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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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205/213

205.バレーボール

 雪が降り始め、本格的に冬が到来して少し。

 降り始めた雪はレースピアを白く染め、真っ白な雪景色が出現した。


 降ってきたとは言ってもまだまだ激しくはなく、防寒着があれば問題なく外にも出られる程度の雪だ。

 なのでまだまだケンタウロスの連絡員や、見張りのエルフ、エンジェルたちは外を出歩いている。

 それらじゃなくても、雪景色が珍しいのか外で普通にはしゃいでいる住民も居るな。


 そんな彼ら彼女らに手を振りながら、俺も白く染まったレースピアの街を歩いている。

 街の様子見……というのは建前で、正直俺もはしゃいでいるからだ。

 街が白く染まった光景というのは何度見ても気分が高揚する。

 外は寒いのにな。




 そんなこんなで散歩している俺はレースピアの北、超巨大鉱山の辺りまでやってきていた。

 そう言えば冬の様子をじっくり見たことが無いな、と思ってだ。


 というわけでやってきた超巨大鉱山は、レースピアの街と同じようにその山肌を真っ白に染めていた。

 いつも通り、上の方は雲に囲まれているため見えないが、見える範囲は全部白い。

 普段は緑と灰色だから白一色はかなり新鮮だ。


 にしても、雲一つない快晴の時でも上層を包む雲は無くならないし……そういえば、雪山と言えばでお馴染み雪崩が起きたことも無いな。

 もしかしたら起きていたのかもだが、この大きさでの山での雪崩に気づかないことあるか?

 一応、レースピアの街は山との距離はそれなりに離しているから、仮に起きたとしても大丈夫だと思うが……。


 そんなことを考えながら超巨大鉱山を見上げているが、その様子は静かなもの。

 雪が滑り落ちてくる、なんてそんな心配は野暮だと思えるほどだ。


 ふむ……鉱石が回復することといい、本当に不思議な山だ。

 異世界の山だからとも思ったが、これまで増えた住民に聞いてもこんな山は見たことも聞いたことも無いと言っていたしな。

 そのうち登って何があるのか確かめてみたいな……今は冬だから無理だが。


 そんなことを考えながら超巨大鉱山を後にする。

 また春になったら鉱石掘りに来るからなー。




 ふぅ……暖かい……。


 屋敷に返ってきた俺は、室内の暖かさにほっと一息をつく。

 屋敷自体防寒対策がしっかりしているうえに、この前作った宝装具……「お部屋ぽかぽかくん」もある。

 いくつかは用意出来たので、住民たちに配ろうと思っていたのだが、住民たちは揃いもそろって代表様ご自身でお使いくださいの一点張り。

 押し通されたので、俺の屋敷に使うことになった。


 だがまあ……。


「代表様! お帰りなさいませ!」


「代表様! ご機嫌麗しゅう!」


「代表様!」


 こんな風に。

 まだ吹雪いていないうちは住民たちも屋敷に顔を出しに来るし、皆が集まる場所に設置した、と思えばいい設置場所なのかもしれない。


 さて……住民たちはそれなりに集まっているが、やっている事と言えば皆世間話くらいだな。

 去年の冬にも暇つぶしの道具はいくらか作ったが、そんなに数が多くないし、基本ボードゲームの類だ。

 肌に合わないものも居るだろう。

 それなら……そうだな。




 俺は思いついたことがあったので、屋敷の倉庫から二メートルほどの丸太を取ってくると、それを細く削り、重り用の鉄塊に穴をあけ、そこに丸太を差し込む。

 細くなった丸太を押したり引いたりして、動かないことを確認すると、同じものをもう一つ用意し、一定の間隔をあけて並べる。

 そして屋敷に来ていたクトネーに頼んで、その二本の丸太の間にネットを張って貰えば完成だ。


「ふむ……代表様の頼みですから何も聞かずにやりましたけれど。これは一体?」


 ネットを張ってくれたクトネーが俺に問いを投げる。


 これは、バレーコートだ。


「バレーコート?」


 そう。

 今年、レースピアではゴムが取れるようになり、ゴムボールが作れるようになった。

 それはつまり球技が出来るようになったということ。

 他にもいろいろやることがあったから、あまり本格的には出来てなかったが……冬になって暇な時間も増えた。

 暇つぶしにもなるし、皆に球技を教えよう。


 というわけでまずはバレーボール。

 このネットを挟んでボールを打ち合い、相手コートに落としたら得点だ。

 しかし注意点があって、ボールを直接持つことは出来ないし、自陣営で合計三回までしかボールに触れてはならない。


「ぬっ、これはっ……なかなか難しいですねっ……」


「ボールを持ってはならず一瞬のタッチで上げなければなりませんから、ボールがあらぬ方に飛んでいきます……」


「でも楽しいです! 思い切りジャンプして思い切りボール打つの!」


 サーブ、レシーブ、トス、スパイク……一通りの動きを実演してみたら、流石の順応力というべきか、住民たちは皆見よう見まねである程度バレーが出来るようになった。

 ので、いきなり六人は難しいだろうと思ったので、三人一チームで試合をやらせてみたんだが……。


 うーん……これを普通のバレーと呼んでいいのか……。


 パッ……ァァァァンッッッッ!!


 ズパァァァァンッッッッッ!!!


 スパイクやレシーブが行われる度、そんなとてつもなく重い音が玄関ホールに響く。

 やり取りされているボールは俺の動体視力では追い付かない速度で俺の視界の端を掠めている。

 前世で見たことのあるバレーをはるかに超えるゲームスピード、そしてコート。


 俺は今回、まあ遊びだしということでコートは書かずにやっていた。

 玄関ホール汚したらキールに怒られそうだし、まあアウトは適当に感覚でやればいいと思って。


 だが、今目の前のバレーにアウトはない。住民たちは、レシーブ後十メートルほどあらぬ方向に飛ばされた、前世のトップバレー選手でも到底追いつけないようなボールにも当然のように追いつき、弾丸のようなトスを上げている。

 ジャンプも二メートルどころか三メートルは跳んでいるし……高さもカバー範囲も俺の知るバレーより断然デカい。


 超次元バレーって言った方が良いんじゃないかこれ?


 目の前を超高速で行きかうボールを眺めながらそんなことを思う俺。


 というかボールも凄いな。

 これほどの速度で打たれているのに全然割れる様子もない。

 レースピア産のゴムもやはり特別なのか……。


 目の前の光景のすさまじさに思考があらぬところに飛ぶ。

 だけど、まあ……。


 確かにすさまじいが、見ている分にはとてもダイナミックで面白い。参加はしたくないが。

 バレーをやっている住民たちもとても楽しそうだし、次は自分にやらせて、と言っている住民や、周りからヤジを飛ばしている住民も居る。皆が楽しめているなら良い事だな。俺は絶対に参加したくないが。




 ズッ……ダァァァンッッッ!!!


「あー負けたー!!」


 俺が見ている先で、レースピアバレーの第一戦が終了した。

 勝ったのはクトネー、リネイア、ルシュチーム。

 敗北したハイラ、シエル、エイリス組が悔しがっている。


 今更だが、種族代表たちがこぞって参加してるの凄いな。


「ふふ、当然ですわ。代表様に手取り足取り教えてもらえる機会なんてそうはありませんもの」


 勝利して上機嫌になっているクトネーがそう言いながら近づいてきた。

 見ていたが凄かったな。

 どんなボールにも追いつきレシーブする……まるで蜘蛛のような守備だった。

 アラクネだから蜘蛛なんだけど。


 というか手取り足取りっていうか普通にみんな見て覚えてたと思うが。


「ええ、後悔していますわ……楽しくなってすぐに真似してしまいましたが、出来ないふりをしてゆっくり教えてもらえばよかったと……」


 えぇ……。


「おっとつい本音が。それよりも代表様?」


 ん? なんだ?


「次はぜひ一緒にやりましょう! 代表様とならきっとさらに楽しくなりますわ!!」


 うーん。

 誠に恐縮ですが、今回は見送らせていただきます。


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