表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/52

52.シロたちとの触れ合いと実験

「わふっ……わふっわふっ!」


 ははは。

 俺も寂しかったよ、シロ。




 俺は今、帰ってきたシロたちと触れ合っていた。

 調査団にはシロとリルの子供たちが同行することになり、それを見守るためにシロたちもついていっていたのだ。

 そしてしばらく……だいたい二ヶ月ほど会えない日々が続き、今に至る。

 いやまあ、去年の調査団にもシロは同行していたし離れるのは初めてってわけでもなかったが、こんなに長く離れるのは初めてだったからな。

 シロもかなり強く俺に身体を擦りつけてきている。


 こっちとしても嬉しいし全然構わないんだが……四足の状態でも俺よりデカいシロがまとわりついてくると完全に埋まるな、俺。


 まあ好きにさせよう。

 そう思いつつシロのふかふかの毛並みを撫でていると、シロはある程度満足したのか俺から離れた。

 心なしか毛のふかふか具合がさらに増してきている気がする。


 そしてシロが離れると次に近付いてきたのはリルだ。

 俺の前にやってくると地面に伏せて、撫でろと言うように頭を差し出してきている。

 俺は両手を使いわしゃわしゃとリルを撫でる。

 リルは気持ち良さそうだ。


 感慨深いな。

 去年リルがこの街にやってきたばかりのころは撫でようとしても普通に避けられてたからな。

 こうやって触れ合えるようになって嬉しい……と、そう考えていると。

 リルは立ち上がりシロの方へ行ってしまった。

 サービスタイムは終わりらしい。


 そして次にやってきたのはシロの子供たち。

 皆して俺に身体を擦りつけてくる。


 いやーにしても。

 デカくなったな……みんな……。


 そう、調査団が帰ってきた時に気付いてはいたが……子供たち、かなりデカくなっている。

 出発する前はまだ俺の腰ほどもなかったその体はもう俺の胸程まで来ている。

 立ち上がったらもうすでに俺よりデカいだろう。


 大きくなったな皆~!


 そう言いながら片っ端からわしゃわしゃする。

 子どもたちもみんな喜んでくれた。

 こうもみんな喜んでくれると自分が撫でるの上手いんじゃないかと錯覚してしまうな。


 そう思いながら地面に転がり腹を見せているシロの子供たちのその腹を思いきり俺は撫でさすった。


 そうしていると、俺とフェンリル一家の交流を見ながら涙ぐんでいたハイコボルトが教えてくれる。

 どうやらシロもリルも子供たちも、今回の遠征で大活躍したと。

 いつも通りその鼻で貢献したらしい。

 一番の貢献は……マイコニン。

 頭部のキノコで身体をすっぽり覆い擬態していたマイコニンを見つけるのはその嗅覚なしじゃまず無理だったでしょう、とハイコボルトが語ってくれた。


 そしてさらには……二頭鹿すらも狩ったとか。

 それも、子供たちだけで。

 聞いた時俺はつい聞き返した。

 シロとリルが助力したとかではなく? と。

 しかし間違いなく子供たちだけで狩ったとハイコボルトは断言した。


 はぁ~……身体が成長しただけじゃなく、五体がかりとはいえ二頭鹿すら狩れるほど強くなったのか……。

 大きくなったな。


 俺はさらにシロの子供たちを撫でる手を強めた。






 そうして。

 新たな住人を収容し残った時間をシロたちとの交流に使った次の日。


 ”累計十三種族の結集を確認。新たな形態「針」、「蹄鉄」、「ぶんじ」解放”


 恒例のアナウンス。

 そして恒例の実験だ!




 と言う訳でいつもの空地へやってきた俺。

 いつも通り肩にはムイが乗っていて……そしていつのまにか後ろにシロが着いてきていた。

 せっかく帰ってきたんだから一緒に居たいらしいな。

 断る理由もないので一緒に実験する。


 それじゃあまずは……「針」からだな。


 創造神器を早速針の形に変えてみる。

 うん。

 普通に俺のイメージ通りの針だ。

 先端がとがっていて逆側に糸を通すための穴がある。

 この穴に糸を通すのが何気に難しいんだよな。

 どうせなら最初から糸が通っててくれたらいいのに。


 俺がそんなことを考えると。

 針が薄く光り出し……糸を通す穴から光る糸がぴょこっと出てきた。


 ……うん。

 創造神器のとんでもさにはもう慣れたけど驚くものは驚くな。


 光る糸を触ってみると、指で摘まめる。

 摘まんだまま引っ張ってみると、糸がスルスルと伸びる。

 伸ばした後離すとゆっくりと穴のなかに戻っていった。

 なんかメジャーみたいだな。


 そして、次に針を実際に使ってみる。

 ムイに適当な皮を二枚取り出してもらい、針で縫い合わせてみる……と。

 普通に縫い合わせることが出来た。

 光の糸は最初に針を通した位置で止まり、そのまま縫う度にするする穴の中から出てきて、最後の場所を縫うとひとりでに切れて普通の糸に変わった。


 針からはまだぴょこんと光の糸が飛び出している。


 どうやらこの針、糸なしで裁縫が出来るみたいだ。

 いや、この形態も凄いな。

 しかもおそらく補正も入っている。

 素人の俺でもするするとイメージ通りに手が動いたからな。


 いずれアラクネに布を作って貰ったらこの針で裁縫するのもいいかもしれない。


 さて、続いて行こう。

 次の形態は「蹄鉄」。


 蹄鉄って確か……馬のひづめに着けるあれだよな?

 まあ変えてみれば分かるか。


 早速俺は創造神器を蹄鉄に変化させる。

 すると俺の手の中に俺がイメージした通りの蹄鉄が一対、現れた。

 だが……イメージとは少し違いがある。


 なんだか……細長くないか?


 そう、俺が知っている蹄鉄は結構円に近いU字の形をしている。

 だがこの蹄鉄はU字であるのは同じだが明らかに細長い楕円形だ。

 この形なら馬に着けるというより……。


 そこで俺は閃いた。

 そしてその閃きに従い……その蹄鉄を自分の靴底に着けた。

 すると……その蹄鉄は俺の靴底にピッタリとハマった。

 足をブンブン振ってみても取れる気配がない。


 やはり……これ俺用の蹄鉄なのか。


 何となく確信する。

 まあ創造神器は俺の所有物なんだからそりゃ俺が付けるのが当然か……。

 でもこれで何が変わるんだ?

 う~ん……本来の蹄鉄は走るためのものだよな? 試しに走ってみるか……。


 そう考え、俺はその場から軽く走り始めた。


 すると。


 うわっ……なんだこれ!? 凄いぞっ!


 俺は驚愕する。

 軽く走っているはずなのに、かなりのスピードが出ている。

 普通に自転車と並走できるかもしれない速度。


 軽く走ってこれなら本気で走ったらどうなるんだ……?


 俺が試してみようとすると。

 俺の右側に影。

 シロだ。

 どうやら並走したいらしい。


 ……まあせっかくだしな。

 一緒に走ろうと声をかけて俺は本気で走り始める。


 と――。


 うお……ぉっ! これっ……はっやっ……!


 本気で走り始めた瞬間、景色がすごい勢いで流れていく。

 危険だと感じ止まろうとも考えたが、なぜかそんな必要はない、という確信が胸中から溢れ出す。

 そしてその確信通り、俺は無事に走り続けることが出来る。

 地面から露出した石、ちょっとしたくぼみ。

 そう言った物を全て感知して、避けようと思って当然のように避けることが出来る。

 なんだろう、自分の身体がセミオートになったみたいな……そんな感じだ。


 そして凄いのはシロもだ。

 当然のように俺の真横に陣取り一緒に走っている。

 こっちに顔を向けていて、まだまだ余裕があるみたいだな。


 俺が見たことあるシロの最高速度よりも今の俺は速いと思うが……まあシロは俺の前じゃ全然本気出してなかったって事だな。


 そうしてしばらく。

 シロと一緒に並走し、元の場所に戻ってきて俺は立ち止まる。


 ……凄いな。

 何度でも驚かされる。

 全力疾走を続けたはずなのに全然疲れてない。


 そう、戻ってきた俺のスタミナは全然削れていなかった。

 息は平常通りだし体が熱くなってもない。

 これなら丸一日……いやそれ以上走り続ける事すらできるかもしれない。


 これもまたとんでもない形態だ。

 俺は身震いする。


 ……その俺の真横でシロもまた身震いしている。

 こっちは俺との並走が楽しかったんだろうな。

 またやりたい! と全身で訴えてきている。


 ……うん。

 また今度、暇がある時な。


 ……思う存分走りまわれるグラウンド用意しておくか……。


 気を取り直して最後の形態。

「ぶんじ」だ。

 ……うん、何も分からない。

 ぶんじって何だ?


 ……とりあえず使ってみれば分かるか。

 俺は早速創造神器を変化させる。


 その姿は……木で出来た平べったいスコップ? のような形だ。

 木で出来たスコップの柄にまな板がくっついている、と言った方が分かりやすいか?

 まあそんな感じの形。


 当然の如く何に使うのか分からない。

 土を掘るのに使うのか? でもそれならスコップで良いよな……?


 俺が悩んでいると。


 ぷにぷに……と、ムイが俺を突っついてくる。


 ん? なんだ、ムイ?


 俺がそう聞くとムイは俺の前に木の器を吐き出し、その中にさらにりんごを吐き出した。


 これはこの前収穫したりんご?

 別に食べちゃっても良かったのに。


 俺がそう思っているとムイが身振り手振りでりんごを潰して混ぜろと伝えてくる。


 ふむ?

 よく分からないがムイの言うことだ。

 その通りにしてみる。


 俺は木の器にぶんじを差し込みりんごを潰し、そのままグルグルと混ぜていく。

 すると、甘い匂いがだんだん強まっていき……。

 りんごは透き通った薄い黄金色の液体に変わった。


 これは……まさか……?


 俺の心中に予感が走る。

 俺は恐る恐るその液体を口に運ぶ。

 鼻から抜ける芳醇な香りに優しい甘み。

 そして何より頬が火照るような独特の感覚。


 ……酒だ! これ!


 俺は確信する。

 いや確信は言い過ぎた。

 だがほぼ間違いないだろう。


 これまで解放されてきた形態は受け入れた種族と関係することも少なくなかった。

 ならばぶんじはマイコニンと関係しているかもしれず、マイコニンが得意とするのは発酵。

 ほぼ決まりだろうこれは……!


 テンションを上げている俺をしり目にムイはズズズとリンゴ酒を吸い込んでいる。

 もしかしてこのためにりんご取っておいたのか? まあいい。


 今はとりあえずぶんじが酒以外……醤油や味噌なんかにも使えるか試したい。

 そうと決まればさっそくキッチンに行くぞ!


 今日の予定は……悪いがキャンセルだ!


 俺は創造神器の蹄鉄を靴底に装着し勢いよく走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ