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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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134.ゴムの生産

 全然問題なかった。


 今俺の目の前にあるのはびよんびよんとよく伸びる板上のゴム。

 俺が思い切り引っ張ってみてもまったく千切れる様子はなく、力を抜くと元の形に綺麗に戻る。

 凄いな……完璧だ。


「なるほど……これがごむというモノか! なかなか面白い物だな!」


「イグニータと同じ意見なのはしゃくなんだけど……確かに面白いね」


 イグニータとユウフも興味津々、といった様子でゴムに触っている。


 いやぁ、凄かった。

 ユウフに浄化の風を出してもらいながら、イグニータに硫黄を熱してもらって混ぜてゴムを作る。

 その工程は完璧に進んだばかりか。


「先ほども言ったがこの程度なら俺たちだけでも十分に作れるだろう!」


「まあこの筋肉ダルマが熱量ミスしたら僕が風で冷やせばいいしね」


 そう。

 ゴムは問題なく完成したばかりかイグニータとユウフがその製法を覚えてくれた。

 ので。

 素となる樹液と硫黄があればゴムが量産できるようになった。

 素晴らしい。


 硫黄が採れた場所は調査団にもちろん聞いている。

 確かに街から遠いが、採取に行けないほどでもない。

 今はまだあまり頻繁にというわけには行けないだろうが、硫黄も……そして樹液もそれなりには取れるだろう。

 なので頼む、イグニータ、ユウフ。


「もちろんだ! 任せておくがいい代表殿!」


「ま、僕が手伝うんだ。安心してくれていいよ代表さん」


 頼もしい。


 そんな感じで、ゴムが完成した。

 これでいろいろとまた作れるものが増えるだろう。


 なので早速ゴム製品を思いつく限り作っていく。




 というわけでまずはこれ。

 ゴムタイヤ。


 とりあえず俺の一存ですぐに改造できる俺専用の馬車で試してみる。

 作られた当初は必要ないんじゃ? と思ったが、こういう改造にすぐ使えるのは便利だとても。


 木の車輪を取り外し、幅を広めにしたうえで均等な厚みになるようにゴムを巻き付けた新たな車輪を取りつける。

 そして早速違いを体感するために乗ってみる。

 馬車を引くのは……。


「もちろん俺だ! この役目は譲れねぇからな!」


 どこから聞きつけて来たのか、改造を終えた俺の前にダッシュで現れたフリストル。

 ズザザァッ! と、そんな音が聞こえそうなほど勢いよく滑りこんできた。


 あ、ああ……ありがたい。

 それじゃあよろしく頼む。


「ああ、任せとけって代表さん!」




「ヒューッ! こいつはすげぇぜ代表さん! とんでもなくスピードに乗れる! しかもこれだけ速く走ってても揺れは全然来ないんだろ!? 最高の車輪だこれは! もっと飛ばすぜーっ!」


 あーいやほどほどに……って聞いてないか……。


 走り始めたら違いはすぐに分かった。

 ただの木の車輪と比べ明らかに揺れが少なくなり、舗装された場所でなら前までの車輪より明らかにスピードが出せるようになったのだ。

 これにはフリストルも大興奮。

 これまでよりさらに速く代表さんを目的地に連れていけるぜ! と、気合が入ったようで、いま飛ばしに飛ばしまくっている。


 そしてしばらく経ち。


「……すまねえ代表さん、つい昂っちまって……」


 思い切り爆走して落ち着いたのか、止まったフリストルが落ち込んだ様子で謝ってきた。


 いや、そんなに気にする必要はない。

 かなりの速度の馬車に乗れて楽しかったからな。


 これは本音だ。

 まるで自動車にでも乗っているみたいで懐かしく、そして楽しかった。

 振動も全然来なかったしな。


「ほんとか!? そりゃよかった! 代表さんが楽しんでくれたなら! だよなだよな! 速いって楽しいよな!」


 そう言いながら輝くような笑顔で速さについて語ってくるフリストル。

 そんな彼女に上から声がかかる。


「速いことはいいことだと言うあなたの言も分かりますが……限度があります」


 調子よく語っていたフリストルはまるで石化したみたいに一瞬で固まる。

 そして恐る恐る見上げたそこには……リネイア。


「個人で速さを追求する分には構いませんが、代表様を乗せて危険走行するのは看過できません。こちらへ」


「だ……代表さん……」


 フリストルがすがるようにこっちを見てくるが……ごめん、無理。


「あぁぁ~~~~……」


 フリストルは連れていかれた。


 うん。

 頑張れ。




 と、言うわけで、フリストルはちょっとテンションが上がりすぎてしまったものの、ゴム車輪は素晴らしいモノだった。

 この調子でゴム製品をもっと作っていく。


 車輪……というかタイヤ? の次に思いついたのはやはりコレ。

 ボールだ。


 やはりゴムと言えばボールを思いつくものが大半ではなかろうか。

 しかし……ゴムボールを作るのはなかなか大変だ。

 綺麗に丸く成型したうえで中に空気を注入しなければならない。


 成型自体は創造神器を使えばおそらく出来るが、空気の注入はな……。

 ボールとして使っても空気漏れしないようにしないといけないし……どうするか……。


 俺がそう頭を悩ませていると。


 ぽよんっぽよんっ!


 ムイがやってきた。

 やってきたムイは俺の傍らまで跳ねてきて、何を悩んでいるんだ? と寄り添ってくる。


 俺は素直にムイに、このゴムを球状にして中に空気を入れたいんだが、どうやったものか悩んでいる、と素直に言うと。


 ムイは俺の持っていたゴムをぶよんと飲み込んだ。

 そしてそのまま数秒震えたかと思うと……。


 ポンッ! ……ポンッ……ポンッ……。


 ムイと同じくらいの大きさのゴムボールが発射された。

 ムイから。


 出て来たゴムボールはそのまましばらくポンポンと跳ねて止まる。

 俺はそれを拾って、もう一度上から落としてみる。

 ゴムボールは再びポンポン跳ねる。


 ……ボール出来てる!!!


 俺は驚いてムイを持ち上げポンポンとお手玉する。

 自分でも何やってるのか疑問に思ったがムイは楽しそうだ。


 にしても……流石ムイだ。

 ゴムを飲み込んで体内で形を変えて、しかもその中に空気を入れた状態で外に出したのか? おそらく。

 ほんとムイは呑み込めさえすれば大抵何でもできるな……。


 あと、この作り方何が凄いって……ボールの表面に空気穴が無い。

 無いのにボールは空気でパンパンだ。

 普通にあり得ない作り方。

 分かってたけどムイの体内は亜空間か何かっぽいな。


 さて。

 ムイをお手玉するのを止め、作ってくれたボールを早速使ってみる。

 まずは屋敷の外壁まで行って……ボールを蹴る!


 ドッ! パンッ! ポンッ……ポンッ……。


 思い切り蹴ったボールはしっかり跳ね返り、俺のもとまで戻って来る。

 強く蹴ったら破れる、なんてことはなくきちんとボールとして使えた。


 素晴らしい。

 これでサッカーが出来る。


 サッカーだけじゃない。

 ムイに色々な大きさのボールを作ってもらえば、野球、バレー、バスケ、テニス……いろいろ出来る。


 ボール以外にも必要なものがあるが……バットやネット、ラケットなんか……それも作ろうと思えば作れるしな。


 ありがとう、よくやってくれたムイ。


 感謝の言葉を伝えながらムイを撫でまわす。

 ムイは嬉しそうにプルプル震えている。


 そして撫で終わると、ムイはぽよぽよと跳ね……俺のもとへボールを転がして来た。

 一緒に遊びたいらしい。


 もちろん構わないと快諾しムイとボール遊びをすることにした。

 軽く蹴り合ってボールを転がしたり、取ってこいとボールを転がしたり。


 そうして遊んでいるといつのまにかシロが乱入。

 取ってこいしたボールをムイより早く俺のもとへ転がして来た。


 ムイは抗議するようにシロに体当たりしている。

 しかしシロはしれっと無視。


 ああほら喧嘩するな喧嘩するな。


 二体をなだめて一緒にボール遊びをした。


 途中からさらにリルとシロの子供達も乱入。

 とってこいはボールを奪い合う魔境と化した。


 ちなみに一番多くボールを獲得したのはシロ。

 家長の意地を見せつけたな……。


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