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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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35.冬明けの確認とトラブル

 そして。

 冬が明けた。




 俺は外に出て暖かくなってきた風を堪能しつつ考える。


 いやぁ、今年はやさしかったというか……暖冬だったな。


 今年の冬はあまり寒くなることもなく穏やかだった。

 水路なんかは凍ったし雪も降りはしたが、積もったりはせず。

 念のために作っておいてもらったスコップも結局は使わずに終わった。


 まあこういうのは備えておくことに意味があるんだ。

 使う事態が訪れなかったことを喜ぼう。


 さて、春が来たからには忙しくなる。

 のんびり暖かさを感じるのもそこそこに俺は動き出す。




 まずやることは確認作業だな。

 皆の住居や周囲を見回って、何か問題がないか確認する。


 というわけでさっそくまずはシロとリルのところから……、と。

 俺がそこまで考えたところで、何か白いものがとてつもない速度で俺の方へ飛んできた。


 うおぉっ!?


 驚きつつも咄嗟に創造神器を出して構える。

 俺もだいぶ不測の事態ってものに慣れてきた。


 だがその白い物体は、不測の事態などではなく……シロだった。


 シロはとんでもないスピードで俺の前まで来ると急停止。

 ぶわっ!と、突風が俺を襲い、二、三歩たたらを踏んでしまう。


 な、なんだ……シロ? こんなに急いでどうしたんだ?


 そう考えたところでピンと来る。


 もしかして……リルが出産に入ったのか?


「ウォンッ!!」


 その通りだ、とでもいうようにシロが大きく吠える。

 とんでもないスピードで近づいてきたことも含め、相当焦ってるみたいだな。

 まあ自分のつがいのはじめての出産となれば当然か。


 いったん家に戻りルシュに、出産の知識がある者がいたら呼んでくれ、あとフィーネもだ、そして綺麗な皮をたくさん持ってきてくれ、そう言づけてリルのもとに向かう。




 俺が到着した時、リルは自宅……いや自小屋? の隅に丸まり目を閉じ荒く息を吐いていた。

 もちろん俺に出産に立ち会った経験はないので分からないが、それでもおそらくもう出産が近いのだろう……とそう察することが出来る雰囲気だ。


 リルはこちらにちらと目を向けたかと思うと、すぐに目線を外し再び目を閉じた。

 どうやらこっちを気にする余裕もないみたいだ。


 邪魔にならないよう、近づかずに遠目で見守る。

 シロがそわそわしているが、撫でて落ち着かせる。


 そうこうしているうちに、ルシュが数人のハイコボルトとフィーネを連れてやってきた。


「主様!言われた通り連れてきました。ただ……出産に立ち会ったこと自体はあるのですが、知識が豊富というわけではなく……」


 ああ、ありがとうルシュ。

 かまわない、ないよりましだろう。

 俺だって同じだしな。


 まず持ってきてもらった皮を使って、来てもらった者の力を借り、リルがいるのとは別の隅っこに出産場所を作る。

 皮を敷き詰め、適当な棒に皮を引っかけて仕切りも作り、リルをそっちに誘導する。


 リルは素直に従ってくれて、作ったそこに身を横たえた。

 これで最低限は何とか出来た……か? 出来たと信じよう。


「ほへ~、出産ってこんな感じなんだね~……ところであるじ~なんでわたし呼んだの~?」


 ああ、それは――


 と、俺が答えようとしたところで。


 ウォフゥッ!と、苦しげな声を上げ、リルの呼吸がさらに荒くなった。


 もしかして来たのか!?

 シロががくがくと激しく震えている。

 それを落ち着かせつつフィーネにお湯を作ってもらうよう頼む。

 人肌よりすこしぬるいくらいのぬるま湯だ。


「え? うん~分かった~」


 なぜかはわかっていないようだが、フィーネは言った通りお湯を用意してくれる。

 ありがたい。


 そしてそこからそう時間はかからず、リルの呼吸が落ち着いた。


 終わった……のか?


 出産場所の外からリルに声をかけ、入って大丈夫か聞いてみる。


 ウォン、と落ち着いたそれでいていいよ、と言っているような声が届いたので、尻尾をぶんぶん振っているシロと一緒に即席皮のカーテンをくぐり中へ。


 そこにはリルと……小さいフェンリルが五頭。

 リルに寄り添うようにして生まれていた。


 わふぅ~!


 そう俺の隣から安堵と興奮が混ざったような声。

 シロがリルに体を擦りつけながら、自分の子供を舐めている。


 無事に生まれたんだ、そりゃ嬉しいよな……。


 そのままシロとリルに許可を取り、その場の全員でぬるま湯でフェンリルの赤子を洗い皮で包む。

 人の場合こんな感じにするし多分これでいいだろう。

 出産の助けに来てくれたハイコボルトたちもこんな感じでいいと言ってくれたのでこうする。


 ハイコボルトたちはフェンリルの赤子という存在にかなり気後れして相当おっかなびっくりやっていたが、まあその分丁寧だったからいいだろう。


 そして五頭すべて包み終え、ほっと一息をつく。


 ふぅ~……何とかなったな。

 生まれた子供たちにも問題はないようだ。


 ありがとう、みんな。

 手伝ってくれて。


「いいよぉ~あるじの頼みだからね~。それに出産? って初めて見たから興味深かったかもぉ~」


「こちらもです、主様。それにフェンリル様の出産に関われたなど……我らからすれば誉です。むしろお呼びしていただいてありがとうございます」


「その通りです!本当にありがとうございます!」


「ありがとうございます!すごく感動しました!」


 そう言ってくれてありがたい。


 さて、出産も何とか無事に済んだみたいだし、あんまり長居しても悪い。

 家族水入らずにしてあげよう。


 そう考え俺はシロに、何かあったらすぐに言いに来るように言って、その場をあとにする。

 念のため、ハイコボルトたちにもしばらく気にかけてくれるよう頼むが、頼まれなくてもやるつもりだったらしく、任せてください!と頼もしい返事をもらった。




 ふぅ……さて、一仕事終えた感もあるが。

 俺がやろうと思っていたことは終わっていない。

 シロとリルのことはいったん置いておき、こっちもこっちで頑張ろう。


 ということで街を見て回る。

 皆のところや仕掛けた罠なんかに異常がなかったか確かめるのだ。


 そんなわけで皆のところを回ったが特に問題はなかったな。

 冬の間もちょくちょく様子は見に行っていたから半ば分かっていたが。


 備えてあった食糧は余裕をもって残っているし、寒さも十分防ぐことが出来ていたと聞いた。


 そして凍眠していたウンディーネたちも続々起き出し、ノームたちも外に出てきた。

 春のあいさつと同時に何か問題はなかったか聞いても、どちらも特にはないと返答。


 今年もばっちり冬を乗り越えることが出来たな。


 そして街周囲の確認。

 念のため仕掛けておいた罠を見て回る。


 罠と一緒に音の出る仕掛けも備えておいたが、冬の間その音が聞こえることはなかった。

 なので魔物は来ていないかと思ったのだが……一匹だけ角兎が罠に引っかかっていた。

 だが一匹だけだ。

 それ以外は足跡なんかの痕跡もなかった。


 ふむ、やっぱりごくたまの例外を除いて、魔物も冬は動かなくなるようだな。

 あまり躍起になる必要はないか。

 俺はそう考える。


 とはいっても春が来てまた魔物が動き始めるだろうし、油断は出来ないな。


 そう考えつつ一匹だけかかっていた角兎を埋葬してその場をあとにする。

 いつかかったかわからない獲物を食べるなんて出来ないからな。





 ふぅ。

 街を見て回ったが問題はなかったな。

 良かった。

 まあ強いて言うならリルの出産というトラブルがあったくらいだ。

 それも無事に乗り越えたしな。


 それじゃ次だ。

 春になったら真っ先にやること。


 そう、耕作だ。


 とはいってももう特筆するべきことはないな。

 エルフやノームたちの助けもあって、もう完全に軌道に乗っている。


 あえていうならまだ数が少ないさとうきび、胡椒、トマトを増やすことくらいか。

 初の収穫が冬直前で、全然数がなかったので、冬の間はこの三つを使った料理なんかは作れなかった。


 特に胡椒なんか、冬の間何回使いたいな~!と思ったことか。

 というわけで増やす。


 創造神器の土壌強化があれば俺以外が作った畑でも成長速度は速くなる。

 畑もどんどん広げているが、そう時間もかからないだろう。


 そして畑づくりが終わったらその次は炉づくりを再開して……ああ、調査団のことも色々決めないとな。


 忙しくなるぞ~!


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