の下半身の大半を覆っているほどだ。

 その髪と服装からお嬢様っぽいと第一印象を抱く


 二人目。

 フリストルと名乗ったケンタウロスの女性。

 馬の下半身に人の上半身、こっちもイメージ通りの姿。

 髪と体毛、そして尻尾も茶色。

 だけど髪には真っ白な……メッシュ? 差し色? が入っているな。

 恐らく敬語になれていないのだろう、所在なさげに尻尾がふらふら揺れている。


 三人目。

 ニチャと名乗ったマイコニン。

 マイコニンとは何かと思ったがその姿を見れば一発で分かる。

 茸だ。

 外見は普通の人間……と言った感じなのだが、頭の上に巨大なキノコが生えている。

 茸も髪も緑色で、茸で顔に影がかかっているのもあってかじめっとした印象を受けた。


「こほんっ!……この街の代表、築佑真だ。よろしく」


 とりあえずまずそう挨拶する。

 するとまず、クトネーがスカートの端を持ち上げてカーテシーし、それを見たフリストルが同じことをやろうとして……途中であきらめ普通に礼、ニチャは我関せずと目線を外し、虚空を見つめていた。


 あー……とりあえずまずは確認させて欲しいんだが、皆移住の意思があると言うことでいいんだよな?


「はい、ワタクシ含むアラクネはこの街に移り住みたいと考えておりますわ」


「オレ……アッ違うあたしたちケンタウロスもそうだ……いや、です!」


「ひひっ……私たちもぉ……この街に移住希望だよぉ……」


 よし。

 それならよかった。

 こっちとしては君たちを歓迎する。

 これからよろしく頼む。


「「「よろしくお願いします!」」」


 ああ。


 さて、それじゃあ次の話だがしばらくは今いる宿舎で生活して欲しい。

 食料はこっちから支給する。

 だが……ずっとそうするわけにもいかない。

 こっちとしても人手が必要だしな。

 それで聞きたいんだが……好きな仕事が出来るとしたら何がしたい? もしくは、どういったことが得意なんだ?


 俺がそう聞くと、クトネーが一歩進み出してきた。


「まずワタクシからお答えしますわ。代表様が命じられるのであればどんな仕事でもやる覚悟はありますけれど……得意と言うなら服飾ですわね」


 服飾?


「はい。布を織り服を作る。それがアラクネの得手ですわ……見たところこの街に服飾師は居ないご様子。ワタクシどもに任せて頂ければさまざまな服をご用意いたしますわ」


 なるほど……素晴らしい。

 服……衣はどうしても食、住と比べたら後回しにしがちだった。

 これを機に衣にも力を入れていこう。


 それじゃあ服飾の仕事を頼む。

 作るための工房とか材料とか……そのあたりの話はまたいずれ。


「かしこまりました」


「次はオレ……いやあたしの番だなっ……いや、ですね?」


 ああ、話しにくいだろうし普段通りでいい。

 俺は気にしない。


「そっ……か? 助かるぜ、ありがとな代表さん! んで、早速だけど……俺らが得意なのは運搬だ。人だろーが物だろーがちょっぱやで届けられる!……まあ、多くを運ぶなら流石に馬車が必要だけどよ……。でも馬車さえもらえりゃあなんだって運んで見せるぜ!」


 なるほど……素晴らしい。

 人や物の輸送の重要性は言うまでもない。

 ちょうど直近で遠くに建材を運ぶ必要も出てきたしな。


 分かった。

 馬車も含め必要なものはまたそのうち聞かせてもらう。


「っ!ああっ……たのっ……みます!」


「最後は私……いひひ……」


 虚空を見つめていた目線が俺に戻り、ニチャがそう言ってくる。


「私たちは……あんまり力が強くない……農作業とか全然できないだろうし服も作れないし物も運べない……」


 いきなりネガティブキャンペーンし始めたな……。


 型破りなアピールに俺はあっけにとられる。


「でもそんな私たちにもできることはある……いひひ。それはモノを腐らせること……美味しいパンとかお酒とか作れるよ……あとキノコも栽培できる……」


 酒やパン……なるほど素晴らし……えっ?


 ……モノを腐らせて酒を造る……。



 これ発酵だ!!!!!!



 え!? マジ!? 発酵できるの!?!?


 俺のテンションが一気にぶち上がる。

 だけどこれはしょうがない。

 なんせ発酵だ。

 発酵できるのなら当然アレが作れる。


 醤油! みそ! 酢! 納豆!


 日本人である俺にとっては神域の食べ物と言っても過言ではない。


 当然採用。

 必要なものがあったら何でも用意するから言ってくれ。

 遠慮とかしなくていいから。


「おおっ……食い付きすご……。分かりましたぁ……」




 そうして。

 最終的になんか面接っぽくなった顔合わせを終え、三人とはそこで解散。

 憔悴してる者もいるって聞いたししばらくは英気を養ってもらう。


 新たな種族ではなく既存の種族の方は……


「問題ありません、主様。前回同様、こちらの傘下として受け入れました。主様にご心労をかけることはありません」


「こちらもです、代表様」


「こっちもじゃ。何も問題はないですぞ」


 よし。

 それならよかった。

 これで一応全員を受け入れることが出来たな。

 いろいろ準備しておいて良かった。

 人手も増えたし新たな種族も来て出来ることも増えた。

 これでさらに街を発展させていくことが出来る!

 楽しみだ。


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