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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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147.闘技祭終了と宴会

「それでは優勝者のキズキ選手に優勝の感想を……」


 待て待て待て待て。


「はい? どうなさいました?」


 いやどうなさいましたじゃないが。




 黒龍王の降参という形で決着がついた、乱入ドラゴンと俺との戦い。


 そういう形だったが予想よりも穏便に終わって胸をなでおろしていた俺は、トラブルこそあったが被害は出ていないし、中断せざるを得なくなっていた決勝戦も無事に再開できると思っていた。


 が。


 まあ決着の形と違ってそちらはそう上手くは行かず……。


 うん。

 結構な被害が出ていた。

 観客に。


 とはいっても、怪我をした、とかそういう被害ではない。


 どうやら決着前に黒龍王が出してきた本気。

 俺は創造神器を握っていたからか大して何も感じなかったが……住民たちはそうではなかった。


 黒龍王の本気にあてられた住民たちは錯乱して……パニックになってしまっていた。


 決着がついたのち、最初は完成だと思っていたそれが悲鳴だと気づいた俺は、まだ症状が軽かった者と共に皆を落ち着かせて回った。

 正確な数は数えていないが、観客の九割以上がパニックになっていたから大変だった。


 この時大いに助けになったのはムイだ。

 理屈は全く分からないが、体当たり一発で錯乱していた者を落ち着かせていた。

 ……比較的症状が軽かった代表陣やシロなんかも尻尾や耳や翼をビクビク震えさせていたのにムイは全然そんなことなかったし……本当に謎のスライムだ、ムイは。


 まあ助かったんだしいいか。


 と、そんなわけでムイの助けもあり、何とか全員を落ち着かせることに成功したんだが……その時にはもう日が暮れかかってしまっていた。


 流石に数が多すぎたため、かなりの時間を要してしまった。

 これムイが居なかったら数日がかりとかになってしまったかもしれないな。

 本当にありがとう、ムイ。


 だけど流石にもう時間も遅いし決勝は明日に……と、俺がそう考えていたところ。


「ふむ? よく分からんが頂点を決める祭典だったのじゃろう? ならば我に勝ったお主が頂点で良いではないか」


 と、そう……二次被害を起こさぬよう人型の状態で待機してもらっていた黒龍王がそう言ってきた。


「……いや……まあ、そう名乗ったのは我じゃが……そう何度も黒龍王黒龍王と連呼されてはちょっといたたまれんというか……」


 ? 自分で名乗ったのに?


「ま、まあ良かろう! 別に! これから我を呼ぶ時はリーアと呼ぶがよい!」


 リーア? それが本名か?


「いや、実際はもっと長いが……呼びづらかろうしリーアで良い」


 と、そんな話もしつつ、代表陣で集まって協議した。


 そうしたら、第一回レースピア闘技祭の優勝者は俺になった。




 いや、何でこうなった?


「何でも何も……リーア選手が出した意見は代表様もお聞きになったはずでは?」


 まあ聞いたけど。

 だからって通るとは思わなかったぞ。

 確かにただでさえ一日想定が二日になってるんだしこれ以上伸ばしたくないというのは分かるが……。

 せっかく決勝まで進んだムイとルシュが納得しないだろう。


「いえ、私は主様が優勝であれば」


 ぷるぷる……。


 ……納得してるみたいだ。


 い、いやでも観客たちもこんなぽっと出での優勝なんてふつう認めない……


「先ほどのリーア選手との戦いを見れば認めない者など一人もいませんよ。……そうでしょう!?」


「「「わぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!」」」


 パニックもおさまり観客席に戻っている住民たちから大歓声。

 コロシアムが沸いている。


 そのまま勢いで俺は押し切られ表彰式へ。


 本来なら俺があらかじめ作っておいた優勝トロフィーを授与する……みたいな想定だったんだが。

 俺が優勝者なのでそうはいかず。


 舞台の中央で俺が一人トロフィーを掲げる……みたいな、これ何のパフォーマンス? と言いたくなるような絵面になってしまった。

 まあ盛り上がりはしたから良いだろう。


 ちなみにトロフィーは純魔金製のめちゃくちゃ豪華なやつ。

 自分で持つことになるんならもうちょっと大人しいデザインにした方が良かったな……。


 とまあそんなわけで大歓声の中表彰式も終わり。




「えー……それでは第一回闘技祭の成功を祝して乾杯!」


「「「「乾杯!!!」」」」


 そのまま、宴会にもつれ込む。

 夏祭り兼第一回闘技祭お疲れさまでした会だ。


「ごくっごくっ……ぷはぁっ! 美味い! 何と美味い酒だ! もっとだ! もっと持ってこい!」


 しれっと宴会に参加しているリーアが次から次に酒を要求している。

 一応落ち着かせたとはいえ、まだ恐怖が残っているのか動きの鈍い家事妖精たちに代わって俺が酒を持っていく。


 ほら、どうぞ。


「おお、感謝するぞ! ふはは強者が集うだけでなく酒も美味いとはなんという街だ! 名はなんと……と、そういえばお主の名も聞いていなかったな」


 ……そういえばそうだな。

 いろいろバタバタしていたから失念していた。

 申し訳ない。


「構わぬ構わぬ。して、名は?」


 ああ、俺の名はキズキ、街の名前はレースピア──……。


 そのまま、俺も少し飲むのに付き合いながらリーアと話す。

 俺はあんまり酒が得意ではないので、それこそ舐めるように飲んでいたが、リーアは豪快にカパカパ飲んでいた。

 凄いなドラゴン。


 ところで……リーアは何でうちの街に?


「ぬ? それはもちろん強者たちがしのぎを削り合う気配を感じたからよ!」


 そう語るリーアに深く聞こうとするも……。


「ハハハハ良いではないか良いではないか!」


 思い切り酔ったのか何なのか悪代官みたいなことしか言わなくなったので、酔って暴れないようにとだけ強く注意してリーアの元を後にする。

 酒も十分持って行ったしな。




 そんなわけで次に俺がやってきたのは、昨日焼きそばを作るのに作った鉄板……の、横。


 普通の鉄板とは違い、ぽこぽこと半球状のくぼみがいくつも空いた独特のフォルムを持つ鉄板……。

 そう、たこ焼き機のもとだ。


 ジュゥゥーー、と音を立てて、早速俺が投入した生地が小気味いい音を立てる。

 本当は昨日焼きそばと一緒にたこ焼きも作るつもりだったんだが……焼きそばがとんでもなく人気になり作る時間が取れなかった。


 ので。

 今日はまずたこ焼きから作っていく。


 作り方は簡単。


 小麦粉、水、卵を混ぜた生地を、油を塗ったたこ焼き機に投入する。

 そして全てのくぼみに生地が溜まり切ったら、そこにぶつ切りにしたタコを投入。


 タコはついこの間トゥーナが見つけてくれた。

 俺は刺身にして食べたんだが皆はちょっと敬遠していた。

 まあ、生で魚を食べるのは忌避感出るものも居るだろう。

 それもあってたこ焼きを作ろうと思い至ったんだが。


 それと投入するのはタコだけではない。

 ぶつ切りにした兎肉、キャベツ、じゃがいもなど……。

 加熱してもタコが食べられない者が居ることも想定していろいろな具で作る。


 そして具を入れ終わり、生地の端が白くなってきたら、針でたこ焼きをくるんと返す。

 くぼみに沿わせるように、返すというか回すのがコツ。


 そうしたらもう後は生地を返すのを繰り返すだけ。

 極力まん丸い形になるようにくるくると回し続ける。

 とはいってもあんまり激しく回し続けると生地が破れてしまうので、まあ適度に。


 そうやってくるくると回しながら、表面に焼き色がついていい感じに焼きあがったかな? と思ったら、針で引っ掛けるようにしてお皿へ。


 そしてお皿に盛ったたこ焼きに昨日も使ったお好みソースを塗りたくり、マヨネーズをかけたら……たこ焼きの完成だ!


 さて、調理者の特権。

 味見と称して完成第一号を食する。


 はふっ……はふはふっ……!


 うーん、美味い!


 外はカリッと中はトロトロ。

 肉厚のタコの弾力が良いアクセントになっていていくらでも食べられそうだ。


 流石材料が良いな……!


 そう考えながらはふはふしていた所、視線を感じる。

 ちょっとデジャブを感じつつ見やると……うん。

 たこ焼き機の前に行列。


 綺麗に一列に並んでいる。


 ていうかよく見たらリーアも列の中に居る。

 馴染み過ぎじゃない?


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