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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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133.調査団の帰還と硫黄

 プールが完成し、水着もどんどん増産され、結構な数の住民がプールに通うようになってしばらく。

 調査団が帰ってきた。




「ただいま戻りました、主様」


 いつも通り、帰還後俺に報告しに来たのはパード。

 その姿は平然としていて、今回も特に問題なく無事に帰ってきてくれたみたいだ。

 安心する。


 ああ、お帰りパード。

 問題は無かったか?


 パードは問題ないように見えるが、他もそうだとは限らないしな。

 俺はそう聞く。


「はい、調査団五十二名。全員無事に帰還しました」


 ほっ……良かった……。


 ……にしても、調査団も大分増えたな……昔は十人そこらだったのに……。

 こんな所でも街が順調に発展してきたことを感じる。


 そのままパードに報告を聞く。


「今回は前回のような発見は出来ませんでした」


 申し訳なさそうに、耳としっぽをだらんと垂らし、そう言ってくるパード。

 いや、そんなに落ち込む必要はないと思う、前回が出来過ぎだっただけで……。


 ……っていうかあれか? こんなに落ち込んでるの、俺が前回の海で思い切りテンション上げまくったからか?

 あー……後悔はしていないがちょっと反省。

 本当に気にする必要はない、と伝える。


「ありがとうございます! もったいないお言葉です……!」


 そんな俺の言葉にパードの耳としっぽは復活。

 パタパタと揺られ出す。


「ああ、ですが……前回ほどのではないとはいえいくつか発見はありました。特筆するべきは……」


 そう前置いて最初にパードが伝えてきたのは……脅威の情報。


「デュークベア?」


「はい。姿は確認していないので、おそらく……という話になってしまうのですが」


 話を聞くと。


 デュークベアというのはその名の通り熊の魔物。

 その力は強大で、この果ての森のかなり硬い木材であろうと下手をしたらへし折ってしまえるほどの膂力の持ち主なのだとか。


 そんな危険な魔物が街から遠いとはいえこの森に?

 街を囲むように城壁……街壁? は作ってるが、そんな力があるんだったら下手をすれば壊されてしまいそうだな……警戒しないと。

 にしても、姿は見てないと言ったがどうして居ると?


「調査団は森を進むに当たって、ハイエルフの団員に木に登ってもらって周囲を索敵してもらうんですが……その団員が見つけたんです。木に登った自身より高い位置にある大きな傷跡を」


 それが、デュークベアの痕跡だと?


「はい。その傷跡の位置や形から考えると、それをつけたのはおそらく、身の丈俺の六、七倍はある熊。そんなサイズの熊の魔物はデュークベアしかいないと思われます」


 ……なるほどな。

 妥当な推測だ。


 にしても、身の丈がパードの六、七倍か……。

 パードの身長は俺より少し低いぐらい。だから大体百七十センチ台といったところだろう。

 それの六から七倍と言えば十メートルを優に超える。

 最早ビル並みだ。

 そんな熊が襲ってきたら……。


 そのデュークベアっていうのは気性は荒いのか?


「直接見たことはありませんが、積極的に他を襲う気性のようです」


 ……そうか。


 優しい熊さんだったら嬉しいなーと思って聞いてみたが、まあそんなうまい話はないか。

 とりあえずは見張り塔の者たちに早期発見してもらえるように、警戒を促しておくとして……、パード。


「はい」


 パードたちも調査の際はこれまで以上に気をつけてくれ。

 とりあえず今回行った方角にはしばらくは余り深入りしないように。


「了解しました」


 よし。

 とりあえずはこれで。


 巨大さは脅威だが、それはすなわち見つけやすいということでもある。

 調査団はもう森歩きのベテランだ。

 警戒を促しておけば、デュークベアより先に相手を発見し逃げおおせるくらい簡単に出来るだろう。


 とりあえずデュークベアに関してはこれで良いとして……。

 いくつかって言ってたしまだ報告はあるだろう。

 そのまま聞く。


「はい、他にはまたいくつかの資源を見つけてまいりました」


 そう言ってパードが出したのはいくつかの鉱石や植物等。

 今回もいろいろと持って帰ってきてくれたみたいだ。


 ……ん?

 その中に一つ気になるものを見つける。

 黄色味がかったごつごつした石。

 まさかこれは……?


 そう思った俺はそれを手に取って匂いを嗅いでみる。

 すると香ったのは覚えのある何とも言えない香り。


 やっぱり……硫黄だこれ!!




 その後。

 調査団が持ち帰ってきてくれたもろもろは一旦さておいて、調査団全員に健康診断。

 いや、気分が悪くないかとか不調が出ていないかとか聞きまわったぐらいだけど。


 幸いにも、不調を訴えるものは一人もいなかった。

 一応不調は絶対に隠さないようにと厳命したから大丈夫なはず。


 ふぅ……良かった。

 硫黄自体に毒性は余りないが、採れる場所にはかなり毒性があったりするからな……。

 パードもその辺りは気をつけているから大丈夫だと言っていたが、俺が心配だったのでやらせてもらった。


 とにかく、安心した俺は改めてパードに礼を言う。


「いえ、当然の務めです」


 それでもありがとう。

 今年は暑くなりそうだし、デュークベアの件もある。

 しばらくは街で英気を養ってくれ。

 プールも作ったから。


「プール……? ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます」


 そう言ってパードは早速確かめることにしたのか、プールの方へ歩いて行った。

 調査団の皆はゆっくり体を休めて欲しい。


 俺もプールに行きたい気持ちはあったがぐっとこらえて別の場所へ。




「おや、代表殿! 珍しいなここへ来るとは!」


 声を掛けてきたのは火の精霊イグニータ。

 そう俺がやってきたのは焼却場だ。

 住民も増えて、ほどほどに稼働し始めた焼却場。


 イグニータの言う通り、それほど高頻度では様子見に来てなかったが、今回は理由合って訪れさせてもらった。


 その理由とは、ゴム。


 調査団が持ち帰ってきてくれた硫黄。

 それはそれなりの量があった。

 なので俺は考えたわけだ。

 これだけあればゴムが作れるんじゃないか、と。


 確かゴムを作る際のゴムの木の樹液……ラテックスだっけ? ……に対する硫黄の量はかなり少なくて良かったはず。

 十分に作れるはずだ。


 ちなみに焼却場に来ているのは念のため。

 硫黄は燃やすと有害物質が出るからな。


 常に創造神器を出しっぱなしにして、毒を検知したら風を起こして思い切り散らすつもりだ。


「そんなことしなくても常に浄化の風を吹かせていればいいんじゃない?」


 そう考えていた俺にそう言ってきたのは、風の精霊のユウフ。

 ……何で焼却場に?


「ああ、筋肉ダルマが心配でちょくちょく様子見に来てて……ってそんなことはどうでもいい。それより、今も言ったけど常に浄化の風吹かせてれば毒がどーだのこーだのって心配はいらないでしょ?」


 そう言ってくるユウフ。

 イグニータも特に何も言ってこない。

 笑顔を浮かべているだけだ。

 ユウフが定期的に来ているのは真実らしい。


 にしても浄化の風って?


「ああ……言ってなかったっけ? その名の通り毒を浄化する魔法の風だよ。空気にしか効かないけどね」


 ふむ……つまり有毒ガスなんかを無害化できる魔法ってことか?

 ……さすが異世界、便利だ。


「それでどう? これなら手っ取り早いと思うんだけど」


 ユウフの言う通りだ。

 こんな魔法があるのなら使った方が断然楽。

 その提案をありがたく受け入れさせてもらう。


 あと、ユウフを信じていないわけじゃないが、念のため創造神器は出したままにしておく。

 どうせゴム作りで使うし。


「話はまとまったようだな! ならせっかくだ! 俺も手伝おう!」


 え? イグニータも?


「ああ! 代表殿がここに来たということは、そのごむ? とやらは燃やす必要があるのだろう? ならば俺の出番だ!」


 いや燃やすんじゃなくあくまで熱するのであって……ここに来たのは万一のため……。


「皆まで言うな! 問題ない! 火の扱いに関して俺の右に出るものはいない! 安心して任せるといい!!!」


「うるっさっ……」


 う~ん……本当に大丈夫か?

 ちょっと心配……。


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