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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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41.新たな地層と調査団

 マナコンクリを作り上げてから二週間ほど時が過ぎ。

 今年一回目の収穫の時期に入った。


 この間もいろいろとあった。


 一番特筆すべきことは……。

 第五地層と第六地層に進出したことだ。


 忙しくしていたこともあり、俺は今まで第四地層でいったん採掘を止めていたんだが、この二週間で二段階先に進んだ。

 なぜ一気に二段階も掘り進めたかというと、ドワーフたちが進化したからだな。


 ドワーフたちは進化しハイドワーフ、イアンに至ってはキングドワーフに進化した。

 戦闘力が上がったのは確認していたんだが、なんと鍛冶の腕と採掘の腕も上がっていたらしい。

 そのため……なんと第五地層まで採掘できるようになっていたのだ。


 これに気付いたのは第四地層を越え第五地層に入った時。

 いつものようにイアンとラウームに採掘を試してもらったら、なんと採掘が出来たのだ。

 地魔石アースストーンを使って、ギリギリって感じだったが……。

 それでもできることに変わりはない。

 他のハイドワーフたちにも試してもらったがこちらも第五地層の採掘は可能だった。


 なので俺は第五地層の更に先、第六地層まで掘り進めたのだ。


 第六地層の方も採掘は試してもらったがこっちは不可能だったな。

 全く歯が立たない様子だった。

 進化してなお歯が立たない鉱山にイアンたちは複雑そうな表情だったな。

 自分の力が通じない悔しさと、まだまだ上があるこの山への畏敬が混ざったような……そんな表情だった。


 そして第五地層と第六地層で採掘できたものだが。


 どちらも四つずつ。

 第五地層の方で、闇魔石ダークストーン、ルビー、金、水晶。

 第六地層の方で、光魔石ライトストーン、サファイア、エメラルド、鉛。


 この二つの地層では宝石がかなり出た。


 だが宝石を売りさばけるルートなんてこの街にはない。

 なので宝石は大量に採掘したとしてもあまり使い道はないな……持ち帰らずに捨ておいていいか? と、そう俺は考えていたんだが。

 興奮した様子のイアンが使い道はあると教えてくれた。


 どうやらこの世界では宝石は魔力と親和性が高いらしく、これほどまでに純度が良い宝石であれば一級品の魔宝細工が出来るとのことだ。


 なるほど。

 それであれば採掘する価値はあるな。

 俺はそう判断し、宝石も採掘できた分は倉庫に保存することにした。


 ああ、ちなみに。

 光魔石ライトストーンと光石は何か違うのか、と聞いたところ。

 光の魔力がこもっているのは同じだが、ガワが違うらしい。

 光石は少しずつ魔力を放出するのに対し、光魔石ライトストーンは魔力の放出など起こさない。


 細かい穴の開いた容器と穴など開いていない容器の違いみたいなものか。

 光源として使うなら光石、何かしらの魔法の増幅などに使うなら光魔石ライトストーンというふうに使い分けるといいらしい。


 それともう一つ。

 第六地層まで掘り進めた際、今回も出てきた。

 種だ。

 合計五個。


 およそ一年。

 ドワーフにも採掘してもらっているわけだが。

 それでも種を見つけたという報告は聞かない。

 で、あれば。

 これはやはり創造神器の力なのだろう。

 とてもありがたい。

 これでさらに食事の幅が広がる。

 俺は手を合わせて創造神器に祈りをささげた。




 と、まあそんなこんなあって俺は今……今年一回目の収穫の時を迎えている。

 とはいってももう収穫自体は終え、恒例の食事会を開いているとところだが。


 今回も無事に収穫を済ませることが出来、皆と一緒に和やかに食事に舌鼓を打っている。

 今回は胡椒が増産できたから、さっそく挽いて料理に使った。

 大好評だ。


 そうやって過ごしていると、ルシュとシロが一緒に俺の傍にやってきた。


「主様、今お時間よろしいでしょうか?」


 ルシュ? シロ? もちろんいいけど……なんだ?


「ありがとうございます。お話ししたいのは調査団のことです」


 ……その話か。


 去年。

 第二次調査団の帰還から、調査団は送っていなかった。

 理由は……リルの妊娠。


 シロとリルには調査団の護衛を務めてもらっていたが、リルが身重では護衛などできない。

 シロ単独でもいいが、さすがに妊娠したつがいから長い間離れるなんてできないだろう。

 そう判断したため、調査団はいったん中止していたんだが……。


「主様、再び調査団を送りませんか?シロ様も賛同していらっしゃいます」


 やっぱりか。

 確かに調査団は送りたい。

 住人を増やせるかもしれない機会だしな。

 俺としては否はない。


 だが……本当か? シロ。

 子供が生まれて二カ月ぐらい。

 すくすく大きくなっているのは見ていたが、まだ親が必要なんじゃあ……。


「あ、いえ、主様。シロ様によれば、子供たちも連れて行く、と」


 子供達も!?


 そのまま話を聞くと。

 どうやらシロは子供たちに経験を積ませ、いずれは子供たちを調査団の護衛にしたいと考えているようだ。

 そのため今のうちから連れて行く……と。


 いや……シロの教育方針に口出すつもりは別にないが……かなり……ハードだな? リルも賛同しているのか?

 そう聞くと。


「ウォンッ!」


 もちろんだ、と言うようにシロが吠える。

 う~ん……これが獅子は我が子を千尋の谷に落とすってやつか?

 狼だけど。


 ……まあシロもリルも両方納得しているなら良いが……安全第一でな?


 俺がそう注意すると再び当然だとでも言うようにシロは吠えた。




 そうして一週間後。

 収穫の後の畑づくりも終え、俺はいま調査団を見送りに来ている。

 調査団の人数は十人と七頭。

 内訳は、ハイコボルト五人、ハイエルフ三人、ハイドワーフ二人。

 そしてシロとリル、その子供たち五頭だ。


 今回調査団の規模はほぼ倍になった。

 こっちにも余裕が出来たからだ。


 ハイコボルトたちの数は増えていないが、ハイエルフとハイドワーフを新たに加えた。

 ハイエルフは森の中での索敵要員。

 ハイドワーフは森の中に鉱脈があるかどうかを調査するためだ。


 そしてこの調査団のリーダーは前回から続投……パードだ。

 冒険好きのハイコボルト。

 一週間前の食事会での会話を聞いていたのか自分から猛プッシュしてきた。

 まあ、たった二回の経験でベテランというのはおかしいかもだが、それでもウチで一番の経験者だ。

 安心して送り出せる。


 それじゃあ頼んだぞ。


「はい!もちろんです、主様!誰一人欠けることなく帰って来ます!」


 ああ、それが一番だ。

 確かに住人は増やしたいが……お前たちを犠牲にしてまでとは思ってない。

 危なくなったら迷わず自分の身を優先してくれ。


「はい!」


 それと、事前の打ち合わせで言った通り……


「分かっています、期間は次の収穫まで。何か不測の事態が起こったり、予想以上に人数が増えたら即座に帰還すること」


 ああ、そうだ。

 成果を持ち帰らなければ、とかそんなことは一切考えなくていい。

 想定外があればすぐに帰ってきてくれ。


「はい!ご心配くださり……ありがとうございます!では……」


 ああ、頼む。

 行ってらっしゃい。


「よし!第三次調査団――出発だ!」


「「「「「行ってまいります!」」」」」


「「「「「ウォンッ!」」」」」


 調査団の面々は意気揚々と出発していった。


 ……。


「主様?何か気がかりが?」


 ああ、ルシュ。


 俺とともに見送りに来ていたルシュが俺にそう問うてくる。


 いや、準備は万全にしたし、シロとリルもついてくれている。

 それでもどうしても心配になっちゃってな。

 我ながら心配症だ。


「それだけ我々のことを大事に思ってくださっているということでしょう? 我々としては嬉しいですよ」


 ルシュがそう言ってくれる。


「それにパードならばしっかり危機管理もできます。主様の言ったようにシロ様とリル様もいます。きっと大丈夫です。信じてください」


 ああ……ありがとう。

 そうだな。

 送り出したんだから信じよう。


 ふぅ。

 ルシュに元気づけてもらって少し落ち着いた。

 こっちだっていろいろやることがあるんだからな。

 調査団の皆に負けないよういろいろ頑張ろう。


 そう決意して、見送りを終えた俺はその日の作業に戻って行った。


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