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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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22.試しの鍛冶とエルフの採集結果

 そして。


 ドワーフたちは有言実行してくれた。

 みるみるうちに調理器具を作ってくれたのだ。


 一番反響が大きかったのはピーラー。

 今まではナイフで皮むきをしていたからな。

 特にエルフは皮むきがとても楽になったと喜んでいた。




 というわけで、調理器具も今必要な分は作ってもらったので。

 俺は今……鉄を叩いている。


 カンッ……カンッ……カンッ……!


 そう、創造神器の金槌で。


 金槌の形態はエルフとドワーフたちを迎え入れたとき鍬の形態と一緒に開放されていた。

 今まではドワーフが忙しく使っていたので遠慮していたのだが、ある程度落ち着いたタイミングということもあり、少し使わせてもらっている。


 にしても、分かってはいたが……創造神器は流石だ。


 俺に鍛冶の経験はない。

 熱した鉄を叩いて、形を作り、冷やして完成。

 その程度のにわかな知識しかない。


 そんな俺でも問題なく鍛冶が出来ている。


 というのも……この創造神器の金槌。

 俺がこういう風に形を整えたいな、と思いながら振ると、思い通りの形になるのだ。

 まるでイメージがそのまま出力できているような感じ。

 まるで自分が天才になったのかと勘違いしてしまいそうになるほどだ。


 まあ、創造神器の力なのだが。


 謙虚さを忘れず慢心はしないように気を付けよう、と自分に言い聞かせておく。

 定期的に言い聞かせておかないとそのうち調子に乗ってしまいそうだからな、俺は。




 さて、今俺が何を作っているかというとショートソードだ。

 普通の剣より短めの取り回しの良い剣。


 なんで俺がショートソードを作っているかというと。


 ドワーフに頼んで炉を使わせてもらえることになった時、俺は考えた。

 さて、一体何を作ろうか……。

 ふむ、そうだな……鍛冶といえば!


 ……剣?


 我ながら安直な発想力。

 だが思いついたものは仕方がない。


 どうせ創造神器の試しなんだから何でもいいかと俺は考えて剣を作ることにした。


 だが、せっかく作るのなら、使ってもらいたい。

 そしてこの周囲で使うのならば基本、森や洞窟の中で使うことになるだろう。

 なら振った時に引っかかったりしないように短めの剣の方が使いやすいだろう。


 そう考えショートソードを作ることにした。

 短い分、普通の剣より作りやすいかもと考えたのも理由の一つだな。


 まあ結果から言えば作りやすさとか心配する必要はなかった。


 創造神器がとても使いやすかったからだ。

 剣でも何でも想像したとおりに形作ることが出来る。

 もしかしたら刀すらも作ることが出来るかもしれない。


 ……っと、思考がそれたな。

 創造神器の力があまりにも素晴らしいとはいえ、しっかり集中して作ろう。


 そう気を取り直してからそう時間もかからずに。


 ショートソードが完成した。


 いや本当にすごい。

 頭の中で想像していたショートソードがそのまんま出来上がっている。

 しかも研ぐまでもなくその表面はなめらかでピカピカだ。


 俺の鍛冶を見守ってくれていたドワーフもざわざわしている。


「代表殿、鍛冶は初めてといっておりましたが……真でしょうか?」


 イアンがそう声をかけてくる。


 分かる。

 鍛冶のことに詳しくない俺だっておかしいって思う。

 だけど本当だとそう答える。


「なるほど……であれば才能があるのですな!どうですじゃ?鍛冶に専念されるというのは?」


 いや、流石に創造神器の力頼みで鍛冶に専念するのはな……。

 こういうのはたまにやる程度にしておいて、本格的な鍛冶はこれまで通りドワーフに任せる。


「ふむ……それは残念ですじゃ。しかし炉が使いたくなった時はいつでも言ってくれてかまいませんぞ」


「ああ、ありがとう。その時は頼む」


 そう言って炉をあとにする。


 さて、作ったはいいもののどうするか、これ(ショートソード)……。

 俺には創造神器があるから使わない。

 だから誰かに使ってもらおうと思って作ったんだが……誰に使ってもらおうか?


 そう考えながら歩いていると……。


「あ……!こんにちは!主様!お散歩でしょうか?」


 前からルシュが歩いてくる。

 と、思いきやこちらへ走り寄ってきて挨拶してくれる。


「いや、ちょっとドワーフたちに炉を使わせてもらってたんだ」


 と、そう答えて思いつく。

 そうだな、せっかくだから――


「なあルシュ、これ……俺が試しに作ったショートソードなんだけど。良ければ使ってくれないか?」


 そう、ルシュなら使う機会も多いだろう。

 というわけでそう提案する。


「わ、私が……?主様の作った剣を……!?」


 ルシュがふるふると震えている。

 ……う~ん?


「ああ、嫌ならいいんだけど――」


「嫌だなどとそんなことは!!……んっ、コホンっ!……ありがとうございます……主様。このルシュ、良ければそのショートソードを使わせていただければ……と」


「そうか? そういうなら、使ってくれ」


 そう言ってルシュにショートソードを渡す。


 義理でもらってくれたのかとも思ったが、尻尾がぶんぶん揺れている。

 どうやら本当に喜んでくれているみたいだ。


 素直に嬉しいな、ここまで喜んでもらえると。

 そう思いながら俺はその場をあとにする。




 ルシュと別れた俺はハイラのもとに来ていた。

 エルフたちが森で行った採集の報告を聞くためだ。


「代表様……!言ってくださればこちらから出向きましたのに……!」


「いや、いいんだ。ちょうど暇だったからな。それより報告を聞かせてくれ」


「……代表様がそうおっしゃられるのであれば……。はい、採集物の報告ですね……こちらへまとめてあります」


 そちらを見ると、草や葉っぱなどが種類分けされておいてあった。


「まずはこちらにいくつか一緒にまとめているのが食用に出来る野草です」


 ふむ、食べられる野草か。

 野草は食糧に困っていないうちではあまり必要ないかもしれないが……。

 いろいろ調理方法が増えて美味しく調理できるようになれば、料理に使うようになるかもしれない。


「そしてこちらは我々が綺麗草と呼んでいる葉です」


「綺麗草?」


「はい、こちらの葉は強く押すと、汚れを落とす成分を出すのです」


 それは……すごいな。

 その説明が本当ならトイレで使えるし……お風呂でのボディタオル代わりにも使えるだろう。

 触ってみるがふわふわとした感触だ。

 肌を傷つけるような硬さはない。



「そしてこちらは綿花です」


 これは俺も見たら分かった。

 見るからにふわふわしている。


「ベッドに使えばふかふかなベッドが出来るでしょう」


 それは素晴らしい。

 やっぱりベッドにはこだわりたいからな。

 適度にふかふかなベッドはきっと疲れもよく取れる。


「そして最後に……こちらは薬草になります」


 そう言って見せられたのは俺が全く見覚えのない不思議な草。

 茎が渦巻いていたり、花から紫色の……煙? 瘴気? が出ていたり……かなり怪しい見た目だ。

 つい創造神器を向けてみるがほんとに毒はないらしい。

 エルフが来てくれてよかったな。

 森の中でたまたまこれを見つけたとしても、俺だったら採ろうという発想すら出ない。


 ちなみに茎が渦巻いているのは擦り傷なんかにいい塗り薬になり、紫色の煙が出ている方は肩こりなんかに効く湿布になるらしい。


「なるほど、どれも有用だな。採ってきてくれてありがとう」


「いえ、礼には及びません。代表様のためならばこれくらい……」


 ハイラは目を潤ませながらそう言った。

 ドワーフもだが、相当恩義を感じてくれているようだ。


「…………あっ、そうでした。代表殿に提案したいことがございまして……」


「? 何だ?」


 ハッ!と気を取り直したようにハイラが俺にそう言ってきたので、どうしたのか聞く。


「はい、これからも定期的に採集はしてまいりますが、採りすぎると生態系のバランスが崩れ、採集できなくなる危険性がございます。ですので、自家栽培も試したいのです。これらは育てるのが難しいのですが、代表殿の作る畑であればもしくは……」


 なるほど。

 確かに今はよくても将来採りつくしてしまう危険性がある。

 それを考えれば当然の提案だ。


「分かった。それじゃあ早速今から畑を作りに行こう。手伝ってくれるか?」


「それはもちろん!ありがとうございます、代表様!他の物にも声をかけてきます、早速行きましょう!」




 というわけで、早速畑を作りに来た。

 今回は自家栽培できるかどうかの確認なので大きい畑は作らない。

 エルフの住居の近くに小規模な畑を作る。

 だからすぐに終わるだろう。


 とは言えども、これら……特に薬草は人の手で栽培するのは難しいらしい。

 なので、いつもより気持ち気合を込めて俺は創造神器の鍬を振り下ろす。


 サクッ……サクッ……サクッ……!


 いつもどおりサクサクと耕せる。


 そして本当にすぐに畑を作り終わった。

 我ながらいい出来だ。


 心なしか畑が輝いて見えるような気さえする。


 エルフたちも俺と同じように感じているようだ。

 ハイラが声をかけてくる。


「さ、流石は代表様です……!私はこれほど良い畑を見たことがありません……!この出来の畑であれば、自家栽培出来るかもしれません!」


 それならよかった。

 自家栽培に成功したら、将来の不安も減る。


 じゃあよろしく頼む。

 ああでもあまり気負いすぎないでくれ。

 失敗したらまた他のやり方を試せばいいんだからな。


「代表様……お気遣いありがとうございます。ですがエルフの名に懸け、栽培は成功させて見せます」


 ハイラがそう力強く言い切る。


 そこまで言うのならこれ以上言うのも無粋だな。


 エルフたちに任せた、と言って俺はその場を離れる。

 結果を楽しみにしておこう。


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