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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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17.収穫と宴、エルフとドワーフを添えて

 収穫の時、来たれり。

 人数が倍以上になったので気合を入れて収穫していく。


 というわけでエルフとドワーフにも早速手伝ってもらい全員で収穫していく。

 とはいってもシロとリルは収穫には向かないので狩りに出てもらう。

 収穫の後は宴も開く予定だからな。


 しっかり狩ってきてくれと言って送り出す。


 さて、収穫する作物は去年から引き続き、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、小麦。

 そしてもう二つ。


 そう……採掘の時に鉄鉱石なんかと共に出てきた種だ。

 相変わらず何で採掘で種が出てくるのかはわからないが、まあ異世界だしそういうものなんだろう。

 俺はまずその二つの収穫に行く。




 畑は近い位置にあるのですぐに着く。

 最初に採掘出来た種はじゃがいもだったので、この二つの種も食用のものだといいなと俺は楽しみにしていた。


 今それが明らかになる……とはいっても、成長しているところも見ていたからもうある程度わかってはいるんだが。


 二つのうち一つは大豆。

 緑色のぽこぽこした実をたくさんつけている。

 最初は枝豆かと勘違いしたが中を見てみたら茶色くて丸い実だった。

 間違いなく大豆。


 これは嬉しい。

 大豆は栄養満点の食材として有名だ。

 それだけではなく加工の幅がとても広い。

 醤油、味噌、豆腐、納豆……。

 今の俺にはできないが、そのうち作れるようになるかもしれない。

 楽しみだ。


 そしてもう一つ。


 米。

 そう米。

 米だ!


 正直、穂を出し始めたときにはめちゃくちゃテンションが上がった。

 小麦……パンもいいが俺はやっぱりご飯派だ。

 ほくほくに炊きあげた白ご飯を肉と共にかっ込む……今からよだれが出てくる。


 だが残念ながら……今すぐ食べられそうにはない。


 大豆と米は両方、一粒の種から実ったものだ。

 俺の想像以上だったとはいえ数はあまり多くない。


 特に米の方。

 大豆と比べて明らかに少ない。

 大豆の半分ほどしか取れてない。


 原因はおそらく……畑だろう。

 俺は大豆も米も両方畑に植えた。

 なんの種かわからなかったからな。


 だが、米は畑ではなく水田で作るもの。

 一応米だとわかった後は水を多く与えてはいたが……水不足だったのだろう。


 まあこれはしょうがない。

 ある程度収穫できただけありがたいと思おう。

 米は全部種もみにし、次にドカンと増やすことにする。

 同じく大豆も大半は次の種に回そう。




 さて、米と大豆はあまり数がないのですぐに収穫が終わった。

 俺は他のところの手伝いに行くことにする。

 ついでに様子も見ていこう。


 まずフィーネとハイコボルトたち。

 何も問題はない。

 もう収穫も三……いや四回目だったか? なのでもう慣れ切っているようだ。

 手際よく収穫を進めている。


 ちなみにムイはさっきからずっと俺の周りをぽよぽよ跳ねて応援? してくれている。

 とても和む。


 ……次にエルフ。

 農耕は得意だと言っていた通りこっちも手際がいい。

 見た感じサクサクと収穫が進んでいる。

 その手際はハイコボルトたちにも劣っていない。

 慣れてきたら一番収穫が上手い種族になるかもしれない。


 そして、苦戦しているように見えるのがドワーフだ。

 いやだがこれはエルフとハイコボルトたちのせいだな。

 ドワーフたちも普通くらいには出来ているのにエルフとハイコボルトたちの収穫の手際が良すぎて劣って見える。


 ドワーフたちも他の手際の良さを見て少し焦っているみたいだ。

 フォローしておく。


「……そんなに焦らなくてもいいぞ? 自分のペースで収穫を進めていってくれたらいい」


「いや、ですが……エルフたちがああも役立っているのじゃからこちらも代表殿の役に立たねば……」


 イアンがそう答えてくれる。

 どうやらエルフと比べて役に立っていない、と思っているようだな。

 確執は気にしないと言っていたが……まあ余裕が出来たらこれくらいの意識は出るか。


「本当に気にしなくていい・適材適所だ。ドワーフたちにはこれから鍛冶を頼むつもりだからな。難しいかもしれないが……その焦りはその時まで忘れておいてくれ」


「代表殿……!相、分かりました。気遣っていただき……ありがとうございます」


 よし。

 少しは気分を切り替えることが出来たようだ。

 今はこれでいい。

 そのうち鍛冶仕事を始めて結果を出し始めれば、焦りなんて自然と消えるはずだ。

 そのためにも早く炉を作らないとな。




 そして日が傾く前に収穫は終わった。

 畑は増やしているが、それ以上に人手が増えたからな。


 それじゃあ早速宴の準備を……といったタイミングでシロとリルが帰ってきた。


 二頭鹿を引きずって。


 え? シロ……まさか、自分で仕留めたのか?


 シロが当然だろうと言った顔でこちらを見ている。


 いや……うん……いや、凄いな!?


 正直とても驚いた。

 身体もかなり大きくなり強くもなっているだろうとは思っていたが……まさか二頭鹿を仕留められるほどとは。

 そいつ今のシロよりまだ大きいんだが……。


 さすがだな。

 もしかしたら二頭に増えたのも大きいかもしれない。

 二体がかりで狩ったのか……。


 それでもすごい。

 よくやったなとシロを撫でまわす。


 シロは喉を鳴らしてご満悦だ。

 するとそこに、リルも近づいてきた。


 もしかして……いいのか? 撫でて?


 かまわない、とそう言っているかのようにたたずんでいる。

 俺はおそるおそる……頭を撫でた。


 逃げない。

 されるがままに撫でられてくれている。


 俺は両手をフル稼働させてシロとリルを撫でまわした。




 ふぅ。

 もっとなでたい気持ちもあるが、いつまでもこうしているわけにもいかない。

 宴の準備をしないと。


 そう思い撫でるのをやめるとシロは名残惜しそうだ。

 心苦しいが料理の準備に入ることにする。


 ちなみにリルは撫でるのをやめるとスルっと去って行った。

 触らせてくれるようにはなったが……まだ信頼度はそれなりのようだ。




 さて、宴だが……皆で準備する。

 収穫で疲れているだろうに当たり前のように手伝わせてくれ……と言ってきた。

 感謝して手伝いを頼む。


 エルフとドワーフたちにはテーブルやいすを外に出してもらう。

 さすがに数が数十人になると室内でやるというわけにもいかない。

 暗くなってもいいように火の用意も頼む。


 ハイコボルトたちには二頭鹿の解体を頼む。

 血抜きや下処理なんか俺より上手いからな。


 フィーネには鍋に水を入れてもらう。

 これまでの経験上、なぜかそうした方がスープがおいしくなるからだ。

 やっぱりウンディーネだからか……?


 シロとリルは休んでてもらう。

 二頭鹿を狩ってきてくれたしな。

 十分だ。


 そして俺はムイと一緒に野菜剥き。

 俺もそれなりだがムイの仕事が早い。

 ムイは飲み込んだものを任意で取り出すことが出来る。

 余り大きすぎるものは飲み込めないが、野菜程度なら楽に飲みこめる。

 野菜を飲み込み、皮以外を取り出せばそれで皮むきは終わりだ。

 ポンポン進む。


 いつもいつも助かってる。

 ありがとうムイ。


 そう伝えると気にするなというように震えている。

 感謝を込めて撫でまわしておく。




 そして下処理が終え、料理に入る。

 今までは大きな石鍋で作っていたが、今回は違う。

 なぜなら粘土を掘り当て、土鍋を作ったからだ。


 火をいくつか用意し並行して煮込んでいく。


 新鮮な二頭鹿の肉。

 そして一口大に切ったじゃがいも、にんじん、玉ねぎ。

 岩塩を鍋に入れさらに煮る。


 周りに美味しそうなにおいが広がっていく。


 皆もう我慢が利かなくなってきているようだ。

 ちらちらとこちらに視線を送ってきている。


 俺も自分で作っていてお腹がすいてきた。




 スープが完成した。

 そして早速取り分け食べ始める……かと思いきや。


 なぜかみんなこちらを見ている。


 なんだ? 前までは取り分けた者から順々に食べてたのに……。

 俺が疑問に思っていると近くにルシュが来て教えてくれた。


 なんでも人が増えたのだから俺に音頭を取ってほしいと。

 そちらの方が代表として分かりやすくなるから、と……。


 えぇ……とはいっても音頭を取るとか俺はそういう経験ないぞ?


 だが皆こちらをきらきらした目で見つめてくる。


 ……仕方ない。

 腹をくくる。

 あまり長くなってもなんだし簡潔に。


「収穫作業ご苦労だった!今夜は好きなだけ食べてほしい!ここに集ってくれた仲間たち、そして豊かな大地の恵みに感謝して……いただきます!」


 わっ!と、周りが盛り上がった。

 ふぅ……上手く出来たみたいでよかった……。


 音頭も取ったし俺もさっそく食べ始める。

 やはり美味い。

 自分たちで収穫したばかりの作物に、狩られたばかりの二頭鹿の肉。

 それらをまとめる質のいい岩塩。

 食べる手が止まらない。


 皆も同じ様子だ。

 特にエルフとドワーフ。

 はふはふと激しくがっついている。

 俺は様子を見に向かう。


 まずはハイラ。


「どうだ? 美味しいか?」


「代表様……!はい!これほど美味しいスープは食べたことがなく……!」


「良かった。やっぱり自分たちで収穫したものだと美味しさもひとしおだろう。喜んでもらえて嬉しいよ」


「本当に……あの時ルシュさんの移住の話に乗ったのは正解でした!願わくばこれからも……」


「ああ、もちろん。これからもこの街の発展に力を貸してくれ」


「はい!」


 エルフたちはとても満足してくれているようだ。

 良かった。

 明日から耕作や採集などで力を貸してくれ、とそう言って次に向かう。


「イアン、料理はどうだ?」


「代表殿!まるで頬が落ちるようだ!これほどの食を与えてくださり感謝する!」


「それならよかった」


 ドワーフたちも満足してくれているようだな。

 収穫の時の焦りは見えない。

 だけど一応声はかけておく。


「明日からは次の収穫のため畑を作らなきゃならないが……それが終わったらすぐに炉を作る。そうしたら鍛冶仕事を頼む」


「もちろん……任せてくだされ、代表殿!炉を作ってくださるのなら、我らドワーフ、決して後悔はさせませぬ」


 ドワーフたちの目がギラギラしている。

 その時が楽しみだな。




 皆で和気あいあいと食事をし、そんな感じで宴は盛況だった。

 明日からも頑張ろう。


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