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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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27.収穫と実験畑

 そうして。

 三頭鹿襲来とその試食会も越え、俺達は順調に開拓を続け――られていなかった。


 なぜなら……収穫の時が来てしまったからだ。




 いやぁ……収穫前までには開拓終わらせようと思っていたのにな。


 そう考えながら、今俺は収穫作業を行っている。


 これは完全に俺の見通しが甘かったな。


 開拓が遅れた原因は三頭鹿の襲来もあるが、それ以上に。


 果ての森の木の硬さ。

 遠くを伐採すればするほど増えていく運搬にかかる手間。

 そして何より俺のずさん過ぎた開拓範囲の設定。


 これらの要因が大きい。

 やっぱり実際やってみないと分からないことって多いんだな。


 三頭鹿の試食会で皆のモチベーションが上がってこの結果だからな。

 本当に、あまりにも見通しが甘すぎた。


 ……まあいい、取り返しがつかないミスでもないんだ。

 収穫の後に、改めて開拓を再開すればいいだけの話なんだしな。


 だけどこれからも住人が増えるにつれて大規模な開拓はやっていかなきゃならないだろう。

 この反省点はしっかり覚えて次に活かすとする。




 さて、反省もいいが今は収穫だ。


 まずは定番のじゃがいも、玉ねぎ、にんじん、そして小麦。

 これは何も言うことがない。

 もう収穫も慣れているし、安定して大量に収穫できる。

 よほどの事がない限りもう飢えとは無縁だろう。

 恵みに感謝しながら収穫する。


 そして次に大豆と米。

 大豆もだが特に米。

 これは正直かなり楽しみにしていた。

 やっぱり俺としては主食はパンより米派だからな。


 前回の収穫では、種が何か分からなかったのでいつも通り畑に植えてしまい。

 そのせいかあまり量が取れなかったので、すべて増産に回した。


 だが今回はエルフたちの助けも借り水田を作成。

 その甲斐あってか、水田一面が金色に輝く程、豊かに実ってくれた。


 あの多くの稲穂が実り、風で静かに揺れている光景……ついグッときて、ちょくちょくその景色を見に行っていたほどだ。


 それだけ熱望していた米をついに食べることが出来る。

 ふふ……その時が今から楽しみだ。


 ……つい米に気が取られてしまったが、当然大豆もとても嬉しい。


 こっちも増産のため、ほぼすべてを畑に植えたが、少しだけ手元に残した分で実験はした。

 その結果、普通に焼いたり煮たりしても美味しい上に、しっかり油も取れることが判明した。

 安定して油を搾れれば料理もしやすくなる。


 それに大豆と言えば何より、味噌と醤油だ。

 ほんっとうに、喉から手が出るほど欲しい調味料。

 今の俺に作る方法はないとはいえ、いつか手に入るかもしれない。

 この世界には魔法だってあるんだから、可能性は十分あるはずだ。


 そういうわけでいつか味噌と醤油を作る時に困らないよう、しっかり増えてくれたのはとても嬉しい。


 そして今までならここで終わっていたが、今回は追加がある。


 追加その一。

 りんごだ。


 俺が転移して最初に見つけた食べ物。

 いや見つけたというよりムイに教えてもらったが正しいか。

 りんごに似てはいるが別物の、おそらく異世界特有の果実。

 ここに来た種族に聞いても皆知らなかったから、名前は分からないが。

 そのりんごに似た果実の種を、専用の畑を作って植えておいた。

 そしてその種はすくすく育ちついに果実が取れるようになったんだが……なぜかその木からはりんごが取れた。


 正直混乱した。


 確かにその果実は赤くて味もりんごに近かった。

 俺も内心で、ほぼりんごだなこれ、とは思っていたんだが……。


 もしかしてそのせいか?


 俺が内心でそんなことを思っていたから俺の知るりんごの形になった?

 だとするなら創造神器には品種改良能力まであることになるが……。


 あってもおかしくないな。

 創造神器だしな。


 品種改良できるかどうか、これは後々実験することにしよう。

 ゆっくりで良い。

 どうせかなり時間がいる実験だ。

 それに別に焦る必要もないしな。


 ちなみに。

 創造神器を向けて毒は無い事は分かったので、早速食べてみた。

 りんごに似ている味がりんごそのものになっていた。

 さらに驚いたのはその甘さだ。

 シャクシャクとかじるたびに口の中に芳醇な甘さが広がっていく。

 食べる手が止まらずにあっという間に完食してしまった。


 これは、増やそう。


 甘味に飢えていた俺はそう決意した。




 そして追加その二。

 エルフと実験した草畑だ。

 ここには薬草、野草、綿花、綺麗草を植えていた。


 俺もちょくちょく様子を見に行っていたから分かってはいたが、自家栽培は成功。

 無事に収穫することが出来た。


 収穫した時のエルフたちの興奮は凄かった。

 普段あまり感情を表に出すところを見ない代表のハイラも目に見えて喜んでいた。


 どうやらこれらの栽培は昔からエルフも試していたらしいが、結果が出なかったようだな。

 人工的な環境ではどうしても育ちきらなかった、と。

 だがここでは一発で成功した。

 そりゃあ喜ぶってもんだよな。


 もちろん実験的な畑だったから採れた量は少ない。

 だけどこれから増産していけば、いずれ栽培だけでまかなうことが出来るようになるだろう。


 薬草や野草、綿花も嬉しいが俺が一番欲しいのは綺麗草。

 柔らかいうえに圧力を加えると身体が綺麗になる成分を出す草。


 トイレや入浴に使っているが本当に便利だ。

 お風呂で身体をゴシゴシこの草で服だけで汚れが落ち、心なしか少しいい香りまでしている気がする。

 もうこれなしの生活には戻れないかもしれない。

 それぐらい便利。

 欠点としてはトイレに使うとお尻が少しスースーする所か。

 まあこれがいいと言っている者もいるし好みだな。




 さて、実験と言えばもう一つある。


 そう、創造神器の「土壌強化」、その能力を調べるために作った畑だ。

 作った畑は三つ。


 ノームが作った畑。

 ノームが作った畑に土壌強化をかけた畑。

 俺が作った畑に土壌強化をかけた畑。


 この三つだ。

 ちなみに俺が作って土壌強化をかけてない畑は、ここにはいくらでもあるし、体感でどんなものか分かっているしで作っていない。


 そしてまあ、途中経過である程度結果も分かっていたが、結果としては上から順に成長速度が速くなった。

 とは言っても下二つはほぼ誤差のレベルだと思うが。


 詳しく行こう。


 まずノームが作った畑。

 おおよそ二割ほどの成長度合い。

 ノームに聞くとこれが平均的な成長速度とのこと。


 次にノームが作り、土壌強化をかけた畑。

 おおよそ八割ほどの成長。

 もう少しで収穫できるラインにまで来ている。


 俺が作って土壌強化をかけた畑もほぼ同じだ。

 こちらもおよそ八割ほどの成長。


 土壌強化をかけた俺とノームの畑は一見ほぼ違いが無いように見えるが、実際は違いはあった。

 後から分かったのだが、俺が作った畑の方が収穫量と作物の味が上だったのだ。

 味は他の者にも食べ比べてもらったから間違いない。

 どうやら創造神器の手を多く入れた方がいい作物が出来るようだな。


 ……話が逸れた。

 とにかくこの結果から分かることは、俺以外の誰かが作った畑であっても、土壌強化をかければ作物の成長速度がおよそ四倍になると言うことだ。


 にしても四倍って……改めて考えてみると凄いな……。


 そしてこの成長度合いは俺の体感とも一致する。

 俺が作って土壌強化をかけていない畑でも大体これくらいの成長速度だ。


 つまりこの能力……土壌強化とは、俺以外が作った畑にかけてその成長速度を、俺……というか創造神器で作った畑と同じレベルに引き上げる能力なのだろう。


 流石は創造神器。

 言うまでもなくとてつもなく便利だ。


 今の街の規模なら創造神器の力をもってすれば畑の作成は十分に間に合う。


 だがこのままさらに住人が増えたら?

 街を拡張していったら?


 俺一人ではどうしても畑の作成は追い付かなくなる。

 そうすれば食料の生産速度も落ちてしまう。


 だがこの能力をつかえば、その問題は解決できる。

 他者、例えばノームに畑を作ってもらい、俺は土壌強化をかける。

 こうすれば生産速度を落とすことなく畑をガンガン拡張していけるだろう。


 これから先がさらに楽になる能力だ。

 とてもありがたい。




 今回の収穫の結果はこんな感じだ。

 また多くの実りを得ることが出来たし、畑の実験も大成功と言える結果を出した。


 いい収穫だったな。


 創造神器に今度もまた大きな感謝をささげながら、俺は収穫の時を終えた。


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