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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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206/213

206.室内球技

 その後。

 結局断り切れなかった俺は、屋敷の玄関ホールに集まっていた住民たちが、入れ代わり立ち代わり参加する超次元バレーを共に遊ぶことになった。


 仕方ない。

「共にやってはくださいませんの……?」と、うるうるした瞳で見つめられては断りきることは出来なかった。

 我ながら押しに弱い、ほんと。


 だけどまあ、皆気を遣ってくれたみたいで、あんなズバンとかドバンとかとてつもない音を出すようなスパイクやサーブは打ってこなかった。

 ちゃんと俺の目にも映る程度の速さで打ってくれてたし、三メートルも飛ぶようなガチ行為はやってこなかった。

 遊びの範疇って感じで普通に楽しかったな。




 というわけでバレーを楽しみ、軽く汗をかき、バレーから抜ける。

 住民たちは俺が抜けた後も楽しくボールを打ち合っているな。


 さて、住民たちが楽しそうにしているのはいいんだが、流石にバレーだけだと屋敷に集まってきている住民全員が遊ぶことは出来ない。

 コートもいくつか作ったし、本来の六人制バレーをやっている者もいるが、それでもまだ多くの住民は観戦して楽しんでいる様子だ。


 というわけで他の球技も広めていく。




 まずはバスケットボール。

 これは簡単だ。

 木材を組み上げバスケットゴールを作り、そこにアラクネに作ってもらったゴールネットを付ける。

 倒れたりしないように下の方に重りを付けたら、それをある程度の間をあけて向かい合わせで置く。

 これで完成。


 ボールはこんなこともあろうかといろいろ作っておいたからな。

 当然バスケット用のボールもある。


「なるほど……あのネットにボールを入れればいいのですね」


「地面にボール突かなきゃいけないの? わっ! 凄く良い音鳴るーっ!」


「ぬっ! このっ……! 抜けない! ああもう飛んじゃダメ!?」


 だめ。


 バスケットボールも住民たちに大いに好評を博しているようだ。

 ダムダムと小気味いい音を響かせながら、住民たちが抜きつ止めつつの攻防を行っている。


 ふむ。

 ボールの音も良いが、やっぱりあの靴底が床と擦れるキュッキュって音も欲しいな。

 そのうちシューズを作るのもいいかもしれない。


 そんなことを思いながら住民たちのバスケを見ているが……うん。

 ハイコボルトとハイエルフが凄く強い。


 特にその代表のルシュとハイラ。


「ふむ。ここからならこの角度で……」


「弓とは違いますが、狙ったところに当てるという点では同じですね」


 ルシュはそのたぐいまれな器用さで、ハイラは弓術で培った当て勘で、それぞれスリーポイントラインどころか、ハーフコートラインより後ろ……いやなんなら、自陣ゴール近くから相手ゴールにシュートを決めている。

 漫画でしか見たこと無いぞその光景。


 住民たちもこの二人をフリーにしたら負け一直線だということを悟ったのか、教えていないはずのマンツーマンディフェンスでこの両者に張り付いている。


 というかこの両者じゃなくても、ハイコボルト、ハイエルフは当然のようにハーフコートラインからシュート決めてるな。

 流石と言わざるを得ない。


 結局、マンツーマンディフェンスを用いても、普通に抜かれたり他の選手に決められたりして……ハイコボルトとハイエルフが二強になったな。

 今はお互い同士でやり合っている。

 もはやコートのどこからでも決められるため、ゴール下の攻防という概念がほぼ無い。

 ……これはこれで見ごたえあるな。


 まあゲームバランスとかは……所詮遊びだし明確に決めることも無いか。

 強いものは強いもの同士でやっているみたいだし。


 俺はそう考えて、白熱するレースピアバスケを横目に、他の球技道具も作る。




 次に作ったのは卓球台。

 木材を真っ平らなテーブルの形に削り、その中央に小さいネットを張る。

 そしてさらに小さめのうちわのような形に木材を削り、両面に薄く伸ばしたゴムをぺたりと貼る。

 これで卓球台とラケットの完成だ。


 後はボールだが……ピンポン玉の原料のプラスチックは当然無いので、ゴムをピンポン玉くらいのサイズに丸く削ったなんちゃってスーパーボールを作る。

 ピンポン玉より重量がかなり増えるが、まあ街の住民たちならこれで十分卓球が出来るだろう。


 なので早速やってもらった。


「へー……いいねーこれ。あんまり動かなくても良いのがいい」


「台の上で球を打ち合って……一瞬の判断の遅れで打ち返せなくなるのが面白いね」


「鍛冶と同じで打ち方ひとつでいくらでも軌道を変えられるのが良いですな」


 卓球にも住民が一気に集まった。

 バレーやバスケと違って走り回らなくても良いってところから、足の速さにあまり自信の無い住民たちが中心となってやっているようだ。


 俺からしたらあまり謙遜するほどでもないと思うが……。


 そう考える俺の前で、これまたとてつもないスピードで交わされるラリーの応酬。

 心なしか球が五つほどに増えているようにすら見える。

 対戦している住民は、こんな増える魔球みたいな残像も全て見抜き、反応して的確に打ち返している。


 音も最早、卓球特有のカコッカコッカコッ……と速いながらも音の切れ目を認識できる音ではなく、パガガガガガガガガッ! と切れ目なく連続した音が響いている。


 うん。

 やっぱり見ている分には面白いな、異世界球技って。


 卓球台やラケットもその後いくつか増設し、端の方に並べて置く。





 いやあにしても……ホールっていうか体育館みたいだな、もう。


 俺はバレー、バスケ、卓球がそれぞれ別の場所で行われている玄関ホールをぐるりと見渡しそんなことを思う。

 これでネットでそれぞれのエリアが分けられていたら本格的に体育館だ。

 体育館は学校の方に作ってあるんだが。


 まあ、玄関ホールはこんな風に住民たちに開放する場所でもあるし別にいいんだが。


「ふっ!」


「どんぴしゃ!」


「三人に囲まれてるのに何で撃てるの!?」


「コースが開いていたので」


「うわなに今の!? 台の上でボールが曲がりくねったんだけど!?」


「鍛冶の打ち方のちょっとした応用じゃ」


 うん。

 皆楽しそうに遊んでいる。


 そしてただでさえ現実離れしていると感じていた光景がさらに進化している。


 バレーでリネイアが打ったボール、今空中で直接打ち返されなかったか?

 ルシュ、コース開いていたとかいうけど全然空いてるように見えなかったが? 俺の目にはブロックを完全にすり抜けてシュートが撃たれたように見えたが?

 イアン、どう応用すればそんな生きている蛇のような挙動する球が撃てるんだ?


 ホントこれ前世ならめちゃくちゃ観戦人気出るだろうな……。


 俺はどんどん進化していく目の前の光景を見ながらそんなことを考える。

 道具を作っている最中は俺もやろうかなあ、なんて軽い気持ちで作っていたが、この光景を見ると、そんな気持ちもしぼんでいく。


 まあ、そのうち遊びでやるくらいで良いか……。


 そして、球技道具はとりあえず三種類、道具も数セットずつ作ったので、遊べていない者はいないみたいだな。

 良かった良かった。




 その後。

 バレー、バスケ、卓球の室内球技は遊んだものからの口コミで余り外出しない冬にもかかわらず爆速で街中に広まったらしく、俺の屋敷に遊びに来る者が増えた。

 なんと街外周の見張り塔からすら遊びに来たからな。ちゃんと自由時間に来ていたから特に何も言わなかったが。


 そんなわけで俺は遊びに来る住民の増加に対応し、球技道具セットをたくさん作ることになった。

 ちょっと疲れた。


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