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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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195/213

195.新種イモ?

 ふむ……順調にすくすく育ってるな……。


 とある秋の日。

 もうすっかり秋も深まってきたこの日に、俺は畑の一角を訪れていた。


 収穫を終えしばらくし、冬前の最後の収穫に向けてすくすくと成長している作物たちは緑豊かに茂っていて、畑だけを見ていたら今が秋だとは中々信じられない。

 まあこういう光景にもだいぶ慣れたけど。


 そんな畑とそれを世話するエルフやノームたちを見ながら……時には労いながら、畑を歩いていき……俺は目的の場所へと到着。


 着いたのは畑の中でも結構最初の方に作ったジャガイモの畑。

 今はここも生命力あふれる強い緑色で覆いつくされている。

 冬前の最後の収穫に向けてしっかり育てているからな。


 ……しかし、その一角。

 緑一色のジャガイモ畑の一部に黄色や茶色が生まれている。

 ここが……俺の今日の目的地だ。




 発端は先日の収穫の日。

 俺はいつもの収穫と同じようにこのジャガイモ畑にやってきていた。

 そして早速収穫を始めようとしたとき。


「……んん? んんん? ちょっ……ちょっと待ってくださいっす、頭……」


 収穫可能かどうかの最終判断の為、同行してくれていたノームの代表、ラウームが首をひねりながら俺にそう言ってきた。


 ふむ?


 現在のレースピアの収穫においては、収穫可能かどうかはノームに判断してもらうようにしている。

 何故ならば……土の精霊族であるノームはその手の判断がすさまじく上手いからだ。

 どうも、作物が土から吸収する養分の多寡で判断しているようだが……。


 もちろん俺もここまで耕作はそれなりにやってきているし、エルフたちも収穫可能かどうかを見分けることは出来るが、やはりノームに勝る判断はできない。

 そういうわけで最近の俺の収穫にはラウームに同行してもらっている。


 それで、どうしたんだラウーム?


 いきなり少し待ってくれと言い出したラウームに俺はどうしたんだ、と声をかける。

 自分で言うのもなんだが、収穫において俺は結構な戦力になるからな。創造神器のおかげで。

 だからここもちゃちゃっと収穫してしまいたいんだが。


「すんません、分かってるっす……ただ……これ……」


 そんな俺の言葉にもラウームはうーん、と迷っているような声を返すだけだ。

 しかし、そんな声を出したかと思うと。


「……やっぱり勘違いじゃないっすね。頭! こっちっす!」


 うん、と何かに納得したように頷くと、俺に声をかけて畑の中に進んでいった。


 うぅん……?


 俺は本当にどうしたのか、と思うが、まあ特に拒否する理由も無いのでラウームの後に着いていく。

 そしてラウームは畑の中心にほど近い場所まで来ると、そこにしゃがみ込みジャガイモの葉をかき分けだす。

 俺がそれを眺めているとほどなくして……黄色く染まった葉っぱの下から、濃い緑に色づいた葉っぱが出てきた。


 これは……?


 俺は最初、生育が遅れているジャガイモかと思った。

 葉が他の葉の下に入り込んでしまったために成長しきれていないジャガイモだと。

 しかしラウームからの答えは。


「うーん。いや、ジャガイモではないっすね、これ」


 と、いうものだった。


 ん? ジャガイモじゃない? じゃあ何なんだこれ?


 その答えに俺ははてなと首を傾げ、ラウームに問いを投げる。


「いやーわかんないっすね。多分イモだとは思うんすけど」


 俺の問いにラウームはそう返す。

 そのままラウームが続けることには。


 どうやら今ここにはラウームの知らないイモ系の作物が実りつつあるらしい。

 ジャガイモ以外のイモって言うとサトイモとかか?

 まあ種類は良いとして……何でそんなことに? この畑にはジャガイモ以外植えてないんだが。

 というか新種の種も植えた覚えもない。


「……突然変異でも起こしたんっすかね。でも新しい作物が出来たんなら良い事じゃないっすか? これで美味しかったらなお良いっすね!」


 ラウームは先ほどまで浮かべていた戸惑ったような顔を笑顔に変えて俺にそう言ってくる。

 まあそれもそうか? ラウームが何も言ってないってことは他の作物とか土に影響とか出てないんだろうし。

 それじゃあ俺も新しいイモが獲れるのを楽しみにしておくか。




 と、そんなわけで。

 収穫中に発見した新種? イモ。

 これがそろそろ収穫できるようになっているのではないかと思い、やってきているわけだ。


 というわけで……どうだ? ラウーム。


「……ばっちりっすね! しっかり成ってるっすよ!」


 一緒に来てくれていたラウームがしっかり収穫可能だと伝えてくれる。

 そろそろだと思った俺の勘も捨てたモノじゃないな。


 さて、そういうわけなので早速収穫してみる。


 イモだというのだからジャガイモと同じ収穫だ。


 まずは余分な部分のつるを刈る。

 そうしたらそれを軽く引っ張り、どこにイモが埋まっているかをある程度把握する。

 把握したらその周囲を掘り起こし、振った土に中からイモを取り出す。


 本来であればこういう手順でイモは収穫される。

 だが俺は別だ。


 俺はとりあえず収穫したい場所辺りに創造神器のクワを振り下ろす。

 創造神器で地面を掘ると、軽く一メートル範囲が掘れ、土は横にまとまる訳だが。

 この時何と土の中に土以外の物があれば、それは土とは別に分けられて纏まる。

 なので適当に創造神器を振り下ろすだけで……。


 サクッ……! ゴロゴロっ!


 こんな風に一振りで一メートル範囲のイモが収穫できる。

 ……あまりにも便利過ぎる。

 手放す気が起きない。

 そんなもの最初から無いけど。


 さて、創造神器の力で掘った新種のイモというのはどんなイモだ?


 俺は掘り出されたイモをまじまじと見る。

 それは土で汚れていて分かりづらいが、紫色でジャガイモより大きく細長……いや太長いイモだった。


 うん。

 流石に一目で分かる。


 ……サツマイモだ!!


 俺はテンションが上がり、地面にごろんと転がっているサツマイモを拾い上げる。

 そのサツマイモは土にまみれながらも濃い紫色を光の下にさらし、俺の手にずっしりとした重みを伝えて来た。


 しっかり身が詰まっている良いサツマイモだ。


 最後にサツマイモを見たのはだいぶ前の俺の脳裏にそんな考えが咄嗟に浮かぶほど、収穫されたそれは良いサツマイモだった。


 ……ちょっと待て。

 もしかしてこの辺りに出来てる突然変異のイモって全部サツマイモか?


 俺は周囲の黄色い葉をぐるりと見まわしながらそう思う。

 葉は全部同じに見えるが……。


「へぇ~サツマイモって言うんすか? ジャガイモとは形も色も違って……なんだか不思議なイモっすね~。……うん、そうっすね。この辺りのは全部このサツマイモっすよ」


 俺と同じようにサツマイモを手に取り、まじまじと見つめ、周囲を確認したラウームが俺にそう言ってくる。

 やはりそうなのか。

 なら……やることは決まったな。


「やること?」


 ああ。

 秋、そしてサツマイモ……と、来ればやることは一つしかない。


 というわけで……まずはこの辺りのサツマイモを全て収穫する。

 手伝ってくれるか? ああもちろん周囲のジャガイモは間違って掘り返さないようにな。


「もちろんっす! お任せっすよ!」




 そうして。

 俺たちは季節外れの収穫に勤しんだ。

 いやまあ年四回収穫してるんだから季節外れも何もないかもしれないが。


 二人での収穫だったが、サツマイモもそう多くはないし、俺には創造神器がある。

 大して時間はかからなかった。


 それにラウームもゴーレム収穫法で凄いポンポン収穫してくれたしな。

 畑の土でゴーレムを作り、そのゴーレムが自身で土の中の作物を取り出した後、再び畑の土に戻る収穫法だ。

 ラウームがやるとゴーレムの動きが滑らかでスムーズに収穫が進む。


 そうやってサツマイモの収穫を終えた後、俺たちは屋敷の方に戻ってくる。

 そして屋敷から少し離れた場所に来ると、そこで早速用意を始めた。


 何の?


 当然。

 焼き芋だ。


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