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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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152.増えた人魚

昨日投稿出来てなかったので、本日二話更新します

 警察、消防の人員も動き出し、訓練も問題は……まあなかったので。

 順調に滑り出したと言っていいだろうと判断してから少し。


 俺の姿はレースピアの街にではなく、港にあった。

 何故かというと……。


「えへへぇ、そのぉ……何というかぁ……ごめんなさいぃ」


 俺の目の前でてへへと笑うトゥーナ。

 と。

 その後ろで平伏している……下半身が水中にあるため判別しづらいが……人魚たち。

 そしてその横でこれまた平伏している港の住民たちが理由だ。


 えー……まずは頭を上げてくれ。


 俺はそう皆に声を掛けながらこうなった経緯を思い返す。




「港に住人が増えた?」


「はい」


 発端はリネイアからの報告。


 俺がそれを聞いて思ったことは、まず疑問だった。


 確かに俺はレースピアの代表として人口増加の報告を受けてはいるが、それは定期的に開いている会議で、まとめてだ。

 逐次は聞いていない。

 移住者ももうかなり多くなってきているし、リネイアたちにももう相当のノウハウが溜まっている。

 なのでほとんど任せていた。


 なのに、定例会議でもない日にわざわざ報告しに来たことについて疑問に思ったんだが……。


「代表様が疑問に思っていることは理解できます。なぜ個別に報告しに来たか。それはこの報告が港から上がってきた報告だからです」


 はい? 港から?


 いや……それはおかしいだろう。

 うちの街は海や山に囲まれ、侵入は容易でない。

 ちょっと容易である場所には関所を置いている。


 なので、移住者が港に行くには関所→街→港、と経由して行かなければならない。

 移住者が港に行くにしても街の住民が港に引っ越すにしても、その報告が上がるのは関所か街からだ。

 港から上がることは無い。


 ……ああ、いや、でも可能性はあるか。


 確かに侵入は容易ではないが、それは地を歩く場合だ。

 この間の闘技祭でリーアがやすやすと乱入してきたように……空を飛べば問題なく侵入できる。

 いやそれにしたって見張りの目につくと思うが……。


「空からくればそうかもしれませんが……その移住者たちは海から来たそうなので」


 海から? ってことは……。


「はい。やってきたのは人魚族……マーメイドです」




 と、そういうわけで。


 人魚族が増えたとの報告を聞いた俺は早速港に馬車で駆け付けたわけだが。


 海辺で馬車を降りた俺が目撃した光景が、海の中に推定マーメイドが、地上に港の住民たちがそれぞれ平伏している光景。

 トゥーナはその両陣営の中間ほどで指をツンツンしている。


 そしてその指をツンツンしているトゥーナが開口一番口に出したのが、先の謝罪の言葉だ。




 ええっと? これは?


 とりあえず俺はその光景を見て、顔を上げてくれと声を掛けた後、なぜこんなことをしているのかと疑問をぶつける。


 すると、その場にいた全員がトゥーナに視線を向ける。


 ……トゥーナ?


「えぇ……あぁ……えっとねぇ……そのぉ……勝手に……受け入れちゃって……ごめんなさいぃ……」


 トゥーナが目をしどろもどろにさせながらも謝ってきたのは、後ろにいるマーメイドであろう者たちを勝手に受け入れたことに対すること。


 ……いやまあ確かに問題だな。


 報告を聞いていれば俺も同じ判断をしただろうがそれを勝手にやったっていうのは確かに問題だ。

 謝るのも当然だが……それならトゥーナだけが謝ればいいだろう。

 周りが平伏する理由は無い。


 俺がそう考えていると。


「……申し訳ありません、こちらから説明させていただけますでしょうか? 代表様……と、お呼びしても?」


 ん? あ、ああ……それはもちろん両方構わないが……あなたは?


「申し遅れました。私トゥーナ様の執事を務めておりました、ルフィンと申します」


 マーメイドの集団の中から初老と思われる男性が進みだしてきて俺にそう声を掛けてきた。

 その身体はなんというか、貝で出来た鎧みたいなものに覆われ、執事というよりも兵士長といった感じに見える。


 俺は彼から話を聞くことにする。

 その話によると。


 どうやら彼らはもともとトゥーナの捜索隊だったらしい。


 人間族の迫害がいずれ海中の自分達にも届くかもしれないと考えたマーメイドたちはさらに人族の領域から離れた場所に新天地を求めた。

 トゥーナはその目的も兼ねてここにやってきていたわけだが……うん。


 ほとんど家出みたいな勢いで飛び出してきたため捜索隊が組まれたのだとか。

 それで捜索隊はここでトゥーナを発見し……というか漁に出ていたトゥーナが捜索隊を発見し、お互いに事情を聴く。


 そして、ここは新天地になり得るということで一度戻った捜索隊が移住者を募集。

 今ここにやってきている者たちが志願した者らしい。


 ……なるほどな。

 気弱に見えるがいろいろと破天荒なトゥーナを知っている身としては納得できる。


 それで……皆が平伏していた理由は?


「えぇ、はい。今の話で予測はついておられるかもしれませんが……私どもはトゥーナ様に事情を聞き、一度女王様の元に戻り、移住者を募集し、その上でこの港に来ました。トゥーナ様がここのトップ……代表様にお話を通すと言っておられたので」


 まあ通ってなかったが……。


「本当に申し訳ありません」


 いや……過ぎたことはいいとして。

 それがあなたたちが頭を下げていた理由か? トゥーナに任せて確認を取らなかったから。

 それは分かったが港の住人たちは何で……。


「ああ、それはこちらも確認を取ることを怠ったからだ」


 こっちも平伏していたスロールが頭を上げてそう言う。


 ? 怠ったも何も……今来たマーメイドたちがトゥーナに言われてやって来たなんて知りようが無かったんだからしょうがないんじゃ……


「いや、今じゃないんだ」


 え?


「マーメイドたちは、闘技祭の前にはもう港に移住してきていた」


 はいぃ?




 えぇと……つまり?

 トゥーナが自分の捜索隊を見つけたのは夏が来る前のことで……それから何も報告せずに移住を進めて……で、闘技祭の前には移住も完了して漁の手伝いもやってもらっていたと。


「「はい」」


 マーメイドのルフィンとアリゲイターのスロールが声をそろえて返事をする。

 トゥーナは俺から目を逸らして高速で指つんつんを繰り返している。


 うん。

 うーん。


 いやもう……逆にちょっと感心している。

 よくまあそんな状態で闘技祭に参加してエンジョイしてたな。


「「申し訳ありません」」


 いや二人に言ったわけじゃなくて。


「「それでも原因の一端は自分たちにもあるので」」


 うぅん、そんなことないと思うが。


 まあ、とにかく皆が頭を下げている理由は理解できた。

 とりあえずもう一度言うが頭を上げてくれ。

 皆が頭を下げる理由は分かったが不問にする。


「……感謝する、代表様! これからはこのようなことの無いよう努めてゆこう!」


 そしてマーメイドたちも。


 報告は来ていなかったが、来ていたとしてもマーメイドを受け入れることにはしていただろう。

 こっちこそ挨拶が遅れて申し訳なかった。

 レースピアはあなた達を受け入れる。


「……寛大なお言葉、感謝いたします。移住を決めた私どもの判断は間違っておりませんでした。これからもこのレースピアのため力を尽くしてゆきます。どうか末永くよろしくお願いいたします」


 ルフィンとスロール、二人は深々と頭を下げ、平伏していた住民たちはほっとした顔で戻っていく。


 そして……。


「い……いやぁ……いろいろありましたけど全部丸く収まって良かったですねぇ……! 皆は移住先を見つけたし、港は人手が増えたしどっちも大助かりですぅ! それじゃあそういうことでぇ……」


「トゥーナ」


「は、はいぃ? なんでしょう代表様ぁ? そ、そのぉ、お礼なら良いですよぉ? 確かに代表様が喜ぶだろうと思って皆を誘いましたけどぉ……お礼なんて全然……」


「正座」


「えっ……? いえいえこんな日差しの中地上に座り込んだらカラカラになっちゃいますよぉ! ほ……報告を忘れてたのはちょっと悪かったですけどぉ……それはちょっと忙しかったからで! だから……そうっ! 不可抗力なんですぅ!」


 うん。

 正座。


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