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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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29.自宅の建築と見学

 そうして俺の家の建築が始まったわけだが。


 皆のやる気が凄い。


 いや、もちろん俺も自宅の建築ってことで結構テンションは上がっているんだが、皆のテンションはそれ以上だ。


 えぇと……ルシュ?

 地面に書かれた土台の設計図……大きくないか? 軽く五十メートルくらいあるように見えるんだが……。


「いえ、これでも小さいくらいです。われらの実力不足をお許しください」


 ……え?

 これで小さいって、いや……え? 全然小さくなんてないけど……。

 えっと……ハイラ? イアン?


「ルシュ殿のおっしゃる通りです。本当ならもっと巨大な、城をお作りしたかった。しかし今のわれらではこれが限界……。ですが我ら一同、今できる最高の住居を作りますので!」


「その通りじゃ!今できる最善を尽くすことをお約束しますぞ!」


 ……フィーネ? ラウール?


「建築とかは苦手だけどぉ~、頑張るからねぇ~!」


「そうっす!自分らも頭の為に気張りますっす!」


 ……本当にみんな気合が入っている。


 いや、まあ……ちょっと過剰ではないかと思うものの、ここまで意気込んでくれるなら水を差すのは野暮だろう。


 俺はそう考えてそれ以上何も言うことなく、自宅の建築に入ったのだが……。

 驚かされたのはその土台の広さだけではなかった。




「え? いくらこの広さでもこの建材の量はおかしいんじゃないか……ですか? いえ主様、そんなことはありませんよ。三階建てるのですからこれくらいなければ」


 ……三階!?

 この広さで!?


「はい、正確には地下も含めて四階建てですが」


 いや、さすがにデカすぎるだろう!

 それにさすがに地下室作ったり、三階を作るのは初めてだし、危険性も――


「ご安心ください、代表様。我々は自身の住居を作る際に実験いたしました」


「その結果、わしらドワーフが鍛造したこの特別製の鉄芯を埋め込めば、三階の建築は十分可能だと証明されたのじゃ!」


 え? 実験? いつの間にそんな……。

 ……いやそれでも地下室はまた別問題――


「そっちも問題ないよ~しっかり漏れたりとかはしないように水源は調整したし~」


「それに自分らノームがしっかり強度を確保しながら作るっすしね!それに、頭にしっかり固めてもらえれば完全に心配なしっすよ!」


 ……確かにそうだな。

 創造神器で固めれば地下は崩落の心配なんてない。

 近くに水源がないならなおさらだ。


 くっ……!

 いや、ほんと……凄いな!?

 どれだけやる気を出しているんだ皆!


「当然のことです。我らを受け入れてくださった主様の住処を作ろうというのであればこれくらいのこと」


 ルシュがこちらを真っ直ぐ見つめそう言ってくる。


 ……ふぅ~~。

 分かった。

 参った。


 そこまで言ってくれるならその厚意ありがたく受け取ろう。

 俺も全力で建築に協力する。


 頑張って完成させよう!


「「「「「おぉーーーーっ!!」」」」」




 そうして……一ヵ月後。

 俺の自宅が完成した。


 完成した家を見た最初の感想。


 やっぱりデカい!途中から分かってたけど!


 形としては真ん中の抜けた四角形と言えばいいか?

 線の太いカタカナのロ、こういう形だ。


 真ん中の空いた場所は中庭になっていて、屋敷、と呼ぶのがピッタリな豪邸が俺の前にそびえたっている。


 いやぁ……語彙力なんてない俺じゃ凄いとしか言えないな。


 ありがとう、皆。

 こんな豪邸を建ててくれて。


「礼などいりません、お互い様ですよ代表様。この場所に受け入れてもらえたあの時の私たちの方が、もっともっと……嬉しかったですから」


「その通りですじゃ。これしき、わしらが感じている嬉しさに比べれば大したことはありませんぞ」


 そう、か。

 それでも、ありがとう。


 ハイラとイアンにそう言われ、つい胸がいっぱいになったがそれでも感謝を返しておく。




 ……なんだか少しほっこりしてしまったな。

 せっかく家が完成したのだからもっとテンションを上げていこう。


 なら次にやることは……家の中を確かめることだな!

 内見ってやつだ。


 建築中、俺は基本的に地下やら外側やらの工事をやっていたので、半分……いや七割がた中身を知らないのだ。


 周りの皆も満足げな顔をしているので、かなりいい仕上がりになっていることが予想されるが……やはり自分の目で見てみたい。


 ワクワクするな。

 それじゃあ早速完成したばかりの自宅内見ツアーに出発だ。


「では私がお供します、主様」


 そう言って俺の傍にやってきたのはルシュ。


「今回の総指揮を執っていたのは私なので、ご案内に最も最適かと」


 それはありがたい。

 是非お願いしたいんだ、が……。


 後ろでほかのコボルトたちやラウームたちノームが地に手をついて落ち込んでいるのは?


「誰が主様の案内をするか、という話になりまして」


 それでルシュに決まったから皆落ち込んでるって?


 まあ確かに、自分が作った箇所とかせっかくだから自分で紹介したいよな。

 気持ちわかるよ。


 ……ところで、穏便に決めたんだよな?


「はい、それはもちろん。主様に顔向けできなくなる手段など一切使っておりません」


 ……ならいいか。

 あんまりここに居てもなんだし早速案内してくれ。


「はいっ!かしこまりましたっ!」




「まずはこちら、玄関ホールになります」


 デカい屋敷のこれまたデカい玄関をくぐった先。

 そこに今俺たちは居た。


 ここは地下室づくりに何度も通ったから知ってはいたけど、やっぱり凄いな。


 十本の柱に支えられた広い空間。

 奥には二股に別れた石造りの階段。


 いかにも豪邸のホールって感じだ。


「こちらのホールは三百人の受け入れが可能であり、ここで収穫の宴などの食事会を開くことも可能です」


 うん、かなり便利だな。


 数が多くなって、大勢で集まる食事会は野外でやっていた。

 でも雨が降ったりしたら台無しだしな、ここでやることができるならその心配はない。


 三百人以上の住人が集まる場合はここでも収まり切れないが……その時はその時でまた新しく専用の会場でも作ればいい。

 それだけ住人が増えているなら出来るだろう。




 さて、地下は俺も建築にメインで参加し、よく知っているので、まずは玄関ホールを通り抜け一階から案内してもらう。

 一階にあるのはキッチン、倉庫、トイレ、洗面所などといった生活設備だ。


 順に見て行こう。


 まずはキッチン。

 感想。

 とても広い。


 まあ玄関ホールで三百人規模の宴をやるなら当然キッチンもそれ相応に大きくないといけない。

 俺もキッチンは広めがいいと建築前にお願いしたしな。

 広めどころか特大だけど……。

 だけど軽く見て回った感じとても使いやすそうだ。


 特に調理台や流し台なんか完全に俺の身長に合わせて作られている。

 背を曲げて料理したり洗い物をするのはちょっとキツいからな。

 これは凄くありがたい。


 他の場所にも随所に使いやすくなるような気づかいが見て取れる。


 とてもいいキッチンだ。

 気に入った。


 そのまま次、倉庫。


 キッチンのほど近くにある。

 いくつかに別れていて2階以上や地下にもある。


 今は何も入っていないが、食料、鉱石、木材、掃除道具、等々……いろいろなものを収納する予定だ。


 ここまでデカい屋敷だと必要なものも多くなる。

 そのためのものだな。


 ちなみに……地下の倉庫は俺がメインで作ったのでいろいろ仕込んである。

 隠し扉や隠し部屋なんかをな。

 やっぱりこういうのは定番だからな。

 使う日が今から楽しみだ。


 さらに次、トイレだ。


 今までトイレはは公衆トイレを作って皆そこにトイレに行く方式だった。


 今回の建築ラッシュでも他の区画は同じように公衆トイレを作ったはずだが……。

 なぜか俺の家にはトイレが備え付けられていた。


 これは?


 ルシュに聞くと……。


「はい、いちいちトイレに行くのに外出しなければならないのは面倒だろうから、と皆……」


 なるほど、それはありがたいが……いろいろ手間がかかるだろう?

 例えば浄化の魔方陣を使って浄化した汚れを回収する作業なんか。


「その程度の手間主様の快適さの為であればなんてことはない、それが私含め皆の総意です」


 ……ありがとう。


 でもさすがに自分一人だけ室内トイレを享受するのは、さすがに悪い。

 うん、皆の住居にも導入できるよう……色々考えよう。

 だけど今は内見の続きだな。


 トイレの次に来たのは洗面所。


 しっかりした木製の台に桶をセットするためのくぼみがある。

 顔を洗う以外にも洗濯なんかにも使えるな。


 ところで……入口と反対側の方にあるあっちの棚とかご、それに扉。

 あれってまさか……。


「はい、ぜひ主様の目で確認していただければ」


 半ば予想はしているが自分の目で確かめてみることにする。

 そこにあったのは……


 お風呂だった。

 しかもかなり広い。

 普通に百人同時に入れるんじゃないか? ってほどの。


 ……風呂を備え付けるなんて聞いてないぞ!? しかもこんなデカい!


「はい、言っていませんでしたから」


 しれっとルシュがそう言ってくる。


 いや、確かに嬉しいけせめて報告は――


「報告していれば主様は作らなくていいとおっしゃると思いましたので……いちいちお湯を用意するのも手間だから、と」


 うぐ。

 確かに言うかも。

 別に他の区画の公衆浴場にでも行けばいいって。


「なので黙って備え付けさせていただきました。黙っていた罰は甘んじてお受けします」


 ……罰を与える程じゃない。

 俺のことを思ってやってくれたのは分かるしな。


 でも実際お湯を用意するのは手間だろ?

 わざわざここまでウンディーネに来てもらうのは申し訳ないぞ?


「問題ありません主様、こちらへどうぞ」


 そう言われルシュについて行った先。

 さらに扉があった。

 その先は……外だった。


 これ……中庭と繋がっているのか!

 ってことは……露天風呂!?

 こんなものまで……!


「それに加え見て頂きたいのはあちらです」


 あちら?


 ルシュが指示した方向に目を向けるとそこにあったのは井戸。


 ……あれは俺が掘ったやつだな。

 かなり大きめにって言われたから、普通の井戸の数倍の直径がある。


 もしかして風呂用の水を確保するためにこんなに大きく?

 そう俺が考えながら眺めていると。


「あるじ~、やっほ~!」


 そこから姿を現したのはフィーネだった。

 え? なんでここに?


「あれ~? 言ってなかったっけ~? クイーンウンディーネに進化して~わたし水源を辿れるようになったの~」


 水源を……辿る?


 どういうことか聞いてみると。

 進化したフィーネは水の流れが存在するならばそれを辿って別の場所に向かうことが出来るらしい。

 たとえ水路や川の類が無くても、木の枝にすら満たない細い流れでもだ。


 それほぼワープみたいなものじゃないか?

 どんなに細くても水の流れが繋がっていればどこにでも行けるって……。


 俺が気付かなかっただけで、ちょこちょこその力を使って、川に遊びに行っていたりしていたらしい。


 ……川遊び、行くなら誘って欲しかったな……。

 いやまあ、俺はなんだかんだ多忙だったからそんな暇なかったか。

 そう思って寂しさを紛らわせる。


 まあともかく、フィーネがお湯を用意してくれるってわけか?


「そうだよ~!他ならぬあるじのためだからね~!」


 ありがとう。

 正直嬉しい。

 俺も風呂に入るのは大好きだからな。


「うん~!任せといてね~!わたしも入るんだし頑張るよ~!」


 うん? わたしも?


「それでは主様。一階の残りはまだ用途を決めていない空き部屋ですので。次は二階をご案内します」


 え? あ、ああ……分かった。




 そうしてルシュに案内され、玄関ホールの階段を上がり二階へ。

 ちなみにここ以外にも随所に階段を設けている為、階を上がるのにいちいち玄関ホールに戻ってくる必要はないらしい。

 しっかり考えられてるな……。


「こちらが主様の寝室になります」


 そう言われ案内されたのはこれまたかなり広い部屋。

 軽く十メートル四方ほどあるように見える。


 これが寝室? 作業部屋とかじゃなくて?


「はい。作業部屋は別で用意してありますので」


 別で!?


「作業部屋以外にも、応接室、執務室等もご用意してあります。これから必要かと思いましたので。それと、主様が必要になった時に備え、空き部屋も用意してあります」


 いやどれだけ用意したんだ!

 確かにそういう用途ごとにいっぱい部屋があるのとか憧れるけど!


 ……って、そんなに部屋があるって事はまさか……。


「ご推察の通り二階は八割がた主様の居室になっております」


 八割?!

 いやまあ、俺の家として作ったんだから当然だけど、実際広さを目の当たりにするとどうしてもびっくりしてしまう。


 はぁ~……凄いな。

 このフロアほぼ丸々俺が使って良いのか……。

 実感が湧いてきて、同時にワクワクも湧いてくる。


 一体どんな部屋にしようか……部屋がそんなにあるなら趣味部屋作っても良いな……。


「最低限の家具は運び入れてありますが、他にも必要なものを思いつきましたら遠慮なくお声がけ下さい。主様の為ならばいつでも駆けつけますので!」


 ああ、ありがとうルシュ。

 でもルシュたちの区画にまで呼びつけに行くのはお互い手間だろう? 気持ちだけ受け取っていおくよ。


「ご心配なく。……それでは三階をご案内いたします」


 うん? ああ、頼む。




 ルシュに連れられ次に来たのは三階。


 皆が実験を重ね、可能にしたと豪語した階層。

 建築途中も問題は起きなかったし、完成後の今見ても不安はない。

 とてもしっかりしている。

 本当にすごいな皆……俺一人じゃ三階建ての家なんて一生かかっても作れなかったかもしれない。


 にしても……今ふと思ったが。

 今更ながら三階は必要だったのか?


 地下と一階に倉庫と設備。

 二階に俺の部屋。


 これでもう完成だろう。

 他に必要な物あるか……?


「こちら三階は我々の部屋となっております」


 …………我々?


「はい、恐れながら……主様の補佐をすべく住み込ませて頂こうかと……」


 住み込み!? ルシュが!?


「私だけではなく、フィーネ殿やハイラ殿、ラウール殿などもです」


 ……あ!フィーネが私も入るって言ってたの……自分もここに住むからってことだったのか!?


 いや、流石に大事な仲間とは言え、ルシュたちみたいな美人と同じ屋根の下で暮らすのは……。

 でもここまで大きい屋敷なら、前世で言う所のマンションの違う部屋に友達が住んでいる、みたいなのと同じか?

 それに……。


「いや、そもそも進化の為にも区画分けしたんだぞ? もう進化しているルシュやフィーネはともかくハイラたちはそれでもいいのか? もしかしたらここに住む分進化が遅くなるかも……」


 そう、最適化された環境で寝泊まりするのとそうじゃないのとでは進化速度にも違いが出てくるだろう。

 多分。


「はい、皆さんそれでもかまわないと。それよりもお側で恩を返したいと」


 そう、か……。

 うぅん……。

 うぅ~~ん……。


「その……ダメ、でしょうか……?」


 ルシュが不安げに俺にそう聞いてくる。

 耳も尻尾も垂れ下がり、まるで落ち込んだ子犬みたいだ。


 ……ちょっと気恥ずかしい所はあるが、ここまで不安げにされたらさすがに断れない。


「……分かった、ルシュ。これから同居人としてよろしく頼む」


「っ!はい!お任せください!」


 花が開くような笑顔。

 そして激しく振られる尻尾。

 全身で嬉しさを表現しているようなその姿を見て。

 俺はここまで喜んでもらえるなら、まあ……いいか……と、そう思ったのだった。


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