18.畑と水田づくりと増えた水精族
宴の翌日。
早速畑を作っていく。
エルフとドワーフが増えたし、これからもどんどん種族が増えていく。
なのでガンガン畑を広げていくことにする。
とはいっても作業はかなり順調だ。
やはり創造神器のクワ形態が解放されたのが大きい。
つるはしで無理やりやってた時よりサクサク進む。
それにエルフたちの働きも大きいな。
自分たちで言っていた通り、耕作にかなり慣れている。
俺が大雑把に畑を作り、エルフたちが畝などを作り整備していく。
見る見るうちに畑が広がっていった。
そしてこの時、エルフに教えてもらって気づいたのだが。
どうやら創造神器で作った畑は……かなり規格外な代物だったらしい。
俺は前世の作物よりも多く、さらに早く実るのは異世界の品種だからと思っていた。
もちろんそういう種もあるが、大抵の作物はそんなに多く実るものではないらしい。
ならなぜここまで多く実るかというと、創造神器の力だと思われる。
なぜならエルフたちがこう言っていた。
「代表様!この畑は素晴らしいですよ……!理想的な土壌!水はけ!栄養もたっぷり含んでいます!これならば作物があれだけ収穫できるのも納得です!これほどの畑を作れるなんて……さすがは代表様……!」
エルフがべた褒めするほどの畑。
ただ適当に作っていただけなのにそんな畑になっているということは……当然創造神器の力だろう。
本当にありがたい。
感謝を忘れない。
その後もいろいろエルフたちと話しながら畑を作っていたんだが。
エルフたちはこれほどの畑であれば続けて作物を作っても問題なく育つ、肥料もいらないかもしれない、そういうことを言っていた。
ああ、そういえば連作障害とかあったな!
全く考えてなかった。
自分の思慮の浅さを思い知らされる。
もし創造神器がなかったらと思うと……。
本当に足を向けて眠れないな。
それと。
エルフはいらないかもと言っていたがあって困るものでもないので肥料の作成を頼む。
公衆トイレの横に浄化した後の汚れをためておく場所があるしな。
その処理にもなる。
エルフたちは快く請け負ってくれたので頼んでおく。
申し訳ないが頼んだ。
そして畑を作り終わり次に移る。
次は……水田だ。
そう、水田。
もちろん米のためだ。
前回は何の種かわからなかったとはいえ畑に埋めちゃったからな。
しっかり育ってほしいし水田を作っていく。
とはいっても水田の作り方なんて俺もうろ覚えだ。
確かまず普通に畑を作り、そこに水路を引いて水路と畑の間にふたを付ける。
そうして畑に自由に水を入れたり出したりできるようにすればいいんだっけ?
そんなふわふわした知識で水田を作っていく。
エルフたちも水田を作った経験はないらしく、一緒に試行錯誤することになった。
だが、自分たちの知らない畑を作るということで楽しんで作業しているようだった。
そうやって試行錯誤している時。
異変があった。
試行錯誤している俺のもとにフィーネがやってきたのだ。
後ろに新たなウンディーネを四人連れて。
俺はエルフたちに作業を続けてもらってフィーネの話を聞く。
「あれ~? あんまり驚いてない~?」
いや凄く驚いてる。
何で来たのか、とか、どうやって来たのか、とか疑問でいっぱいだ。
「ちゃんと教えるよ~。えっとね~……」
フィーネが言うには。
原因は進化したことらしい。
エルフとドワーフを招き入れた際フィーネは進化した。
その時俺は、エルフとドワーフを落ち着かせるのに必死で聞きそびれたが、フィーネはウンディーネクイーンに進化したらしい。
ウンディーネクイーンになったことで、フィーネの住居……というか泉だな。
住居部分、水中にあるし。
まあフィーネの泉の水質はさらに良くなったらしい。
俺にはそういうのはあまりよくわからないが、フィーネがとても興奮しているからかなりいいんだろう。
まあともかく、水質がよくなったことで清らかな水の気配をさらに強く発することになり。その結果ウンディーネが集まってきたと……そういうことのようだ。
「そうそう~。だから~……いいかな?みんなもここに住んでもらって~」
「もちろんかまわない。住人が増えてくれるのは大歓迎だ」
それにちょうど人も増えて、浴場なんかにより多くの水を必要としているところだ。
そこにウンディーネが増えてくれるのはありがたい。
だが問題もある。
「それでなんだけどぉ~……その~……忙しいのはわかってるんだけど~……私たちの住処を~……」
まあそうなるよな。
今のフィーネの泉はフィーネ一人用に作ったもの。
そこに四人も増えれば相当手狭だろう。
……よし。
水田づくりの途中だが、フィーネの泉を拡張することにする。
俺が戻るまで水田はエルフたちに作っていてもらおう。
早速フィーネの泉に向かう。
やはり泉といった方がいいな、これは。
フィーネの住居に着いた俺はそう思う。
フィーネの住居はつぼ型といえばいいか。
地面に丸く開いた穴が下に続いて、下はつぼのように広くなっている。
作った当初は、水位は下のつぼ上のところまでしかなかったが、今では地表まで出てきている。
水位が上がった時周りに溢れ出さないか俺は心配したんだが、フィーネがあふれ出さないようにしているから大丈夫だと言った。
実際今まで溢れ出していないから本当なんだろう。
さて、着いたはいいがどうしようか。
フィーネの住居は水の中。
拡張工事するためにも潜る必要がある。
安請け合いしてしまったけどどうすればいいんだ? これ。
俺がそう悩んでいると。
フィーネたちが何事かを唱えた。
すると。
俺の目の前で水が渦巻いて宙に浮いていく。
あっけに取られて眺めていると、フィーネの住居の水がすべて宙に浮き……巨大な水の玉になった。
日に照らされてきらきらと光るその水球の中をウンディーネが泳いでいる。
その神秘的な風景につい目を奪われた俺にフィーネが声をかけてくる。
「これで大丈夫~。それじゃあ拡張お願いしま~す」
「あっ…ああ……。分かった……。にしてもこんなことまでできるんだな、魔法って……」
「昔の私ならできなかったけどぉ~、クイーンに進化した最強フィーネちゃんならこれくらいかるいかる~い!」
なるほど……こんなことまで出来るようになるんだったらあんなに進化したことにテンションを上げていた気持ちもわかるな。
さて。
この光景をまだまだ見ていたい気もするが、やることはやらないとな。
ハイコボルトたちに頼み、はしごをかけてもらい下に降りる。
そして早速つるはしを用いて拡張工事を進めていく。
他のウンディーネたちは水球の中を泳いでいるが、フィーネは俺の隣でせっかくだからああして~、こうして~と注文を付けてくる。
まあお世話になっているしな。
その要望に従い、拡張を終えた。
入口直下の拡張した大部屋に、そこから続く五つの個室。
個室にはハイコボルトたちに扉を付けてもらい、大部屋には土を削り固めて作った大机を配置。
我ながらかなりいい出来だろう。
ところでフィーネ……個室と大部屋しかないがそれでいいのか?
「え?うん~。ウンディーネは水から離れすぎなければ地上でも動けるし~。ゆったり休むことが出来ればいいからね~」
確かにそれもそうか。
フィーネもちょこちょこ出歩いているところ見るしな……。
拡張も終わったので、水を戻してもらう。
もうちょっと見ていたかった気もして名残惜しい。
「? こういうので良ければ、暇があったらいつでも見せてあげるよ~?」
いいのか? 負担になるんじゃ……。
「大丈夫大丈夫~!進化もさせてもらったし、今もお世話になったし~!見たかったらいつでも言って~!」
ありがとう。
その時はぜひ頼む。
やっぱり魔法とかそういう異世界お約束のやつはかなり見てみたい。
フィーネにお願いして、エルフたちの元に戻る。
戻ってくると……かなり形が出来ていた。
俺が耕した畑の横を通るようにして小さい水路。
さらにはそこに木でできたふたがついている。
「おかえりなさいませ、代表様。今ちょうどテストしようとしていたところです」
「テスト?」
「はい、しっかり水を出し入れできるかのテストです」
なるほど、それじゃあ俺も見守ることにしよう。
そうして水を取り入れる側の、取水路のふたが開けられる。
水は……問題なく流れ込んでいるようだ。
畑がみるみる水でおおわれていく。
「次は水を抜くことが出来るかテストします」
その言葉と共に、水を抜く側……出水路のふたが開けられる。
結果は……。
成功。
しっかり水が排水されている。
わっ!と声を上げ、エルフは肩をたたきあって喜んでいる。
自分たちの知らなかった畑……水田を作れてうれしいのだろう。
「それもありますが……代表様のお役に立つことが出来ました。それがとても嬉しいのです」
そう言われるとちょっと恥ずかしくなるな……。
でも、ありがとう。
助かったよ。
「……っ!ありがたきお言葉です!」
もうちょっと砕けてもいいと思うが……まあ好きにさせておく。
これで米を栽培できるようになった。
収穫の時が今から楽しみだ。
さて、畑づくりも終わったし……次はあれだな。
ドワーフたちが熱望していた……炉。
やっと作ってあげられる……。
早速取り掛かろう。




