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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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24.ノームの歓迎と実験

 さて、というわけで恒例の歓迎会だ。

 新しい種族が来た時の定番になりつつある。


 何故かというと……やはり新しい種族との顔合わせというのは大事だから。

 だけどそれ以上に、みんなでわいわいご飯を食べるのが楽しいからだ。

 毎食そうだと気疲れしてしまうが、このくらいの頻度だと楽しさが勝る。


 さて、今回用意した料理だが。


 野菜スープ。

 ふかし芋。

 にんじんと玉ねぎでの野菜炒め。


 となっている。


 これは今回の歓迎会の主役ノームたちの為だ。

 歓迎会の料理を作る前に聞いてみたところ、ノームたちは肉を食べないそうだ。

 だから歓迎会の料理は全て野菜オンリーにさせてもらった。


 まあたまにはこういうのも良いだろう。


 俺は早速音頭を取る。

 とは言ってもシンプルなものだ。

 この度俺たちの街にノームが加わった、みんなで仲良くやっていこう……とかそんな感じ。


 あんまり長くしても退屈だし、そもそも長い挨拶とか考えられないしな、俺。


 と言う訳でささっと音頭を取り終わり、みんなで食事に箸を伸ばす。


 すると。


「うっ……うぅっ……ぐすっ……美味しい……美味しいっすぅ……。なんすかこれ……なんすかぁ……」


 ノームたちが食べながら泣き出した。


 えぇ……? 確かに自信作だけど……そこまで?


 そう思ってるのは俺だけのようで、他の皆は分かる……、といった顔でノームたちにいろいろ料理を勧めている。

 仲良くなれそうでそれは良かったが……。

 まあ、それだけここの作物が美味しいと言うことか。

 嬉しいことだな。


 納得して俺も料理を勧めに行く。

 主役だからな、お腹いっぱい食べてもらおう。


「ほら、ラウーム。こっちも食べると良い。シンプルな味付けだけど素材の味が出てて美味しいぞ。食べながら話でも聞かせて――」


「あ、ありがとうっすぅ……いただくっすぅ……」


 俺が食べながらいろいろ話そうとすると、ラウームはこっちを見ることなく、勧められた料理に飛びついた。

 どうやら夢中になる程、料理に心奪われているようだな。

 それじゃあいろいろ話すのはラウームが落ち着いてからにしておくか。

 俺はそのまま料理を勧めながら、しばらく様子を見ることにした。




「……うっ……うぅ……自分は……自分は情けないっす……。料理に夢中になって頭との話をおざなりにするなんて……」


「あー、そう落ち込まなくていい。むしろ俺は嬉しかったよ。料理にあれほど夢中になってもらえて。作った甲斐もあるってもんだ」


「ほ、ほんとっすか……?」


「ほんとほんと、だから気にしないでくれ」


「う……うっす!頭、ありがとうございます……!」


 ひとしきり食事に夢中になったのち、ラウームは我に返った。

 そして俺に謝ってきたが、俺は本当に気にしてない。

 気に病まないようにしっかりフォローしておく。


「それで……いろいろ聞きたいことがあるんだが、いいか?」


「はい!何でも聞いて下さいっす!」


「それじゃあ早速……まずノームって種族はどういったことが得意なんだ? ああそれと、こんなことがやりたい!とかそういう希望はあったりするか?」


 これは聞いておかないとな。

 無慈悲なようだが働かないものを置いておけるような余裕はうちにはない。


「はいっす。自分らノームは土仕事が得意っす。頭の耕した畑には敵わないかもしれないっすけど……でも、良い畑を作ることが出来るっすよ!」


 ふむ……普通にありがたいな、それは。

 今でこそ俺一人が作る畑だけで食糧生産は間に合っているが、数が増えればそうもいかない。

 街を発展させていけば例え俺の時間を全部つぎ込んでも、畑作りが追い付かなくなる時がそのうち来る。

 そもそも俺にはほかにも、採掘だったり料理だったり建築だったりと……いろいろやることがあるからな。

 時間全部農業に使うことは出来ない。


 だからノームたちが畑を作ってくれるのはとてもありがたい。

 エルフたちとノームたちで農業をやってくれるなら、俺にも余裕が出来るからな。


 畑の出来については……まあ創造神器で作った畑の出来がいいのは当然か。

 でもまあそれはそれで、創造神器で作った畑で取れた作物は、歓迎会だったり宴なんかで使うようにすればいいだろう。

 たまのご馳走っていいものだしな。


 そういうことをかいつまんでラウームに伝える。


「ほんとっすか!?自分ら頭のお役に立てるっすか!?……嬉しいっすぅ~~っ!」


 ラウームは不安げな顔から一転、飛び跳ねて喜んでいる。

 もしかしたら追い出されるかもとか考えていたのか?

 さすがにそこまではしないが……。


「じゃあラウームたちはエルフたちと一緒に農業をやってもらうってことでいいか? 何か他にやりたいことなんかあったら聞いておくけど……」


「それで大丈夫っす!よろしくお願いしますっす!誠心誠意働くっすから!」


 よし、それじゃあそういうことに……って待てよ?


 ノームたちに畑を作ってもらった場合、作物の成長速度なんかはどうなるんだ?

 畑の世話は途中からエルフにやってもらっていたが、畑自体の作成は毎回俺がやっていた。

 創造神器で。


 俺は成長速度が早まるのは創造神器のおかげだと思っている。

 だとするならノームたちに畑を作って貰ったら? その場合、ノームたちの畑での作物の成長速度は通常通りだろう。

 いや、だけどこの土地自体が特別でノームたちに畑を作ってもらっても成長速度は変わらない可能性だってあるか?


 ふぅむ……試してみないと分からないな、これは。


 ラウームに実験の為に畑を作って欲しいとお願いする。

 今日はもう遅いから明日だ。


「……実験っすか? 頭が言うならもちろん構いませんっすけど一体何の……え? 作物の成長速度に違いがあるかどうかの実験? ……へ? 頭が作った畑は作物が早く成長するんっすか!?」


 いや、それを確かめる為の実験なんだが……。


「さ…流石っす……流石は頭!自分ら、一生ついて行くっす!」


 ……聞いてないな。

 ま、まあ時間を置けば落ち着いてくれるだろう……くれるよな?


 ちょっと不安になりながらも、その日は解散した。




 そして翌日。

 目覚めた瞬間、俺の脳内に声が響く。


 ”累計六種族、結集確認。新たな能力、「土壌強化」解放”


 ああ、そうだそうだ……来るよなそりゃあ……ノームが増えたんだから……。


 いつもの創造神器の機能追加アナウンスだ。

 だけど今回はちょっと珍しいな。

 形態追加はなく能力追加だけ。

 でも形態追加だけのパターンだってあったしな、能力追加だけのパターンだってあるだろう。


 俺はそう結論付け、新たな能力について思いをはせる。


 土壌強化能力……そのまま考えれば言葉通り土を強化するもの……畑の品質がさらに良くなったりするのか?

 地の精霊であるノームが加わったからこの能力が……?


 ……考えても仕方ないな。

 幸い今日はノームと一緒に畑の実験をするし、その時に一緒に試そう。


 そう考えながら俺は家を出た。




「おはようございますっす!今日はよろしくお願いしますっす!」


「ああ、おはよう……元気だな?」


「それはもうっす!昨日あんなに美味しいものいただけたんすから!元気いっぱいっすよ!」


 まあやる気があるのは良いことだ。

 今回は実験なので、ラウールだけに付き合ってもらっている。

 他のノームたちは採集に出ていないエルフたちと一緒に畑の世話だ。


 とは言っても畑の近くで実験しているので、エルフたちもノームたちも結構近くにいるが。


 それじゃあ早速始めるか。

 俺はラウールに小さくていいので畑を作ってみてくれ、と言う。


「はいっす!早速作るっす!ん~~……そりゃあっ!」


 掛け声とともに地面が掘り返される。

 わずかに土煙が経ち、すぐに収まったかと思うとそこには一メートル四方ほどのしっかりした畑が出来ていた。


「これが自分らノームの力っすよ!……まあ広い畑を作るんならもっと時間がかかるっすけど……。この位ならお安いもんっす!」


「いや……すごいな。これは」


 心からそう思う。

 試しに出来た畑の土を触ってみるがとても柔らかい。

 創造神器で軽く掘り返してみるが、表面だけではなくかなり深くまで土が柔らかくなっている。

 素晴らしい。


 時間はかかると言ってもこんな畑が作れるのなら、農地を大きく増やすことが出来るだろう。


 問題は……。


「後はこの畑での作物の成長速度がどうなるか……成長が早まってくれるのが最良だけど……」


「あーその……ちょっと言いにくいんっすけど……多分だけど、頭の畑みたいに早く成長することは無いと思うっす……」


「分かるのか?」


「はいっす……自分らは地の精霊ノームなんで……。自分で作ってみてはっきり分かったっす。自分らの畑は大したもんですけど頭の畑には及ばないっす……。成長速度が大きく早まったりとかは、しないと思うっす……」


 そうなのか……ちょっと残念だな。

 それでも良い畑をこれから広げてもらえるのは嬉しい、と俺がそう伝えようとしたところ……。

 手に持っていた創造神器が光り出した。


 突然の事に俺が固まっていると、創造神器から溢れ出した光の粒が、ラウームが作った畑に降りかかっていく。

 そして降りかかり終わると創造神器の発光も終わった。


 一体今のは……?

 俺がそう困惑していると。


「すっ……すごいっすぅぅっ!頭ぁっ!自分の畑が…さらに昇華されたっすぅぅっ!!」


 ……え?




 その後、興奮したラウームを落ち着けて話を聞く。

 何が起きたのか聞くとどうやら……畑がレベルアップしたらしい。


 レベルアップとはどういうことだ?

 そう俺が聞くと。


 さっきまでの自分が作った畑では作物の成長速度は変わらなかっただろうが、レベルアップした畑なら作物の成長速度は早まるだろう、そう感覚的に理解できたのだ、そうラウールは語った。


 何でそんなことが起こったのか……まあ当然、創造神器の力だろう。

 あの創造神器から出ていた光の粒。

 その正体はおそらく今朝に解放されたばかりの能力、土壌強化。


 これまで畑を作っていてあんな現象が発生することは無かった。

 なのになぜ発生したのか……新しく解放されたからだと考えるのが自然だ。


 この能力も凄いな……。


 創造神器の持つ能力はどれもすさまじいものだ。

 土壌強化も例に漏れない。


 誰かが作った畑でも、この能力を使うだけで、俺が作るような作物の成長を促進させるような畑に昇華させることが出来る。


 ノームに畑を作ってもらい、そこに俺が能力を使う。

 これが出来るんなら畑を一気に広げることも出来るだろう。


 そのためには……実験しないとな。


 早速ラウームにも手伝ってもらい、実験用の畑を三つ並べる。


 一つはさっきのラウームが作った畑に俺が土壌強化を使った畑。

 そしてもう二つは、ラウールが作って何もしていない畑と、俺が作って土壌強化の能力もかけた畑だ。


 この三つの畑にじゃがいもを植えてみて、成長速度や収穫量がどれくらい違うのかを見ることにする。


 ちなみに畑を作る過程で、畑じゃない場所にも土壌強化が使えるのか試してみたが使えなかった。

 畑になら創造神器を向けて念じるだけで使えるのだが、土壌強化は少なくとも今のところは畑にしか効果が無いらしい。


 さて、実験用の畑も作り終わったところで、エルフとノームたちにこの畑の世話も頼んでおく。

 俺も出来る限り見に来るが、他にもやることが沢山あるしな。


「お任せください。代表様」


「はいっすぅ~。任せて下さい頭ぁ~」


 エルフは普通に了承してくれたが、ノームたちは俺が作って土壌強化もかけた畑に頬ずりしながら返事している。


 ……いや、まあ、うん……。


 その姿を見て、実験がどうなるかある程度予想がついた物の、結果は出てみるまで分からない。


 結果が出るその日を楽しみにすることにしよう、今は。


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