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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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49.牛乳と卵

 それからしばらく。


 俺の予想通りシエルは涙目になりながらも紙の生産に付き合わされていた。

 シエルだけじゃなく天使族と悪魔族も総出でだ。


 だがその甲斐もあってか……かなりのペースで生産できている。

 これなら、次の収穫までに十分な量の紙を確保できるだろう。


 さて、天使族と悪魔族のことばかり見てもいられない。

 なぜなら……牛乳と卵、その第一号が採れたからだ。




 それを俺に教えてくれたのはハイコボルトの一人だ。

 いつも通り採掘に向かおうと歩いていた俺に走り寄ってきて……牛乳と卵が採れた、と興奮気味に教えてくれた。


 最初俺は何かの勘違いじゃないか? と思った。

 牛も鶏も、ついこの間迎えたばかりだ。

 いくら何でも卵……はあり得るかもしれないが、牛乳は出ないだろう。

 だがそのハイコボルトは間違いないという。

 俺は半信半疑ながら牧場に向かった。

 すると……あった。


 牛乳と卵。

 それぞれ壺と皮を敷いたかごに入れられ俺の前に鎮座していた。


 俺はつい目の前の光景を疑ったが、あるものは仕方がない。

 見つけたハイコボルトに聞く。


「ええ、その……なんと言ったらいいか、卵は朝、鶏たちの世話をしに来た時にもうありました。最初は石が落ちているのかと拾い上げたんですが……触ってみると生暖かく、卵だと気づきました」


 なるほど、卵は……まあいいとして。

 牛乳は? 卵と違って拾ったんじゃなくて、壺に溜めてあるってことは搾ったんだろう?


「はい、その後、他の卵も回収して鶏舎を出た後、牛舎の方で牛が鳴くのが聞こえ……行ってみると牝牛たちが私の前にやってきて、軽く頭突きをしてきました。何をやっているのかわからなかったのですが……その後も様子を見続けたところ、どうやら乳を搾れと……そう伝えたいのだろう、という結論に至り。搾ってみたら…」


 乳が出た、と。


「はい。その通りです」


 ふむ……経緯は理解した。

 その上で……どういうことだ?

 乳って普通妊娠しないと出ないよな?

 もう交尾したのか?

 いや、交尾したからってすぐに乳が出るようにはならないだろう。

 ……異世界の牛だからか?

 それならハイコボルトがこんなに驚いたりしないだろう。

 う~ん?


 考えてみてもわからない……分からない、が。

 別に不都合がある訳でもない。

 もっと時間がかかると思っていた牛乳と卵がすぐに手に入ったのは嬉しいし、創造神器を向けてみても嫌な反応はない、毒などはないってことだ。

 それを確認した俺はハイコボルトに声をかける。


 理由は分からないが、どうやら牛乳と卵をもう出してくれるみたいだ。

 これから世話をする時に一緒に卵の回収と搾乳を頼む。


「分かりました!お任せください、主様!」


 ああ。

 頼む。




 そうして、牧場を離れた俺がやってきたのは……キッチン。

 うん。

 速く牛乳と卵を使った料理を作りたいという欲求に抗えなかった。


 と、いうわけで早速、世界の果てクッキングを始めていく。


 卵と牛乳を使った料理……真っ先に思いつくのは甘味だな。

 プリンとかケーキとか。


 ケーキは……いきなり作るものじゃないな。

 特に生クリーム。

 ここはプリンあたりから作ろう。

 前世で何回か作ったことあるしな。


 まずは……カラメルから。


 砂糖を水に混ぜ火にかける。

 そして焦がさないように注意してカラメルにするんだが……。


 普通に焦がした。


 いや、言い訳させてくれ。

 そもそも砂糖って言うのは非常に焦げやすいんだ。

 慣れた人間でもちょっとミスするだけで焦がしてしまう。

 繊細な火力調整が出来ないこんな環境ではなおさらだ。

 だからまあ、俺がカラメル焦がすのも当然っていうか……。


 いや、まあ、うん。

 頑張ろう。


 そうやって悪戦苦闘していると……。


「あるじ~何してるの~?」


「なんか風に甘い匂いが乗ってきたんだけど……何作ってるの代表さん?」


 フィーネとユウフが釣れた。




「すっごくあまぁ~い♪こんな甘い水がこの世にあったなんてぇ~~♪」



「ペロッ……。っ!本当だ……こんなの味わったことがない……!」


 せっかく釣れたのだからということで。

 焦げた部分を除けたカラメルを味わってもらっている。

 かなり好評のようだ。


「……ぷはぁ~美味しかった~!あるじ~もうないの~?」


 悪いけどもう無いよ。

 というかそもそもまだ途中だしな。


「途中?何を作っているの?」


 プリンだけど……って言ってもわからないか。

 見ていたら分かる。


「ふーん……? じゃあ見学させてもらおうかな。っとその前に……」


 ユウフはそう言うと風魔法を使った。

 キッチンを換気してくれたのかな?


「ああ、匂いを風に乗せて上空に送ったんだよ。見ると材料は少なそうだし、僕たちみたいに匂いにつられて大勢集まっちゃったら大変だろ?」


 ……確かにそれは困るな。

 卵は今五個しかない。

 多くに集まられたら全員には行き渡らないだろう。

 さすがににおいだけ嗅がせて食べられないではちょっとかわいそうだ。

 ありがとう。


「いいよいいよ、その代わり出来たら一個貰うから」


 まあ、かまわない。


「あるじ~わたしもほしい~」


 フィーネも? でもフィーネは水食なんじゃ……?


「だいじょうぶ~」


 ……まあ、プリンも固まってるだけで飲み物みたいなものか?


 それじゃあ続けて作って行くことにしよう。


 カラメルソースは出来たし……次はプリン本体だ。


 卵と砂糖を混ぜ、温めた牛乳と更に混ぜる。

 そしてそれを器に入れ鍋に並べる。

 後はこれを蒸す。

 そして蒸し終わって冷やしたら、そこにカラメルをかけて完成だ。


 蒸すのはともかく冷やすのは時間がかかる。

 涼しい地下にしばらく置いておかないといけないからな。

 その間何をしていようか……なんて俺はそう考えていたんだが。


 フィーネが、冷やすなんて簡単だよー、と言いながら魔法で冷やしてくれた。

 クイーンウンディーネともなれば水から氷を作り出すことくらい造作もないらしい。


 ……それなら冷凍庫が出来るじゃないか!

 と、そう気づきを得たが、今現在の街では別に冷凍庫を使う必要はないと思い直し落ち着いた。


 だけどまあ、そのうち海産物とか……特に魚とか! 得られるようになったらフィーネに頼らせてもらおう。


 さてと。

 ちょっと思考が逸れてしまったがプリンは無事完成した。

 早速実食しよう。


 俺はフィーネとユウフにもプリンを差し出し、早速自分も口に運ぶ。


 まず感じたのは……濃厚な卵の風味。

 そして牛乳のコクと柔らかな甘さ。


 ……美味い!


 自分で思っていたよりはるかに美味い。

 そう感じているのは俺だけではないようで……。

 見ればユウフとフィーネも夢中になって食べている。


 二人が口を開いたのは全部食べ終わってからだった。


「はぁ~……すっごぉ~……すっごく美味しいよぉ~……」


「ああ……本当に……美味しかった。何か言おうと思ってるのに、全然言葉が出てこない……」


 ああ、構わない。

 その姿だけで伝わる。

 美味しく食べてくれたんだって。


「分かってたけどあるじってすごく料理上手だね~!また作って欲しいな~!」


 ああ、ありがとう。

 とはいってもほぼ素材ありきだと思うけどな。

 また作るのは……どうだろう、卵と牛乳がこれからも採れるのなら?


「採れたとしてもこの味なら街の全員が食べたいって言ってくるだろうね」


 それもそうだな。

 それじゃ作るにしてもしばらくは一度食べた者以外にまわすことになるだろうな。


「うぅ~……そんなぁ~……諦めきれないよぉ~……」


 う~ん、そう言われてもな。

 牛乳はまだあるが卵が足りない。

 ……せめて生クリームが作れれば……。


「生クリーム~?なにそれ~?」


 ああ、牛乳をめちゃくちゃ早くかき回して作るもの……なんだけど、さすがに難し――


「へぇ~、こんな感じ~?」


 そう言ったフィーネの方を見てみると。

 牛乳がフィーネの前で宙に浮かび、高速で回転していた。

 俺が唖然として見ていると、牛乳はみるみるうちに分離していき……完全に脱脂乳とクリームに分かれた。


「わぁ~!? なんかふわふわしたのが出来たよぉ~あるじ~!」


 そっか……魔法があったな……。

 前世の料理を作っていたからかその発想が飛んでいた。

 そうだな、魔法を使えばいいんだ。


 俺はフィーネが作ってくれたクリームに砂糖を入れ、フィーネに更に混ぜてもらう。

 そうすると……ホイップクリームの完成だ。


「美味しい~!とっても甘いよぉ~!ふわふわですごぉ~い!」


「本当だね……!プリンも美味しかったけどこっちもとても甘くておいしい……!」


 生クリームも大絶賛だ。


 だけど牛乳も卵と比べたら多く分けてもらっているとはいえ……こっちも街の全員に行き渡るほどの量はないし、こっちもしばらくは食べた者以外にまわすことになるか。


「うぅ~……しょうがないか~……じゃあ今いっぱい食べちゃお~」


「まあ、そうだね。いつ食べられるのかわからないし今の内に味わっておこうか」


 そういって俺たちは三人でプリンと生クリームを味わったのだった。


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