127.校舎の視察
そうして。
リネイアと教師と生徒のことについて話し合ってからそう時間はかからずに
見事学校は完成した。
いやあ……立派なものが出来たな……。
今俺がいる場所は学校の正門に当たる場所。
そこで俺は感慨にふける。
区画丸ごと使った学校……こんな大規模な建築、住民総出で作るとはいえかなり時間食うかもと最初は思ったが、結局俺の予想よりもかなり短い時間で完成した。
これも全て俺の要請を快諾し、懸命に頑張ってくれた皆のおかげだ。
感謝。
さて。
そんな俺の前には、どれだけ大きい種族でも楽々通り抜けられるだろう、と確信できるほど大きな門がそびえたっている。
作っている最中は別に気にしなかったが、実際出来てみるとこんな大きい必要あったか? って思うな。
まあ、その内街にめちゃくちゃデカい種族とか来るかもしれないし、別に構わないか。
「では主様。早速こちらへ」
完成した学校を視察するに当たって案内役を買って出てくれたルシュが俺にそう声を掛けてくれる。
……いや買って出たというか勝って残ったというか……。
少し前、それぞれの代表にそれぞれの施設の完成報告を貰い、俺が完成した学校を見て回りたいと口にしたら、その場にいた皆が突然視線を交わし合いだし……物陰に引っ込んだのだ。
そしてそのまましばらく経ち……物陰からルシュだけが出てきて俺の案内役になると言ってきたのだ。
今更だが……暴力沙汰になったとかそういうわけじゃないよな?
「はい。平和的な話し合いで案内役は決まりました。どうぞご心配なく」
ま、まあ……ルシュがそう言うなら……。
というわけで気を取り直して正門をくぐり学校の中へ。
ちなみに門は今は開けっ放しにしているが、学校の運営が始まったら警備員も選抜し、門の開閉をやってもらう予定。
学区内に入った俺を迎えたのは広場。
中心には大きな噴水があり、それぞれの施設へ行くための道はマナコンクリで舗装されている。
もちろん舗装されていない場所には木や花を植えており……天気がいい日はここでのんびり過ごすのも気持ちいことだろう。
「どうでしょうか? 代表様。お気に召しましたか?」
広場に踏み入った俺に声を掛けてきたのはハイラ。
広場のデザインはハイエルフたちに頼んでいたからな。
ハイラも多分最終チェックをしてたんだろう。
ああ、凄く良い。
立派な広場だ。
語彙が貧困なためそんな言葉しか出てこないが、ハイラは嬉しそうだ。
数ミリ眉が下がっている。
「ありがとうございます。皆も喜びます」
ああ、実際に携わった者たちにも俺が素晴らしいと言っていたと伝えておいてくれ。
「はい。必ず」
そう言って丁寧に礼をしてくるハイラ。
このままここを隅々まで探索したい気持ちもあるが、流石にそんなことをしていたら時間がいくらあっても足りない。
ハイラにあいさつして次へ。
次に来た場所は……校舎。
いやあ……すごいデカさだ。
向かってる途中から分かってたけど。
俺の前にどんとそびえたつのは学校のメイン建物、校舎。
校舎は、俺は基礎工事だけ参加して、後は他の場所の手伝いに行っていたから、建築途中を見ていない。
だから衝撃がかなり大きい。
校舎は五階建て。
いや地下階もあるから六階建てか? おそらくそのはず。
イメージは伝えたが、設計はルシュたち任せだったから詳細は把握できていない。
だけど報告は受けたし間違っては無いだろう。
やはり流石だな、うちの建築チームは。
どんどん進化してる。
そう口に出す。
前はもっと規模も小さく……三階建てが限界だったのに、どんどんを腕を磨き地下階含む六階建ても完成させられるようになっている。
本当に流石だ。
「もったいないお言葉です」
俺の賞賛に対して、ルシュは落ち着いてそう返してくる。
が。
ぶんっぶんっぶんっぶんっ!
尻尾がとんでもない勢いで震えている。
とても嬉しいらしい。
そして俺はちょっとほっこりしながら校舎の中へ入る。
校舎の入口はとても広い。
これも門と理由は同じでいろんな種族のためだな。
そこから中へ。
中へ入れば、そこにあったのは……下駄箱。
うん。
この学校は上履き制を採用させてもらった。
別に土足でも良かったと言えばよかったが……やっぱり学校の中は清潔であってほしいからな。
最初の方は大丈夫だが、子供を通わせ出したら廊下で寝そべるとか普通にやると思うし。
後はやっぱり学校と言えば上履きだろうという俺のイメージ。
と言うわけで上履きに履き替え中へ。
ちなみに上履きはアラクネたちに作ってもらった。
服とはまた別の良さがあると言って、靴専門に転向するアラクネが出てくるかもしれない……、とクトネーが言っていたな。
あと、靴箱もいろいろな種族が通うことを想定し、いろんな大きさ、いろんな形の靴箱を作ってある。
オーソドックスな四角のモノから細長いモノ、丸いモノから星形のモノまで。
……星形はさすがに要らなくないか? 星形の靴箱が必要になる種族ってなんだ。
ま、まあ遊び心ってことで。
というわけで校舎の中。
こっちも最終チェックを行っているのか、何人かのハイコボルトたちとすれ違う。
皆こっちに気付くと同時に深く礼をしてくる。
毎回楽にしてくれと声を掛けつつ視察。
まずは教室。
言うまでもなく校舎のメイン。
「主様のおっしゃられるように、長方形のシンプルなものにしました。机や椅子などは備え付ける必要は無いとおっしゃっていましたが……これでよいのでしょうか?」
何もないシンプルな教室を見ながらルシュがそう言ってくる。
ああ、これでいい。
俺も初めは、少し段差をつけた机や椅子を部屋に備え付けるタイプ……映画館とか大学の教室みたいなイメージだな。
そんな感じで作ろうと思ったが、それは体格がある程度同じだから成り立つ造りだ。
レースピアのように種族ごとに姿形や大きさが結構違う場所では、均一な大きさで備え付けてしまうとかなり不都合が出る。
だから小学校とか中学校とかみたいな、動かせるタイプの机を並べる教室にした。
これなら机と椅子をそれぞれの身体に合わせて作って運び込めるからな。
まあ手間はちょっとかかるが……必要経費だろう。
「なるほど……そのようなお考えが。すみませんでした、余計な口を出してしまい……」
いや、全然気にする必要はない。
俺の大学とかみたいな段差がついているタイプの教室スタイリッシュでカッコいいと思うしな。
いつかそういう教室も作りたいと思ってるし。
「その時は再びご用命ください。全霊で作り上げます」
あ、ああ。
その時は頼む。
尻尾を振り乱しながらふんす! と気合を入れているルシュにそう返しつつ次へ。
教室……生徒のための部屋を見た後に見るものは、教師たちのための部屋……というわけで次に来たのは職員室。
職員室はかなり広々としている。
教師用の机と椅子の間もかなりスペースが離されていることもあって、かなり開放感を感じる職員室だ。
「こちらも主様の御要望通り。かなり広くお作りしました。しかし、ここまで広く作らずとも良かったのでは?」
まあ、不必要って意見も分かるが……机と机の間が全然離れてないごちゃついた職員室っていうのも結構なじみ深いものだし。
でもやっぱりどうせ働くなら気分よく働いてもらいたい。
なのでしっかりスペースを取り、机や椅子も質の高い物を用意した訳だ。
……いや実際用意したのはルシュたちだけど。
「用意すると決めたのは主様なので、自分が用意した、と胸を張って断言してかまわないでしょう。教師となる者もきっとうれしいと思いますよ」
だと良いな。
今は広いスペースと机と椅子しかないが、教師になる者たちから出た要望に応じていろいろ支給していくつもりだ。
最終的に職員室がどういう部屋と化すか今から楽しみだな。
さて、教室と職員室は見終わった。
流石は建築チームの仕事、しっかり出来ている。
次に見に行くのは……教室、職員室ときたら……実習室。
それも、魔法実習室だ。




